「コンテンツ作りのプロ」と聞き、皆さんはどのような仕事を思い浮かべるでしょうか。
テレビ番組のプロデューサー、小説家、記事のライター、最近であればYouTuberもこれに当てはまるかもしれません。しかし、コンテンツ作りのプロとして忘れてはならないのが、雑誌の編集者です。
日本では150年以上も前から存在する雑誌は、私たちが毎日の生活を楽しく過ごすためのエンタメとして、長らく面白いコンテンツを発信し続けてきました。今回ご紹介する東 春樹(ひがし はるき)さんも、かつてはモノ批評雑誌の副編集長、そしてビジネスパーソンには欠かせないソーシャル経済メディアとして君臨するNewsPicksの記者として、面白いコンテンツ作りに従事していた「コンテンツ作りのプロ」です。
そんな東さんは、なぜ次なるコンテンツ作りの場としてマイベストを選択したのか。そこには、雑誌やウェブメディアの編集者とは、一味違ったコンテンツ作りの魅力があったからなのです。
雑誌の副編集長、NewsPicksの記者という「人とは違ったキャリア」を歩んできた東さんだからこそわかる、マイベストのコンテンツ作りに携わる魅力をお届けします!
ライティング、編集、進行管理、マネジメント。僕が出版社で得たもの。
——東さんは新卒で「晋遊舎」という出版社へ入社したとお伺いしました。晋遊舎ではどのようなことを行なっていたのでしょうか?
晋遊舎に入社後、すぐに『家電批評』という、みなさんが欲しいと思っている家電の比較検証をし、紹介する雑誌に配属されました。実際にやっていたことは、取材、記事のレイアウト作成、家電の検証、紙面のラフ作成、記事の執筆など、雑誌を生み出すために必要な全ての仕事です。
入社3年目までは、一編集者として家電の比較記事をたくさん作っていたんですが、4年目で役職が1つ上がり、5年目で副編集長に抜擢されました。肩書きは副編集長だったのですが、当時の編集長が晋遊舎の社長だったので、実質的には編集長の業務を行うこともありました。
家電批評の中でも、白物家電(冷蔵庫や洗濯機、エアコンなど)を多く担当するようになり、また個人としても外に向けて情報を発信するように意識していたので、家電メーカーさんや家電業界の中でも知ってもらえるようになりました。「白物家電と言えば、家電批評の東」みたいな感じです。家電の専門家としてテレビに出演することもありました。
——その箔が付くのはすごいですね。晋遊舎で6年働き、副編集長まで勤めた中で得たものはありますか?
大きく分けて2つあって、1つは締切を厳守するための「スケジュール管理やマネジメント」です。ウェブメディアと違って、雑誌の制作においては締め切りが命です。販売する日も決まっていれば、印刷会社に入稿する日も決まっていて、それらに間に合わないことは絶対に許されません。そのため、編集者として締め切りまでにいいアイデアを捻り出す馬力がつきましたし、メンバーの進行管理も的確に行えるようになりました。
もう1つは、良い雑誌・コンテンツを作るという観点を常に持ち続けられるようになったことです。家電の批評をするということは、言い換えると家電に順位をつけるということ。すなわち、製品によっては低い順位をつけざるを得ない状況が発生するのです。当然、それに該当してしまった家電メーカーさんからクレームをいただいたこともありますが、しっかりコミュニケーションを取りながら、納得いく検証結果を得られるまで試行錯誤して良い誌面になるよう尽力し続けました。
総じて言えることは、良いコンテンツを作ることに対する責任感が培われたということですね。
出版からWEBメディアへ、未知の世界に
——この先のキャリアを期待されていたと思うのですが、、東さんは編集長にはならず、NewsPicksへ転職しています。そこにはどういった背景があったのでしょうか?
