アプリ情報メディア「Appliv」やおたすけスマホ情報サイト「Appliv TOPICS」、広告運用サービス「ピタッとROAS」を展開するメディアテクノロジー(以下、MT)事業本部では、「For Your Happy Life 人生を豊かにする幸せのエッセンスをメディアを通じて届けよう」を事業ミッションとして掲げています。
これを実現するために、事業本部内ではどのような組織づくりを行っているのか、またメンバーには具体的にどのようなことを求めているのかについて、ナイルの取締役であり、MT事業責任者の高階良輔に話を聞きました。
やりたいこと、できること、求められていることの重なり合う部分が事業領域
――「For Your Happy Life 人生を豊かにする幸せのエッセンスをメディアを通じて届けよう」というMT事業本部のミッションは、どのようにして生まれたのでしょうか。
ナイルの企業ミッション「社会に根付く仕組みを作り、人々を幸せにする」を達成させるために設定した事業ミッションです。
そもそも、自分の生活にメリハリがない、人生や日々に課題を抱えている、刺激がない、閉塞感がある、悲しい…など、そういう状態は幸せじゃないと思うんですよね。その逆で、日々が充実していたり、目標があったり、楽しいっていうのは幸せな状態だと考えられます。
私たちが直接そういった幸せな状態にしてあげられることはできないけど、その状態に持っていくことができる情報やサービスを紹介することで、人生が好転するような手助けはできるのではないかと思っているんです。
ユーザーの課題解決につながったり、新たな発見ができたりする情報はもちろん、楽しめたり、刺激を受けたり――そういった“幸せ”につながるエッセンスを、メディアを通じて届けることがMT事業本部のミッションです。
具体的には、アプリ情報サイト「Appliv」では、ユーザーが抱える課題を解決するアプリや余暇時間を楽しむアプリのダウンロードを手助けしている一方で、おたすけスマホ情報サイト「Appliv TOPICS」では、アプリを使いこなすための解説記事を公開することで、ユーザーのアプリライフをサポートしています。。
――なぜ、ミッション達成のためにメディアという手段を選択したんですか?
やりたいこと、できること、求められていることの重なる部分が「仕事のやりがい」に繋がるため、この3つが重なる部分で自分の仕事を決めるべきだという考え方がありますよね。ビジネス全体で考えると、この3つが重なっていない領域でビジネスを展開すると絶対に頓挫すると考えています。
ナイルのMT事業本部の場合は、この3つが重なるところが「メディア」だったんですよね。
――なるほど。
事業ミッションが求められていることだとすると、やりたいことは社会に対して大きな影響を与えることです。「メディア≒影響力」だと考えていて影響力を拡大するためには、より多くの人に認知してもらい、そのメディアの信用を高めていく必要があるんじゃないかと。
そしてニーズや課題を抱えるユーザーをメディアに呼び込めるというのは、メディアビジネスを展開していく上ではとても重要なこと。ナイルが持つSEO技術を用いることで、それが可能になると考えたので、Webメディアというビジネスモデルを選択しています。
そんな中で今一番影響力のあるメディアが「スマホ」。人の日々の生活を左右するといって過言ではないスマホで、どういったアプリが自分にマッチしているのか、その発見までをナビゲーションすること、インストール後の活用法を伝えることは、今求められていることではないでしょうか。
――スマホというメディアを通じて、ミッションを達成していくんですね。
繰り返しますが、ナイルの企業ミッションは「社会に根付く仕組みを作り、人々を幸せにする」。人の人生にいい影響を与える、ライフスタイルを変化させる、幸せにしていく、そういったことをやるためにナイルは存在しています。
会社としても事業としても、より多くの人にいい影響を与えられるプロダクトを作りたいですし、メディア事業では、メディアを通じて多くの人々の幸福度を上げる、幸せのエッセンスを届けたいのです。
事業ミッションを実現する、インフルエンシャルメディア群の創出
――事業ビジョンとして掲げている「インフルエンシャルメディア群の創出」についても教えてください。
先ほどもお話したとおり、「メディア≒影響力の大きさ」であると考えたときに、影響力のないメディアは意味がありません。
これまでは、TVをはじめとするマスメディアが影響力を持っていました。しかし、スマホが普及して人々の生活に最も密接なデバイスになったことで、Webメディアが多角化し、特定領域で影響力のあるメディアを複数作っていくことが必要になってきたんです。
ナイルの強みであるSEOを活かしつつメディアの影響力を最大化するなら、さまざまなカテゴリで強いメディアを複数作っていくことで、影響力の総数を大きくしていきたい。そのために、「インフルエンシャルメディア群の創出」というビジョンを掲げています。
――複数のカテゴリでメディアを立ち上げる際に、意識していることはなんですか。
事業戦略的に考えると、次の3つになります。
ユーザー属性の相関性がある
メディア同士の相互送客ができるよう、ユーザー属性に相関性があること。アプリやゲーム、マンガなど、既存メディアとユーザー属性が近く、似たインサイトを持つ領域が望ましいです。
会員転換しやすい
メディアを複数カテゴリで作った上で、それら統一の会員基盤を作り、会員に対して価値提供していきたいと思っています。
広告単価が高い
インターネット広告・スマートフォン広告市場なので、広告収益が高く、広告単価が高いユーザーを獲得できるカテゴリであることも、重要な指標です。
ただし、これらは理想であって、絶対にこうでなければならないとしているわけではないです。どちらかというと、やらないことのほうが明確といえるでしょう。
私たちが手を出さないのは、ナイルのミッションやビジョンに反するような領域。例えば、芸能人のゴシップでトラフィックを稼ぐなど、誰かの犠牲や不幸の上に成り立つメディアはやらないと決めています。
