こんにちは!
企業の課題をプロ人材で解決する「キャリーミー」を運営している株式会社Piece to Peace取締役CMO 毛利優子です。
キャリーミーでは、内製と外注の間とも言える第3の選択肢「プロ人材」を活用し、自社のマーケティングを推進してきました。この「プロ人材」活用は、まさにキャリーミーのサービスそのもの。サービスの良さを最大限活かし、マーケティングチームを組成してきたと言っても過言ではありません。
今回は、キャリーミーのサービス立ち上げから今に至るまで、どのようにマーケティングチームを組み、施策を行ってきたのか、フェーズに分けて解説します!
マーケティングは内製化すべきか、外注すべきか?新たな“第3の選択肢”とは
マーケティングの内製化、外注はそれぞれメリットとデメリットがあります。
近年マーケティングを内製化するハードルがどんどん上がっています。理由の1つは、施策の多様化・高度化が進んでいること。SEO、広告、SNS、オウンドメディアなど、マーケティングには様々な手法があります。かつ、新しいSNS媒体が出てきたり、SEOのアルゴリズムが変わったり、変化が激しい外部環境の中では、1名のマーケティング担当者がキャッチアップして適切な施策に落とし込んでいくことはほぼ不可能な広さと深さになってきています。
施策ごとの担当者を採用しようとすると、人件費が膨大になってしまいますし、そもそも優秀なマーケターは採用倍率が非常に高く、特に予算の少ない中小企業には採用が難しいのが現状です。
採用できたとしても、ミスマッチだった場合、企業側・人材側ともに、お金・時間・心理的な大きな損失となります。一方、外注は社内にノウハウやリソースがなくても業務を丸投げできるという大きなメリットがありますが、その分コストが大きくなる傾向に。また、内製に比べてクイックな変更や軌道修正ができなかったり、社内にノウハウが溜まらないという声もよく聞かれます。
その解消法のひとつとして、内製と外注の間の第3の選択肢「プロ人材」をおすすめしています。業務委託で、施策ごとのプロ人材をアサインし、チームで協働してもらうことで、自社のマーケティングに生かしていくことができます。
業務委託であれば、優秀な人材をすぐに、そして稼働ボリュームを調整することで、コストを抑えてアサインすることができます。当初は週1~2回の稼働だったとしても、仕事を通じてお互いに相性を確かめていくことで、徐々に稼働を増やしていくことはできますし、合わなければ契約終了とすることができます。
雇用でのミスマッチは企業にとっても、個人にとっても大きな痛手となります。実際に仕事をスタートして、成果や相性を見ながら稼働やコミットを柔軟に調整できることは、企業、個人双方にとって大きな魅力的です。
7年間で正社員は1名のみ!業務委託プロ人材で内製化を実現した、キャリーミーマーケチームの変遷
キャリーミーでは、サービス立ち上げから現在までの約7年間で正社員は1名のみ!各フェーズでプロ人材の力を借りてサービスを大きくしてきました。次の項から、フェーズごとの変遷をたどっていきます。
◼︎フェーズⅠ 2016年春・サービス立ち上げ期
<課題>
・前サービスからのピポットが必要。新しいサービスサイトの設計が必要
・「プロ人材」と「企業」の集客(プロ人材がいなければ、企業を集められない。企業の求人がなければ、プロ人材を集客できないというニワトリたまご状態)
<アサインしたプロ人材(業務委託)の職種>
・Webディレクター/SEO(筆者)
・デザイナー兼コーダー
システム開発を内製化から外注(求人構築パッケージ)に移行。サイトの費用を1/10に。
キャリーミーがサービスを開始したのは2016年6月。それ以前は、株式会社Piece to Peaceは教える人と学ぶ人をつなぐマッチングプラットフォーム『shAIR』を展開し、登録者1万人を集める事業となっていました。
一方で、登録者は順調に増えているものの、薄利のビジネスで売上が伸びないという課題を抱えていました。事業方針を模索する中で大澤がユーザーの方から新たなニーズとして拾い上げたのが、優秀な人材を業務委託の形で企業にご紹介するというものでした。
当時すでに3人の子どもがいた私は、「日本の働き方がもっと柔軟になれば、いろいろな人が活躍できるはず!」という強い思いを持っており、そのコンセプトに共感。まずは、新しいサービスのサイトや集客設計をどうするかという検討を始めました。
