今回はClient Success Department (CSD)で、研修コーディネーターを束ねているDelivery Quality Controllerの”Yuki”です。
アルバイトとしてインパクトとかかわりはじめ、入社、気づけば16年。コーディネーター一筋でやってきたYukiに、インパクトの研修の特徴でもあるプロジェクト・ベースド・ラーニングの意義や、その運営におけるこだわりなどを聞いてみました。
――インパクト歴16年。何にそんなに惹きつけられてきたのですか?
最初に好きになったのは仕事よりもインパクトで働く人たちでしたね。笑
やさしかったり、おもしろかったり、真剣だったり。インパクトの人たちが好き、というのは今も変わりません。
そのうち、研修参加者からお礼を言われるのがうれしくなりました。この場合の研修参加者からの御礼というのは2種類あって。ひとつは、研修の現場で言われるお礼です。「濃い学びの場を用意してくれてありがとうございました」とか言われたりですね。もうひとつは、昔の参加者が人事の研修担当になったり、昇任してプログラムオーナーになったりして研修現場にオブザーブしに来たりしたときです。「人生で受けた研修で一番記憶に残っている」なんて言われた日にはとてもうれしいです。
そうしたあたりから、仕事に対してもこだわりを持つようになりました。今ではプロジェクト(※)をやった後に、参加者が本気で悔しがってくれる様子を見るのが好きです。笑 もちろん達成してもらいたい気持ちもありますよ?けど、達成率30%ぐらい、感覚値ですが失敗するとものすごく悔しい当たりですね、を常に保つのって結構難しくて。正しい難易度、設定、運営が揃わないとできないんです。「あのちょっとした距離が絶妙に難しかった!」や「インパクトにやられた!」といった声が聞こえてくると、今回もうまくできたなって実感します。
※プロジェクト:チームで取り組む課題解決アクティビティ。45分程度のものから日をまたぐような長さのものまで大小100種類ほどのものがある。様々な仕事上のメタファーが込められており、プロジェクトを通して頭だけではなく体も使い、リーダーシップを発揮したり組織としての最適な動きを模索したりする。下の写真のような屋外でのプロジェクトもあれば、室内でのプロジェクトも、オンライン上でのプロジェクトなどもある。
――プロジェクトの話が出てきましたね。プロジェクト・ベースド・ラーニングは非常に強力なツールなのは私も間違いないと考えています。しかし、参加者にとって学びの面では一見すると遠回りな仕掛けでもありますよね?研修を知識やスキルの伝達と場だ定義するならば、非効率な手法だとさえ言えなくもない。そんなプロジェクトを提供するやりがいとはどの辺にあるのでしょう?
大きく2つあるかと思います。
まず、参加者の個人や組織の日常を見事なまでに描き出してしまうところでしょうか。プロジェクトって言ってしまえばゲームみたいなものなのです。一見仕事とは何の関係もなさそうなゲームなのに、普段の振る舞いがおもしろいまでに再現されるんです。短いものなんて45分程度なのに、自分や自分たちがや何年もやってきたことが表れるんですよ?例えば個人だったら、たかが2、3日一緒だった人からもらったフィードバックが、「会社でいつも言われてるけどなかなか直せないことそのままだった」なんてことはザラです。組織の場合では、研修の様子をオブザーブしている人事担当の方が「はぁ…会社のいつもの会議と全く同じことが起きてる…」なんて思わずこぼすのも珍しいことではありません。
これに何の意味があるのか。どうあるのが正解、どうするのが正解といった知識やスキルをどんなに教わったところで、すぐに変われるほど人も組織も簡単ではありません。そうならない理由がなんらかあるものです。そうならない現実を直視して、理由を探究するからこそ、意味のある学びになるのだと私は信じています。
2つ目は、体験という名のごとく、頭だけではなく体にも刻まれるので、記憶が長持ちするところですかね。先ほども「人生で受けた研修で一番記憶に残っている」なんていうコメントをもらうことがあると言いましたが、今でも20年前に受けた研修の様子を事細かに語ってくれる方などもいらしたりします。気温や湿度、プロジェクトの道具の触り心地、プロジェクト中の感情などが合わさっているんだと思います。
――そうしたプロジェクトをはじめとした研修現場を支えるコーディネーターとしてのこだわりには、どんなものがあるのでしょうか?
