こんにちは。ナイルで内定者としてインターンをしている大西です。だんだん涼しくなってきましたね。
今回は、進路をナイルに決めた自分が、ちょうど1年前の今頃、大学3年のサマーインターンから本選考までの間、何を考え、失敗し、悩み、また考えて決断したのかについてお話しさせていただこうと思います。
今、やりたいことが見つからなくて悩んでいたり、進路に対して漠然とした不安を抱えている学生の方にとって何か示唆のある話ができれば幸いです。
(今回はいわゆる「王道の体験記」というよりも自分の「独白」に近い内容のため、できるだけリアルな気持ちに寄せて、口語体で書かせていただきました)
全てのやる気が迷子になった秋
2016年8月、東新宿。携帯が震えた。画面に、サマーインターンの最終面接を受けた某ITベンチャーの「会社名+採用担当」という字が表示されている。この会社、一次選考のワークのお題が面白かったところだ。その時は人事の人からのフィードバックでも褒められた。我ながら会心の出来だったと思う。期待しながら電話に出た。
「今回に関しては、残念ながら大西さんの参加を見送らせていただきいたのですが、是非本選考は受けていただきたく…」
サマーインターン落選の通知と本選考への案内だった。「うーん!ワークは良かったんだけど面接したらそうでもなかったわ!」と言われた気がした。
正直へこんだ。しかし、他にもエントリーしている企業はある。そっちを頑張ろう。
僕はすぐに立ち直って、うだるような暑さと人でごった返す新宿駅に飛び込んだ。
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ベンチャー企業を志望する学生の間で「学部3年(あるいは修士1年)の夏にサマーインターンに参加して、企業とのつながりを作って、優先的に本選考に案内してもらう」という流れがテンプレ化し始めたのはいつからだろうか。ご多分に漏れず、自分も当時興味のあった数社にエントリーした。ほぼ全てがベンチャー企業だった。
特に明確な志望理由はなかったように思う。強いて言えば、「自分は通用するのか」「世の中にはどんな優秀な学生がいるのか」「イケてると言われている企業の人はどんなことを考えているのか」といった、物見遊山な気持ちがあった。そこに自分の意思はあまりなかった。
もともとサークルその他でよくディスカッションやプレゼンをしていたこともあり、参加することのできたサマーインターンでは話をまとめたりプレゼン資料を作成する役割をすることが多かった。たった2,3日という短い時間の中で結果を出すことに夢中になった。なんとか作り上げた資料とプレゼンは、ある人からは評価され、他の人からはメチャクチャ詰められた。自分より10歳近く年上の社会人から評価されることが新鮮で楽しかった。良い夏休みだった。
夏が終わった。秋になって各社で本選考が始まりつつある頃、僕は「就活」をしていなかった。正確には、「どの会社の本選考も受ける気が起きなかった」のである。あれだけサマーインターンを楽しんだにもかかわらず、いざ本選考になるとどこにも行く気がしなくなってしまった。というか、選考に行けなかった。自分自身で、「あれ、俺本当に心の底から行きたい会社ってなくないか?」と考え始めてしまったのである。
選ぶことは捨てること、捨てることはもったいない
なぜそうなってしまったのか。「自分の好きなこと」はわかる。「世間一般的に評価される仕事」「誰かがやらないと困る仕事」もわかる。ただ、「自分が本当にやりたいこと」だけがわからず、動けなくなってしまったのだった。
大学に入ってから学部3年の夏まで、自分は本当に色々なことに手を出してきた。1年の頃は某予備校でアルバイトをし、「仕事」の厳しさや面白さを知った。サークルでは同期たちと考え方の違いで大喧嘩と仲直りを繰り返した。2年の春になると、ゲームを作ることに憧れ、人を集めて挑戦した。「手を動かすこと」の大変さと、完成した時の喜びを知った。
その他にも長期インターン、学生向けイベントへの参加、スタートアップ支援イベントの手伝いなど、その時その時に転がってきた機会を掴んできたつもりだ。ずっと「本気になれるもの」を探していた。
でも、その中から「本気になれるもの」や「絶対行きたい会社」や「進みたい道」はついに見いだせなかった。
大学生として過ごしてきたそれまでの3年間とサマーインターンで、自分は本当にいろんな価値観を持つ人たちと会う機会に恵まれた。そんな人たちと話す中で、2020年以降の世の中を生きていく身として、「世の中にとって良いことがしたい」「もっと世界を面白くしたい」、それを実現する「事業が作りたい」というところまではたどりつくことができたのだった。
しかし、「で、結局何すんの?やれんの?」というところで詰まってしまった。「こんなことをやれたら面白いだろうな」という思いつきやアイデアまではいくつか思いついたのだけど、やりきる自信がなかった。
自分にできるだろうか?挑戦できるだろうか?もしかしたら何もできないで終わるのではないか。そういう不安にとらわれて、これからどうするか具体的に考えることから目を背けていたのである。
ぐるぐる考えているうちに、いつの間にか2017年になっていた。
正直、この頃の自分は、就活以外にも気分を落ち込ませる出来事が重なって起きていて、本当に悩んでいたと思う。
自然と「進路を具体的に決める」作業を避けて、抽象的な物事をぼんやりと考えてしまう日々が続いた。「本当に大事なこと…本質ってなんだろう」「この世界で最も正しいことってなんだろう」という哲学者のような問いを追求し、夜ごとに自分のちっぽけな人生を振り返って「これ本質じゃね!?」とひとりで喜ぶ。しかし朝になるとそれが薄っぺらいものに見える…という日々を繰り返した。基本的に一人で考え続けた。今思えば、完全にこじらせている。
たぶん、怖かったのだと思う。自分の進路を具体的に決めて、他にあったはずの多くの選択肢を排除することが何よりも怖かった。選ばれなかった道を思うと、惜しい気持ちでいっぱいになってしまう。自分の人生を本格的に「始める」のがただひたすらに怖かった。だから、結論を出すことから逃げていたのだ。僕の潜在意識が導き出した答えは「選ばない」というものだった。
とりあえず動いてみなよ?
