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好きな人に振り向いてもらうはじめの一歩は、「自分らしさ」を理解すること(と聞いたことがあります)。 会社も同じなら、自社の「らしさ」を語れるってすごく大事ですよね。
ということで、RITらしさをもっと追求しようとコーポレートアイデンティティ(以下CI)をリニューアルしました! デザイナー金森さんが中心となったプロジェクトのもようと、真実のCIを追い求める道のりで実感したRITのコアをご紹介します。
(書き手:ライター山森)
なぜCIを見直したのか?
まずはリニューアルに至った理由から。これまでは、大きく分けて3つの課題を感じていました。その解決方法として、CIをより今のRITにフィットするものへと見直すことにしたのです。
▲これまでのRITロゴと成果物。
課題1. そもそもVIが明確に定義されてない
これまではデザインが言語化されておらず、ぼやっとしていました。今までのロゴのモチーフがはやぶさだということや、コーポレートカラーの由来、HPで使われているアニメーション(TOPのパーティクルとか、ボタンのトランジションの由来とか)を知っているメンバーが少ない現状がありました。
課題2. 組織の拡大による意識のズレ
2019年はメンバーが7人も増えました! そのため、改めてCIの再共有が必要な時期。社外に出てはたらくコンサルメンバーも多いので、チーム感をもって仕事をするためにも共通認識を明確化する必要がありました。
課題3. ブランドイメージが統一されていない
今後も組織として拡大していくために、外部へ発信する成果物が統一されていないのは危機。イメージが統一されていないと、どんなことをしている会社で、どんな人がいるのかなどが伝わりにくい恐れがあります。
金森:「CIリニューアルについては、なにもかも初めてのことで正直言って苦労しました(笑)。ブランディングの本を10冊くらい読んだり、勉強会に足を運んでみたり…。でも、そういったところには答えはなくて、一人で考えすぎずにメンバーや役員と話し合うなかで納得感を持って進めることを意識しました。そんなようすからも、RITの特徴やメンバーの雰囲気が感じられるのかもしれませんね」
▲RITのCIを構成する要素。主にVIを明確化・統一化することがゴール。
プロジェクトのながれ
プロジェクトリーダーの金森さんを中心に、デザイナーインターン生の武藤くん、安藤さんがメンバーとして参加。具体的には以下の内容に取り組んでいきました。
1. イメージ調査
まずは現時点のRITについて、イメージ調査を行うところからスタート。みんなが抱いている「RITっぽさ」を棚卸ししていきます。
- 社員インタビュー
「RITはどんな人が多い?」「RITの好きなところって?」「RITの課題って何?」「色、街、音楽、匂い、動物に例えると?」などなど、メンバーがRITに対して抱いているイメージ・感情を言語化していきます。 - ポジショニングマップ作成
他社との相対的な関係からRITのポジションを把握するため、コンサル系企業のロゴにまつわる情報をリサーチ。同業他社との相違や類似から見えるRITらしさを探っていきます。また、他社がそのミッションやバリュー、企業理念をどのようにロゴに表現しているのかを探り、ロゴ制作のヒントに。 - 社員ワークショップ実施
「RITの価値」をみんなで考えるワークショップを開催。たくさんの意見が出ましたが、大きく「メンバーに対しての価値」と「クライアントとメンバーに対しての共通の価値」の2つに分かれました。
メンバーに対して提供する価値:
「自主的、自律的に動けるメンバーが多い」「RITのことが好きなメンバーが揃っている」「オフィスが快適」「クライアント1組1組に対して真摯に向き合う」「向上心」「スピード感」「型にハマらない柔軟さ」
クライアント&メンバーに対して共通して提供する価値:
「チャレンジ精神」「安定しながらチャレンジできる環境」「笑える環境」「助け合う、ナレッジや意見交換を常にできる環境」
金森:「ここまでで”人の良さ”、”環境”、”やり方”などのキーワードが挙がりました。しかし、これらは普遍的なもの。RITだけの価値と定義するには弱いと感じたんです。人材や環境、やり方などのWhatやHowの要素は柔軟に変わる。でも、”なぜやるのか”というWhyの要素は変わらないはず。そこにRITらしさがあるのではと考えました」
2. ペルソナ設計
新しいCIを「誰に向けて」作るべきかを定義。実際におつきあいのあるクライアントをモデルに、ペルソナを設計します。「プロフィール」、「ペイン」、「インサイト抽出」の順に作成して、クライアントの本質を明らかにしながらVI制作につながるキーワードを抽出。インサイト抽出はVIデザインに大きく関わる重要な工程です。
▲RITのクライアントは、自分自身で本気でやりたいことに挑戦しようとしている人たちだということが見えてきた。
併せて、RIT社員のペルソナも定義してみました。
▲クライアントがやりたいことをただやってあげるのではなく、「一緒に創り上げる」マインドがRITメンバーに共通する思い。
金森:「ありがたいことに、ペルソナに定義したような”本気でチャレンジしたい”と思っている人たちから依頼やご相談をいただくことが増えてきたと感じます。今回のCIリニューアルは、そんな人たちに魅力的だと思ってもらえるようリブランディングしていくべきですね」
3. キーワード抽出
社員インタビューの内容をKJ法などを用いてキーワードに抽出していきます。
また、役員インタビューも実施しました。
★役員インタビュー
これからのRITは、何を軸にして強みを見出していくのか。「RITがやりたいことって新規事業なの?」など、RITが大切にするべき価値やこれからの方向性などを役員陣に尋ねてみました。
対外的な事業戦略や打ち出し方、そして対内的には働き方の多様化やメンバー個人がやりたいことを応援するスタンスなど、役員が描くRITの未来についてさまざまな意見を聞くことができました。
COO長田さんからは「チャレンジと安定の共存ができる会社にしたい」という言葉が。
RITのスタンスがよく表れています。
金森:「役員とのディスカッションはプロジェクトの大きな起点に。なぜなら、自社で新規事業を行うこと中心の会社から、クライアントワークを中心にやっていく会社へと方向が定まったからです。いままで社内の新規事業で絞っていくのか、クライアントワーク中心でいくのかは、メンバー内でも度々議論が起こっていたこと。役員やメンバーの声を聞きながら、会社としての方向性を定めることができたので、これからのMission,Visionを達成するための第一歩を踏み込めたと思っています」
▲ここまでの情報を整理。あらためてRITの存在価値を定義して、CIを形作っていく。
4. デザインコンセプトづくり
これまでに得たキーワードやペルソナに合わせて、デザインコンセプトを明文化していきます。
▲「チャレンジを成功させるもの」というキーワードをもとに、役員を含めてブレスト。「旗」が見えてきたぞ…!
