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高いクオリティの背景にあるのはものづくりに妥協しない姿勢。mountのアートディレクターが歩んだ軌跡とは

mount inc. はウェブサイトの企画、制作をメインに事業を展開しています。

そのプロセスにおいて前提となる、ヒアリングから調査、そこから生まれる方針策定に十分に時間をかけ、必要があれば、映像・写真・文章を、システム・仕組み・モノなどの手法と組み合わせています。

時には自分たちだけで、時には様々な方と協業して、世の中で効くものをつくることを最低限の目標に、「よいものであり、明快かつ、心が動くもの」をつくっています。

今回はアートディレクターの林さんにインタビューを実施。アートディレクターになるまでのストーリーや、仕事にかける想いなどを語ってもらいました!

【プロフィール】

林 英和(はやし ひでかず):2008年、mount inc.にアシスタントエンジニアとして入社し、ウェブ制作業界でのキャリアをスタート。現在はクリエイティブディレクター・アートディレクターとして、ブランドサイト、キャンペーンサイト、プロモーションサイトなどのサイト制作に携わっている。

mountの第一印象は「心に残るものづくりをしている会社」

――林さんのこれまでのご経歴を教えてください。

そもそも僕は、学生時代にデザイン系の学問を専攻していたわけではなく、趣味や自分の関心ごととして取り組んでいたウェブ制作を仕事にしたいという思いから、この業界に飛び込みました。

デザイン業務という観点で、大学院卒業後はまず印刷会社に入社したのですが、そこでデザインとは関係のないシステム系の部署に配属されて。独学でプログラミングを勉強し、実力を付けていきました。

一方で当時のウェブ業界は、中村勇吾さんをはじめとするFlash作品の全盛期。外の世界に目を向けたら、斬新で魅力的なウェブサイトがたくさんあって、これは面白いな、と。このまま印刷会社にいつづけてもデザイン業務には集中できないだろうと感じて、行く当てもないまま退職をしてしまったんです。

その後は音楽活動で生計を立てながら、趣味でウェブの活動を継続していました。そんな矢先に何気なくネットを見ていたところ、mountがアシスタントエンジニアを募集しているという情報を知ったんです。

当時、mountという会社は知りませんでしたが、制作しているプロダクトはすべて見たことがあり、記憶に残っているものでした。「人々の心に残るものをつくれる会社なんだ」という点に惹かれ、迷わず応募。業界未経験でしたが、採用していただくことができました。


――ウェブデザインに強い興味をもっていたとのことですが、具体的にどのような点が面白いと感じていたのですか?

元々紙のデザインも好きだったのですが、やはりウェブならではの「動く」点に魅力を感じました。

さらにウェブの場合は、すぐに形になり、世の中の反応が見えやすい。そのスピード感も面白いと感じましたね。

また地道な作業も好きでしたから、プログラミングも性に合っていたんだと思います。どうやったらこの動きを実現できるんだろうと考えるだけでワクワクしましたし、小さな成功経験を積んでいくことが楽しかったんです。


――入社当初のmountの印象は?

はじめの数年間は経営者2名+僕という3名体制の会社でしたが、とにかく怖かった(笑)。経営者の2人は、ものをつくるうえでとてもシビアな感性をもっていますし、エンジニアという観点でもデザイナーという観点でも、クオリティに関して一切妥協を許さない人たちです。いいものをつくるために、喧々諤々と議論を重ねている様子を見て、最初は驚きましたね。


日々新たな命題に取り組むことで、エンジニアやデザイナーとしての素地が養われる

――入社から現在までの活動内容について教えてください。

アシスタントエンジニアのポジションで入社しましたが、4〜5年ほどはアシスタントデザイナーの仕事も兼務していました。

エンジニアとしては、公開済みのウェブサイトの部分的な実装業務からスタート。ただ、1つの案件が終わるごとに、会社からは少しずつ仕事のハードルを上げられていきます。入社3か月後にはサイトを丸ごと実装する案件を任されました。

