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「休園中の園児に動画メッセージを届けたい。」コロナ禍の先生の声から生まれた『園チャンネル』。
PMという役割を初めて立て、起案から2週間でローンチに漕ぎつけたスピード開発の裏側を、PMを務めた橋本と、実際に開発を行った岡本に聞いてみた。
新サービスの開発はシンプルかつ柔軟に。
‐ 開発の背景を教えて下さい。
橋本:
開発の話の前に私自身の当時の状況から話をすると、千株式会社へは2020年5月から正式に入社の予定でした。ポジションとしてはVPoE兼PM(プロダクトマネージャー)として入社を決めていました。
なぜ入社したか?については別の機会で語りたいと思いますが、3月辺りから入社準備など相談するため役員の方と会話する機会が増えていく中で、コロナの影響により千株式会社として園の課題解決と新しいプロダクトを作っていきたいという話をもらいました。
最初に役員から声がかかったのは4月中頃でした。緊急事態宣言の発令中、お付き合いのある保育園の先生方から「休園中も児童に動画メッセージを届けたい」というお声を多くいただき、先生方が能動的に使えるような動画プラットフォームを作りたいと――。
話を受け最初行ったこととしては少人数かつスピードを優先するためMVP+アジャイル開発手法を取り入れ初期プロダクト設計とロードマップを作ることでした。大体2,3日くらいでプランを作ったと思います。
次にメンバーの選定ですが私自身まだ入社前だったこともあり、社員の方との接点は殆ど有りませんでした。そのため当時開発全体知っているマネージャーの方に相談しエンジニア、インフラ、デザイナーの3名を緊急で選定いただき、新サービスの立ち上げは不確定要素が多いため、柔軟に立ち回れるメンバーをアサインしました。※結果的にベストなメンバーだったためサービスは無事立ち上がり、マネージャーや引き抜き期間の既存チームには負担をかけてしまいましたが感謝しています。
メンバーが決まったのが4月の末でGWに入るわけですが、連休明けからリリースまでの時間が本当に短いので、初めて仕事をする岡本さん(エンジニア)のため、できる限りのことをやろうと思い、システムの設計書まで用意していました。
そして連休明けて岡本さんとキックオフをしたのが5月7日だったのですが、岡本さんと初対面の挨拶を軽く済ませいきなりサービス概要から設計、期待役割の調整など開発メンバー3名との打ち合わせというハードな会話でしたね(笑)
それに開発はリモート前提だったので不安だらけでした(笑)
岡本:
リリース日まで1週間しかなく驚きました。
でも、それ以上に驚いたのが「ログイン機能をなくす」という発想でした。
仕様を確認する中でログイン機能は必要だろうと、思い込んでいたので、前提を覆されたような驚きがありました。
橋本:
それがプロダクトマネージャーの仕事ですね。園の利用方法と保護者などユーザのことを想像するとログイン機能は不要でMVPとして当たり前品質にならないと思ったため削りました。それでも十分サービスの価値は出せたと思います。
岡本:
そうですね。すでに数ヶ月サービスを運営している中でもログイン機能の必要性に関しては話題にならないので、不要にしたのは正解だったと思います。
経営者の理想を形に落とし込むのがPMの仕事
‐PMを務める上で意識していることはありますか?
橋本:
PMは経営者の理想を具現化する役割だと思っています。
私たちはその時々に求めらる環境変化にいちはやく対応できる企業でありたいと、経営陣は本気で考えています。
コロナの影響は凄まじいスピードで世の中を変えました。そのため、今回の開発に際してはスピードが肝心であると判断し、必要最低限の機能はなにか?を追求し開発要件を設計しました。
先程も話したように新サービスの開発プロジェクトは不確定要素が多いため、デスマーチになりやすい傾向がありますが「ココだけは必ず必要」という部分を抑えて機能開発のスケジュールを組んでいるので、そこまで無理なスケジュールにはなっていなかったのではと。それでも1,2週間でリリースなのでかなりチャレンジングなスケジュールですけどね(笑)
岡本:
そうですね。
新サービス開発に限った事でもないですが、事前にすべての仕様を網羅することはできないため、開発をすすめる中で出てきた疑問点は逐一相談しながら進めました。橋本さんはエンジニア経験も豊富なこともあり、疑問点が出ることが少なかったのですが、調整した際は即答して頂き、素早く開発を行うことが出来ました。即答頂けたのは、橋本さんはユーザにとっての価値は何か、それを提供するために最低限必要な期限が何かが明確に定義されていたからだと思います。
‐PMという存在がいての開発。問題なく進行できましたか?
橋本:
PMと開発者の間で持っている前提知識や価値観が違うので、当然歩み寄りは必要になりますよね。僕はそれは必要な議論であると思っていて、共通の目的を意識した議論がもっと活発化するといいなと思っています。
またこのような開発に慣れていないとPMとエンジニアの期待役割についても最初はお互い何を求められているのか?という課題が生まれ、お見合いしたりする場面が発生します。初めて仕事をする人だからこそコミュニケーションについては丁寧に行いました。
‐今回の開発でうまくいった部分はどこでしょう?
岡本:
この短納期の開発だったにも関わらず技術面でのチャレンジができたのは良かったです。今回の開発で、社内で初めてReactの導入を行いました。リスクは有りましたが大きな問題はなく導入でき、成功例ができたので他のサービスの開発でも取り入れてみようかという話になっています。
橋本:
一般的に新サービスの立ち上げ時は元々ある開発技術で勝負をしがちですが、岡本さんがReactをやりたいと言ってくれたので立ち上げ後に技術チャレンジができる「踊り場」のフェーズを用意しました。2週間位の開発期間ですが管理画面のSPA化を進め会社全体にナレッジを共有できるくらいまで進めていただけたので良かったと思います。エンジニアの思いを汲み取ることもPMとしては重要な仕事と思ってます。
また、起こりうるトラブルを事前に想定することができていたので、今のところシステムトラブルが発生していません。
高速な開発を行い技術チャレンジしながらでも品質をいかに担保するかがエンジニアリングの見せ所なので、ここはPMではなくVPoEとして開発力の高さを確かめることができ良かったと思います。
当たり前のことが、当たり前に出来る開発チームへ
- 園チャンネルの開発を通じて今後に活かせそうなことはありますか?
岡本:
橋本さんと一緒に本当に短い期間で新サービスリリースを経験できたことで、MVP開発を実践できたと感じています。今までも機能開発でMVPは意識していましたが、まだまだだったと感じました。橋本さんは「想像力」という言葉をよく使うのですが、ユーザーがどういう使い方をするのか想像しながら進めることによって、MVPが何なのか見極められると思います。その想像が難しいのですが。(笑)
橋本:
ユーザーへの提供価値を考えて、優先度をつけていく。
文字にすると当たり前のことのように感じられるのですが、これが徹底できているチームは強い。
なのでまずは「当たり前のことを、当たり前にできる組織にしていきたい」と思っています。岡本さんのチームは既にそれが7~8割できているので、ユーザーへの提供価値の考え方を他のチームにも伝えてほしいと思っています。
サービス面でいうと、この『園チャンネル』はライブ中継機能や双方向性を出せるようなものに進化させていきたいですね。11月中には!
岡本:
チームメンバーも増えました。一緒に頑張っていきます!