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根羽村 SDGsジュニアキャンプを開催しました!

長野県根羽村では、昔から矢作川の流域連携で繋がりのある愛知県の安城市からの委託でSDGsジュニアキャンプを実施しました!安城市の小学生4年生〜6年生40人を対象に2回、計80人の子どもたち対象の企画でした。

根羽村(長野県)|株式会社FoundingBase
▶社員   Education Div. Manager 新免 琢弥  Education Div. Director 坂口 尚仁  根羽村は長野県の最南端に位置し、愛知県との県境にあります。森林が占める割合が92%でほとんどが山や森です。 ...
https://foundingbase.jp/n/n89ed97e1b258


根羽村の一般社団法人ねばのもりが中心になり、FoundingBaseが企画を考え、根羽村森林組合、猟友会、郷土料理をつくる地元のおばあちゃんたちで結成された「杉っ子」、根羽村の近く飯田市から「感環自然村」の皆さん、平谷村の地域おこし協力隊などなどなど、たくさんの村内外の方の協力で行いました。

このキャンプが行われた背景

根羽村には「矢作川」の源流があります。その流域である安城市は「水を使う者は自ら水をつくれ」との崇高な理念のもと、大正3年から共同で水を作る森を管理しています。

安城市は、もともと水の無いやせた土地で、当時は、朝の5時から夜の9時まで、一日中ため池の水を田んぼに撒いても、必要な量には全く届かず、何日もそんな作業をしていたという記録も残っているくらい水に困っていたという記録が残っています。

そんなことを経験をした安城市では、水やそれを作っている森を守ろうという想いが受け継がれてきました。そんな想いを未来も絶やさぬようにと、安城市と根羽村は数々の企画を行っています。

ちょうど今年、安城市も根羽村も「SDGs未来推進都市」に選ばれたこともあり、その企画の1つとして、SDGsをテーマにした「SDGsジュニアキャンプ」が企画されました。

キャンプのテーマ

キャンプのテーマは、「SDGs」。今回、SDGsというのは、近代化してきたことによる功罪を整理して、地球全体を自分の住む場所として社会の中のひとりとしての意識や行動を求めるものだと定義しました。

どうしてもSDGsをテーマにした教育や環境教育では、「プラスチックは使ってはいけない」「石油は環境に良くない」とマイナスな面ばかりが表に出がちです。もちろん危機感も大事ですが、今回注目したのは、近代化の功罪の「功」の部分です。SDGsは、「持続可能な開発目標」と言っている以上、先人の培ってきた技術、つまり、功罪の「功」の部分と共に生きていくことは必須です。

今の生活があるのは先人のおかげであることを「受け入れ」、開発や技術を受け入れた上で、環境とどうバランスをとっていくかを考えてもらおうと思い、企画しました。その上で、

①近代化によって引き起こされた弊害の認知をする
②自然への感謝をする
③近代化のため努力してきた先人への感謝をする 
④環境と開発のバランスを取れた未来を思考する

という4つの要素を網羅するコンテンツをつくり、SDGsという世界観を再現しました。

水源の森探索

キャンプは大きく分けて、午前と午後の2部構成に分かれていました。その様子をお伝えしたいと思います!

 まず、午前中は、安城市と根羽村で共同管理している通称「水源の森」の探検でした。自然の面白さや安城市との生活のつながりを体験することで、②の自然への感謝の気持ちを持ってもらえることを目的に行いました。

 探索の中でのミッションは、「自分のお気に入りのものを見つけること」でした。普段見ている観点とは違う角度でも、根羽村の自然を見てもらいたかったので、山に詳しい根羽村森林組合の方々や、根羽村の自分の山でコンテンツをつくり、実施されている方にガイドをしてもらいながら歩いてもらいました。

ものすごい長い枝を持ってくる子がいたり、ネバダコガエルという根羽村で発見されたカエルを見つけようとする子がいたり、ガイドの方から紹介された「クロモジ」という植物を大事そうに持っている子がいたり、普段なかなか見たり触ったりできないものに興味津々でした。

