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2007年、アパートの一室からスタートしたWeb制作会社LIGは、2022年現在 “2つの海外拠点を抱える270名規模のDX支援会社” となりました。
そんな急成長の裏側にある未成熟な組織を強化すべく、2021年10月には執行役員CFOとして高橋龍司が参画。今回は高橋と代表大山に「LIGの組織作り」について語ってもらいました。ぜひご覧ください。
財務のスペシャリストが参画した理由
―― お二人はもう10年来の仲だと聞いています。はじめに、大山さんが高橋さんにお声がけした背景を教えていただけますか。
▲株式会社LIG 代表取締役社長 CEO 大山 智弘 新卒にて株式会社ユナイテッドアローズ入社。イギリス留学を経て、株式会社リクルートに入社。その後、ベトナム法人EVOLABLE ASIA Co., Ltd代表取締役社長に就任。退任後は株式会社リンクバル入社。IPOを経験後、株式会社ケアクル創業。2017年より株式会社LIGに参画。2021年10月より代表取締役。
大山:高橋さんにお声がけしたのは、「自分に足りないものを持った優秀な人材を招き入れ、補完し合える経営体制を作りたい」という思いがあったからです。財務のプロフェッショナルである彼に参画してもらえたことで、いいフォーメーションを作ることができました。
高橋さんとは過去にリンクバル社で一緒に働いたことがあり、真面目で忍耐力のある人柄をよく理解していました。それに久しぶりにお会いしてみると、同社退職後に自身の会社を経営されたことで頼もしさが一層増していたんですよ。そのため「LIGで一緒に働きませんか」とお誘いしました。
―― 当時ご自身の会社を経営されていた高橋さんが、大山さんからのオファーを引き受けたのはなぜでしょうか?
高橋:当時私は40歳という節目を迎え、「今後のキャリアをどうしようか」とちょうど考えていたタイミングでした。自分の会社はおかげさまで経営が安定し数十名規模に成長しましたが、「数百名規模の会社でもっと大きなチャレンジをしてみたい」と思っていた矢先に、大山さんからお声がけいただいたんです。
LIGのフェーズは自分にとって刺激的でしたし、大山さんと働けることも魅力に感じました。LIG参画前、久しぶりに大山さんとお話ししたとき、さまざまな角度から物事を捉えて速やかに判断される姿が経営者としてすばらしいなと思ったんですよ。こうした理由から、LIGへ参画することを決めました。
大山:そう言ってもらえて嬉しいです(笑)。互いに経営者として経験を積んだからこそ、私は高橋さんにぜひ声をかけたいと思ったし、高橋さんも私と一緒に働きたいと思ってくれたのかもしれませんね。
若い会社から「大人な会社」へ変貌する
―― それではここから、高橋さんがLIG入社後に取り組んできた組織作りについて教えてください。
高橋:もっとも大きな組織面の変化は、社外取締役と監査役に参画してもらったことです。私が入社した当時、取締役には大山さんとゴウさん(前代表)しかいませんでした。当然それまでもLIGにとって最善の判断をしてきたはずですが、外部の目にさらされることによって、より透明性が高く健全な経営判断ができるようになったと感じます。
また、2022年10月には弁護士出身の友田さんにも監査役としてご参画いただき、専任者不在だった法務面を強化することができました。経営体制を変化させるなかで、LIGの弱みを潰しにいっているとも言えます。
▲株式会社LIG 執行役員 管理本部本部長 CFO 髙橋 龍司 1981年生まれ。東京大学大学院を修了後、新卒で大和証券エスエムビーシー株式会社(現、大和証券株式会社)で機関投資家への営業など投資銀行業務に従事。その後、株式会社リンクバルにてIPOを経験後に、ベンチャー企業を支援するため投資会社の株式会社MYALLを設立し、代表取締役社長に就任。同時に複数の事業会社の役員も兼任後、2021年10月よりLIGに参画。
高橋:そのほかには、人事やお金に関わる領域を中心に「ルールが決まっていない」「属人化している」という課題を解消すべく動いてきました。
正直なところ以前のLIGでは、ルールが決まっていないせいで “人によって判断が異なる” ケースが多々起きていたように感じます。昇格基準なんてまさにその一つですね。現在は管理本部主導で制度やルールを定めることで、誰が判断しても同じ結果となるよう努めています。
また、いままで社員一人+社労士でおこなっていた給与計算もフローを見直しました。脱属人化のためにもう一名給与計算できる社員を増やし、不正防止のために私自身もダブルチェックで入るようにしたんです。派手さはありませんが、こうした地道な改善の積み重ねによってミスや不正が起こりにくい体制になっていると思います。
―― 私も一社員として、 LIGが「ちゃんとした会社」になってきているなと感じています。
高橋:社員のみなさんの協力のおかげで、日本法人の管理体制は上場企業にも引けを取らない水準まで引き上げることができました。これからは海外拠点の管理体制を日本国内と同等のレベルまで引き上げるのが大きなミッションです。現地メンバーとしっかり連携しながら進めていきますね。
スキル重視採用の限界
―― 組織拡大においては「採用」も非常に重要です。どのような方針で進めていくのでしょうか?
