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ナレッジラボのこれまでとこれから

はじめに

ナレッジラボ会長の国見です。
マネーフォワードから2024年11月13日付でナレッジラボの100%グループ会社化のリリースを行いました。
今回はこの背景や私の思いについてお伝えしたいと思います。


このストーリーの対象となる方

スタートアップやベンチャー企業で働きたいと考えている方や急成長している業界でチャレンジを楽しんで働ける方、チームで働きたいと考えている方に読んでいただけたらと思います。

創業からこれまで

そもそも私がなぜナレッジラボを起業したのかというと、中小企業の経営管理に対する課題感からでした。
私は起業する前にM&Aアドバイザリー業務にどっぷり浸かっている時期があり、そこで、大企業の事業再編やM&Aなどの案件をベッタリ支援させていただいていました。
その中でご縁をいただいた大企業はもれなく経営の中心に経営企画などの経営管理機能があり、そこでは事業計画や予算、業績管理を司り、経営の司令塔の役割を果たしていらっしゃいました。

一方で中小企業のM&A案件にも携わっていましたが、そこで見た中小企業には、どの大企業にある経営企画などの経営管理機能がない、もしくは経営者が片手間でやっているという状況でした。
当時から大企業と中小企業の生産性や成長性の違いは大きな課題になっていましたが、当時の私は、この課題の原因の一つが「大企業では経営の中核にある経営管理が中小企業にないことじゃないか」と考えるようになりました。

この課題、すなわち大企業の経営の中枢にある経営管理を中小企業に持っていったらすごいことになるんじゃないかというワクワクする仮説を持ってナレッジラボをスタートしました。

起業当初は、今やっているSaaSやITコンサルティングとは全く違う事業再生という事業からスタートさせました。
なぜ事業再生だったかというと、経営管理不在の再生企業に管理会計を中心とする経営管理の仕組みを導入することで事業再生を支援できたら、世の中に大きな付加価値を提供することができるのではないかと考えたからです。

私たちがやってきた再生手法はシンプルでどんな業種・規模のクライアントにもひたすら管理会計手法(事業計画・予算管理・業績管理)を導入させていただくというものでした。
はじめはクライアントごとに課題は異なり、試行錯誤を繰り返していましたが、20〜30社の支援をさせていただく中で、徐々に成果が表れてくるようになりました。
結果として、累計200社以上の事業再生案件をご支援させていただき、190社以上の会社が支援前よりも業績がよくなり、中にはV字回復する会社も出てくるようになり、起業前に考えた経営をよくするため中小企業でも経営管理が機能するという仮説はやっぱり合っていたという手応えを感じました。

でもいいことばかりではなく課題もありました。それは支援が属人化するという点でした。当時、同じようなエクセルシートを作り込んでいましたが、これがビジネスの深い理解、会計やファイナンスの知識、エクセルスキルなど多くの属人スキルが要求されるものであり、支援できる件数に限界がありました。

一方でふと世の中を見た時に、同じような課題を抱えている企業は何万社も何十万社もあるのではないかと考えていました。自分たちが身につけた管理会計、経営管理のノウハウを少しでも多くの企業に使っていただくために何ができるのかを考えていた2017年に経営管理SaaSを作ろう!という意思決定をしました。

そこから1年くらいかけて今の開発責任者である古田と一緒にManageboardの初号機を作り、なんとかリリースまでこぎつけたのが2018年の1月。このタイミングで2015年くらいから仲良くさせてもらっていたマネーフォワードからお声かけいただき、2018年7月にグループジョインをさせていただきました。

この時点ではSaaSの経営管理マーケットはすごく小さく、私たちが経営管理や管理会計領域のサービスに参入することには「マーケットがないのに大丈夫?」というようなお声をいただくこともよくありました。
マネーフォワードグループにジョインしてからも当初は会計事務所様向けのサービスのみを提供していました。はじめは会計事務所様に使っていただける管理会計SaaSを作ろうとプロダクトを開発し、たくさんの公認会計士や税理士の先生のお力をお借りしながら会計事務所様に価値の届くようなプロダクトを作っていました。
その中で当初はあまり想定していなかったのですが、事業会社様から使ってみたいという声が日に日に大きくなり、事業会社ユーザー様がどんどん増えていきました。

その結果、事業会社にも快適に使っていただけるManageboardにしようということでプロダクトをゼロベースで作り替えるという意思決定を行い、2021年に現在のManageboard2.0をリリースしました。

これによって当初はSMB中心であったユーザー規模も徐々に大きくなり、今では中堅企業様・上場企業様にもたくさん使っていただけるようになっています。

ナレッジラボが実現したい世界

私は過去から現在にかけてさまざまな企業の経営管理を支援させていただく機会に恵まれました。ナレッジラボを起業した2013年時点では、経営管理はまだまだオンプレミスなどのクローズドなソフトウェアとエクセル、紙を中心としたアナログな世界でした。
そこから10年以上がたち、企業のバックオフィスは大きく変化しました。会計、経費精算、給与計算、勤怠管理、請求書など多くの領域はSaaSが浸透し、法制度なども変わりながらDXがめちゃ進んだ領域となりました。
一方で同じ経営管理でも予算管理や業績管理の領域は2024年時点で10年前とまだまだ大きく変わっていない領域とである考えています。

