ライフイズテックの事業の核ともいえる教材開発。この開発チームに2019年1月からジョインしたのが、松岡俊哉だ。彼は、ベンチャーであるライフイズテックに入社する前は、大手銀行で営業やシステム部門でプロダクトマネジャーをしていた。
“銀行から教育ITベンチャーへ”
なぜ彼は、大手銀行業種が全く異なる世界への挑戦を決めた彼は、どのような想いをもってライフイズテックにジョインしたのだろうか。
(ライター:クリス@qris_)
「何のために仕事をするのか」を明らかにしたくてシステムの世界へ
ーー ライフイズテックに入社する前は、大手銀行に勤めていたそうですね。
三菱UFJ銀行(当時は三菱東京UFJ銀行)に、新卒で入社しました。
ーー なぜ三菱UFJ銀行に入ろうと思ったのでしょうか。
大学が経済学部だったので、金融系企業はひととおり候補に入れていたんです。「みんな受けているし、まあ一応……。」という感じで(笑)。そのなかで一番に内定をもらった企業が、三菱UFJ銀行でした。
別の企業も受けてはいたのですが、大手で安心できるということと、なにより早く就職活動を終わらせて部活に専念したい気持ちが強かったので、そのまま三菱UFJ銀行に決めましたね。
ーー 部活はなにをしていたのですか。
少林寺拳法部に所属していました。実は、世界大会に日本代表として出場したこともあるんですよ。
ーー すごいですね! それくらい練習に打ち込んでいたなら就職活動を早く終わらせたい気持ちも分かる気がします。
少林寺拳法は高校生のころから打ち込んできましたし、大学の少林寺拳法部も僕にとってとても大切な居場所だったので、就活は早めに終わらせたかったですね。
ーー 銀行時代はどんな仕事を?
中小企業のお客様にお金を融資したり、運用を提案したりする法人営業を経験したのち、システム部へ異動しました。
ーー なぜシステム部への異動だったのでしょうか。
システムの仕事が、これからの時代により必要とされる仕事だと感じたからです。
入行してから1年半くらいたったときに「このまま銀行で営業を続けていくのだろうか」という疑問が自分のなかにうまれて、営業よりももっとこれからの時代にいきる仕事に挑戦したい気持ちが強くなり、異動を希望しました。
ーー 営業以上にシステムの仕事がこれからの時代に求められると思ったのは、なぜですか?
もちろん法人営業の仕事にも、やりがいを感じていました。しかし扱う商材が昨今の経済状況的に広がりをみせるものでもなく、お客様も大きな投資よりも現状維持を優先されていたため、新しいことに挑戦する雰囲気があまり感じられなかったんです。
そんな現状を目の当たりにして、「このまま法人営業というポジションで、銀行や世の中で役に立ち、活躍を広げていけるのだろうか」「自分は仕事をして何を成し遂げたいのだろうか」と思い始めたんです。
そのような想いを抱いていた頃と同時期に、“これからの時代はIT分野の人材が必要とされる”と社会の動きからもなんとなく感じていました。僕自身、以前よりITの知識やスキルがほしいとも思っていたので、これからの時代に必要とされる可能性を秘めたシステムの仕事に挑戦してみようと思ったんです。
ーー ちなみに、システム開発の基礎知識のようなものはあったのでしょうか?
システム開発の基礎知識はありませんでした。銀行に入るまではITリテラシーもほとんどなかったですし、そもそもITの世界に興味もあまりなかったくらいです。
そのためシステムの基礎的な学びは、銀行のシステム部に異動してからの2~3ヶ月の研修で身につけました。ハードウェアやクラウドなどの知識習得をはじめ、JavaでコーディングをしたりチームでWEBサービスをつくったりしましたね。
ーー 実際にシステム部に異動して、自分が思い描いていたシステムの仕事の可能性のようなものは感じられましたか?
法人営業とは全く逆の、「これから必要とされる仕事ができている」という実感がありましたね。ITが世間的に必要とされていることは、システムの現場だからこそ感じられたと思います。
またそれまでの僕は、銀行のシステムがどれくらいのコストや時間、人員をかけて作られているのかが見えていなかったので、その部分を知れたことはとても勉強になったと思っています。
楽しそうな写真、練られた学習設計に魅かれエントリー
ーー 今、そしてこれから求められるスキルをいかす仕事ができていたのに、転職しようと思ったのはなぜでしょうか?
