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制度を選んだ理由じゃなくて、関係が先にあった「地域おこし協力隊」

なぜレンチナスが、この枠組みを選んだのか前回、うちの地域おこし協力隊は会社が直接雇う型だって話を書いた。今回はその続きで、なんでこの枠組みにしたのか、という話。制度として便利だから、という理由ももちろんある。でも実際のところ、決め手はそこじゃなかった気がしてる。会社だけでは、成立しないこの枠組みで人を募集するには、会社が「やりたい」と言うだけでは足りない。自治体が制度を運用する側だから、町がその気にならないと話が動かない。制度を使いたい企業と、それを受け止める役場と、両方が揃って初めて成立する。つまり、いくら会社側が乗り気でも、関係が薄ければ何も始まらないってこと。うちの場合、そこが最初...

地域おこし協力隊にも、いくつかの型がある。レンチナスはレアパターン

普通は「自治体」主導。でもうちは「企業」主導型前回、うちの募集が地域おこし協力隊の枠組みを使ってるって話を書いた。今回はその続き。実はうちのやり方、全国的にはけっこう珍しい型なんです。多いのは、役場が雇う型地域おこし協力隊はそもそも自治体の制度。だから普通は、役場が中心になって動く。一番多いのが、会計年度任用職員っていう形。役場の職員として雇われて、役場から仕事が振られる。健康保険も厚生年金も役場経由。次に多いのが業務委託契約で、こっちは個人事業主として自治体と契約するパターン。どっちにしても、隊員の窓口は役場になる。で、一番少ないのが、地域の企業が直接雇うっていう型。うちはこれです。雇...

レンチナスが「地域おこし協力隊」で人を募集している話

レンチナス募集、実は地域おこし協力隊という枠組みこの言葉、聞いたことはあっても中身までは知らない人が多いと思うのですが、レンチナス自身も関わり始めた頃は、名前しか知らなかった。なんとなくボランティアみたいなものだと思っていたし、会社の採用と結びつくイメージもなかった。なので、まず制度そのものの話をしておきたい。そもそも、どういう制度なのか地域おこし協力隊は、2009年に総務省が始めた制度。都市部から人口の減っている地域に住民票を移して、その土地で一定期間働きながら暮らす。任期はだいたい1年から3年。農業や漁業に従事したり、特産品を作ったり、情報発信をしたり、活動の中身は地域によってまった...

いちご事業に進展。海外の方から応募が来た

いちご事業の募集をかけたら、外国の方から応募が来た。秋田の八峰町という、決して大きくない町の、始まったばかりの事業に。地方の農業って、国境を越えて見られているんだな、と。実際に面接をしてみて、驚かされたことが多々あって、まず、母国語と英語と日本語を話せる方でした。すでに日本の永住権も持っていた。観光や短期滞在ではなく、日本で生活する基盤をもう作っている人。本人は全然話せないっていうけど、日本語でのやりとりも、こちらが言葉を選ぶ必要がないくらいスムーズだった。不動産とのやりとりも普通にしてると言っていて、マジかよって。一番驚いたのは、年収が下がってもいいから農業に携わりたい、と言い切ったこ...

椎茸を"生"で食べたらどうなるのか

レンチナスのハウスに見学へ来た人からよく聞かれる質問がある。「これ、生で食べても平気ですか?」ハウスの中でつやつやした椎茸を見ると、つい聞きたくなる気持ちはわかる。実際、手に取って匂いを嗅いで、そのまま口に運びかけた人も何人か見てきた。結論から言うと、おすすめしません。理由は、しいたけ皮膚炎というものがあるからです。生まれた時から「椎茸は焼いたり蒸したりして食べるもの」という当たり前が根付いてたので、「生で食べよう」ということを考えたことが無かったんですが、初めてこの名前を聞いたときこっちも半信半疑でした。椎茸なんて、和食の定番みたいな食材。それで肌が荒れるなんて、にわかには信じがたい。...

「野望だけじゃ、人はついてこない」レンチナスの社長が変わった理由

レンチナスの社長以前、伊勢社長ってどんな人なのかをいくつか書いた記事を上げましたが、ふともう少し話したいなと思い今日は伊勢社長に関する記事を少しだけ。過去の記事にも書いていましたが、伊勢社長は高校生の頃から負けず嫌いだったらしい。へえ、そうなんだ、くらいにしか思わなかったんですが今の伊勢社長からは、そういう荒々しさより「分かち合いたい」っていう言葉のほうが強く出てきていて、「あれ。なんか視座が変わったかも」っていう一面を最近は多く見るようになりました。でも、ハウスを5棟、6棟って増やそうとした頃の話を聞いて、ちょっと腑に落ちた。きっかけは直近ではなく、最初の規模拡大の時の話。当時、父はこ...

