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「体験価値の分析が企業を変える」エモーションテックが語るプロダクト開発の裏側

こんにちは!エモーションテックHR Divisionの採用担当です。

今回は、Tech Team Jornalに掲載されたCPOの吉田のインタビュー記事をご紹介します!エモーションテックのプロダクト開発の裏側について語っていますので、ぜひご覧ください。

※本記事は、2024/4にpaiza株式会社のWebメディア『Tech Team Jornal』に公開された記事を、許可を得て転載しています。

「体験価値の分析が企業を変える」エモーションテックが語るプロダクト開発の裏側

「体験価値」の可視化と活用は企業の成長やエンゲージメント強化の重要なファクターとなっている。現在、エンジニア組織でDX(開発者体験)の認知が進んでいるように、従業員や顧客の体験を向上させることで、生産性の向上や売上増など多くの効果がもたらされる。一方で、顧客や従業員の体験を定量的・定性的に分析し、企業活動に活用していくためには高度な専門性が求められる。そのため、社内の理解が得られず具体的なアクションにつながらない企業も多い。

株式会社エモーションテックは、CX(顧客体験)、EX(従業員体験)をはじめとするマネジメントサービス群「EmotionTech」を提供している。「分析をする組織から行動して顧客体験を変えていく組織へ」を掲げ、分析をよりわかりやすく、企業活動に活かしやすくするサービスを展開している。それらはどのように開発されているのだろうか。同社プロダクト開発の裏側について、開発責任者を務める執行役CPO吉田 翔氏に聞いた。

創業者の著作がきっかけで入社、あらためて感じたCXやEXのおもしろさ

吉田さんがエモーションテックに入社したのは2021年。それまではSIerでシステム開発を経験した後、スタートアップの共同創業者としてプロダクト開発に従事し、その後も複数のスタートアップでCTOやVPoE、開発マネージャーを歴任してきた経歴を持つ。

「実は、共同創業者を務めていたスタートアップの資金調達先がエモーションテックと同じで、その縁で代表の今西とは以前から顔見知りだったんです。しかし、しばらくは一緒に仕事をするという話ではなく、スタートアップの創業者同士として交流していました」

吉田さんはなぜ同社に入社したのだろうか。転機となったのは、同社代表の今西氏が共著「CXM 実践的カスタマー・エクスペリエンス・マネジメント」(日経PB社、2019年)を上梓したことから始まった。

「SIerからスタートアップの共同創業者になったのは、顧客向けの機能開発をするよりも、1つの問題にとことん向き合ってプロダクトを開発していきたいと思ったためです。しかし、いざサービスやプロダクトをつくっていくとなったとき、顧客の課題解決を考えてトライするのですが、なかなかうまくいかない。そんなときに知ったのが、CXという考え方でした。前職でもCXの部門長を担当していて、自分なりに学びを深め仕事としても携わっていましたが、そんな折に出版されたのが今西の著書でした。

SNSで今西が著書の宣伝をしているのを見かけたので、反応したんです。そうしたら今西から『今度本をあげるから、オフィスに遊びにおいでよ』と。それで本をもらえるからとオフィスに行って話をしたところ、あれよあれよという間に一緒に働くことになり(笑)。まずは業務委託として開発チームのマネジメントをすることになりました」

吉田さんは「最初は業務委託で、自分のできる範囲でやろうと思っていた」と語るが、同社のプロダクト開発に触れるにつれて、あらためてCXやEXのおもしろさに惹かれたという。

「もともと興味のあるものではありましたが、当社のプロダクト『EmotionTech』に触れて、やはりCXやEXマネジメントは現在日本企業に求められる取り組みであり、重要なテーマだと思いました。非常に可能性を感じたのと同時に、組織マネジメントをしていく中で変えるべきところも見つかりましたが、業務委託のままでは難しい。それならエモーションテックに入り、しっかりと組織づくりにコミットしたいと思い、2021年に入社しました」

あらゆる企業にCX、EXマネジメントを可能にする

同社ではCX(顧客体験)、EX(従業員体験)をマネジメントするサービス群「EmotionTech」を提供している。そもそも同プロダクトはどのような経緯で生まれたのだろうか。

「当社の始まりは、今西の原体験から始まっています。今西は当社を創業する以前に、アパレル製造小売大手で店舗マネージャーをしていました。そのときに、お店のファンになっていただいた方から、お褒めのハガキを渡されたそうです。喜んだ今西は店舗スタッフ全員にその件について伝えたところ、スタッフたちの接客態度や働く姿勢が変わり、店舗の日次売上が急激に向上しました。

顧客の良い体験がスタッフの行動を変え、それがまた顧客の良い体験につながっていく。今西がこのようなポジティブなサイクルを、再現性のある仕組みにできないかと考え、2013年に創業したのが当社です」

