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日本航空株式会社(以下、JAL)が運営する旅コミュニティサイト『trico(トリコ)』。2019年2月にローンチして以来、GIGでは、JAL公式サイトでは伝えきれないさまざまな活動や裏話などを届ける「特集コラム」のコンテンツ企画・制作を担当させていただきました。
現在、『trico』のユーザー投稿数は毎月3,000件を超え、Web広告研究会が主催する「2019 Webグランプリ」では優秀賞に選出される(※1)など、多くの注目を集めるコミュニティサイトに成長しています。
今回『trico』を担当されているJALの山名さんと久富さん、サイト制作やコミュニティ運用を手掛けている株式会社イーライフの多良さんに同席いただき、『trico』プロジェクトを振り返っていただきました。
聞き手は『trico』特集コラムのコンテンツ制作を担当したGIGの塩野です。
制作体制の安心感とコンテンツの質が決め手
GIG塩野:あらためて、JALの旅コミュニティ『trico』をスタートするに至った経緯を教えていただけますか?
山名:もともと私たちは、SNS公式運用チームとしてFacebookとInstagramの運用を行いながら、企業サイトの運営も担当しておりました。2016年には英語版のFacebookページを立ち上げたり、ソーシャルリスニングを強化したりとSNS施策を展開し、JALの世界観づくりを強化していったんです。
結果として、ユーザーのエンゲージメントは向上し、1対nのコミュニケーションを確立できてきた、という状況になりました。一方で、ファン同士のコミュニケーションができていないことに気づいたのです。
そこでユーザーが相互コミュニケーションを行える場、つまりコミュニティが必要だという結論にいたり、2018年8月に本プロジェクトがスタートしました。
GIG塩野:『trico』ではユーザーによる投稿コンテンツだけでなく、JAL発信のコンテンツもあります。コンテンツの発信に双方向性を持たせたのには、理由があるのでしょうか?
山名: “場所”だけつくって「さぁ、どうぞ」としてもコミュニティは機能しないと思ったんです。まずは、コミュニティに来てくれた方が喜んでくれるような、JALだからこそ発信できるニッチな情報をコンテンツとして出したいと思いました。
またJALのマーケティングとしても、検索流入を獲得したいと考え、ユーザー投稿だけではなく、SEOの視点からJAL自らコンテンツを発信していくことが重要であると考えていました。
GIG塩野:今回、JAL発信のコンテンツ企画と制作を担当させていただきましたが、GIGに依頼してくださったきっかけや理由を教えていただけますか?
山名:偶然の出会いだったのですが、ちょうど『trico』のコンテンツ制作をお願いできるパートナー企業を探していたときに、とあるビジネスイベントで名刺交換をしたのがGIGの方でした。
当時、他にも複数社の候補があったのですが、お話を聞いてGIGは制作体制がしっかりしていると感じました。企業によっては制作体制にさほど力を入れておらず、ライターの方に丸投げといったところも見受けられたので、GIGは安心してお任せできそうだと。
またGIGのコンテンツ制作実績を拝見し、制作者の質もコンテンツの質も良いと感じたため、GIGに依頼しようと決めました。
長期的なブランド構築を目指して「ファンづくり」につながるコンテンツを
GIG塩野:リリース初期は、ユーザーニーズを把握することを主眼に置いてコンテンツを企画・制作していきました。たとえば「ローカルフードに焦点を当てれば、旅慣れたユーザーが興味を持ってくれそうだから、特集記事をつくってみよう」など、JAL様側からもアイデアを出していただきましたね。
またイーライフ様からは、コミュニティのユーザーから届いた生の声や、アクセスデータを活かした取材テーマの案やSEO記事の切り口を出していただきました。長年のコミュニティサイト運用経験を活かしたご提案をもとに、コンテンツを作成したところ、ユーザーの心を掴む記事に仕上がったと思います。
編集会議では、三社がそれぞれ持ち寄った企画をブラッシュアップしていけたのがよかったですね。
山名:月に何本記事を配信すると決めていても、なかなか企画は決めづらいですもんね。私たちも、はじめはどういった企画がユーザーに求められているのかわかりませんでしたが、いろいろな企画を展開した結果、“JALならでは”のコンテンツが求められていると気づきました。
多良:“JALならでは”の視点から生まれた、CAのバッグの中身を公開する記事は読者からとても好評でしたね。JALで働くヒトを取材するものは今後も企画していきたいです。
GIG塩野:弊社が企画と制作を担当させていただくなかで、印象に残っていることはありますか?