実際にシステムの現場で働いてみて、若年層へのIT教育の普及が銀行に限らずどんな分野においても進んでいないのではと感じていたんです。というのも前職で受けたシステム研修が、あまり若手のIT知識やスキルの底上げにつながっていないと感じていて……。研修はあるものの、終わったあとのフォロー制度が充実していなかったんです。
そのときにITの知識やスキルを若年層に伝えていく会社があればいいのにと思い、若者向けに教育とITを軸として事業を展開している企業を探しました。
ーー 自分の原体験から、教育の世界を志したんですね。
あとは大学時代に塾講師をしていたことや少林寺拳法を教える側に立っていたことも影響していると思います。
自分が持っているものを誰かに教えるって、そう簡単なことではないですよね。経験値が高い人が教えるのが上手かと言われたらそうではありませんし。
はじめての人や上達の余地があるような人たちに相手のスキルに合わせた指導法で自分の知識や技術を伝えられれば、学びの効果は大きく変化するのではないかと思っていたこともあり、“教育”に興味をもっていたのだと思います。なにより自分が相手の立場に立って伝えたことで生徒の学力や後輩の技術が伸びると、純粋にうれしかったんですよ。
ーー その相手のためだけにカスタマイズした教育に高い学びの効果の可能性を感じて、教育の世界に飛び込んだわけですね。しかしなぜライフイズテックを選んだのですか?
「教育とITを軸に事業を展開している良い会社はないか」と転職エージェントに相談した際、紹介してもらった会社リストの1番上にライフイズテックがあったんです。
僕は教育にも“楽しさ”が必要だと思っています。そしてライフイズテックには他の企業と比較した際に、“楽しい教育”への可能性が最も感じられました。会社を調べるなかでホームページに載っている中高生とメンターが笑っている写真を見て、率直に「楽しそうだな」と魅かれましたね。
またライフイズテックの教材は、学びのハードルを高くしすぎずスモールステップで役に立つスキルを楽しく身につけられる、本当に“中高生の立場に立った”緻密な学習体験設計が練られていて、そこにも共感しました。
しかし最初に紹介してもらったのは、カリキュラム開発の仕事ではなかった記憶があります。
ーー 紹介されたのは、どんな仕事だったんですか?
地方創生のようなお仕事だったと思います。地方の大学生をメンターとして育成して、その学生がその地域の若者たちに自分が学んだことを教えるエコシステムづくりをしていくための営業職の求人でした。
会社としてのビジョンがしっかりとしていて、しかも社会にとっていいことをしているところに魅力を感じたので、希望職種とは違う仕事でしたがひとまずライフイズテックにエントリーしましたね。
ーー 入社当初は、営業だったんですね。
いえ、カリキュラム開発チームに最初から入りましたよ。
会社のことをさらに調べていくなかで教材開発に携われる仕事があることを知って、エージェントさんに「ホームページで教材開発の仕事があるみたいなんですが……」と相談して、エントリー職種を変えてもらったんです。
ーー ライフイズテックを研究するなかで、自分がより挑戦したいと思う仕事にたどり着いたんですね。ちなみに、大手銀行から名前も知らなかったベンチャー企業へ転職することに不安はなかったのでしょうか?
たしかに三菱UFJ銀行とは規模が大きく異なるライフイズテックを受けることについて迷いがなかったかと言われればウソになります。だからしっかりと資金調達の規模や世間の評価をWEBでチェックしましたし、なにより自分がやりたいと思うことに挑戦できる環境に身を置くための転職だったので、面接を受けるころに不安はありませんでした。
ライフイズテックは少林寺拳法だった!?
ーー ライフイズテックでは現在、どんな仕事をしているのでしょうか。
カリキュラム開発チームで、オンラインやキャンプで使う教材の制作をしています。最近はオンライン教材『テクノロジア魔法学校』の海外版制作が中心ですね。
ーー 会社の規模が大きく異なるIT教育ベンチャーに入社して約半年。正直戸惑うこともあるのでは?