高橋:LIGはエンジニアやコンサルタントなどハイスキルな人材を求めていることもあり、いままでの採用はどうしても相手の “スキル” に目が向きがちでした。しかしスキル重視で採用してしまうと、「社内の空気が合わないので辞めます」と離職が早い傾向があると痛感しています。そのため今後は、内面や人柄がLIGとマッチするかどうかを見極める必要があると感じていますね。
大山:大前提として、「DX支援」「グローバル」「デザイン×コンサルティング」といった会社の方向性に共感してもらえるかどうかがすごく重要ですよね。そこへの共感がないとどこかズレてしまう。チームワークが生まれにくいと思っています。
高橋:おっしゃるとおりですね。会社として、各々のスキルが活きるような環境を提供できるよう努めますが、つねにその人がやりたい仕事を提供できるとは限りません。そんな状況下でも前向きに仕事に取り組んでもらうためには、会社の方向性に共感してもらうことが欠かせないと感じます。
Why DX, Why Design
―― 会社の方向性の1つ「グローバル」については、先日の記事にて海外事業責任者のコージさんに取り組む意義を語ってもらいました。
海外ビジネスを「やりたい」というより、「やらないとヤバい」という感覚なんですよ。30年前は世界1位だった日本の国際競争力はいまや31位です。2020年時点の生産年齢人口は7,400万人、2050年には5,300万人に減ってしまう。残念ながら日本のマーケットはもう伸びません。いままでは国内に収まる仕事でもなんとかなってきたかもしれませんが、国境を越えて仕事をしていかなければ、いよいよ未来はありません。
LIGが海外で勝負する理由|役員対談
―― 他の2つについて、改めておうかがいさせてください。まず「DX支援」を標榜するのはなぜでしょうか?
大山:諸外国に比べ、日本はDXの遅れをとっていると感じています。「それは人間がやらなくていいよね」というアナログな業務を見かけるたびに、「みんなもっとクリエイティブな仕事ができたらいいのに」とつい思うんですよね。
「テクノロジーの力で生活や働き方をより良くするお手伝いができる」のは、私にとってシンプルに楽しいことです。「好きこそものの上手なれ」という言葉がありますが、自分が好きなことに取り組むからこそ成果が出せると信じている。だから私はLIGでDXに取り組んでいます。
高橋:加えて、DXは国が政策として取り組むほど巨大なトレンドです。そこには大きなビジネスチャンスがあり、ダイナミックな仕事ができることは間違いありません。
―― なるほど。経済合理性だけではなく、そこにワクワクするからDXを掲げていることが伝わってきました。一方、「デザイン×コンサルティング」に取り組むのはなぜでしょうか?
大山:単なるデジタル化ではなく本来のDX、つまり “企業変革” を起こすためには、「デザイン思考」が求められると考えています。
デザイン思考とは、顧客を深く観察することで心の奥底に抱えているニーズを見つけ出し、そのニーズに応えるアイデアを発散させて、試行錯誤しながらサービスを生み出していくプロセスです。デザイン思考において特に重要なのは、 目には見えないものを創造する力。これは決して容易なことではありません。だからこそ、その見返りとしてイノベーションの可能性を拓けるのです。
DXに「デザイン」が必要な理由
それにデザインは、LIGがもともと持っていた強みでもあります。先人たちが作り上げてきた “デザインに強い” というブランドは当然活かすべきだな、と。競合も多くはないので、まだまだ私たちにもチャンスのある市場ではないかと思っています。
―― DXに必要だから、さらにはLIGが得意だからこそ、「デザイン」を掲げるのですね。
さらにボーダーを越えて
―― 最後に、組織面においてお二人が今後注力していきたいことを教えてください。
高橋:近い将来、DX支援会社として日本一を目指したい。また、遠い将来アジア一を目指したいと考えています。となると、当然ながら働く社員もグローバル化していかなきゃいけません。いつかは外国籍の社員が半分を占めるような時代がくることを見越して、組織作りに励んでいます。
ちょうど先日、新卒社員の海外赴任チャレンジが決まりました。それに今期は海外拠点メンバーを一定期間日本に招いて一緒に働く予定もあります。こうした動きを年々加速させていきたいですね。
大山:いま高橋さんが話してくれたことは徹底的にやっていきたいと思っています。真のグローバル企業となるための大事な一歩ですね。
また、国内に関しては採用と教育の連携をもっと強めていきたいと考えています。これから新卒採用を強化していくこともあり、いままで以上に「採用したら教育は現場に丸投げ」とならないよう、教育研修体制をしっかりと整えていきたいですね。