自然のものを使ったクラフト体験

午後には、「身の回りにあるものを自然のものだけで作ろう!」というテーマでワークをおこないました。枝や石、竹だけで机や椅子、釣りざお、流しそうめん台ならぬ、流しフルーツ台など、各チーム、思い思いに自分たちのつくりたいものを作っていました。
 ここで狙ったのは、自然のものだけで何かを作る難しさを感じること。逆説的に、プラスチックや金属などの人工物がどれだけ便利かを考えるきっかけとなる体験をしてもらうことでした。つまり、上に書いた②自然への感謝 ③近代化のため努力してきた先人への感謝の部分を感じてもらいたいワークでした。

実際に、かなり見た目もきれいな大きな机を作ったグループもいましたが、キャンプの振り返り中に壊れてしまうという事態も起こりました。自然のものだけでは今の暮らしは維持していけないことを体験してもらえたのではないかなと思っています。

振り返り

最後は、参加者全員で振り返りを行いました。水源の森で感じた「自然の良さ」と、クラフト体験で感じた「自然だけでは生活の難しさ」を踏まえて、「自然の良さ」×「便利な技術」で「環境に配慮した便利な技術」のアイデアを出すことを最後のまとめとしました。
 出たアイデアの中には、「ネバタゴガエルが住める環境を都会で作る!」や、「川の水で宅配便をする」など、それぞれが根羽村の森で感じた良さを活かしながら、便利な生活を実現しようとしているものも見られ、非常に良かったです。

実施してみて感じたこと

このキャンプを通じて、子どもたちは、普段安城市では感じられない自然の良さと大変さの両面を感じられたと思います。水源の森に入っていったときの空気や、自然のものだけで作った椅子や机の脆さや不便さなど、それはどこかの誰かが言ったことではなく、本に載っていることでもなく、自分が体験したものです。最後のまとめで、「根羽村の空気を安城に送りたい」というアイデアや、「カエルの住める環境を安城市に作る」というアイデアが出ました。ただ単に「環境にいいことだからしよう」ではなく、「根羽村みたいな自然がなくなっちゃうから環境にいいことをしよう。でも、自分の生活が不便になるからどうしよう。」と、手触り感をもって、考えるきっかけになったキャンプになったと思います。

まちづくりの観点では、安城市と根羽村の2つの自治体が「流域」というキーワードでお互いに支え合うことは、今後、地方自治体が生き残っていく1つの形だと思っています。そういう意味で、安城市の子どもたちには、こういった企画を通じて、根羽村という「地域」も好きになってもらいたいと思っています。我々の教育事業が掲げている「地域が好きな人を育む」の「地域」は、自分の生まれたところだけではないと思っています。

小学生の時、面白い経験をした場所や、何か挑戦した場所、つまり、原体験のある場所を「地域」であると定義しています。安城市と根羽村の企画は今後も続いていきます。安城市の子どもたちが少しでも根羽村を好きでいてくれるような企画を作っていきたいと思っています。

 今回たくさんの人のご協力の元、このキャンプが実現しました。森林組合の方々の他にも、お昼ごはんには、根羽村の郷土料理を作っている「杉っ子」の皆さんに五平餅を、猟友会の皆さんに、猪鍋を用意していただいたり、キャンプ全体の安全管理スタッフとして、根羽村の近くの飯田市で子どもたち向けにキャンプ事業を行っている「感環自然村」の方々、運営スタッフとして、根羽村やお隣の平谷村に縁あって移住してきた方々、各地から集ったFoundingBaseのスタッフ、本当に様々な方々にご協力いただきました。

秘伝のレシピで作っている五平餅や猪鍋の美味しさ、当日が安心して行えるような安全管理、苔や匂いのある植物など多様な切り口で語られる自然。確かに、たくさんの人を巻き込むことによって大変なこともたくさんありましたし、ご迷惑をおかけすることもたくさんありましたが、皆さん、それぞれが持っている良さ、能力を発揮し、それがかけ合わさって、良いキャンプを実現できたと思っています。「協働し、共創する」ことの難しさを感じつつも、それ以上の良さを実感できました。

ご協力いただいたスタッフのみなさん、本当にありがとうございました。

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