入社前にしっかりと会社のことを調べていたので、イメージとの大きなギャップはありません。ビジョンや教材のコンセプトに共感して入社しただけあって、仕事で大きな充実感が得られています。『テクノロジア魔法学校』のエンドロールに自分の名前が出たときなんかは、とても感動しましたよ。製品やサービスを通して世の中の役に立っていると実感できる瞬間があることに、喜びを感じています。
ただ前職がお堅い銀行だったので、私服で働いている人がいたりオフィスで音楽が流れていたりする光景には最初、「こんな会社があるんだ」と驚かされました。
またミーティングに出席すると必ず得るものがあることはありがたいですね。アウトプットする機会もありますし。
ーー アウトプットはどのような形ですることが多いのでしょうか。
『テクノロジア魔法学校』で学ぶレッスンに出てくるお手本やキャラクターのセリフに、僕が作った案を採用してもらうことがあります。
また僕が所属するカリキュラム開発チームは、僕を含め入社してまだそんなに時間がたっていないメンバーがほとんどなんです。だから今は6,7年教材開発にかかわっているチームリーダーから教えてもらったり、2,3週間で教材を1つ作って「本当に中高生の目線に立った教材になっているか」という視点でフィードバックをもらったりしています。
ーー まさに中高生向けのスクールやキャンプを社内で実践している感じですね!
チーム内で話すことは基本、当たり前のことばかりなんですよ。しかしそれを体系化していくとなると難しい。僕たちはその、“学びに必要な当たり前のことをきちんと設計する難しさ”を楽しめるチームだと思っています。コミュニケーションも取りやすくて、雰囲気もとてもなごやかですよ。
そしてライフイズテックで働いていると、少林寺拳法の教えにも通ずるものを感じることもあるんです。
ーー 少林寺拳法と、ですか?
少林寺拳法には『半ばは自己の幸せを、半ばは他人の幸せを』という教えがあります。自分が充実していなければ、他者に幸せを届けられないという考えです。
この考えのなかでの少林寺拳法は「自分に自信をもつ」ための1つの手段なんです。自分を強くするために身につけた武道が結果、自分自身を確立してくれる。そしてその強さが他の人への優しさになるんです。
この教えがライフイズテックで働く今の自分にも当てはまるなと感じています。仕事で充実感を得ているからこそ、仲間同士でのアウトプットができて、かつそのアウトプットが中高生の可能性を広めるきっかけになっていると思うんです。
また開祖は、最初は説法ではなく「ケンカを強くしてやるよ」と拳法を広めたと言われています。そこから、ただ強いだけではダメなことや相手の痛みを知ることの大切さ、自分が強くなるのは相手を倒すためではなく自分を確立させるための手段であることを説いていったんです。
最初の学びのハードルを低くすることや相手の立場に立って物事を考えることは、ライフイズテックに通ずるものがあるなと思いますね。
ーー 意外なように見えて、しっかり納得できる共通点ですね。
ライフイズテック流学校づくりに、いつの日か
ーー 入社して約半年。きっと最初のころから比べるとできることもやりたいことも増えたのでは?
まずは『テクノロジア魔法学校』を広げていくために、教材の開発にますます力を注ぎます。
また面接時に副社長の小森が語った「学校をつくりたい」という夢に、いつか自分も携わりたいと思っているんです。学校というオフライン環境で僕が学習体験設計をした教材を使ってもらって、中高生の可能性を広げていけたらいいな、と。
とにかく一人ひとりの中高生の人生づくりに関わり続けていきたいと思っています。中高生が僕の作った教材を使ってどんどん自分の成長を楽しみながら、そのうち教材がなくても自走できるようになるのが理想ですね。
だからこそ今、オンライン教材の開発を通して学習設計のノウハウをしっかり身につけていかなければと思っています。くわえて変化を続ける教育にも目を向け、その時その時に必要とされる学びを考え提供していきたいですね。
<インタビューを終えて>
仕事をしていると、目的を見失ったり相手ばかりのことを考えてそこに自分がいなかったりする場面と巡り合うこともあると思います。
今回の松岡さんの話を聞いていると、自分がこれから先の未来でどのような人間になりたいのか、またどのような活躍をしていきたいのかについて、ときには立ち止まり考えることが必要だと考えさせられました。
また自分を確立するからこそ相手の立場に立って物事を考えられるという少林寺拳法とライフイズテックの意外な共通点からは、まずは自分がおもしろい、やりたいと思う仕事に打ち込むことが大切なんだと教えてもらった気がします。
松岡さんがこれから、ますますライフイズテックでの仕事を楽しむことで、中高生に、そして社会にどのような優しさを広げていくのか、期待に胸が膨らみます。
松岡と一緒に中高生の可能性を伸ばす仕事をしたい方は以下よりエントリーお待ちしています!