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時短勤務者も、未来を担う子どもも貴重な“人” データ活用で可能性を広げる~ ウイングアーク1st 田中潤 社長×駒崎弘樹~

この度、大手ソフトウェア会社 ウイングアーク1st社から、「Dr.Sum」を始めとする各種ソフトウェアを中心に、およそ1000万円相当を、寄贈していただくことになりました。

NPOであるフローレンスがこうしたシステムに、多額の資金を投入することが難しい中、このようなご支援をいただき本当にありがとうございます!

ということで、今回、ウイングアーク1st社の代表取締役社長の田中潤さんに、フローレンス代表の駒崎が、“ウイングアーク1st社がNPOを支援するのはなぜなのか”その思いを伺ってきました。

ウイングアーク1st株式会社

帳票基盤ソリューション「SVF」、文書データ活用ソリューション「SPA」およびBI製品「Dr.Sum」「MotionBoard」のソフトウェアとクラウドサービスを提供し、企業の価値を高める情報活用の実現を提案しています。ひとのパフォーマンスを最大化する「Data Empowerment」を理念としています。
http://www.wingarc.com/


代表取締役社長 田中 潤さん

システム開発エンジニアとして、主に企業の業務システムやWebアプリケーション、ECサービスの開発に携わった後、2004年にウイングアーク1st株式会社に入社。2011年、開発を統括するCTO、2017年、全社の事業を統括するCOOを経て、2018年代表取締役社長に就任。

データを使えばコミュニケーションもスムーズに!残業も減って余裕が生まれる


駒崎:この度のご支援、本当に嬉しいです!ありがとうございます。今回、ご提供いただくソフトウェアによって、経営に必要な様々なことが、データによって管理したり分析したりできるようになります。

田中さんは、どのような観点で、企業において、データの活用や管理することが必要だと考えていますか?

田中社長:データをうまく活用することによって、社員の能力をさらに引き出すことができると思っています。

特に、社員同士のコミュニケーションにおいて、データ活用は非常に重要ですね。例えば、「少ない」と「多い」では、一言ではどのくらいの量か、人それぞれの感じ方で違ってくる。言葉一つのすり合わせのために時間がかかってしまうこともありますよね。

そんな曖昧な言葉を、データにして全て“見える”ようにすると、お互いコミュニケーションで使う言葉が完全に一致したりするんですよ。

「あと何件足りない」「いくら足りない」などをデータ化すると、コミュニケーションの中でも明確に言えるようになります。

そうすると、“意識合わせミーティング”のようなものがいらなくなってくるんです。無駄な業務をやめることができて、帰宅の時間も早くなったりします。

時間に余裕が出てくると、新しいアイデアを出す余裕もでてきて、事業がどんどん活性化していっています。

駒崎:なるほど!それは素晴らしいことですね。

企業によって一番大切なものは、社員とのコミュニケーションだと僕も思っています。データ活用によって社員が気持ち的にも余裕が生まれ、企業の成長につながるアイデアも生まれるということですね。

それはまさにフローレンスが目指すところです。社会には解決すべき問題が山積みなので、次々新しいアイデアで進めていきたいと思っているんですよ。

働きたいけど働けない人の支援で日本の未来は変わる


駒崎:フローレンス以外にも、NPOなどソーシャルセクターの支援をしていますよね。どうしてウイングアーク1st社は、社会貢献活動に力を入れているのですか?

田中社長:社会貢献活動がスタートしたきっかけは、7年前に認定NPO法人国境なき医師団様から「ウイングアーク1stのソフトウェアを使ってみたいけど、値段が高いから使えない」と相談されたことでした。私たちの技術をビジネスの分野だけでなく、ソーシャルセクターでも必要とされているのだ、とこのとき感じました。

いま私たちは、社会貢献活動の軸として、これから未来を担う人と、今現在働きたいけど働けない人をどうやって支援していけるか、に置いています。

駒崎:働きたいけど働けない人の支援とは、具体的にどんなことをしているのですか?

田中社長:例えば、産休育休から復職した女性社員。日本では、育児と仕事の両立を難しく感じて、復職しないで辞めてしまう方も40%を超える、と言われています(※)。

※出典:内閣府男女共同参画局
「第1子出産前後の女性の継続就業率」及び 出産・育児と女性の就業状況について

田中社長:実は、我が社にも女性社員が多いのですが、産休復帰率が100%なのです。全員復職して働いてくれています。

駒崎:それはすごいですね!

田中社長:これは、私たちの強みである、データをうまく活用している成果でもあります。無駄を減らし、時短勤務の中で可能な業務が整備され、リモート勤務もできるようになりました。

本当は働きたいけど、うまく働く時間を作れないとか、ちょっとだけしか働く時間を作ることができない。そんな人たちを、データ活用によってどのように支援できるか、日々考えています。

駒崎:時間や場所を臨機応変に選べて勤務できるようになれば、育児との両立もしやすくなりますね!フローレンスでも在宅勤務など、柔軟な働き方ができるように進めています。短い時間でも能力を発揮してくれれば、それだけで会社としてはありがたいことですよね!

他には、何かやっていることはありますか?