私がジョインする前は「shAIR」のサイトの中に、求人情報を載せるという方法で進んでいました。しかし、それではサイトのユーザーが「教える人」「学ぶ人」「仕事を探す人」「求人募集する企業」と4者間が存在することになり、サイトの方向性や見え方がごちゃごちゃしてしまうと思い、新サイトを立ち上げることを提案しました。
前職でWebメディアの立ち上げ経験はあったのですが、会員情報や求人エントリーなどの機能を持つサイトは作ったことがありません。いくつかのシステム会社に見積もりをお願いした結果、多くが1000万円前後の見積もりに・・・。エンジニアさんからの数百万円の見積もりでも払えないと相談を受けていたので、到底無理な額でした。
色々模索した結果、求人サイト特化の構築パッケージを発見し、管理画面やエントリーの仕組みなどの裏側はそのパッケージ利用しつつ、ユーザーから見えるサイトのディレクションは私が担当。知人のデザイナーさんにコーディングを含めて依頼して進めました。
こうしてシステム開発を内製化から外注(求人構築パッケージ)に移行。当初の見積もりの10分の1までコストカットに成功し、100万円以下で「キャリーミー」のサイトをローンチすることができました。
サービスのサイトが完成し、次はプロ人材の集客です。この時は前職のSEOの経験から、キーワード選定や設計をしていました。まだまだプロ人材や業務委託の市場ができていない時期だったこともあり、「業務委託 PR」など業務委託×職種のキーワードで上位表示されて、登録者が増えていきました。
求人で検索の上位表示を実現
その後、オウンドメディアの立ち上げ、登録者向けのメルマガの配信など業務のため、ライター・編集者などのプロ人材もアサイン。サービスローンチ半年後には、毎月100名以上の新規登録が来るようになり、それ以降も広告費ゼロで、現在では1万5000人以上のプロ人材の方々に登録いただいています。
◼︎フェーズⅡ 2019年春・シリーズA資金調達
<課題>
・「プロ人材」という新しい市場の開拓
・プロ人材の登録者は増えるものの、法人の集客が追いつかない!
<アサインしたプロ人材の職種>
・広告運用
・コピーライティング
・PR
プロ人材を中心にチームを構成。広告やPRなどをスタートし、施策ごとにプロ人材をアサイン。
2019年にシリーズAの資金調達が完了。それまではとにかく予算がない中でマーケティング施策を進めていましたが、予算の幅が広がり、広告・PR施策という選択肢が初めてできたのがこの時期です。
プロ人材の集客はある程度できていた一方で、法人の集客は課題山積でした。広告予算やPRは私自身が経験したことのない業務だったため、プロ人材にノウハウを共有してもらいながら施策をすすめていきました。
広告運用は月額数十万円からスタート。このような少額な予算でもプロ自身に運用を依頼できるのは大きなメリットです。
また、業務委託プロ人材という存在はまだ認知が低く、企業を中心に市場を開拓していく必要がありました。ここで大澤の知人のコピーライターさんに、「ビジネス界にもプロ契約を」というコピーを考案いただきました。
このコピーと、アンバサダーに就任していただいた本田圭佑さんを生かす方法を考えた結果、PRのプロ人材に協力を仰いで第1回カンファレンスを実施したのです。
カンファレンスでは、75媒体以上のメディア掲載と、広告換算1億円以上の効果を得ることができ、パルコ様、パーソルテンプスタッフ様など賛同いただいた企業様からマッチングした事例もたくさん生まれました。
↓カンファレンスプロジェクトの詳細記事はコチラ
広告換算費1億円超!BtoBのPR施策としてキャリーミーがカンファレンスを開催した理由
◼︎フェーズⅢ 2020年・組織拡大
<課題>
・プロ人材と正社員の混在による役割の不明確化
・組織が目指す方向性、価値観に少しずつズレが生じていく
<アサインしたプロ人材の職種>
・社内広報
・プロジェクト単位で、アートディレクター、コピーライター
初の正社員メンバー(新卒)が加わる。組織拡大に伴う課題が増加し、MVV設計や社内広報を強化。
ありがたいことにキャリーミーのサービスは拡大を続け、2021年2月には、プロ人材の登録者が1万人を突破。ローンチから5年が経ち、扱う案件も増えていくにつれ、キャリーミーとしても組織が拡大していました。
その頃にぶつかった壁が、「組織の課題」でした。
