みなさま、あけましておめでとうございます!本年のGunosyのブログをどうぞよろしくお願いいたします。
さて2022年の初頭を飾る今回のテーマはズバリ『エンジニアと読書』。エンジニアにとっての読書とは?具体的な取り組みは?ベテランおすすめの一冊は?などさまざまな角度からGunosyエンジニアと本にまつわるエピソードを拾っていきます!
【お話をうかがったエンジニアのみなさん】
※画像右から
◎久保さん…入社9年目。キャリア最年長。主に機械学習や自然言語処理の分野で活躍。
◎小出さん…入社8年目。得意とするのはインフラ、バックエンド。機械学習や分析も。
◎加藤さん…入社7年目。サーバサイドをメインに幅広い領域で活躍。採用にも関わる。
◎大曽根さん…入社7年目。データ分析を活用したプロダクトマネジメントがメイン。
ベテランの“参考書”をひとまとめに
ーまずはおすすめ本について聞かせてください
加藤:おすすめの本については、そもそも新卒に推薦書を配ったほうがいいんじゃないか、という話からスタートしました。僕らが10年以上のキャリアで積み上げてきた知識をいきなり新人にインプットするのはさすがに無理があるかなと思いまして。
大曽根:我々が仕事する上で読んできた書籍を何冊かセットにして会社からプレゼントして、全部読んできてね、みたいな感じにしたらいいんじゃないのって。全部読まなくとも第一線のエンジニアはこういう要素で成り立ってますよと伝えることが最初の目的でしたね。
ー教育目線だったんですね
加藤:それもありますが、新卒同士の交流目的もあります。入社後の配属はバラバラなので本が横のつながりをキープする共通言語になればいいなと。セットで配るようになったのは2019年の新卒からで、今年で3年目になります。
ーなにか手応えのようなものは?
加藤:おすすめ本セットについては結果的に3年間同じラインナップになりました。そのおかげで2年目の社員が今年の新卒にどういう読み方されているのか意識したり、意見交換したりする場面もあるようです。意図せず自然と縦のつながりも生まれましたね。
ー本を通してコミュニケーションが生まれるのは素敵ですね
大曽根:おすすめ本セットは新卒研修時の取り組みですが、Gunosyではそれ以外にも自然発生的に輪読会が開催されています。プロジェクト的ではなく、あくまで自然というのがいいなと。
学習が好きなカルチャー
久保:輪読会は結構あちこちでやってるよね。年に2~3冊ぐらい、エンジニア界隈で話題になる本があったりするんですよ。そういうのが出ると誰かが手を挙げるという。
加藤:この本一緒に読みませんか?みたいな感じでやってるメンバーいますよね。
小出:社内勉強会みたいな形で一緒に本を読もうという会ですね。
大曽根:読む本やメンバーで進め方とかいろいろあるけど、やっぱりみんなで読むメリットって挫折しにくいところですよね。じゃあ次の集まりまでにこのあたりまで読んでおこうよ、みたいな宿題になったりするので。
ーいわゆる“積ん読”を防ぐと
加藤:しかもそこで話した内容は会社の知見を貯めるwikiみたいな場所にメモしていくので、振り返りもできるんです。
ーエンジニアに読書をすすめると、どんな反応がかえってくるんですか
大曽根:当社のエンジニアは新卒も中途も学習するのが好きなんです。学習好きなカルチャーがもともと根付いている。これ面白いよ、と言ったらみんなごく自然に手にしてくれます。輪読会に別のチームの人が入ってくることもあるよね。全然ウエルカムだけど。
小出:どれを学んだらいいかわかったら集中して学習するよね、みんな。あとこれはウチだけじゃないと思うんだけど、エンジニアって全体的にアマゾンでポチッと買っちゃうフットワークの軽さがある。そのせいかさっき話に出た積ん読になることも…。
大曽根:あとで読むといって買ったけどきっかけがなくて積んだまま、みたいな。まえがきしか読んでなかったり(笑)。
小出:そういうときに輪読会があると自動的に読まざるを得ない環境が生まれて非常に助かるんですよね。
エンジニアにとっての読書とは
ーエンジニアにとって読書とはどういうものなんでしょう
加藤:やはりある程度、知識のアップデートは必要ですよね。特に技術系はトレンドについていけなくなりますから。読書でもWebのコンテンツでもいいんですが、少なくとも何かを読んで知識を最新版にバージョンアップする作業は欠かせないかと。
