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子どもだけでなく
保護者へのサポートが必要
緊急事態宣言解除に伴い、カタリバの拠点がある島根県雲南市でも5月18日から学校が再開。
市内の校舎には子どもたちの明るい声が戻ってきた。その一方で、コロナ禍以前から「不登校」だった子どもたちの多くは学校が再開しても引き続き学校に行っていない。
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「学校が休校になって、正直ほっとしている」と漏らしたのは、カタリバが2015年から運営している雲南市の「おんせんキャンパス」に通う子どもの一人だ。
おんせんキャンパスは、不登校の子どもたちが集い、安心できる環境の中で学習したり体験活動をしたりしながら学校復帰に向けてステップアップしていけるような支援を行っている。緊急事態宣言以降は、オンラインでの学習支援や体験活動に切り替えた支援を行っている。
オンラインで行われる朝の会には以前より多くの子どもが参加するようになり、子どもたちにとってはオンラインの方がハードルが低いことが伺える。おんせんキャンパスのスタッフ、石飛は子どもたちの様子をこう語る。
石飛:「おんせんキャンパスは市街地から離れた山奥にあるので、子どもたちはまず朝起きてキャンパスに行くというハードルを超えなければなりませんでした。対面の良さもありますが、オンラインだから可能になったこともあると思います」
おんせんキャンパススタッフ 石飛紫明 東京都出身。結婚と同時に島根県に移住し、雲南市教育委員会職員として地元小学校に勤務。2015年にNPOカタリバに転職。子育ての経験を生かし、子どもたちや保護者のサポートを行っている。
石飛:『学校が休校になってほっとしている』という子どもの率直な心境を聞くと、やはり普段から自分だけ学校に行っていないとか出席日数に対する不安があるんだろうなと思いました。その一方で、保護者さんたちは仕事や生活に変化があり、「収入が減った、きょうだい同士の喧嘩が増えた」など、今までより家庭内のトラブルが増えたという声が聞こえてきました」
保護者の不安を少しでも解消し、子どもへのサポートにつなげたいと考えたおんせんキャンパスのスタッフは、このコロナ禍でも保護者とのつながりを保ち、不安に寄り添う方法を検討した。
オンライン保護者会で見えた可能性
コロナ禍以前に行っていた対面の保護者会の様子
おんせんキャンパスの保護者会は子どもの状況や学年を問わず、おんせんキャンパスで関わりがある保護者と、雲南市内で子育てに困っている保護者の方が対象。子どもが学校に行かなくなったことで感じる孤立感や、子どもに対しどう接していいかわからないと不安になっている保護者にとって大切な機会だ。
初めてのオンライン保護者会、参加者は5名だったが、普段参加できない層の保護者にアプローチできたという収穫があった。
石飛:「オンライン保護者会は忙しい保護者さんにとって時間の節約になります。また、画面に平等に顔が映るから距離感が同じで、入りづらいという雰囲気もなくって。これならお父さん達も抵抗少なく参加できるのではないかと思いました」
オンラインとオフラインの
ミックス保護者会開催
オンラインの新たな可能性を感じたものの、保護者会のアンケートでは、やはりリアルの場で会って話がしたいという希望が多数だった。そこで、感染予防の対策を施しながらオンラインとオフラインを掛け合わせた新しい形の保護者会に挑戦した。
緊急事態宣言解除後の5月23日に開催したオンラインとオフラインどちらでも参加できる保護者会
今回は「どこからでも参加できる」オンラインの利点を活かし、東京で勤務するカタリバスタッフも保護者会に招いた。
石飛:「雲南市の外の人とつながって話を聞くことって、保護者さんたちにとってあるようで意外とない経験だと思うんです。」
石飛:「私自身、雲南市で3人の子育てをして、特に第一子の進学のときすごく戸惑ったことがあって。
雲南市の子どもたちのほとんどが市内に3校しかない公立高校から進学先を選びます。でも本当は、探せれば選択肢はたくさんあるんです。全日制の学校に行くのが『普通』という価値観を変えられたらいいなと思います」
学校に行かない選択をしている子どもをもつ保護者が外とつながることで、価値観が変わっていくための新しい風を送り込みたい、と石飛は目標を語る。
おんせんキャンパスの挑戦はこれからも続く。
掲載元:KATARIBAマガジン
https://www.katariba.or.jp/magazine/article/report200605/