まず、コーディネーターとしてのこだわりの前に、会社としてのこだわりをお伝えすると、「参加者に人生最高の体験を」です。
プロジェクトだけに限らず、研修すべてを通じて最高だったと思ってもらえるよう、すべての研修において目指していますし、実践しています。その表れとしては、研修後の参加者アンケートが挙げられます。よくある満足度をインパクトでも取っているのですが、そのスケールが異なるのです。一般的には、満足度が1:とても低い~5:とても高いだと思います。しかし、インパクトは、「6」を設けているのです。6は「人生最高の研修(体験)だった」です。チャレンジングな値だとはわかっています。実際、毎回全員が6をつけてくれるわけではありません。それでもプロジェクト・ベースド・ラーニングのような体験学習を実践している会社として、目指すべきものだと考えています。
少し前置きが長くなりましたが、では、その「参加者に人生最高の体験を」のために、コーディネーターとしては何にこだわっているか、ですよね。
それは「場づくりのスペシャリスト」であることです。何を指すか端的に言いますと、「参加者が学びに没頭できる環境を作る」ということです。言葉にしてしまえばそれだけなのですが、実に多岐にわたります。例えばそれは、プロジェクトの難易度の調整だったりします。時にそれは、参加者に見せていいもの/ダメなもの、聞かせていいもの/ダメなもの、触らせていいもの/ダメなものを峻別し、徹底的に参加者の思考ノイズになるものを研修現場から隠すということにつながります。研修資材の渡し方ひとつとっても、渡す順番、渡す際のインストラクションなどに気を配ります。時にそれはコーディネーターの動き方や振る舞いにも影響してきます。原則は落ち着きながらもテキパキと立ち回りますが、プロジェクト後のレビュー(振り返り)の雰囲気を踏まえ、浮かれているようならピシっと引き締める、沈んでいるようならテンションを上げに行くなどといった具合に接し方を変えたりもします。
――そうしたこだわりを持ってコーディネーターに取り組んだ先には、どんな成長が待っているのでしょうか?
大きく分けて3つあるかな。
1つは、基礎としての段取り力と、応用としての先回り力です。アウトドアのプログラムになると、緑豊かな場所への出張などが多くなってきます。何かあっても現地調達というのが非常に難しいんですね。なので、事前の準備というのがものを言います。このプログラムの流れで行くと、いつ、どこで、誰に、なにが、どのように、どれぐらい、どうして必要になるのかをシミュレーションする段取り力が身につくでしょう。また、それをベースとした先回り力も習得できるでしょうね。
2つ目は、現場の感度ですね。例えば、あるプロジェクトを実施するとして、この人数だと、どんなふうに参加者が動いて、何が起き、どのように展開していくのかが読めるようになる、とでもいうのでしょうか。これは、コーディネーターからクライアントパートナー(※)になってプログラムをデザインする際にも、ファシリテーター(※)となってプログラムのディテールを描いたりレビューを仕切る際にも必要になってくるものでしょう。
※クライアントパートナー:顧客のヒアリングを行い、課題形成し、研修全体の流れ描き(メタデザイン)、レポーティングする役割
※ファシリテーター:コンサルタントのメタデザインに基づいた、ディテールデザイン(現場での子細な流れを描くこと)を行ったり、現場でのレビューを行ったりする役割
3つ目としてては、指導力でしょう。コーディネーターには社員と社外のアソシエイト(業務委託スタッフ)とがいるのですが、社員として求める水準をアソシエイトに実現してもらうために、指導する機会が非常に多いです。そうした経験をもとに、後進育成などの力も身につくと思います。
――いろいろお話聞いてきましたが、最後に、そんなコーディネーターに向いている人ってどんな人なのでしょうか?
そうですね、まず、元気でハキハキできる人、です。ポイントは、元気でハキハキ「な」人ではないところです。根は究極どうでもいいんです。ただ、人前に出る仕事ですので、前に立つ限りは元気でハキハキ「できる」人であることが重要です。テンション低いスタッフなんて、それだけで参加者の思考ノイズですからね。笑
次いで、突如何かが起きてもそれ自体を楽しめる人ですね。座学のような予定調和の展開にはならない体験型の学びの場ですので、とっさの対応力が求められます。
そして、人が好きな人でしょうか。人とのコミュニケーションが好きというのももちろんなのですが、人の成長を見るのが好き・成長に関わるのが好き、というのは大事な要素だと考えています。
最後に、あえて付け加えるなら、アウトドアが好きな人です。 プロジェクトにもよりますが、屋外で活動する機会が多いので、アウトドア好きは大歓迎です!