ーまず、ファンドレイジングという仕事内容について教えてください。
カタリバにご寄付いただく際の手続き全般を担当しています。具体的には、寄付の募集、クレジットカード、銀行振込、口座振替などさまざまな決済手段でご寄付いただくためのシステム構築、お問い合わせ対応、寄付金受領証明書の発行など。寄付者の方へのお礼とご報告も大切な仕事です。
カタリバにご寄付いただく方のほとんどが、インターネットでの検索や、SNSなどで表示される広告がきっかけでカタリバの活動を知ってくださった個人や企業の方々です。街頭や郵送などで、私たちから寄付のご依頼をするなどはしていません。
ー寄付者の方々とのコミュニケーションにおいて工夫していることなどはありますか?
毎月発行しているメールマガジンでの活動報告では、子ども支援の現場でのエピソードを通して、ご寄付があるからこそできていることや、カタリバの活動の意義をお伝えしています。
年代や価値観、教育に関する思いが異なる寄付者の方々に、どんな表現なら伝わるか?を担当スタッフが毎月試行錯誤しながら作成しています。
例えば、不登校支援に取り組む事業についてお伝えをする際には、「不登校」という事象の背景や、社会の変化なども含めて丁寧にお伝えするようにしています。
興味を持ってくださった方たちや寄付者の方々にカタリバの活動の意義や価値、社会への影響力などを正しく、わかりやすく伝えていくことは難しいですが、そこが私たちの仕事の醍醐味だとも思っています。
ー仕事のなかでやり甲斐を感じるのはどのような時でしょうか?
寄付者の方々、スタッフ、子どもたちや卒業生などが一堂に会する対面での活動報告会は、面と向かって日頃のご支援の感謝をお伝えできる場でもあり、子どもたちの成長やスタッフのリアルな声を届けられる場です。
他には、業務改善や新しい仕事を立ち上げて仕組みづくりをしている時はワクワクしますね。「いかに効率的に業務を設計できるか」「作業時間を短縮するためにこういうツールを導入したほうがいいんじゃないか」などを考えるのがすごく好きなので。
ーカタリバのファンドレイジング業務もまだまだ改善の余地があるということでしょうか?
そうですね。セキュリティ面の対応や決済方法の拡充など、社会の変化に合わせてアップデートしていくべき部分はあるので、日々改善は続けています。
ーファンドレイジングの経験がなかったなかで、いかにして仕事のやり方を確立していったのですか?
2011年にカタリバに入職し、岩手県のコラボ・スクール大槌臨学舎で勤務しました。そこで事務周りを担当していて、業務の一部として寄付企業への対応もしていたので、ある程度のベースはありました。
そのうえでのファンドレイジング部への異動だったので、少しずつ仕事の幅を広げていったイメージです。もともとシステムエンジニアとしてキャリアをスタートしていたので、寄付管理ツールの使い方などについても戸惑うことはありませんでした。
ただ、ファンドレイジング業務は未経験ですし、マーケティングの知見もありませんでした。上司や先輩、同僚に教えてもらいながら自分なりにやり方を身につけていきました。
寄付企業の担当者の方に育てていただいた部分も大いにありますね。
ー考え方として変わった部分はありましたか?
やりたいことが明確になかったとしても、やるべきことや求められていることを自分なりに動き、やってみることで切り拓かれていく道があることを実感しました。
カタリバには“WILL(実現したいこと)”がある人が非常に多いんです。でも、正直、私はそうではなく、明確にやりたいことがないことは、ダメなのだろうかと悩むこともありました。
ファンドレイジングの仕事の難しさの1つに、「寄付をたくさんいただくこと」が目的ではないという点があります。あくまでも「事業運営に必要な資金を、必要な分だけ寄付いただくこと」が大切なんです。
事業規模や必要な予算を決めるのは、事業側。私たちファンドレイジング部の意志で寄付を集めるのではなく、「事業側が必要な分だけ寄付を集める」役割です。もしかしたら、私に「明確なWILLがないこと」は、そういったファンドレイジング部の役割には合っているのかもしれません(笑)
ーファンドレイジング担当として役割を果たしていくうえで、普段から大切にしていることはありますか?
日々の地道な一つひとつを着実に積み重ねることと、誠実に対応すること、小さな改善を重ねていくことを大切にしたいと思っています。
寄付者の方々からご寄付をお預かりし、活動に使わせていただき、どんなことに使い、その結果、どんな変化が起こったかをご報告するという一連の業務において、このやり方をすれば必ずうまくいくという秘策はないと思っていて。常に改善し続けながら、どうすれば誠実であれるかを考えつづけたいと思っています。
ー入職時から10年以上が経っていますが、当時と比べてカタリバという組織の見え方は変わりましたか?
入職当初から比べると、カタリバの規模は大きくなっていますし、コロナ禍を経て事業数も増えました。でも、一つひとつの判断軸や大切にしている考え方は変わっていないと思います。
たとえば、組織を運営していると大なり小なりトラブルは起きますよね。何かが起こった際の代表理事の今村や常務理事・事務局長の鶴賀や渡邊たちの意思決定や判断軸に違和感を覚えたことはなく、そこへの信頼は、コラボ・スクールにいた時もファンドレイジング部のいまも、変わらないなと思っています。
ー今後どのように仕事と向き合い、カタリバと関わっていきたいと考えていますか?
より多くの個人や企業の方々に、カタリバを知っていただき、寄付という形での参画いただける方を増やしていきたいですし、寄付という形で社会課題へ参画ができることを知っていただきたいです。
そして、ご寄付へのお返しとして、できることといえば、お礼と使い道のご報告しかないんですよね。「寄付してよかった」と感じてもらえるかどうかは、私たち次第。だからこそ、伝えるスキルを磨くべきだし、現場で起きていることを私たちの目線、言葉で寄付者の方々に伝えていきたいと思います。
たくさんの方々からご寄付をいただいて、カタリバの活動は成り立っていますし、ご寄付がないと、活動を続けることはできません。これからもカタリバの活動に対して「価値がある」と感じていただき、「寄付をしたい・続けたい」と思ってもらえるように、きちんと誠実に向き合っていきたいと思います。