株式会社メディクルード
私たちメディクルードは「医療」「福祉」「教育」分野で複数の事業運営を行なっているコングロマリットグループの一員です。 旧態依然とした業界に "Innovation"を起こすため、本気で「まじめをチカラに」と変えていく集団です。
https://www.mediclude.jp/
今回の記事は「本格派で特別感。気持ちと行動を変える介護×美容セラピーに密着しました!」です。
この記事でご紹介するのは、毎年Genki Groupの介護領域が一堂に会して実施している高齢者介護研究会(通称:ケア研)にて2022年度の優秀賞を受賞された、こうのすナーシングホーム共生園の『気持ちと行動を変える美容アプローチを目指して』という取り組みです。
身なりを整えるという私たちが普段あたりまえのように何気なくやっている活動も、身体機能が徐々に落ちてきた高齢者にとってはハードルが高い活動の一つです。しかし、私たちが叶える「介護」はご利用者さまの生きがいを叶え、感動を追求すること。身の回りの最低限のお世話にとどまらず、ご利用者さまの「これやりたいな~(でもいまさら…)」を見逃さず、叶えていくことです。
必ずしもやらなくてもいい。でもやる。
そこに込められた想いをインタビューを通して紐解いていきたいと思います!
メディクルードが属するGenki Groupの中には医療・介護福祉・教育と様々な領域の法人があり、全部で30を超える法人と数百の施設があります。その中でもひときわ大きな規模を誇るのが介護領域です。
日本全国を見渡すと様々な介護施設がありますが、その運営規模はほとんどが小規模法人で、「一法人が数施設~十数施設を運営している」というのが一般的なスタイルです。一方Genki Groupは介護施設だけで百を超える拠点があります。そのスケールメリットを活かし、ノウハウの横展開をしながら日々「より良い介護」を追求しています。
その一環として毎年秋ごろに実施されているのがケア研です。
「介護を科学しよう」をスローガンに、各施設で取り組んでいる様々なケアについて1年間かけてしっかり効果測定した結果を発表し、再現性の高いケアとして横展開していこうという取り組みです。毎回厳正なる審査をもとに最優秀賞・優秀賞が決定されます。
今回取り上げるこうのすナーシングホーム共生園の『気持ちと行動を変える美容アプローチを目指して』という取り組みは2022年度の優秀賞に輝きました。審査員からの講評では「量的にデータを取って検証するという部分に課題があるものの、ケーススタディとして大変おもしろい取り組みでした」というコメントを得ていました。
☝ケア研での発表の様子。
今回インタビューにご協力いただいたのは、こうのすナーシングホーム共生園介護課長の内田さんと、福祉美容専門家(ケアビューティスト)の長田さんです✨
当日の見学は介護領域で採用を担当している小山田さんと一緒に行ってきました。現在は専門学校にて介護美容を学びながらお仕事されていて、ゆくゆくは介護美容をGenki Group全体に広めていきたいというビジョンを掲げています!
※以下、敬称略。
~もくじ~
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● 美容セラピー、驚きの効果。
● きっかけは勇気をもったひとりの職員から。
● 芽を育て、花に。
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インタビュー当日に実際の様子も見学してきましたので、写真からでも雰囲気が伝わると嬉しいなと思います🌸
小山田)では、よろしくお願いいたします!ケア研で拝見して感動した記憶があるのですが、改めておさらいとして、どんな取り組みなのか教えてください💄
内田)よろしくお願いいたします!簡単に言うと、外部のプロであるケアビューティストさんに施設へ来ていただいて、ご利用者さまにフェイシャルトリートメントやハンド・フットトリートメントを提供したり、女性の場合であればメイクも提供したりしようという取り組みです。格好も昔着られていた思い出の服装に着替えて、施設に用意したフォトスポットで写真を撮る。これが一連の流れですね。
☝娘様とともにフォトスポットにて。ご家族のご予定があう際はお越しいただいています。
小山田)実際やってみていかがでしょう?
内田)どのご利用者さまも最初はやっぱり緊張や遠慮があって、表情もこわばっていたりなかなか自己表現をされなかったりしています。でも途中からだんだんと気分が乗ってきて表情が柔らかくなったり、笑顔になったりするんですよね。それがこちらとしてもすごく嬉しいです。
小山田)かなり変わられますよね!後半くらいから見違えるくらい表情が明るくなっていてびっくりしました!実際長田さんはセラピーの際に気を付けていることはありますか?