2013年時点で、EXは日本で普及していなかったものの、グローバル企業ではすでにEXに基づいた意思決定やマーケティング戦略が実践されていた。今西氏はある講演でEXとNPS® (顧客推奨度)調査による体験の可視化を知った。

顧客推奨度とは、既存顧客やユーザーが特定の店舗・サービスを友人や知人、家族にどれほど勧めることができるかを測るものであり、いわゆる「顧客ロイヤルティ」を数値化したものだ。欧米ではNPS® の活用は普及しており、全米トップ企業1000社(Fortune 1000)の3分の2以上が経営活動にNPS® を活用しているという。

「NPS® はいわばグローバルスタンダードの指標となっていますが、日本ではあまり活用されていません。その理由には調査手法や分析の難しさがあり、経営戦略やマーケティングの意思決定に活用するには専門的な知見が求められるためです。しかし、外資系企業が当たり前のように用いているものを活用できないままでは、日本企業の競争力は低下し続けてしまいます。

EmotionTechは、そのような分析の難しさをシステムによって解決し、どのような企業でも自社主導のもと体験マネジメントを運用できるサービスです。最初はCXに始まりシンプルな調査を行うサービスでしたが、現在では機能がかなり拡充され、EXの調査・分析サービスとなっています」

あらゆる企業にCX、EXマネジメントを可能にする。そのような開発思想があるからこそ、EmotionTechは当初から企業に合わせた柔軟なカスタマイズ性を重視している。

『EmotionTech』の管理画面の一例(画像はジャーニーマップ分析による結果を表示)

「そのため、当社は創業時から一貫して内製で開発をしています。やはり私たちには、クライアントにCXマネジメントを自由に運用できるようになっていただきたいという思いがあります。そのために重要なことは、企業の業務に合わせてしっかりとツールをつくれる力だと思っています。もちろんデータ分析に関わる深い知見や専門性も必要で、データサイエンスに基づいた分析機能の実装も不可欠です。

やはり重視するのはクライアントに合わせた業務実装であり、クライアントの事情に合わせて迅速に軌道修正ができるようなプロダクト開発のあり方が必要です。今現在も新しい機能開発や改善の計画を立てているところですが、このようなスピード感は外注では実現できなかったでしょう」

プロダクトの成長、CX・EX普及のカギは「行動」

『分析をする組織から行動して体験を変えていく組織へ』。これは現在のEmotionTechのプロダクトコンセプトだ。同社のプロダクトはこれまでCX・EXマネジメントの運用を支えてきたが、今後はそのような分析から改善活動へとつなげていくためのサービスへと移行していくという。実際、同社は新たなプロダクトとして専門性がなくとも分析結果が理解できるサービス「CX Summary」と、Azure OpenAI Serviceを活用したテキストAI分析サービス「TopicScan」を発表した。さらに、現在はEmotionTech本体のアップデートに向けたプロジェクトが進んでいる。

「CXやEXは比較的新しく、複雑な概念です。そのため、実際に顧客と向き合う現場の理解が得られず、分析をしただけにとどまる企業が多いです。

しかし、CXやEXは分析することが目的ではなく、その結果をもとにアクションを起こし、体験を変えていくことこそ重要なのです。いかに専門性をなくし、クライアントの全社的に理解できるものをつくるか、そこから課題を見出し改善につなげられるかが課題でした。

『CX Summary』や『TopicScan』はそのような課題を解決するため、あえて情報量を絞り、どのような層の従業員でも理解できる分析結果を出力します。調査・分析を行うプロダクトとしては、情報量を減らすことは非常に勇気のいる意思決定でしたが、たとえば『CX Summary』は膨大なデータを2ページのサマリーに集約し、顧客体験における課題が一目でわかるように可視化します。実際、β版を提供したクライアントでは、現場のCXへの関心度が非常に高まっています。

このような反応から、現在EmotionTechでもリニューアルを進めていて、2024年4月には一部機能を実装したバージョンを公開しています」

創業から12年目を迎える今年、エモーションテックは新たなステージに立ったといえる。調査・分析だけでなく、その先にある改善をも支援していく。

「まさに、当社として12年目は『攻めの年』。今後10年で日本におけるCX・EXマネジメントをより浸透させていくためにも、クライアントがより『行動』しやすくなるようなプロダクトへと進化させていく必要があります。さきほどお話にあがった通り、日本のCX・EXマネジメントは欧米企業に比べて遅れをとっていますが、その主要因はやり方がわからないためです。

EmotionTechを通して、クライアントが顧客の気持ちを分析し、理解する段階までは提供できていると思いますが、行動する組織へと変えていけるような貢献はまだ果たせていないと考えています。まさに今後のEmotionTechの成長、さらには日本におけるCX・EXの普及のためには『行動』が一つのテーマになっていると思っていますね」