転職のきっかけは、NewsPicksから家電批評に関する取材を受けたことです。その取材を担当してくれた記者さんから、転職のオファーをいただきました。
転職のオファーを頂くきっかけとなった取材記事
今もさほど変わりませんが、僕が家電批評にいた頃、出版業界全体が伸び悩んでいました。それとは対照的に伸びていたのが、ウェブメディアの業界。ふと、6年間も出版業界に身を置いていた自分が、どこまでウェブメディアで、それも勢いのあるNewsPicksで通用するのだろうかと考えるようになりました。
そのオファーをいただくまでは、転職について少しも考えていませんでしたが、業界の伸びから見ても、ここらでウェブメディア業界に入って修行する必要があるのではないかと思い、NewsPicksへの転職を決意しました。
余談にはなりますが、NewsPicksへの転職が決定し、入社が目前となったタイミングで、実はマイベストからもオファーをもらっていたんです。晋遊舎と似たようなことをウェブメディアとして展開していたことを知っていたので、興味本位で話だけ聞いたという裏話があります。
——雑誌とウェブメディア。仰るように、対を成す業界への転職だと思いますが、実際の仕事内容はどれほど異なっていましたか?
大きく異なっていたのは、「雑誌の編集者」から「ウェブメディアの記者」という全く別の仕事に就いたという点です。NewsPicksでは、有料会員に読んでもらうオリジナル記事を作成していました。転職してすぐは、家電業界と経済を絡めた記事を作成していましたが、その後は経営者や起業家、果てはアーティストなどのインタビュー記事も多数作成しました。
東さんがこれまで手掛けてきた記事の一部です!
ウェブは雑誌と異なり、無料でマニアックな記事を読める媒体が多数存在しているので、そういった媒体とどのように差別化すれば、約1,500円を支払ってでも読みたいと思ってもらえる記事を作れるのかを考え、悩んでいました。
——確かに、わざわざお金を払ってまで読みたい記事を作るというのは、とても大変なことに感じます。東さんがコンテンツを制作する上で意識していることをお伺いしたいです。
NewsPicksで改めて叩き込まれたことは、「事前準備をしっかりすること」でした。良い記事を作るためには、取材先の身辺状況はもちろんのこと、こちらが用意した質問に対する想定問答や、取材先が隠そうとしていることはなんなのかを想定して準備する必要があります。相手が隠したいことを暴くためには、多少意地悪な質問をすることもあります。
もし仮に準備が足りない状態で取材に行ったとしたら。その時に生まれるのは、とても内容の薄い記事です。それは上司にも見透かされ、時には記事がボツになることもありました。これは家電批評でも、NewsPicksでも何度も経験してきました。
結局のところ、記事がボツになってしまうのは、自分が納得しているか否かに限らず、自らの準備不足でしかありません。コンテンツ作りに従事する人間として、恥ずべきことなのです。お金を払って読んでもらうコンテンツを作るのであれば、面白いものを生み出すことが作り手の責務。厳格な締切の中で、どれだけ準備をし、面白いコンテンツを作ることができるのか。そんな責任感とプライドを身につけることができた8年間だったなと思います。そして、それを20代で経験させてくれた晋遊舎とNewsPicksにはとても感謝しています。
マイベストでの挑戦。”面白さ”という付加価値を
——コンテンツへの責任感がひしひしと伝わってきました。次のステップとしてNewsPicksからマイベストを選ぶに至った経緯をお伺いしてもよろしいでしょうか?