久富:取材時にしっかりとJAL社員の人間性を引き出してくれる姿勢が印象に残っています。たとえば、ラグビーをやっていた社員、ロシアが大好きな社員などにフォーカスするなど、職種の切り口だけでなく、社員の人となりの切り口でコンテンツをつくっていただけたのは嬉しかったですね。
GIG塩野:ありがとうございます。『trico』のユーザーに、JALが大切にしている価値観が伝わるコンテンツにすること、またコミュニティサイトである『trico』が発信すべきコンテンツは何か、ということは常に意識して進めてきました。
また『trico』は、目先のPVや数値を追って運営するというより、長期的なブランド構築が目的のメディアです。だからこそ、短期的な目線にならず、しっかりファンづくりができるコンテンツをつくっていこうと取り組んでいます。
多良:実際『trico』のコンテンツには、ユーザーからのコメントが多く集まります。とくにユーザーの投稿を元に作るまとめ記事はtricoならではのキラー企画なので、今後も積極的に作っていきたいですよね。
GIG塩野:「旅の参考にします」「素敵な記事をありがとうございます」といったコメントをいただくことがありますね。このようにユーザーからダイレクトに感想をいただけるのは、JAL様がこれまで培ってきたブランド力の賜物だと感じます。読者とコミュニケーションをとれた喜びと同時に、パートナー企業の一員としてJALのブランドを守っていかねばと身が引き締まります。
山名:『trico』のユーザーを招いたリアルイベントを行うようになってからは、ユーザー同士の交流も増え、さらに盛り上がっていきましたね。
リリース1周年のキャンペーンのときは、通常1日150件ほどのコメントに対して、1,000件以上のコメントが集まり、コミュニティとしてしっかり機能していると感じています。
ユーザーに愛されるコミュニティをさらに盛り上げていきたい
『trico』投稿「おかげさまで!DiscovaがWebグランプリで優秀賞を受賞しました🎉」より引用
GIG塩野:今回、2019 Webグランプリの優秀賞に『trico』が選ばれましたね。
山名:実は『trico』、広告出稿はしておらず、工場見学のパンフレットなど自社媒体に少し露出しているだけなんです。それにも関わらず、『trico』を見つけ、優秀賞に選んでいただけたのは嬉しく思います。
受賞についてプレスリリースを出した当日に、『trico』内でユーザーから喜びのコメントが寄せられて。こんなに『trico』を愛してくれているユーザーがいることをあらためて感じた出来事でした。受賞によって何かが大きく変わったわけではありませんが、これを機に他の企業とのコラボ企画などもできたらいいなと感じています。
GIG塩野:あらためて今回のプロジェクトを振り返り、GIGに依頼してよかったなと思えることはありますか?
山名:新しい企業との取り組みは、認識合わせに時間がかかってしまったり、初動がスムーズではなかったりすることが多いなか、GIGとの取り組みはスムーズで、比較的短い時間でエンジンがかかっていったと感じています。
これまで約1年間ご一緒させていただきましたが、型が定まりきらない立ち上げのフェーズから、一貫して塩野さんが担当してくださったのはとても嬉しく思っています。
GIG塩野:私自身も立ち上げからさまざまな企画に携わらせていただき、非常に学びの多い1年でした。
山名:これまでの積み重ねがあるからこそ、変化球的なコンテンツにチャレンジできると思っています。今後はいい意味で “JALっぽくない” コンテンツにもチャレンジしていきたいですね。
GIG塩野:最後に、今後の展望を教えてください。
山名:約1年間『trico』を運営してきたことで、多くの知見がたまってきました。
これからも、より多くの方に楽しんでいただけるようなコミュニティにしていきたいと考えていますし、一方で私たちが何もしなくても、ユーザー同士が自由に盛り上がってくださるようなコミュニティになっていってほしいなと思っています。
ユーザーがやりたいことに対して、私たちJAL側が参加する、というくらいのコミュニティに育てばいいなと考えています。
GIG塩野:ありがとうございました!
(※1)「2019 Webグランプリ」受賞時のサイト名称は「JAL Discova」