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営業をしない会社の“営業マン”が語る営業の極意

東京のクライアントが9割にも関わらず、社員の9割が福岡本社に在籍するウェブコンサルティング会社ペンシル。数ある部署の中でも、10名にも満たない東京オフィスに唯一本拠地を置くのがAP部だ。営業をしない会社の“営業マン”、曽川雅史の営業人生を振り返りながら、ペンシルが目指す顧客との関係性を紹介したい。

ペンシルにおける営業マンの役割

2014年4月、部署としては5年ぶりの新入社員の入社に、東京オフィスの空気は期待感と若干の緊張に包まれていた。

アカウントプランニング部、通称AP部。

福岡が本社で、社員の9割が福岡で勤務するペンシルが、唯一、東京オフィスにその拠点を置く部署だ。AP部に所属するのはこれまで営業畑を歩んできた精鋭たち。この日入社した曽川も例外ではなかった。

1995年の創業以来、アウトバウンド営業を行っていないペンシルには、所謂「営業部」が存在しない。そんなペンシルで、ウェブ戦略に課題を抱える企業からの問い合わせやクライアントから新たなお客さまを紹介いただく際、その課題をヒアリングし、分析結果から最適なソリューションを提案する。そして、プロジェクト化した際には、クライアントの特色や課題の種類によって全部で6部署あるコンサルティング事業部の中で、最も適した部署にそのプロジェクトを割り振る。これがAP部の役目だ。

営業をしない会社の“営業マン”たちが集まるAP部に入社した曽川。いま振り返ってみても、その入社当日は印象に残っていると言う。

曽川 「入社初日に、“いまから最終面接をします”って言われて。えっ、面接?!今日入社したんだけど?!って、パニックでしたね。落とされると本気で思いました(笑)」

蓋を開けてみれば、入社前に調整できなかった当時の社長、覚田義明(現・取締役会長)との顔合わせを兼ねた面談だったのだが、さらに衝撃的な出来事が起こる。

曽川 「実は前職時代に何度か覚田とは面識が会ったんですが、全然僕のことを覚えていなくて。これまで営業として多くの人と会ってきて、僕は印象に残る方だと勝手に思ってたんですが、まだまだ修行が足りないなと入社初日で気づけたのは今となってはよかったです(笑)」

ITの可能性への決意がペンシルと引き合わせた

大阪で生まれ育った曽川は、食品の製造や販売、輸出入を行う食品メーカーに新卒で入社した。配属されたのは金沢の営業部。卸売業者やスーパーのバイヤーと商談を行い、自社の製品を買ってもらうのが曽川の仕事だった。

しかし、元々志望していた企業ではなく、決して前向きな就職ではなかったのが手伝ってか、仕事に対するやる気がでなかった。当然、成果を出せるはずがなく、1年足らずで利益率のよくない支店に転勤になってしまう。

曽川 「実質、追い払われた形だったんだと思います。でもお金は稼ぎたかった。だから色んなビジネス書を読み出して、そのとき出会ったのがとあるマーケティングの本でした。
お金を稼ぐためにはアンダーグラウンドなビジネスだと勝手に思ってたけど、真っ当な商売でもきちんとマーケティングすれば儲かるんだと教えられました。ウェブやマーケティングに興味を持つきっかけにもなりましたね」

読み漁ったたくさんの本のおかげもあり、心機一転、心を入れ替えて仕事に向き合った曽川は、徐々に営業の面白さを知るようになる。

曽川 「お客さまから信頼いただいているのが伝わってくるし、自分のやったことが成果として数字で現れる。なによりも自分の提案や交渉で相手の潜在ニーズを引き出していくのはわくわくしました」

その後も訪問販売やテレアポ営業など、さまざまな形の「営業」に携わることでそれぞれのノウハウを貯めていった曽川。スキルアップを目指し、何度目かの転職で入社したのはCRM(顧客関係管理)システムを提供するベンチャー企業だった。

何の会社かすらいまいちピンとこなかったが、営業という仕事に向き合うきっかけになった「IT」や「マーケティング」をやっている会社だということは理解できた。

曽川はこの会社ではじめてプル型営業を経験する。問い合わせがあった顧客に対して営業活動を行う反響営業だ。

曽川 「問い合わせが多かった反面、当然全部訪問する余裕はなかったんです。一人でこなすうちに、案件化するかどうかを見極める力や、より効率的に問い合わせに対応する力が身につきました。会社から言われていた営業ルールは破ってましたけど(笑)」