上述したように、NewsPicksで働く中で「編集者」と「記者」の違いを痛感しました。そこで気がついたのは「自分は編集者の方が向いている」ということです。また、「家電と言えば東」という自分のイメージが薄れてしまっている危機感や、30歳を迎えて新しいチャレンジをしたいと思ったことなど、さまざまな要因から転職を考え始めました。
自分が持っている専門性を活かせる職場はどこなのか。そういった観点で転職先を探していたときにパッと思い浮かんだのがマイベストです。かつて僕に声をかけてくださったマイベストの人事に連絡を取り、すぐに代表の吉川さんに繋いでもらい、面談していただきました。その面談の中でマイベストが大きなビジョンに向かって動いていることを知り、さらにそこで自分の専門性を活かせることも認識できたため、マイベストへの転職を決意しました。
また昨夏、マイベストがZホールディングスと資本提携を結んでいたことも、魅力に感じた理由の1つです。
ちょうどNewsPicksでもZホールディングスについて特集していたのですが、同社がこれから伸ばしたい領域として「Eコマース」があり、誠実なモノ選びの記事を作れるマイベストはこの領域で貢献できると考えました。
——晋遊舎、NewsPicks、マイベスト。様々なコンテンツ作りに携わった中で、今後マイベストで挑戦したいことはありますか?
ここで「面白い」コンテンツを作っていきたいと考えています。現在のマイベストは、PMF(Product Market Fit)を迎えるために、データベースの作成に力を入れています。つまり、ある程度の型があるコンテンツです。
そういった背景は踏まえつつも、読者が興味を持ってくれて、かつここで働く人たちがどうすればやりがいのあるコンテンツ制作に従事できるのかを考えると、面白い検証や企画ができることが重要だと思うんです。そんな観点を追求していきたいです。
きっと僕に求められていることは、面白いコンテンツ作りに従事した8年間の経験や知識を、余すことなくマイベストに伝えていくことでしょう。データを取るという年貢をしっかりと納めつつも、自分がやりたいことにも挑戦していきたいと思います。
——面白いという観点。コンテンツ作りのプロである東さんだからこそ、持てるものだと思います。あわせて、マイベストで働く魅力をお伺いしたいです。
1つのジャンルに特化し、専門家のように極められる可能性があることこそ、マイベストで働く魅力です。前述しましたが、1つのジャンルを突き詰めた結果、テレビや他媒体への出演など、仕事とキャリアの幅が広がりました。これは、家電に本気で向き合い、家電に関する知識をひたすら極め続けたからなし得たことでした。
もちろん、一朝一夕で専門家になれるわけではありませんし、マイベストにはウェブライティングやSEOなど、別の領域を学びたいと考えている人もたくさんいるでしょう。しかし、拡大フェーズにあるマイベストだからこそ、そんな特殊なキャリアも叶えられると信じています。これは、今マイベストで働いている人もそうですし、これから一緒に働くことになるかもしれない人にも、ぜひ伝えたいことですね。
——最後に、マイベストにあっていると思う人物像を教えてください。
僕がよく使う例えなんですが、「コンビニに行ったときに、新製品が気になってしまう人」は、商品比較、つまりマイベストでのコンテンツ作りに向いています。コンテンツを作るにあたっては、新しいモノやサービスにどれだけ興味を持てるのかが重要になってきます。企画を考えるという行為は、新しい商品に対して多角的に意見を言えることと同じなんです。
もしこれを読んでいる人に就活生がいらっしゃったら、「ガクチカ」を埋めるよりも「趣味」の欄を埋めることに、一生懸命になってみてください。自分という人間は、どんな点に向かって尖っているのか。それを自己分析の中でひたすら考えていただきたい。もしそこで何かに突き抜けたこだわりを持っているのであれば、あなたはマイベストでも良いコンテンツ作りができるかもしれませんので。
最後に
コンテンツ作りのプロである東さんにインタビューをした今回の記事。マイベストの採用広報担当として執筆を担当した筆者も、「ストーリー記事」というコンテンツを作ることに、ある種の緊張感を持って取り組むことができました。
世の中にはたくさんのコンテンツが溢れています。それが動画なのか、写真なのか、はたまた文章なのかはわかりませんが、今回東さんがインタビューの中で話してくださった内容は、そのいずれにも共通する内容だったはずです。
様々な経験を通じて、培われたプロの仕事の流儀。
コンテンツ作りを志望されている方にこの記事が届けばうれしい限りです。