田中社長:障害者の方にも、データ活用によって働きやすい環境を作っています。私たちは、IT技術を使って農園を経営しているのですが、障害者の社員の方に、働いてもらっています。


農園「わくわくファーム」

田中社長:例えば、水分量が変わった場所をピンポイントでわかるようにして、どうやって水を撒けば均等になるかを把握できるようにしています。

また、働く人の体調管理にもデータを活用しています。

ビニールハウスでは、温度が上がりすぎて、体調が悪くなっても周りが気付かない可能性があります。そのため、センサーで室温が一定以上高くなると自動的に窓を開閉できるようにしています。

駒崎:なるほど。これは、障害者の方に限らず、業務の効率化に役立てられそうですね。どんな人でも、データを使うことによって、働く環境を生み出すことができる。今後どんどん人手不足が加速するので、この視点は重要になってきますね!

田中社長:その通りです。私たちの企業理念である「Data Empowerment」は、まさにこれを表しています。データに力を与えることによって、人の潜在能力を引き出すこともできます。

未来への投資 日本の将来を支える子どもたちの支援も

駒崎:もう一つの社会貢献活動の軸を「これから未来を担う人の支援」とおっしゃっていましたが、これはどのようなことですか?

田中社長:主に子どもたちや若い人たちへの支援です。

例えば、今年の春休みには、子どもたちを対象としたIT教室を開催しました。これは、単なるプログラミングを教えるとか、お勉強の教室ではないのです。

駒崎:え?どういうことですか?

田中社長:ITとものづくりが、子どもたちにもっと身近でわかりやすい存在にすることが教室の目的なのです。

最近では、小学生のなりたい職業の上位に、「ユーチューバー」があがっていますよね。

駒崎:うちの子もなりたいって言ってますね(笑)。


田中社長:ユーチューバーは、今の子どもたちにとって、すごく身近な存在だからだと思います。

そんなユーチューバーのように、エンジニアリングの面白さを知ってもらい、IT技術者も身近な存在になれば、将来この職を目指してくれる子どもたちも生まれるのではないかと考えて教室を開きました。

今回の開催は2回目となり、延べ46名のお子様に参加いただき、大盛況でした。


子どもIT教室「LITE1」(ライトワン)


子どもIT教室「LITE1」(ライトワン)

田中社長:私たちのもう一つのビジョンに「Shape the Future」ということも掲げています。未来を形創るためには、今から活躍してくれる人を育てることがとても大切です。

これから働き手が減っていく中で、人の力を補えるのはIT技術しかないと私は思っています。まず知ってもらって、この仕事を楽しそうと思ってくれる子どもたちを増やしてくことで、将来の日本のIT技術開発を背負っていけるような人材が増えることを願っています。

駒崎:日本の未来への投資のようにも感じますね。新しい視点の社会貢献活動ですね!面白い!

教室を行うにも、けっこうお金もかかると思うんですけど……。

田中社長:全部私たちが、持ち出しで行っています。

駒崎:持ち出しで!すごいですね!


ウイングアーク1st社とフローレンスの共通するビジョン

駒崎:今回、フローレンスにソフトウェアの提供でご支援いただいたのは、どういう理由からですか?

田中社長:育休から復帰した女性社員からの提案がきっかけでした。彼女から、フローレンスの活動の話を聞き、一緒に何かできないかと提案されました。


鹿島 忍さん
経営管理部、IR室
育休プチMBA認定ファシリテーター
育休からの復職を経て、育児と仕事の両立視点からの社会・組織貢献を考えるようになり、今回の提案に至った。

田中社長:話を聞き、最終的に支援を決めた理由は、フローレンスのビジョンや事業に共感したからです。

例えば、ひとり親に病児保育を安価で提供して、安心して就労できる環境を作っていることや、子どもたちが虐待を受けずに愛情豊かに育つための支援。私たちの社会貢献活動の軸にしていることと通じるものがあると思いました。

同じような思いで活動している方々と一緒にやりたい!と支援を決めました。

駒崎:一人の子育て中の社員からの提案だったんですね。その提案を採用する度量にも感銘を受けます!ありがとうございます!

データによって人の価値を上げる「データによるエネルギー革命」

駒崎:データ活用をうまくすれば、一人ひとりの人間が、今まで以上に価値ある存在になるのではないか、とワクワクしますが、今後はどんなことを目指していきたいですか?

田中社長:日本で、データの力による「エネルギー革命」を起こしたいと思っています。

駒崎:エネルギー革命?ですか?

田中社長:データをちゃんと使えるようになると、人が単純作業をやらなくてよくなっていきます。そうすると、一人ひとりの大切な労働力や時間を、考えたり、新しいものを生み出すといった人間にしかできないことに使うことができる。これを私は、新たなエネルギーを生み出すことと同じことだと思っています。

駒崎:なるほど。人間にしかできないこと=“新たなエネルギー”ということですね。まさに革命ですね!

田中社長:そうです。こうやって、どんどん人の価値をデータの活用によって高めていけるようにしたいです。私はこれを「データによるエネルギー革命」と呼んでいます。

駒崎:データによるエネルギー革命、いいですね!

ソーシャルセクターでも、この革命を起こせれば、もっともっとたくさんの人を助けられるアイデアを生み出すことができると思います。

ぜひ、ウイングアーク1stさんと共に、データによるエネルギー革命を起こしていきたいなと思っていますので、よろしくお願いします!

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