結果、トップセールスとして表彰されるまでになった曽川。ITやベンチャーの成長性を身にしみて感じ、この業界で生きていこうと決意した。そして、その決意はペンシルとの出会いにも繋がる。

曽川 「ウェブサイトから資料請求を増やすにはどうしたらいいかをペンシルに相談したのがきっかけで、橋口洋和(現・取締役副社長)や佐藤元泰(現・執行役員CSO)と一緒にセミナーをするようになったんです」

その後も営業として活躍しながらも、任された合弁会社の解散など大きな挫折も経験。この会社を後にした曽川は、自分で会社をはじめてみるものの、思うようにはいかなかった。

このまま事業を続けるか、サラリーマンに戻るのか……。

葛藤が続く毎日を過ごす中、かつて一緒にセミナーをした、あのペンシルの橋口からFacebookで連絡がくる。

「曽川さん、いま何してるんですか?」

「常識」を期待されての入社

数年ぶりの連絡に驚く曽川に対して、橋口から二言目に発せられたのは「うちに来ませんか?」という言葉。

曽川 「昔からしんどいときに色々な人に助けてもらうことが多くて。橋口からの誘いも、新しいチャレンジになると直感しました」

こうして、2014年4月、曽川はペンシルに入社することになる。当時のAP部を率いていたのは、橋口と同じく、かつて一緒に仕事をした佐藤元泰だった。それまでの曽川をよく知っている人物のひとりだ。そんな佐藤が曽川に期待したのは「常識」だった。

ウェブコンサルティングという無形のサービスを商品とするペンシルにとっては、クライアントに寄り添いながらも、事業をより成長させるために、いかに体系的にサービスを売ることができるかが課題だった。

それを促進するために佐藤が必要としたのが、さまざまな形の営業を経験してきた曽川が持つ営業の「常識」だった。それまでのペンシルの売り方と営業の常識とを掛け合わせることによって、化学反応を期待したのだと言う。

実際に、それまでのペンシルにはなかった考え方や顧客管理方法など、曽川はAP部に新しい風を吹き込んでいった。

曽川 「ウェブコンサルティングはお客さまに商品を見てもらうことができない。金額も決して安くないし、不安に思うのが当然です。
ただ売上や数字を追いかけるだけではなくて、我々がコンサルティングを行った結果、本来の目的が達成できるのかどうか、お客さまがイメージしやすいようにすることが大事だと思っています。
そのためには、お客さまがイメージしやすい身近な情報で例えたり、小さな成功体験を提供したり、できることはたくさんあります」

目指すのは「なんだかすごそうなコンサル集団」

2016年3月、佐藤の執行役員就任と時を同じくして、自身がAP部のゼネラルマネージャーに就いた曽川。入社から約5年が経過し、クライアントとの関係性をこう語る。

曽川 「前職やこれまでの経験から、こちらから情報や価値を提供して、それに共感してくれた人と仕事をするという関係性が一番理想だなと思っています。
幸い、ペンシルはそういうスタイル。だからこそ売って終わりではなく、長期的な関係性が築けるのだと思いますし、15年以上支援させていただいているお客さまもいるくらい、結果にも繋がっているんだと思います」

ウェブの入口から出口まで、全ての領域を支援するペンシルでは、商材が限られていない分、売りたいものを売るのではなく、クライアントが本当に必要なものを売ることができる。それが、曽川自身が考える営業をしない会社の営業の極意だと話す。

曽川 「確かにウェブコンサルティングは見えにくいサービスです。その分、営業マンへの信頼が大事だと思っていますし、信頼いただいて実際に発注してもらい、成果がでる様子をみるのは本当にやりがいがあります。
これからも、福岡の、得体の知れない、でもなんだかすごそうなコンサル集団を目指したいですね」

ペンシル社員の名刺にはそれぞれが好きな言葉や自己紹介の文言を入れることができる吹き出しがデザインされているが、曽川の名刺には入社以来変わらずこう書いてある。

やるときはやる。ぬくときはぬく。

「張り詰めてばっかりだとしんどいし、肝心なところで力を発揮できなくなるじゃないですか」と笑って話す曽川は、そのバランス感覚を高めながら、ペンシルとクライアントを繋ぐ橋渡し役として、今日も挑戦と改善に取り組んでいる。

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