長田)一番は「ご利用者さまが幸せになるように」ですね。そのためにセラピー中にもきちんと対話して、少しでもリラックスしてもらえるようにしたり、メイクの方だったらお色も自分で選んでもらったり。
あとは、ご利用者さまの体調に合わせてメニューを当日でも変えて臨機応変にやっています。例えば「むくみがひどい」ということでネイルの予定で入っていたところを急遽フットトリートメントにしたり。
☝メイクパレット。自己決定力の維持も兼ねて、お好きなお色を選んでいただくとのこと。セラピーの最初から置かれていて、視覚的にも楽しんでいただけるようにしています。
☝セラピー後にもご利用者さまとお話しされている長田さん。
内田)さらに驚くことに、セラピーを受けていただいた当日だけでなく、翌日以降も気持ちや行動に変化がみられるんです。
例えばケア研の中でも発表がありましたが、もう90歳を超えていて座った姿勢を保つことも難しいので普段はベッド上での生活が基本の方がいらっしゃったんですね。この方は日常生活の動作もだんだん難しくなってきていて、お食事も召し上がらなくなってきたり、朝起きるのが難しくなってきたりしていた方でした。「最後の誕生日になっちゃうかも…」という想いもあってセラピーを受けていただいたのですが、その際に自発的にご自身の右手で何とか座った姿勢を保って写真を撮ることができたんです。担当の理学療法士もびっくりの結果です。
その翌日以降も、自分で起きたり、食事も自力摂取されたり、車いす上で自分で座りなおしたり、発語量も増えたりと、気持ちも行動もかなり前向きになられました。
内田)もちろんご利用者さまそれぞれに効果の個人差はありますが、実際にこうやって変わっていく人たちが何人もいるのを見るとすごいなと思います。
要因はちゃんと検証できていないんですが、普段の施設での生活とは違う特別感なのか、ご家族との思い出作りなのか、はたまた綺麗に着飾ることで「見られている感」が働くのか。このあたりはもっと検証して、それぞれのご利用者さまに最適な体験になるようにしていきたいですね。
小山田)たしかに、身なりを整えると自然とシャキッとしようと思えるのかもしれませんね。
内田)あると思います。鏡を見れば明らかに自分が綺麗になったというのは分かりますし、やっぱり女性はいつでもどんなに年を重ねても「綺麗になりたい」って思っているんだなって、私自身も女性なので強く認識しました。それは男性も同じ感じなのかな?
美容を通して若いころを思い出したり、着飾る喜びを思い出したりしていただいて、幸せだなって思えるきっかけにしていきたいなと思います。
☝手鏡で変化を見ていただきながらメイクをしていきます。
小山田)ご家族との思い出作りもポイントになりそうですね。
内田)ご家族に会っていただける時間は本当に貴重ですね。特に新型コロナウイルスの影響で、どうしても100歳のお祝いやご家族の結婚式など、何か特別な理由がないとご家族に施設へ来ていただくことってしづらいんですよね。でもこのセラピーを一つの”特別な理由”として使ってご家族に会っていただくことができるようになりました。
小山田)取り組みが始まったきっかけってどんな流れだったんでしょう?
内田)どこの施設でもあんまりやっていないことをご利用者さまにやってあげたいとはずっと思っていて、そんなことを考えていたときに、ある職員から「美容はどうですか?」という提案があったんです。簡単なハンドトリートメントなどは他の施設でも一部はやっているようで、なんだか良さそうだ、と。せっかくなら素人の私たちスタッフじゃなくて、外部のプロの方を呼んでちゃんと特別感を出してやってみたい、と。いろいろ検討を重ねていくうちに、ちょうど職員の知り合いで長田さんがケアビューティストをやっているからということで繋がって、今の形に落ち着きました。
長田)共生園の職員さんたちはみなさんとても協力的で嬉しかったですね。
☝いろんな職員さんたちが合間を縫って様子を見に来ては「きれいだね~」と声をかけていました。
内田)もともとずっと「ご利用者さまに喜んでもらえるレクをもっともっとやりたいな~」というのが施設の課題でした。ただ、私たち職員もどっぷりこの業界に浸かってしまっているので、思いつく案が似通ってきたり、マンネリ化したりしてしまうんですよね。
でも、ご利用者さまもやっぱり、通所であれば通いたいと思える場所、入居であれば住みたいと思える場所に行きたいですよね。過ごしていて楽しいとか、リハビリが充実しているとか。それが施設のウリになり、差別化にもなるので。もちろん日々のケアも十分ご利用者さまのことをとことん考えて実施していることではありますが、「+αの何か」もやってあげたいなと。
小山田)新しい取り組みをやるときのはじめの一歩ってやっぱり難しいですか?