エモーションテックが重視する「開発者体験」とは

では、CX・EXマネジメントを支援するプロダクトを提供する企業として、エモーションテックの開発組織はどのようなあり方をしているのだろうか。まずは吉田さんに開発組織の体制、同社エンジニアの特徴について聞いた。

「現在、当社では全体の20%にあたる25名がプロダクト開発に携わるメンバーです。当社エンジニアの特徴はビジネス理解度が高く、クライアントの打ち合わせに同席し、プロダクトに関するインタビューにも積極的に参加するメンバーが多い傾向にあります。

採用としてもビジネスへの関心度やキャッチアップしていく意欲は非常に重視しています。EmotionTech自体がCX・EXマネジメントというわかりにくいものを、クライアントの業務に実装させていくことを目的とするものなので、ある程度クライアントの業務を理解できるスキルが求められます。もちろん、ジョインしたばかりのころには100%ビジネスを理解している状態は求めていませんが、ビジネスを理解しようとする意思はチェックしています」

では、同社の開発組織ではどのようなカルチャーや環境づくりを志向しているのだろうか。吉田さんは開発者体験の向上には「文化づくりとツールの活用は両方必要なものであり、とくに文化づくりは非常に重視しています」と語る。

「チームの意思疎通は大事にしていますね。現在ではさまざまなことにトライできるようになってきていますが、生成AIの活用なども含めて新しいテクノロジーにトライした後に大事なのは、振り返りをしっかりと行うことです。何のためにこの技術を使い、結局どうなったのか。またはトライしてダメだったが、得られた成果はあったのかといったことを検証するのを非常に重要視しています」

新たな技術や取り組みにトライしつつ、振り返りを重視することでその試みが有効であるか否かを検証する。また課題はボトムアップで取り上げられ、短いサイクルで解決できるようにする。そのような組織であるためには、組織内での円滑なコミュニケーションが求められるが、同時に心理的安全性を担保する必要もある。

「開発組織に限らず、当社には褒めることを大事にするカルチャーがあります。当社には業務上で他のメンバーから助けてもらったときなどに気軽に感謝を送り合える『サンクスカード』という仕組みがあって、お互いを尊重しながらポジティブなコミュニケーションが取れます。もちろん問題点について話し合うこともありますが、そういった問題もポジティブに捉えて解決していくようにしていますね。

そのようなコミュニケーションがベースになって、当社では自主的な情報交換会や勉強会が開かれていて、エンジニアが主体的になってプロダクトの改善に取り組んでくれています。互いを褒めるカルチャーが根底にありつつも、それを形づくるのはやはり現在いるメンバー自身です。そういった面でも当社のエンジニアは非常に優秀でありながらも優しい人材が多く、私としてもとてもありがたく思っています」

こうしたカルチャーを背景に、同社ではテックブログの更新も積極的に行われているという。

「テックブログはまさにボトムアップで行われる取り組みです。当社ではテックブログを2つの機会を設けるものと考えていて、その一つは新しい仲間を探す機会です。そのためにはまず自分たちから発信し、当社の開発組織や取り組みについて知っていただく場を設ける必要があります。

もう一つは自身の学びのアウトプットとしての機会で、ちゃんと整理して伝えるためのトレーニングと捉えてブログを書いているエンジニアが多いですね。学んだ気になっていても意外と学べていないことがありますが、アウトプットすることでしっかりと自身の理解度や定着しているかを確かめることができます。そして、ブログの内容が新たな気づきにつながり、エンジニア同士でレビューが行われて、また新たな記事が更新されていくというサイクルになっています」

先述の通り、同社開発組織では振り返りを重視する。テックブログもまた自社の取り組みやエンジニア自身の学びを発信する場であると同時に、文章にすることで思考を整理し、振り返る場ともなっている。開発組織としてのカルチャーづくりがエンジニア主体で行われ、さらに全社に浸透する褒める文化がポジティブな環境を醸成する。「問題解決を楽しむカルチャーが生まれている」と吉田さんが語るように、まさに今後のEmotionTechの成長に向けた開発組織の土壌が整いつつある。

最後に、吉田さんに開発組織が今後目指す組織のあり方を聞いた。

「開発組織に限りませんが、当社として『学び続ける組織』でありたいと考えています。ソフトウェア技術は会社のビジョンややりたいことを実現するための手段の一つであり、ある特定の技術だけを使っていれば絶対にうまくいくというものではないと考えています。今の技術だけが正しいと思わず、常に新しい技術をキャッチアップしていくことが重要です。

学び続けている開発組織であれば、クライアントからさまざまな要望が来ても対応できますが、学ばないチームになってしまうと今は要望に応えられていても、いつか応えられなくなってしまいます。常に学びながらも、新たに学ぶべきことがないかを考え続ける。そんな開発組織であり続けたいですね」

※ NPS® はベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、 NICE Systems, Inc.の登録商標です。

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