★ブランドストーリー
「旗」というワードが、チャレンジの成功や伝達の要素を含んでいてマッチしているのではないか?という切り口からストーリーを作っていくことに。
ブランドプロポジション(コンセプト)
RITはこれまで「新規事業開発」や「思考力・企画力」、「デジタル技術」などHowの部分を強みとしてきた。しかし、本当に大切な部分は「なぜやるか?」であり、やり方(=How)にこだわらず(=その時々に適切なものに変化する)「多くのチャレンジを成功に導く」ことこそがRITのブランドプロポジション。
RITの役割
「本気でチャレンジしている」クライアントを「成功に導く」ために、旗を持って一緒に歩んでいく。
成功までの道のりで、旗の役割はさまざまに変化していく。
旗は、チームである証であり、チャレンジを鼓舞するものでもあり、最後には成功を示すシンボルになる。
▲旗の役割が変化するイメージ
★ムードボード作成
見えてきたイメージをムードボートにして共有。メンバーにコメントをもらいつつ、ブラッシュアップを行います。
▲キーワードから連想されるイメージを共有
5. 制作
デザインコンセプトがカタチになったら、いよいよ成果物を制作します。第一弾はロゴ。
金森:「役員とのミーティングの場で、デザイナーメンバー3名それぞれが新しいロゴの提案を行いました。そこで代表の安武さんも案を持ってきてくれたのですが、それがRITの姿勢をよく表していて。この案をベースにしようということになり、僕の方でブラッシュアップして、最終的なロゴが完成しました。」
▲ベースとなった安武さん案。その後、検討を重ねて2つの旗モチーフに変わった。
▲完成したロゴ。
★ロゴマークに込めた意味
RITのロゴマークは、「挑戦」「証明」を表す「旗」で構成されています。
一緒にチャレンジする道のりの中で、旗は様々な変化にも柔軟に対応することがで
きる。そんなようすを、ロゴに込めています。
「チャレンジが称賛される世の中をつくる」という、RITの目指すビジョンを表しています。
メインカラーは菖蒲色。
「鼓舞」の赤、「証明」の青を混ぜ合わせた色であり、RITのチャレンジを表現しています。
CIリニューアルで再認識したRIT「らしさ」
こうして晴れて新しいCIが完成しました!
中心となった金森さんは、プロジェクトを進めるなかで何を思ったのでしょう?
金森:「いろいろ苦労した末にようやく新しいCIをカタチにできたわけですが、あらためてこの会社が好きだなーと思いましたね。いや、ほんとに(笑)。”チャレンジが賞賛される世の中をつくる”というビジョンと深く向き合う時間を過ごしたことで、その意義を再確認できた。それから今回もそうですが、自分が問題だと思ったり、やりたいと思ったときにはすぐに動き出せる環境なんです。声を上げやすい組織だから、メンバーの行動につながってます」
今後は自社サイトのリニューアルも予定してますね。
CIが生まれ変わったことで、会社も変わったのでしょうか?
金森:「RITのスタンスはさほど変わっていません。というよりも、CIの方がもともとのRITの本質に近づいてフィットした感じ。より具体化された新しいCIをもって、会社も僕自身も、もっと成長していけたらと思います」
素敵コメントをくれた金森さん。
最後に社長の安武さんも、新しいCIについてこんな感想をくれました。
安武:「正解がないのでめちゃくちゃ悩みましたが、デザイン面・ロジック面でも納得いくロゴが完成したと思っています。金森はもちろん、インターンの安藤さんや武藤くんが、社長である自分よりも会社のことを理解して、言語化してくれたことに驚きました! 普段は私もコンサルとしてクライアントの会社のことを客観的に見れるのですが、自分の会社のこととなるとどうしても主観的になってしまう。さまざまなリサーチをしながら言語化してくれたのは本当に助かりました。ありがとう!」