社内で実施した、うまくいかなかったエンゲージメント向上施策の反省点や改善点についてを記事にまとめました。社内施策は振り返りの機会を後回しにしがちですが、いざ振り返ってみると、様々な気づきがありました。
書いた人
前沢綾花(まえさわあやか)
バヅクリ株式会社 マーケティング担当。前職で企業における人と人とのつながりが組織の活性化に不可欠であることを実感。バヅクリのミッション「この世から孤独を無くす」に共感し2022年にバヅクリに入社。より多くの人々が、仕事へのやりがい、働きやすさを感じられる社会の実現を目指し、日々奮闘中。
はじめに
本記事では、これまでバヅクリが社内で行ってきたエンゲージメント向上施策の失敗事例をご紹介します。
その前に、まずお伝えしたいことがあります。
ご紹介する施策を私たちは失敗だとは思っていません。
その時は、組織の課題にフィットせず、うまくいかなかっただけで組織の状況が違えば効果的な施策になっていると考えています。
今回は、施策がなぜうまくいかなかったのかの深掘りをし、自分たちの教訓にするために”あえて失敗事例”としてこの記事を書くことにしました。少しでもバヅクリへの理解、エンゲージメント向上の取り組みの参考になれば嬉しく思います。
前の記事では、施策を浸透させるための方法、バヅクリが行っている成功事例について解説していますので、まだ読んでいない方はぜひ成功事例の記事からご覧ください!
https://www.wantedly.com/companies/playlife/post_articles/948189
バヅクリが実施した失敗施策
それではさっそく実施したものの、うまくいかなかった施策について解説します。
①社内コミュニケーション活性化のための「雑談」チャンネル
弊社のメイン連絡ツールはSlack(チャットツール)なのですが、全社用やチーム用など様々なチャンネルがあります。その中に「雑談」というチャンネルを作っています。
そこでは業界の最新ニュースやトレンドを共有したり、気軽に質問したり、仕事とは直接関係ない話題で盛り上がったりする場として設けられています。
しかし、この「雑談」チャンネルは、残念ながら十分に活かされているとは言えません。
活発な議論や情報交換が期待される一方で、現状は投稿数も少なく、やや寂しい状況になっています。
活性化が進んでいない理由
1. プライバシーへの懸念
雑談チャンネルは、多くの社員が目に触れる場であるため、「個人的な話題を投稿するのはハードルが高い」と感じてしまい気軽に投稿ができないといったところがあります。
2. 雑談botによる投稿しにくい雰囲気
Collaというコミュニケーション活性化のアプリを入れており、Collaがメンバーに質問を投げかけ、回答した内容を雑談チャンネルで紹介しています。ユーモアのある投稿は楽しい一方で、チャンネル全体の雰囲気が「大喜利」のようなものに偏りがちになり、真面目な話題をしづらいと感じている社員もいるかもしれません。
今後も、このチャンネルを閉じることはないと思いますが、運用方法については見直す必要があると考えています。
②月に一回のシャッフルランチの実施
社員間のコミュニケーションを促進し、相互理解を深めることを目的にシャッフルランチ制度をはじめました。月に一度、ルーレットでランダムに選ばれた数名の社員が会社負担でランチを楽しめるという制度です。
しかし、社員全員が1周する前に制度が終了してしまいました。
施策をやめた理由
この施策は、社員同士の交流を深めるという点では一定の効果が見られたものの、残念ながら継続することができませんでした。その主な理由は以下の2点です。
1. スケジュールの調整が困難
フレックスタイム制やリモートワーク、業務の都合によりスケジュールを一致させることが難しいといった点がありました。また、休憩時間を自由に取れることもあり、職種によってはまとまった休憩時間を取れないといったことがありました。
2. 会社全体が忙しい時期だった
サービスの成長に伴い、社員数が増加し、業務量も大幅に増加しました。そのため、社員は業務に集中したいという意向が強く、交流イベントの実施が後回しになってしまうことがありました。
施策の振り返りから得られた教訓
- 社員の業務状況を考慮し、業務に支障が出ない範囲でイベントを実施する必要がある
- 全員が同じ時間に集まる形式にこだわるのではなく、チーム単位での小規模なイベントなどのより柔軟な実施方法を検討する必要がある
③全社員参加のランチ会・飲み会
シャッフルランチ実施から1年半ほどたった後に「社員同士の連携を深め、活気あふれる職場を作りたい!」という、社員間の横のつながりを強化することを目的として、隔月1回のランチ会・飲み会の実施が決定されました。しかし、残念ながら、ランチ会を1回開催しただけで、この取り組みは終了してしまいました。
施策をやめた理由
この施策を中止した理由は、主に以下の3点です。
1. 手配の手間がかかる
場所の予約、参加者の集計、経費精算など、毎回多くの手間がかかり、担当者の負担が大きいといったことがありました。
2. 夜の時間帯は人数が集まらない
夜に開催予定だった飲み会は、子育て中の社員にとっては参加が難しく、参加できる人数が限られていました。
3. すでに相互理解ができていた
以前から社内イベントや個人間でのランチなど、交流の機会があったため、全社規模の定期的イベントは、すでに十分なコミュニケーションが取れていると判断し、中止となりました。
施策の振り返りから得られた教訓
- 社員の多様なライフスタイルに配慮する必要がある
- 社員の負担を軽減し、参加しやすい形式を選ぶべき
④バリュー体現者の表彰
「社員のモチベーションアップにつながるはず!」をという効果を期待して、バリュー体現者を表彰する取り組みを行いました。
Slackの専用チャンネルに、社員一人ひとりが「バリューを実践できたと思う行動」を投稿。リーダー陣がこれらの投稿を参考に、月間MVPを選出していました。全社ミーティングの場で、選ばれた社員とその行動を発表しモチベーション向上に繋げていました。
しかし、残念ながら、この施策は長続きしませんでした。
施策をやめた理由
この施策をやめた理由は大きく分けて二つあります。
1. リーダー陣の負担が大きい
リーダー陣は、本来の業務に加えて、表彰活動に多くの時間と労力を費やしていました。
表彰の際に役員、リーダーからのコメント入りの色紙を用意していたのですが、時間的にも人的にも大きな負担となりました。
また、多くの投稿の中から数名を選ぶのは非常に難しく、誰かを表彰するということは、同時に他のメンバーを選ばなかったということになり、配慮する必要が出てきました。
2. 一時的な効果しか期待できない
表彰された社員は確かに喜び、モチベーションが向上するものの、その効果は一時的なものでした。また、形式的な側面が強くなり、新鮮な驚きや感動が薄れるようになってしまっていました。
施策の振り返りから得られた教訓
- 形式的になるとマンネリ化してしまう
- 従業員に負担がかかりすぎないような配慮が必要
まとめ
バヅクリでは、自社のエンゲージメント向上に向けて、日々施策を行なっています。
今回の記事では、これまでのうまくいかなかった施策で得た教訓を共有しました。
どんな企業の成功事例でも、最初から完璧だった例はほとんどありません。
むしろ、うまくいかなかった施策こそが、私たちに貴重な学びと気づきを与えてくれています。
これらの経験を活かし、私たちは常に改善を続け、組織全体のエンゲージメント向上を目指しています。
皆様も、ご自身の組織において、うまくいかなかった施策を振り返る機会をぜひ設けてみてください。
そこから得られる学びは、組織のエンゲージメント向上に必ずつながるはずです。