目次
クリエイターにまつわる4つの課題
1.収入基盤の不足
2.マーケット感覚・ビジネスリテラシーの不足
3.バックオフィスサポートの不足
4.メンタルヘルスの不安定性
終わりに
クリエイターにまつわる4つの課題
先日、クリエイターエコノミーのすごさについて解説する記事を書きました。
今回は、そんなクリエイターエコノミーの主役である「クリエイター」に焦点を当て、彼らにまつわる課題を解説していきたいと思います。
まず、クリエイターの定義を記します。ここでは、
「クリエイター」=「個人事業主として表現や創作を収入に変えて生きている人」
としたいと思います。
・YouTuber
・Instagrammer
・TikTokクリエイター
・作家
・音楽クリエイター
・イラストレーター
・動画/映像クリエイター
・ゲームクリエイター
etc..
こうした領域を選択し、個人事業主として生きている人が本記事で焦点を当てる対象です。
さて、彼らにまつわる課題は大きく4つあると考えています。それは、
「収入基盤の不足」
「マーケット感覚・ビジネスリテラシーの不足」
「バックオフィスサポートの不足」
「メンタルヘルスの不安定性」
です。
1.収入基盤の不足
まず、「収入基盤の不足」についてですが、これは言い換えるなら「お金を稼げる場が少なすぎる」と言う課題です。
今でこそ様々なインターネットサービスが登場し、個人事業主として稼ぐ手段はだんだんと増えてきました。YouTuberを筆頭に新たな職業が誕生したことは疑いようのない事実です。
しかし、こういった手法で稼ぐことは、会社に雇用され安定的に給料をもらうこととは違い、とても大きいリスクを伴います。それは、
・プラットフォームのインセンティブ設計の匙加減で収入に大きなボラティリティが発生し得る
・プラットフォームの構造上、上位1%に富が集中してしまいそれ以外は雀の涙程度しかもらえない
と言ったようなリスクです。
クリエイターエコノミー領域の第一人者であるLi Jin氏が「Building the Middle Class of the Creator Economy」と言うタイトルで記事を書いていますが、その中にも記載があるように「勝者総取り」の世界観になってしまっているのが、クリエイターエコノミーの現実であると言えるでしょう。
つまり、現在のクリエイターエコノミーは「中産階級以下」にとって安定して稼げる場が少なすぎる、と言うのが1つ目の課題です。
2.マーケット感覚・ビジネスリテラシーの不足
次に「マーケット感覚・ビジネスリテラシーの不足」ですが、これは言い換えるなら「お金を稼ぐスキルを獲得する機会がない」と言う課題です。
仮に「収入基盤の不足」の課題が解決され、世の中に中産階級以下のクリエイターが稼ぎを得られる場が潤沢にあったとしましょう。
しかし、その場を使いこなせるかどうかはクリエイターのスキルに依存します。
例えば会社であれば、研修があり、OJTがあり、上司や先輩に助けてもらいながら時間をかけて「稼げる人材」に育っていきます。仮に全く仕事ができなかったとしても、芽が出るまで母体企業に給料を保障してもらい守ってもらうことができます。
しかしクリエイターはそうはいきません。誰も教えてくれたり守ってくれたりしない環境下で、ゼロから「稼ぐ力」をなんとか身につけていかなければなりません。
芸能事務所など旧来の産業においては会社のような機関が存在しますが、インターネット上で稼ぐ、となるとそういったものはほぼ存在しないのが現状です。
このように、サラリーマンとして会社に雇用されて生きるのと、クリエイターとして生きるのとでは、明らかにサバイブの難度が異なり、結果クリエイターという生き方を選択できない人が多く存在する、これが2つ目の課題です。
3.バックオフィスサポートの不足
3つ目は「バックオフィスサポートの不足」です。
会社に雇用されているとなかなか気づきにくいですが、サラリーマンは実に多くの手続きや信用といったものを会社に肩代わりしてもらっています。
・納税
・契約書の作成/締結
・請求書の作成/発行/受理
・経理処理
・社会保険の加入
といった事務手続きに加え、家を借りたり借金を組んだりする際の「信用」も「所属している会社の安定性」によって担保されています。
個人事業主であるクリエイターは上記を享受することができません。特に「与信」の問題は死活問題であり、クリエイターは「信用」がないために生きにくさが倍増します。また、事務手続きに手を取られていればそれだけで1日が終わってしまうなどのケースも多々あるはずです。
このように、会社という母体がないと手続きや信用の問題で時間や行動に圧倒的に制限がかかってしまう、これが3つ目の課題です。
4.メンタルヘルスの不安定性
最後が「メンタルヘルスの不安定性」です。
家入一真さんがツイートで言及していますが、クリエイターとして生きるということは、極めてシビアな世界に住むということです。
会社のような大きな組織であれば、上司が責任をとってくれたり、自分がミスしても誰かがカバーしてくれたり、切磋琢磨する同僚がいたりします。
ですがクリエイターには、自身の責任を取ってくれたり、自身のミスをカバーしてくれたり、助け合える仲間は基本的にいません。
常に孤軍奮闘であり、高いプレッシャーの中でメンタルを損ない、ドロップアウトしてしまうクリエイターが後を絶たないのです。
このように、孤独や失敗できない環境下でメンタルを健全に保つのが難しく、結果としてクリエイター寿命が短くなってしまう、これが4つ目の課題です。
終わりに
さて、ここまでクリエイターにまつわる課題を4つに分類して解説してきました。
すべてを総括するならば、「選ばれたものしかクリエイターという生き方を選択できない」というメリトクラシー的世界観がまだ根強く残っているのが、クリエイターエコノミーの課題であると言えるでしょう。
前回記事で、クリエイターエコノミーが「クリエイターとして生きる」という道を人類に提示し、歴史を大きく変え得る可能性について解説しましたが、その生き方はまだまだ社会に浸透しているとは言えません。
次回は、そのようなクリエイターエコノミーの現状に対して、当社がとっているアプローチを紹介していきたいと思います。