“対話”を生み出してこそ、メディアは真価を発揮する。inquireのライター・編集者、向晴香がオランダに見た希望
「晴れやかに香る」彼女にぴったりの名前だと思った。柔らかな目元、高く上がった口角に、弾むような声——彼女が笑っていると、どこかホッとする。理由はうまく説明できないが、彼女の笑顔には人を安心させる“何か”があるように思うのだ。きっと根から前向きな人だったに違いない——じっくりと彼女に話を聞くまで、私は勝手にそう思い込んでいた。インタビューが始まってすぐ、彼女は意外な言葉を口にした。「昔から、ネガティブな人間でした」トーンの低い、少し弱気な声。inquireのライター・編集者を務める向晴香の笑顔の裏に、私の知らない彼女を見た気がした。私がこれまで見ていたのは、一面でしかなかったのかもしれない...