こんにちは。株式会社indent採用担当です。
株式会社indentは、原作の執筆をサポートするプロダクトの開発から小説や漫画の制作/出版を行っている会社です。元KADOKAWA社編集長の堤がindentの社外取締役就任に伴い、2023年10月17日に代表の釜形と堤との対談企画が行われ、原作者への熱い思いやindentの未来について話し合いました。
◉ 堤由惟さんのご経歴
異世界フロンティア株式会社・代表取締役。ライトノベル編集者。創業前は、株式会社 KADOKAWA にてノベル編集部の課⻑兼編集⻑。編集者として、TV アニメ化作品『無職転⽣』『盾の勇者の成り上がり』など異世界転⽣系作品を 70 作品以上立ち上げ。21 歳で WEB サービス系ベンチャーを学⽣起業。同社を IT 企業に売却。その後、エンタメ業界に転⾝(フロンティアワークス/アニメイトグループ)、出版事業、アニメイトカフェ事業、海外カフェ事業などの立ち上げにコミット。indent には、2022 年から原作発掘事業のアドバイザーとして参画しており、2023 年 7 ⽉より社外取締役として原作事業の推進に向け参画。
目次
1. 原作者に思いを馳せる二人の出会い
2. 原作者に、より多くの収益を還元する仕組み作りを目指して
3. 企業向け「原作エージェント事業」を通し、作家や作品への投資機会を拡げる
4. 実現したい未来に向けて
1. 原作者に思いを馳せる二人の出会い
釜形:堤さんとご縁をいただいたきっかけですが、立ち上げ時のメンバーからの紹介でしたね。indentは元々、志を共にする10人程のメンバーではじまったのですが、メンバーの1人が堤さんとお知り合いで、アドバイスをいただこうと秋葉原で一緒にお昼ご飯を食べたのが、出会いでした。原作者さんに対する思いや実現したい世界観が一致して、話が白熱したことを今でも覚えています。
堤:僕はその時、前職に在職中だったのですが、釜形さんから非常に面白い話を聞くことが出来たと思いました。「こんな世界が実現したらいいな」と潜在的に思っていたことを、「実現できそう」と思わせてくれたのですよね。それから暫くは、お互いに話をして情報交換をする間柄だったのですが、その後僕が独立をしたことを契機に、「同じ夢に向かって共にコミットしていきましょう」とまずはアドバイザーとして参画し ました。
釜形:あの日は、コンテンツが賑わって一つの文化を生んでいる秋葉原の喫茶店で話をしましたよね。当時の僕は年齢的にもまだ若かった上に、indentも駆け出しの企業。それにもかかわらず、等身大の目線で議論を交わして下さったんです。堤さんのご経歴を考えると、恐縮至極なほど……。だからこそ、参画してくれたら嬉しいなと思っていました。
2. 原作者に、より多くの収益を還元する仕組み作りを目指して
堤:釜形さんの思想にシンパシーを感じたんです。僕が編集者として目指す世界は「作家やクリエイターが持つ見えない価値を、顕在化して最大化する」ということ。例えば、今でこそ異世界作品は普及していますが、僕が最初にレーベルを立ち上げた2013年ではマイナーな分野でした。しかし読んでみると、商業作品とは異なる魅力を持つ面白い作品が沢山あったんです。本質的には魅力のあるダイヤの原石なのに、世間のほとんどが原石の鉱山に気が付いていなかった。だからこそ、その価値に当たり前に気が付いてもらうためにレーベルを立ち上げました。それから10年が経った今では、誰しもに小説や漫画を発表する場所が提供されている時代になりました。次のフェーズは、書籍化・漫画化・アニメ化・ゲーム化といったその先を展開すること。マルチに展開できるこの時代だからこそ、原作の重要性が増すわけです。
釜形:僕も原作に対して非常に力を感じています。海外でも日本のアニメがヒットしたり、まさに原石。だからこそindentは、まずは原作者さんの創作環境の整備に取り組んできました。堤さんとは、その思想が合致しご一緒させていただいていると思っています。
昨今、堤さんが抱く原作や原作者さんを取り巻く環境に対して課題など何か思われることはありますか?