大曽根:エンジニアってバグを踏んだり障害に当たれば当たるほど強くなるところがあります。だからそれを本であらかじめ知っておくのは実はとても大事で。先に失敗パターンやアンチパターンをインプットしておけば、学習と実践の掛け算で理解も深まりますよね。
小出:いまふたりは予習的な話をしたと思うんですが、一方で復習的な側面もあるかなと思っていて。仕事をしていると自動的に新しい概念に触れて、新しい知識を吸収して、という機会は多いですよね。でもがむしゃらにやっているだけだと体系立ったものにはならない。
大曽根:あ、それわかる。
小出:概念は知っているけど全体としてどうなっているのかみたいなところを、本を読むことで体系立てて理解できるようになると思うんです。たとえばデザインパターンをなんとなく肌感でわかっていても、それに名前がついていることを知らないケースは多い。でも体系立てて理解すれば概念の名前とメリット・デメリットまで構造化して学べるんですよね。
大曽根:それはあるね。あの現象のことをこういうんだ世間では、みたいな発見ね(笑)。
加藤:人に伝えるときも名前があるほうが絶対に便利だし間違わないしね。
久保:僕は技術書はそんなに読まないんだけど、人の心を知るための本を読むことは多いですね。人や組織はこういうことを考えるんだ、みたいな。個人的な興味もありますが、サービスづくりにも少なからず役に立っているんじゃないでしょうか。
ー技術以外にも学びを求めるんですね
久保:逆に機械学習の分野では書籍になっている時点で古いんです。もちろんスタンダードな古典で良い本もありますが、キャッチアップしようと思ったら論文に当たるしかない。Gunosy Tech Labでは毎週論文を読む会があって、お互いの論文を紹介しあうんですが、そこで知識のアップデートを行なっています。
それぞれのおすすめ本を紹介
ーでは最後にお集まりいただいたみなさんよりおすすめの一冊を紹介してください!
◎加藤さん
『Web開発者のための大規模サービス技術入門』伊藤直也、田中慎司 著
僕がエンジニアを目指してみようと思ったときに読んだ本。Webサービスを作るのって面白そうだと知りました。やや古いのですが、ひととおりWebサービスを作る上で知っておいたほうがいいことが網羅されている一冊です。
『ライト、ついてますか』ドナルド・C・ゴース、G.M.ワインバーグ 著
副題に「問題発見の人間学」とあるように問題解決のアプローチが紹介されています。最初はあまりよくわからなかったのですが、社会人3年目ぐらいで仕事の裁量が大きくなってきてから味わい深さがどんどん増してきました。
◎大曽根さん
『ザ・ゴール』エリヤフ・ゴールドラット 著
TOC(制約理論)の名著ですね。最初は当たり前じゃないかと思ったけど、実際には結構ボトルネックを特定せずに仕事しちゃってるなと。以来、いつもボトルネックの解決を意識するようになりました。あらゆる仕事の場面、たとえば人材採用にもプロダクトマネジメントにも横展できる普遍的な知識が得られる一冊です。
◎小出さん
『小悪魔女子大生のサーバエンジニア日記』aico、 株式会社ディレクターズ 著
タイトルからくるイメージとは裏腹に非常に実務寄りな一冊。いまクラウドの時代でブラウザ開いてポチポチやれば簡単に起動するサーバがありますよね。でもその裏側がどうなっているのか、ざっくりした知識を得ることも大事だと思っていて。その点においてこの本はイラストもあり、視覚的にもわかりやすい。サクッと理解できる本です。
◎久保さん
『言語処理のための機械学習入門』高村 大也 著、奥村 学 監修
僕の指導教官が書いた本で、学生時代に読みました。自然言語処理って言葉を機械がどう処理するかという分野なんですが、その中でいちばんの入門書です。機械はどうやって言葉を処理しているのか、これを読めば基礎知識はだいたいわかります。2010年の本なので深層学習などのトピックは扱っていませんが、でも基礎の基礎はそんなに変わるものじゃありませんからね。
みなさん、お忙しいところありがとうございました。常に読書での学びを実践に活かしつつ、実践からの学びを読書で体系立てていくという好循環がGunosy Prideの「サイエンスで機会をつくる」や「百年クオリティ」につながっているんだなあ、と感じました。
今年は例年に増してGunosyエンジニアの実態に迫る企画を実施していきます。お楽しみに!