今回は、弊社代表取締役社長の山本寛大にインタビューを行い、会社設立の経緯や事業内容、今後の展望などについてお話を伺いました。

浅草からシリコンバレーへ、そしてenstemの創業へ

――まずは、山本社長の経歴についてお聞かせください

山本：私は浅草で生まれ、中学・高校時代をシリコンバレーで過ごしました。この経験が、日本の伝統とテクノロジーの可能性を融合させる私のビジョンの基盤となっています。大学卒業後はGoogleに入社し広告営業に従事しました。その後、AI技術に興味を持ち、Cogent Labsでビジネス開発マネージャーとして働きました。

――enstemを創業された経緯を教えてください

山本：2019年6月にenstemを設立しました。創業の思いは、「人の可能性を最大化し、現場の課題を解決する」という使命感に基づいています。浅草での経験から人とのつながりや現場の大切さを、シリコンバレーではテクノロジーの可能性を学びました。これらの経験と、GoogleやCogent Labsでの職務経験から、テクノロジーで社会に価値を届けたいという思いが強くなりました。

生体データを活用したサービス展開

――事業内容について詳しく教えてください

山本：当社は、生体データを活用したサービスを提供しています。主力製品のNobi for Driverは、運転手の健康管理と事故リスク軽減に貢献しています。また、MAMORINUというサービスも運用しています。これらのサービスを通じて、ノンデスクワーカーの健康と安全を守ることを目指しています。

具体的には、Nobi for Driverでは、スマートウォッチを装着したドライバーの心拍データをリアルタイムに分析し、眠気の兆候や健康起因の事故リスクを軽減します。例えば、先日ある運送会社での実証実験では、Nobi for Driverの導入により、ドライバーの居眠り運転のリスクが30%減少し、健康起因の事故が50%削減されました。

MAMORINUは、倉庫や工場などの作業員向けのサービスで、熱中症や転倒、心拍異常などのリスクを事前に検知します。ある大手製造業での導入事例では、作業員の熱中症リスクが45%低減し、労働生産性が15%向上したという結果が出ています。

――サービス開発において大切にしていることは何でしょうか？

山本：現場主義、イノベーションと実用性の両立、継続的な改善、そして倫理的配慮を大切にしています。特に、現場に足を運んでユーザーの声を直接聞くことを重視しています。また、最新技術を活用しつつ、使いやすさを追求することで、真に役立つソリューションの開発に努めています。

例えば、Nobi for Driverの開発では、実際に長距離トラックドライバーとして1週間同乗し、彼らの日々の課題や悩みを深く理解しました。その経験から、単なる健康管理だけでなく、ドライバーのモチベーション向上にも繋がる機能を追加しました。

組織拡大と今後の展望

――今後の組織についてはどのようにお考えですか？

山本：事業拡大に合わせた組織強化を進めています。戦略的な組織構造の構築、人材育成とエンパワーメント、フラットな組織管理などを通じて、持続可能な成長を実現したいと考えています。また、採用活動にも深く関与し、組織と事業の拡大に積極的に取り組んでいます。特に、AI領域の採用に注力し、より高度な予測モデルの開発を進めていきます。

――最後に、enstemの今後の展望をお聞かせください

山本：私たちのミッションは「すべての人に最高の生き方を」提供することです。今後は、業界を問わず生体データを活用したサービスを広げていきたいと考えています。例えば、建設業や農業など、他の労働集約型産業への展開を計画しています。

また、国内だけでなく、2026年までにアジア市場への進出も視野に入れています。特に、交通事故率の高い東南アジア諸国でのNobi for Driverの展開に大きな可能性を感じています。

さらに、蓄積された生体データを活用した新しいビジネスモデルの創出も検討しています。例えば、保険会社と提携し、より精緻なリスク評価に基づいた新しい保険商品の開発なども視野に入れています。

一人一人との縁を大切にし、それが幹となって広がっていく様子を見届けることが私の夢です。テクノロジーの力で社会に価値を届け続けることを使命とし、共に未来を創り上げていきたいと思います。