冬に近づいてきたある夜。ぼーっとしながらサマーインターンのことを思い出していた。夏は楽しかった。こんなことなら、もっといろんな会社を受ければよかった…
と、意味の無い後悔に浸っていた時、急に冒頭の「最終面接で落ちた会社」のことを思い出した。その会社の最終面接で聞かれたのは、なんのことはない「あなたは将来何がしたいのか」という質問だったと思う。どんな会社でも聞かれる質問だ。ここが他社と違ったのは、ツッコミ度だった。
他社の時は、「大学3年間で色々見てきたので、その経験を踏まえて将来的には何かしらのサービスを作る側に立っていたいです」という手段止まりでこの話は終わった。
ところが、この時は「え、具体的には?どういうことやるの?」「いつまでにどうやってとかまだ決めてない感じ?」「とりあえず動いてみなよ?なんでしないの?」と掘り下げられまくった。
そこまで考えていなかった(というより、先述の通り考えることを避けていた)自分が明確な返答ができるわけもなく、ありあわせの返答をして最終面接は終わった。結果、落選。
この時のことを思い出して、そして、考えてるつもりで何もできていなかった数ヶ月を振り返って、急に思考がまとまった。
これ以上無駄に考えても仕方ない。道を決めるしかない。「とりあえず動かなければ」という気持ちが湧いてきた。足踏みしてるだけじゃ進まない。
自分の人生に対して、ようやく真剣になった。変わらなければならないと思った。
そこからは早かった。もともと漠然と考えていた「自分が本当にやりたいっぽいこと」をやるためには、何が必要か。どんな事業をやっている、どんな組織か。そこを受けるに足る能力は今、あるか。具体的にする作業が始まる。
まずは就職か、それ以外の道に行くかを決めた。
現実的に考えて、今の自分に選ぶことができて、ギリギリ勝負できるかもしれない世界は「ビジネス」にしかないとすぐに判断した(他に「進学」とか「旅」とか上がってきたものの、却下された)
次に、会社を選ぶ基準が必要だと思い、色々書き出してみた。
この作業にはやや時間をかけた結果、3つに収束した。
まず、これから先の時代=未来に寄与する事業をやっているところがいいと考えた。目先の流行ではなく、長い目で見た時に本質的な価値を提供できる仕事がしたかったのだ(基準①事業内容が本質的かつ長期的な視点に基づいていること)。
次に、頭で考えたことを実現するためには「技術」を知り、使いこなすことが必要だと考えた(②その会社に所属することで、自分が何かしらの技術に特化できること)。
最後に、①②を実現させてもらえる組織でないとダメだと思った(つまり、自分より先に①②を実践している人たちの集まりで、③それが組織において正しく評価されていること)。
この条件を満たす会社を探そうと思った。
ようやく自分の中で就活の軸ができたとき、世の中は2月になっていた。ここまで来るのに多くの時間を費やしてしまった。今から探すにはどうすればいいのだろうか?