デザイナー業務に関しては、アートディレクターである当社の代表が企画したデザインのパターンづくりから始まりました。

かなり細かい作業が多かったものの、たとえばフォントサイズや幅をほんの少し変えるだけで印象が大きく変わることに気づくなど、日々発見の連続でした。同時に、その過程で“いいもの”を見る目が養われていったと思います。

ほかにも、以前から写真が好きだったこともあり、小さなECサイトの案件で商品撮影などの写真のディレクションを任されたこともあります。映像や画像関連のリサーチ的業務や、音楽に詳しかったこともあり音楽のプロデュース・ディレクションを任せてもらうなど、本当に幅広い経験をさせてもらいましたね。


――なるほど、ご自身の強みを活かしてかなり多岐にわたる仕事をされてきたんですね。

はい。しかも当社の場合、素材を1からつくることを大切にしているんです。

たとえば限られた予算で素材写真を制作する必要があるお客様に対し、お客様の会社の空きスペースを利用して撮影スタジオを作ってしまったこともあります。自分の知り合いのフォトグラファーやヘアメイク、モデルを手配しながら手づくりで形にしていくなど、地道ではありますが、妥協しないやり方を続けてきた自負があります。


筋トレでは鍛えられない、ものづくりに対する情熱

――mountだからこそ身につけられるスキルはありますか?

レイアウトやグラフィックのスキルはもちろんですが、それよりも前段階の「コンセプトメイクの力」や「課題解決のための思考力」。いわばデザインをするうえで必要な、筋肉の幹のような部分が鍛えられると思います。

前提や土台をしっかり築かないと、自分たちがいいものをつくれないだけでなく、クライアントや代理店の人たちに対して明確な判断材料や拠りどころを示すことができません。

そうした土台づくりの延長で、次第に「表現力」も身についていくはずです。当社の場合は、平均点・及第点くらいの表現では良しとされない文化があります。決まった型もないですし、プロジェクトによって最適な表現をブレイクスルーするまで考え尽くす。その結果、表現の視座が高くなって自ずと表現力も磨かれるというイメージです。


――「コンセプトメイキング」のスキル向上は、一般的にハードルが高いのではないかと思われますが、mountではどのように取り組んでいるのでしょうか。

たしかにとても時間がかかるプロセスではありますが、当社のデザイン業務ではアシスタントメンバーにもコンセプトメイクの段階で一緒に入って考えてもらっていますので、早いうちからものづくりに必要なスタンスやマインドが磨かれていきます。

スキルに関しては、ある一定のところまでは筋トレすれば自然と身についていく。ただマインドについては、そうはいきません。ものづくりへの情熱というのでしょうか。なかなか後天的に鍛えるのが難しい部分なんです。

ですので、当社ではそうしたマインドを素地としてもっている方を積極的に採用しています。心のなかに熱い想いを秘めている人であれば、こちらが指示をしなくても自発的に筋トレできるんですよね。


――デザイナーとして、最初にぶつかる壁にはどのようなものがありますか?また林さんご自身はどのように乗り越えていったのでしょうか?

エンジニアの仕事には“答え”があり、正解に向かって進むことが大切です。一方でデザインには正解がなく、ゴールをイメージし、道筋を描くプロセス自体が難しい。僕自身も、最初のうちは企画内容が社内のクオリティを満たせず、途中で社長に案件を拾い上げられてしまったこともありました。それはもう悔しかったですよ。

ただ、それでもチャンスを与えつづけてもらえて、周囲の人たちからさまざまな視点でフィードバックをもらう過程で、徐々に多面的に物事を考える習慣が身についていきました。