内田)そうですね~。今回は美容に興味を持っていた職員がいたから比較的はじめやすかったですが、やっぱり誰かひとりでも強くやりたいと思う人がいるか否かは、新しい取り組みを始めるうえでとても大事ですね。きっかけができて芽が出てしまえば、あとは育てるだけなので。
特別なことをすると「差別じゃない?」と反発する職員や、「私はいいや」と無関心な職員が出てくるのはもちろん事実ではあるんですが、「やってみます!」と言ってくれた職員がいたことがやっぱり大きな一歩ですね。
小山田)今後この取り組みをきっかけにやっていきたいことはありますか?
内田)取り組みに対して興味を持ちはじめてくれた職員もいっぱいいますので、将来的に研修などを整備して、もっと多くのご利用者さまに届けられるようにしていきたいですね。現状は施設からのプレゼントとして、誕生日のお祝いや看取り期の方、調子が悪くなってきて生きる気力が落ちてきてしまっている方などを入居のご利用者さまの中からこちらで選んで実施している状態です。でもゆくゆくは他のご利用者さまにも展開したり、デイサービス側でもやったりしていきたいです。
小山田)プレゼントだったんですね!
内田)実はプレゼントでした(笑)。でも、どうしても施設からのプレゼントだと予算的に限界がありますので、様子を見てニーズが十分ありそうだと思ったら、ご利用者さまからお金をいただく形にはなりますがイベントとして大きく実施していってもいいかなと思います。また施設の形態としては在宅復帰を目的として来られる方が多い施設なので、ご自宅に復帰された後にも長田さんを紹介して、ご自宅でも受けていただけるようにできたら面白いなとも思いますね。
また現状はセラピーを居室の洗面台の前で受けていただいているんですが、施設内にセラピーブースを作ったり、フォトスポットもスタジオみたいなものを作ったり、もっともっと特別感を出していきたいですね。
長田)私ももっとたくさんの方にサービスを通して特別な時間を過ごしていただきたいなと思います。例えばですが、夏祭りのような地域を巻き込んだイベントの時に、浴衣の着付けをしてメイクをして地域も含めたみなさんの前でお披露目!ということもできたらいいな~とか。
内田)めちゃくちゃ良いですね!やっぱり誰かに着飾った様子を見てもらえることが自信にも繋がりますしね。
長田)あとは、ご利用者さまへのセラピー中にも職員さんから「私もやってもらいたいわぁ」というお声がよく出るので、職員のみなさんにも福利厚生として美容サービスの提供があったら面白いな~とか。
内田)ぜひほしい!!
小山田)どんどん輪が広がっていくと素敵ですね!私たちでも何かお手伝いできることはありますか?
内田)まずはもっとたくさんのみなさんに知ってもらって、「介護×美容ってアリなんだ」と思ってもらいたいです!
小山田)ちょうどGenki Group内に美容クリニックもありますので、コラボできたら面白いですね!どんどん可能性が広がりそうです!
以上、こうのすナーシングホーム共生園の『気持ちと行動を変える美容アプローチを目指して』の取り組み紹介でした!
インタビュー・取材にご協力いただきましたみなさま、誠にありがとうございました!
Instagramもぜひチェックしてみてくださいね🔍(いいね💗もよろしくお願いします!)
●福祉美容専門家(ケアビューティスト)長田様(@soil_carebeauty)
●こうのすナーシングホーム共生園(@kounosunhkyouseien)
次回の記事もお楽しみに!
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