――メディアというとフォーマットが限られている気がしますが、今後そこが変わっていく可能性はありますか。
今はスマホを接点としたメディア立ち上げですが、例えば、今後スマートグラスなどが普及して、スマホに取って代わるほど人々の生活にデバイスが出てきたら変わっていく可能性はありますね。
そもそも、メディア事業では“メディア”の定義を広く捉えているんです。情報を広く保有していて、伝達ができる場所であること。それに加えて、販売や取引ができるものも含めて”メディア“と呼んでいます。
記事メディア、ランキングサイト、ECサイトに留まらず、オウンドメディア、アーンドメディア、ペイドメディアといった「◯◯メディア」と付くものはすべて対象。想像するWebサービスはすべてメディアビジネスの範疇です。
「全員企画・全員自走」の組織でミッション&ビジョンを達成する
――事業部のミッションやビジョンを実現するための土台となる、「全員企画・全員自走」の組織づくりについても聞きたいです
2018年に「全員企画・全員自走(※)」の自立自走型組織というコンセプトを掲げて、それまでの職能別組織から、体制を大きく変えました。
※全員企画・全員自走…職種に関係なく戦略に基づくアクションの立案・協議を行う「全員企画」と、自分の役割と責任に基づき課題提議や継続改善を行う「全員自走」を求めるMT事業本部の運営方針。
職能別組織だった頃、各メンバーがプロダクトの成長や事業部として実現したいことに向かっていないなと感じたんですよね。そうなると、「報酬が上がるから」「成長できるから」など、自分起点の行動基準になってしまって、会社や組織でサービスを運営している意味がないんです。
そこで、プロダクト成長を目的とした組織にしたいと考えて、
- 職種混合のプロジェクト別組織への変更
- OKRに基づく目標設計
をすることで、組織改革を行ってきました。
――プロジェクト別組織体制とOKRによって、「全員企画・全員自走」というコンセプトの実現を目指しているんですね。
ただ、成長戦略に掲げている事業の多角化やバーベル投資(※)などを強めていくと、外部環境の変化には強くなる一方で、マネジメントの難易度が上がってしまう懸念があります。
※バーベル投資:ハイリスク・ハイリターンの資産とローリスク・ローリターンの資産など、対照的な資産を組み合わせる投資手法
プロジェクト型組織 にすると事業やプロダクトへのコミットメントは高くなりますが、専門性を強化しづらくなる。そのため、それをカバーする「高い機動性」と「組織の安定性」を両立させていく必要があります。
――「高い機動性」と「組織の安定性」を両立するとは、聞いているだけでハードルが高そうですね。なぜそのようなマネジメントが難しい方法を選択したのですか。
すべては事業を成功させてミッションを達成するためですね。事業と組織に柔軟性や機動性をもたせることで、人材や予算などのリソースを柔軟に割り当てられるようになります。勝てる事業にリソースを集中させてさらに事業を伸ばしていく――これによってメディアの多角化と高い売上成長率 を実現させていきます。
「高い機動性」と「組織の安定」の両方を実現できる組織やチーム体制にしていくことが、これからやっていかなければならないこと。「高い機動性」と、「組織の安定」「マネジメント難易度」はトレードオフ関係にあって、組織体制や仕組みだけでカバーするのは不可能です。
今後は、事業を作り、動かすことのできる人材を採用すると共に社内でもそれが実現できるメンバーを育成していくことが必要だと思っています。
全員が「事業を作るメンバーである」という意識が必要
――組織体制や仕組みだけではなく、メンバー個々人にも高いビジネススキルが求められそうですね。
事業を作り、動かすことができる能力は、職種を問わず必要です。専門分野のスキルを磨くだけでなく、メンバー各々が、事業を成長させるための課題解決や必要な打ち手を考え、実行できるようにならなければなりません。
「仕事を割り振ってもらう」という感覚ではなく、「事業を作るコアメンバーである」という意識を持っている人材に出会いたいし、今いるメンバーにもそうあってほしいです。
事業を動かせる人材が社内で評価されて報酬が上がったり、新しい挑戦の機会を得られたりするようにしていきたいですし、そうなるとメディア事業でやりたいことが実現する可能性が高くなるでしょう。
――ただ、元々「事業を作ることができる人」でないと採用されない、活躍できないのではないかと思われてしまいそうです…。
入社時点では、期待された役割や領域において一定の成果を残してもらえればOKです。「そういう人材になりたい」というマインドさえあれば、入社後に身に着けていくので問題ありません。
「全員企画・全員自走」の「自走」が意味しているのは、自分の役割・責任においてセルフマネジメントすること。これはナイルに限らず、どの企業でも誰もが必要とされることだと思います。
ですが、「企画」のほうは、自分の役割や責任に留まらずチームの目的やゴールに対してその実現方法を考えて提案するなど、ある種の越境が必要になって来ます。MT事業では、そういった通常ならば事業責任者が立案し、旗振りをするような戦略段階からメンバーに情報を開示し、戦略策定から関わってもらいます。
この「企画」の部分を入社直後から実践できるメンバーはなかなかいないと思いますので、入社後にキャッチアップしてもらえればOK。最低限の専門スキルと、事業部のコンセプトを体現しようというマインドさえあれば、あとは社内の環境・カルチャーのもとで働く中で身についていくものだと考えています。
――以前の記事でも紹介しましたが、Appliv TOPICSのエンジニアが提案した企画によって、広告売上が200%成長したことは、まさに「全員企画・全員自走」を体現していますよね。
そうですね。エンジニアリングやデザイン、編集、マーケティングなど個々の専門性を活かしつつ、戦略企画の上流部分からかかわって、事業成長に貢献する事例も増えてきています。
このように、みずから企画提案から施策の実行まで行い、事業やプロダクトを伸ばしていくのが当たり前の組織にしていきたいですね。