入社4年目頃でしょうか。次第に「ディレクションをするためにはどうしたらいいか?」という観点で考えはじめるようになって、とにかく本を読み漁りました。著名なアートディレクターやクリエイティブディレクターが書いた書籍や雑誌などをひたすら読み、そのなかから自分に合いそうなやり方や価値観を抽出して、「技集」のような形で蓄積していました。毎日メモを見返しながら、トライ&エラーを繰り返し、自分のやり方を編み出していった感じです。そうしたことを繰り返していくうちに、自信もついていきました。


ハイレベルなメンバーのなかで確実に成長できる環境が魅力

――mountの会社としての魅力を教えてください。

ものづくりにまっすぐ向き合いたい方には、とても恵まれた環境です。僕たちがお付き合いしているクライアントや代理店はみな当社の考え方に共感してくださっていて、コンセプトメイクの部分に一緒に時間を費やしてくれます。いわゆる毎日締切に追われているといった状況になることはありません。ただ、だからこそ“時間がないからできない”という言い訳は通用しません。

また、社内のレベルが高く、「よい」とされる基準がかなり高いので、表現力やデザイン力が高められる点も当社の大きな魅力です。たとえば一般的なウェブサイトではそこまで配慮されない「文字組み」1つをとっても、僕らはとても重視しています。なぜかというと、それを実現できるエンジニアリングの技術が当社にはあるから。当社のエンジニアは相当レベルが高いですよ。デザイナーのイメージを必ず実現してくれる能力の高いエンジニアがたくさんいますので、みながこだわりをもちながら仕事をすることができています。


――林さんとして、今後どのような人と一緒に働きたいですか?

「熱意をもっている方」であることが大前提です。そのうえで、「素直な方」や「デザインに限らずものづくりが好きな方」がいいですね。

また、デザイナーに限っていうと、「エディトリアルデザイン」の素養をもった方にも来ていただければ嬉しいです。

ウェブデザインは情報のデザインであり、レイアウトにおいても中心にある要素は「テキスト」です。テキストのデザインという側面ではエディトリアルデザインに近いはずですが、日本のサイトはなぜか紋切り型のデザインばかりの印象です。

エディトリアルデザインの世界のように、柔軟な発想でウェブのレイアウトに取り組める方が当社には向いていると思いますね。先ほどもお話ししましたが、当社には優れたエンジニアがたくさんいますので、そうした世界観を実現しやすい環境があります。

なので、ものづくり以外の部分に集中したい人、たとえばとにかくお金がほしい、有名になりたい、華やかな仕事をしたいといった志向の方には向いていないかと思います。


――今後の展望を教えていただけますか。

アートディレクターとして、今後も真摯にものづくりと向き合っていらっしゃるお客様の役に立ちたいと考えています。

また組織マネジメントの観点では、メンバーの成長を後押しするサポートの仕組みをさらに強化していく予定です。

現在は主に2種類の育成プログラムを実施しています。1つが当社の制作物をトレースしたうえで、デザインルールを抽出し分析する課題。自分なりに分析したあとで、アートディレクターがレビューを行います。また、実際にプロジェクトで定義していたデザインルールと照らし合わせ、自身の解釈とのギャップを確認するプログラムです。

もう1つが、世の中で評価されているウェブサイトの分析を行う課題です。どこがよいと感じたか、またよくない点および、こうしたらよくなるという代案をまとめてもらいます。それに対しマネージメント層がレビューを行うプログラムです。

こうした教育のコンテンツをさらに充実させていきたいと思っています。


――デザイナー志望者の方やアートディレクターを目指すみなさんへメッセージをお願いします。

当社には、デザイナーとしてはもちろん、PM、実装、などの職種でも成長できる環境が多分にあります。

少数精鋭だからこそ、各メンバーの強みや成長可能性を見据えた仕事を任せられる環境が整っていますし、ものづくりに妥協しない姿勢はどの組織よりも強いと思っています。

「いいものをつくりたい」「自分が納得できるものをつくりたい」という気持ちは成長の第一歩です。そのような気持ちを大切にしてほしいと思いますし、そういう思いをもった方にこそmountをお勧めしたいですね。

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