堤:まさしく僕が何故indentに携わるのかに直結しますが、文字通り原石はそのままお店に並べても気が付いて貰えない。例えばSNSでも、動画や画像のような分かりやすい媒体がヒットする中、長文の小説は「気付かれにくい」という点で不遇な時代なんですよね。それにもかかわらず、原作から派生した漫画やアニメの期待値はぐんぐんと上がり、海外からの引き合いも増えている。漫画家さんが原作を書くケースも多々ありますが、原作者がいて漫画やゲームを展開する事例も多くある。後者のパターンにおいては、原作にこそ価値があるのに、原作そのものは全く売れず漫画が売れるという現象を課題に感じています。
釜形:そうですね。原作者さんへの支払いも改善の余地があると感じています。韓国では、縦読み漫画のウェブトゥーンの成長を背景に原作者さんへの報酬としても還元するスキームが出来ている印象ですが、日本では電子出版によるコストメリットをもっと作り手へ還元することができるのではないかと思っています。indentでは、デジタルでの展開だからこそ出来るスキームで、原作者さんへの報酬還元を最大化できる仕組みを作りたいと思っています。
堤:これまで作家さんへの一般的な印税が10%というのは、出版社がリスクテイクしているという点で一定の合理性がありました。ただ、テクノロジーが発展した現在においては、必要以上に在庫を持つ必要が無くなり、電子書籍であれば原価もかかりません。だからこそ、やり方を考えれば、旧来の印税率をはるかに上回る設計にすることも可能だと感じます。
釜形:海外に目を向けるとライトノベル市場もありますよね。例えば国内で伸び悩んでいる作家さんも、翻訳を通してデジタル展開することで、その国の出版社さんに取り上げられて書籍化が進む。そういった世界観も目指し、 indentではコミュニティ翻訳に取り組んでいます。
堤:原作は言語の壁を越えられるからこそ、本質的な価値がある。だからこそ、indentが提供するその環境を支えるためのプラットフォーム「Nola」の価値が高いですよね。僕自身、日本のコンテンツを海外に進出させたいという思いが強いです。日本人が持つユニーク性が顕著に現れる部分だからこそ、日本が原作を生み出すサポートおよび環境づくり、そして作家が収入を生み出す仕組みを作りたいですね。
釜形:モノづくりは、日本という国が誇れるプライドの一つ。日本の作家が輝く世界が広がっている中、そこに対して黒子としてNolaがサポート出来ればと思っています。
3. 企業向け「原作エージェント事業」を通し、作家や作品への投資機会を拡げる
釜形:作品へ投資するリスクを下げることが出来れば、企業側も投資回収の確度が向上しますし、その分作家さんへの支払いも増やすことが出来ると思っています。その取り組みの一つとして、堤さんと共に企業への「原作エージェント事業」を開始しました。
起業家への出資が近い例かもしれませんが、投資家も起業家が持つアイデアだけに出資するのはハードル高いと思うんです。でも、その起業家にマーケティングや経営の知識や経験がある上であれば、斬新なビジネスへの出資もハードルが下がります。
indentは、Nolaというプラットフォームの運営や原作エージェントを通して企業と連携する立場だからこそ、市場や読者に求められている作品のトレンドや特性が分かり、それを作家さんに伝えることが出来る。最終的に購読してくれる読者のことを理解し、考えて執筆した作品は商業時のリスクを抑えられるため、企業側も投資回収が出来ますし、作家さんへの支払いも高められると思っています。この循環構造を目指して、まだ発掘されていない有望な原作を企業に向けて発掘すると同時に、作家さんの商業出版の機会を広げていきたいです。
堤:「原作エージェント事業」には、いわゆるマーケットイン型とプロダクトアウト型という2つの観点がありますよね。読者や企業側のニーズに即してコンテンツを作るマーケットインも、この10年で定着が進みました。投稿サイトではランキングや読者数が見えるから、意識して作品を作れるようになりました。Nolaは作家と読者をつなぐプラットフォームとして非常に重要な立場です。一方、プロダクトアウトも否定は出来ません。
釜形:賛同しています。ただ、プロダクトアウトで作品をつくる上でも、マーケットインの素養が必要と感じています。普段から市場や読者はどういった作品を求めているのだろうと考えながら執筆していくと、段々と思考プロセスの中に染み込んでいくと思います。そうすると、無理に意識しなくても、プロダクトアウト的な流れで作品を考える際にも、自然とマーケットインで培った考え方や知識が反映され、作家自身をサポートしてくれると思っています。
堤:マーケットインで大量のコンテンツが生み出されていった10年後、世の中にまったく異なる価値観を提示する新たな作品が求められるかもしれない。だからこそ、まずはNolaと共にマーケットインを学び、その後プロダクトアウトを目指すのも良いですね。
4. 実現したい未来に向けて
釜形:堤さんと今の取り組みを開始してからは1年が経過しますが、堤さんが持つ原作発掘のノウハウもあり、作家さんの原作を商業化にお繋ぎできる機会を増やすことが出来ました。今は、来年度に作品を発売する準備をしている段階ですね。この仕組み作りに注力できたことは非常に有難かったです。これからも変わらず、作家さんが創作し、挑戦できる環境を提供し、そして世界を広げるという部分でも堤さんと力を合わせ、そして作家さんと共に歩みを進めていければと思います。
堤:僕もこの取り組みに非常にワクワクしています。互いの強みを掛け合わせることで、新たな世界を生み出したいですね!
釜形:そうですね!Nolaを使ってくださっている作家さんの可能性を、もっと拡げられるよう引き続きよろしくお願いします!
ー 株式会社indentでは、原作からコンテンツ産業にアプローチし、作家さんの可能性を拡げるべく共に働き、挑戦してくれるメンバーを募集しています。ご興味のある方は気軽にエントリーお待ちしております。
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