そのお話をする上で、私たちが考える経営管理プロセスの全体像をご説明します。

経営管理プロセスには、上流に業務処理プロセス、中流に会計処理プロセス、下流に予算・業績管理プロセスがあると考えています。
個々の取引に近い業務処理プロセスから中流の会計、下流の予算・業績管理に流れていくことで個々の取引を集積した経営判断に使える経営管理情報に変換していくことができるのです。
予算・業績管理プロセスに課題があるというお問い合わせをたくさんいただきますが、下流に課題がある場合、多くのケースでその上流である会計処理プロセスやさらに上流の業務処理プロセスに問題や不具合があることがよくあります。

私たちはこのように経営管理プロセスを捉えているからこそ下流の予算・業績管理プロセスのプロダクト開発だけでなく、その上流にある業務処理や会計処理プロセスを解決するための業務デザインコンサルティングという事業も行っています
顧客の経営管理上の課題に対して、Manageboardというプロダクトだけでなく経営管理全般のITコンサルティングを提供できる業務デザインコンサルティングを併せ持つことがナレッジラボの強みであり、独自性であると考えています。

このように、ナレッジラボでは、予算・業績管理領域だけでなく経営管理全般のサービス提供をさせていただいているが故に感じることがあります。
それは過去10年間でバックオフィスDXのマーケットは大きく拡大しましたが、その中でも特にDXが進んだのは業務処理である経費精算、給与計算、請求書、債権・債務管理であったり、クラウド会計を中心とする会計処理プロセスだということです。

一方で経営判断に近い下流の予算・業績管理プロセスについては、まだまだ10年前と大きく変わっておらず、依然としてエクセル・スプレッドシートが大活躍しているアナログな領域だと捉えています。それは、上流にある業務プロセスや会計処理プロセスのDXが進まないとその下流にある予算・業績管理プロセスもDXしづらかったという構造上の問題でもあると考えています。

こう考えると、過去10年で大きく成長してきた業務処理や会計処理のマーケットと同様に、もしくはこれ以上に予算・業績管理プロセスのマーケットというのは大きく成長すると考えています。

SFA/CRM、MAなどのソフトウェアだけでなく、エクセル・スプレッドシートといった非構造データが山ほどある経営管理プロセスの中で、どのようなプロダクト・コンサルティングサービスを作っていくのか?どうやって経営管理の体験を高めていくか?
ここがナレッジラボが向き合いたい課題であり、やっていきたいことなのです。

ナレッジラボの3rd stage

これまでナレッジラボはマネーフォワードグループ内でのIPOを目指していました。それは私たちとしての大きなチャレンジでありましたが、マネーフォワードグループの一員という地の利を消してしまうものでもありました。
マーケットが急激に大きくなる中で、マネーフォワードグループにいながら自社の独立性を保つために自制してきたことがたくさんありました。グループ間でのシナジーを活かすためのさまざまな連携も自分たち自身で制約をかけなければならないことが多く、もどかしく思うことも多々ありました。

そんな中、創業10年目である前期にナレッジラボはVISIONをアップデートしました。

2030年までに成長ビジネスのマネジメント支援領域でリーディングカンパニーになる。
このVISIONは僕たちにとってすごく意味のある目指すべき姿です。このVISIONを実現するためには一社でも多くの顧客に少しでも大きな価値を届けなければなりません。

このVISIONを現実にすることがナレッジラボのやりたいことなのに、このような制約があってやりたいことをフルスイングできない状況のまま進むことが本当にあるべき形なのか?と考えるようになりました。

  • これからも大きくなっていく経営管理マーケットにおいて、私たちができることは何か?
  • もっと大きな絵を描いて大きな価値を実現するためにはどうすれば良いか?
  • 大きな絵を自分たちが描く側であり続けるためにはどうすれば良いか?

ということをここ半年くらいずーっと考えていました。
また、二人三脚で経営しているCEOの門出さんはいうまでもなく、マネーフォワードの金坂さん、竹田さん、山田さんとも議論を繰り返しながら、あらゆる可能性を考え抜きました。
その中で至った結論が、マネーフォワードグループの中で自分たちが中心となってより大きな経営管理事業グループを作り、今までとは次元の違うより大きな事業を作る!ということであり、今回発表させていただいた内容となります。

今はこの方向性を発表できたことに心からワクワクしています。今までできなかったことに次々とチャレンジできるようになる。一切の制約なくフルスイングすることができる
ナレッジラボにとっても、ナレッジラボの全メンバー、またマネーフォワードにとっても最良の決断だったと信じていますし、そうなるようにしていかないといけないと思っています。

10年目の節目の前期、期末の全社総会において、1st stageである最初の5年は事業再生、2nd stageである次の5年はマネーフォワードグループにジョインして経営管理サービスを提供してきました。さあ次の5年はどうやっていこうか?という話をしていました。

まさにここからナレッジラボの3rd stageが始まるんだと思っています。

これまでの延長線でありながら、新しいことをやっていく、これまでのナレッジラボらしさを全開で出しながら未来を作っていきたいと思いますので、これからもどうぞよろしくお願いします!


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