一人でそんな焦りを感じていた矢先に、秋に一度だけお話ししたエージェントの方から一本の電話がかかってきた。
「大西くん、ナイルって会社知ってる?」
「名前くらいは知ってます」
少し緊張しながら答えたことをよく覚えている。確か、東大生が在学中に作った会社で、ウェブの会社でSEO事業をやっていたような。それ以上のことは知らなかった。
「今度説明選考会があるんだけど、行ってみない?」
ちょうど就活を再開しようと思っていたタイミングだったので、二つ返事をした。
「行ってみます」
正直あまり興味は湧かなかったなかったけれど、とりあえず外に出たい。そう思って参加を承諾した。だから、「行きます」ではなく「行ってみます」だった。
説明選考会当日、電車に乗り遅れてしまった。
5分ほど遅刻して会場に入ると、既に5人ほどの学生が着席していて、人事の人の話を聞いていた。怪訝な目で見られる。ばつが悪かった。慌てて席につき、スライドに目をやる。
話の内容としては、会社の概要を説明しているところだったようだ。そこに映し出されていた言葉に目を奪われた。
「未来仮説」と「長期性投資」
それまでは、どんな企業の理念の説明を聞いても、ぶっちゃけ「なんとなく聞こえがいいな」くらいの感じだった。ところが、今、目の前のスライドに、「ここ数ヶ月で自分が考え出したこと」と同じことが書いてある。就活軸その①そのものだった。こんな偶然ってあるだろうか?よくよく話を聞いて、次に進もうと決めた。
1次、2次、…と選考が進んでいく。どの回でも、最初は当たり障りのない、いわゆる就活っぽい話をする。そして、質問タイムで社内の現状を聞く。現場のコンサルタントの人から事業部長まで、様々な人に話を聞いた。聞けば聞くほどに、先に挙げた3つの軸に合致している予感が強まる。
自分にとって特に魅力的に映ったのは、以下の4点だった。
・ナイルは今年で10年目を迎え、更に成長しようとしている。
・まだまだ会社の規模は成熟していないからこそ、新卒でも関与できる領域が広い。
・「提案だけで終わらず、その実行まで付き合う」という意識が浸透している。
・やったことに対してはきちんと評価がされる組織である
就活を再開して1社目でこんなに自分に刺さる会社に出会うなんてことがあるのか?と疑うくらいには「いい環境」に感じた。
他にももっといろいろな世界があるのでは、と思い、その後も他の業界の会社に行ってみたりしたが、ナイル以上に自分の中で腑に落ちる会社は見つからず、3月の終わりに内定承諾をした。
偶然の出会いを必然の出会いに変えるために
こうして、僕はナイルの内定者になった。半年ほど前の話だ。
ここからは自分の行動を振り返り、就活へのモチベーションが0に近かった当時の自分に向けてアドバイスをするなら、という視点で今回の話をまとめようと思う。
▽会社を選ぶ条件を具体的にする
就活に対して漠然とした不安を抱えていて前に進めないのなら、まずは会社を選ぶ条件を具体的に決めるところから始めてみよう。国内だけでも会社の数は380万社もある。絞り込むための条件を作ろう。ここが具体的になっていないと、行動する基準ができない。まずは3つでいいので、基準を作ろう。
例えば
・業界/業種/事業内容
・労働環境(立地や報酬、社員数など)
・文化/価値観/雰囲気
など。自分が大事にしたい点は妥協しないこと。
▽考えるのもいいけど、まずは行動する
先に挙げた「会社を選ぶ基準」がパッと思いつかない場合は、情報不足が原因であることが多い。調べる、人に話を聞くなど、行動して「基準を作るための情報」を集めよう。動かないと自分に合う・合わないがわからないことも多い。時間は有限だ。これ以上悩んでも答えが出なさそうなら、人を頼ろう。
周りに頼れる人がいない場合は就活相談サービス(たいていは無料)を探してみるなど、とにかく行動することで状況を好転させる癖をつけよう。
▽行動するための理由・元気を作る
とはいえ、人によっては行動するのに相当のエネルギーを使うと思う。僕はかなり燃費の悪い方で、「行動した方がいい」「誰かに相談した方がいい」と頭でわかっていても動けないことばかりだった。
そういう自分を上手くコントロールする方法から探してみるといいかもしれない。例えば友達に会うでもいいし、映画を見る、音楽を聞く、部屋を掃除する、運動する、美味しいごはんを食べるなど。比較的低コストな「きっかけ」を作ってみる。気持ちに火がつく可能性がきっとある。
とにかく、「前向きな気持ち」をうまく作り出して、そのエネルギーを自分の人生に向けてみるところから始めよう。
終わりに
上に挙げたことがもっと早い段階でできていれば、僕は偶然ナイルに出会ったのではなく、順当にナイルにたどりついていたかもしれません。とにかく、悩んでいる時間が長すぎました。時間を無駄にしたとは思っていませんが、二度とああいう「詰まり方」はしたくないなと反省しています。
この文章が、自分の進路を決め兼ねている人の何かの助けになりますように!
次回予告
ぐるぐる悩んだ結果、奇跡的にナイルにたどりつくことができた大西。
内定者インターンとして4月から働き始めて、はや5ヶ月。
会社を外から見ていた頃と、中から見ている今でギャップはあったのか。
就活時と現在で何が違うのか、今の課題は何なのか、これからどうするつもりなのか。
そのあたりについて書きたいです。