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縫製工場の現状を変える――
誰もやっていないからこそ、面白い
私が入社したときは、社長と、同期が一人、あとはインターン生だけ。まさにスタートアップの時期でした。社長と私の専門学校時代の同級生につながりがあって、「洋服が好きで電話対応できる人がほしい」という話を受けて紹介してくれたのがきっかけだったんです。それまではずっとコールセンターで働いていて、アパレルの知識もwebの知識もなかったので、同期と二人で四苦八苦しながらやってましたね。とある案件では、お客さまに謝り倒しながら必死で対応したこともありました。わからない言葉が出るたびにwebで調べて、お客さまに聞いて。とにかくお客さまにご迷惑かけないように、と必死でした。でも、それがきっかけで予定より早く自分一人で案件を回すようになって、飛躍的に知識量が上がったんですよ。今思えば、あの強烈な負荷のおかげと言えるかもしれないですね(笑)。創業当初はすべてが手探りでうまくいかないことも多かったですが、入社時に社長と話をしたとき、縫製工場の現状を変える手伝いができそうだというところに魅力を感じたので、こんなことくらいで挫折できないという思いもありましたね。縫製工場にフォーカスして社会貢献になるって、誰もやっていなくておもしろいじゃないですか。
業界の未来を本気で考えるなら、イノベーションを起こす必要がある
縫製工場の現状を見ていると、シタテルが掲げる「ものづくり×テクノロジー」ってそう簡単じゃないと思うんですよ。工場は今でもファックスとか使ってやりとしているところがほとんどだから、急にITだとかシステムだとか、便利だとか言っても受け入れられない。ましてやそれを業界全体に広げていくとなると、正直言って難しいよなあと思うんです。でも、縫製の現場って、ほかの業界がどんどん変わっていくなかで時代に取り残されている感じがすごくあるから、業界の未来を本気で考えるなら大変だけどやらなきゃいけないと思うんですよね。今までExcelベースや紙ベースでやってきた工場の方にうちのシステムを触ってもらって、「これってすごくかんたん」とか「今までと全然違って仕事がすごくラク」とかいう感覚をもってもらうことが大事なんじゃないかなと思います。そうやって少しずつ業界の意識を変えていけたらいいですね。いずれは知識とか業界経験がなくても生産管理という仕事ができるシステムをつくって、生産管理をやれる人がいないから工場の作業が予定通りに進まないとか、そもそも専門的な勉強をしている人が少なくて良い人材が採用できないとかいった問題を解決していけたらいいなと思っています。
丁寧なコミュニケーションが、専門性の向上につながる
シタテルは、職種も考え方もまったく違う人たちが同じ目標に向かって働いている会社です。用語が違うことも多いので、専門分野が違う人同士でもわかりやすいような言葉の選び方を心がけるようにしていますね。忙しいとおろそかになりがちなところだけど、バックボーンが違ったり知識がなかったりしても、究極的にはコミュニケーション能力さえあればなんとかなると思うんです。マネジメントをする上でも、みんな自分と違う考え方を持っているということを前提に、一人ひとりの意見にフラットに耳を傾けて寄り添うということを大切にしています。過剰な寄り添い方はしないし、できることはできる、難しいことは難しいと言うけど、自分と違うからといって否定したりしないということですね。特に部下と1対1で面談をするときなどは、「その人がなぜそういう話をするのか」という背景を想像して、どんなことでも一度は受け止めた上で一番良い対応を探すようにしています。思いやりと「相手に伝える」という意識をもって話し合うことが、それぞれの専門性をより生かすことにもつながっていくんじゃないかな、と思っています。