立ち上げから2年はプロ人材のみで構成されていた組織ですが、この頃から営業メンバーを中心に1年間で5-6名の正社員を採用するようになっていました。社員数はまだ10人に満たないものの、業務委託も合わせると約30名の組織体に。マネージャーも正社員とプロ人材が入り混じり、内部はカオス状態。まさに組織でよく言われる“30人の壁”です。サービス拡大をしていくためにも、会社として組織化していくべきフェーズに入ってきました。
そこで、広報・マーケティングチームとしては、組織を目指す方向性、正社員、プロ人材(業務委託)という働き方に関わらず、会社としての価値観をきちんと言語化することに挑戦。ここでアサインしたのは社内広報を得意とするプロ人材です。キャリーミーでは、正社員とプロ人材の“ハイブリッド組織”を標榜していますから、正社員とプロ人材が混ざりあって議論の場を設けて、ともにMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を決めていきました。
さらに、サービスロゴも一新。ピンクと水色のかわいらしいイメージのロゴから、今のオレンジのロゴに変更しました。このロゴは、カンファレンスプロジェクトでも協力いただいたアートディレクターのプロ人材に考えてもらいました。キャリーミー(CARRY ME)の頭文字であるCを横に倒した形で、社会の課題を解決する鍵穴にも、人にスポットライトがあたっているようにも見えるデザインです。よりキャリーミーのサービスを表現するロゴになったと思います。
この時期は、組織としての体制の見直し、価値観、カルチャーの言語化など、広報・マーケティングのチームとしてできることを手探りしながら、力を注いだ期間でした。
■フェーズⅥ 2022年春・シリーズB資金調達
<課題>
・競合が有象無象に出現。「差別化」を図る必要性
・サービスの認知拡大
<アサインしたプロ人材の職種>
・プロジェクト単位で、noteインタビュー兼ライター、書籍PRなど
2022年5月には、シリーズBの資金調達を完了しました。この頃になると、市場ができ競合も増えてきていました。特に、それまではあまり存在しなかった「マーケティング領域」を推した業務委託人材マッチングサービスがたくさん出てきたことで、「差別化」を強く意識し始めました。
プロ人材を中心に、正社員、インターン生、外注などを組み合わせて構成。
また、シリーズBの調達を実施し、サービス自体の認知拡大もどんどん進める必要があったため、タクシー広告にも挑戦。
当初は「プロ」という部分を意識しすぎて、かなりブランディング寄りの動画広告にした結果、Web広告での予算結果は芳しくありませんでした。
そこで構成をすべて見直して、本田圭佑さんの語りを最初と最後に残し、サービスの特徴をわかりやすく伝えるアニメーションと組み合わせたところ、CPAを約1/10程度下げながら大きくCV数を増やし、認知とリードを両立させることができました。
また、この期にビジョンコピーの見直しを実施。よりシンプルに、伝わりやすいメッセージに変えようと、カンファレンスから引き続き連携しているPRのプロ人材に相談し、「あなたの人生に挑戦を」というコピーが生まれました。
私たちは、プロ人材と企業の挑戦を応援するパートナーでありたい。それをメッセージとしてきちんと打ち出し、ストーリーとして見せていくことで、より共感を持ってファンになってもらい、一緒にお仕事したいと思ってもらいたい!そのような思いで、このストーリー記事も発信しています。
また2023年12月には、プロ人材の活用を体系的に伝えるために代表の大澤が「プロに外注」という書籍も出版しました。これから、出版を起点とした施策にも積極的に取り組んでいきたいと思っています!
働き方に関係なく、同じ思いを持って働けるチームを
キャリーミーのマーケティングは、フェーズごとにプロ人材をアサインし、様々な施策に挑戦してきました。会社としてWeb広告にもお金を出せず、正社員雇用なんて到底できないフェーズの頃も業務委託という形でプロ人材に活躍いただくことで、ここまで成長することができました。
まだまだタスクベースのイメージを持たれがちな業務委託ですが、メンバーの一員として同じ思いを持って一緒に働けると、未来は大きく変わります。正社員とプロ人材のハイブリッド組織は、雇用形態に関係なく、たくさんの人が集まって挑戦できることが強みです。マーケチームとしては、その魅力をいかに届けていくかというところに、今後も挑戦していきたいと思っています。
キャリーミーでは積極採用中ですので、事業に少しでも興味持っていただければ、ぜひエントリーをお願いします!