猛暑・光熱費高騰が菌床栽培に与える影響

去年の夏、ハウスのスタッフが、扇風機の前から一歩も動かずに休憩していたのを覚えています。涼しい場所で育てるはずの椎茸が、実は夏が来るたびに一番気を使う作物になっている。東北という立地で昔はそこまで暑くなかったのですが、年々記録的な暑さが続くようになっています。椎茸の菌床栽培は、屋内で温度と湿度を管理しながら育てる。以前の記事でも書いた通り、湿度85から90%、24時間換気という条件を保ちながら育てています。外の暑さに関係なく安定して育てられるのが、この方法の強みだと思っていました。でも「外に左右されない」というのは、「外が暑くなるほど、中を冷やすコストが増える」という意味でもあったんだと...

乾燥椎茸の輸出動向 ― 海外で評価される日本の椎茸

出張帰りの新幹線。香港のバイヤーが日本の乾し椎茸を箱買いしていくという話を人づてに聞きました。残念ながらレンチナスの椎茸ではありませんが、その話を聞いてから、乾し椎茸の輸出について改めて調べてみたくなりました。以前、世界のきのこ生産量では中国が圧倒的で、日本は量では太刀打ちできないという話を書きましたが、今回調べていて見えてきたのはそれとは少し違う角度の話です。日本特用林産振興会の報告書によると、林産物輸出額のうち、きのこ類を中心とした特用林産物が約4割を占めているそうです。木材やその他の林産物より、きのこ類の輸出の方が実は存在感が大きいということになります。ただし、その中身を見ていくと...

きのこの国内消費データと健康志向トレンド

スーパーのきのこコーナーで、しめじのパックを2つ重ねて悩んでいる人を見たことがあります。10円、20円の違いで選ぶ、日常の一部みたいな食材。椎茸もだいたい同じ棚に並んでいて、そんなに特別扱いされている食材には見えません。でも数字を見ていくと、この「地味さ」の中に、二つの違う動きが同時に起きていることが分かってきました。まず、きのこそのものの消費量。林野庁の資料によると、令和4年のきのこ類の一人当たり年間消費量は3.4kg。これは平成15年以降、ほぼ横ばいで推移しているそうです。単価もほぼ横ばいか、むしろ下がり気味。つまり、量として「もっと食べられるようになった」わけではありません。輸入額...

新規事業を担う人材の採用市場 ― 地方×0→1人材はどれだけ希少か

求人の難しさ新規事業のポジションを求人票に書くとき、いつも同じところで手が止まります。「事業開発経験者」と書くべきか、「未経験でも可」と書くべきか。書き直すたびに、この人材がどれだけ希少なのか、あらためて突きつけられます。厚生労働省の統計を見ると、地方の有効求人倍率は都市部より高い傾向にあります。2024年12月の数字では、地方の平均が1.41倍、東京などの都市部は1.18倍。求人の数だけで見れば、地方の方が人を探しやすいはずの構造です。でも実際は逆で、中小企業基盤整備機構の調査では、全国の中小企業の73%が人手不足を感じていると答えています。求人はあるのに、人が来ない。この矛盾が、地方...

いちご市場のトレンド ― 輸入依存と国産シェアのリアル

なぜイチゴか廃菌床でいちごを作ります、と最初に聞いたとき、頭に浮かんだのはケーキの上に乗ってる小さな赤い粒でした。それと同時になんでイチゴ?という困惑も。椎茸のハウスと、それがどうしても結びつかなかった。採用担当としてこの事業を人に説明する前に、まず自分で市場を調べてみることにしました。椎茸ハウスの隣にいちごのハウスを建てて、廃菌床を土台にして育てる。話を聞いた時はシンプルな計画に見えましたが、調べていくと、思っていたより複雑な構造が見えてきました。調べていくうちにわかった、そして驚いたのが、日本のいちごはほとんど輸入されていないという事実。生のいちごの輸入量は年間およそ2,300トン、...

資源循環型農業(サーキュラーエコノミー)の市場・政策動向から見る戦略

資源循環事業のチャンスやれ椎茸だ、やれイチゴだと言っている私たちですが、廃菌床を使った新しい道筋に対して国目線で見るとどうなのか。国の会議で使われそうな言葉と、うちの廃菌床の話がどう繋がるのか、今日はそんな話をしたいと思います。調べてみると、この言葉の裏には具体的な数字がありました。経済産業省の試算では、サーキュラーエコノミー、つまり資源を循環させる経済活動の国内市場規模は、2020年時点でおよそ50兆円。これが2030年には80兆円、2050年には120兆円まで拡大すると見込まれています。世界全体で見れば、2030年に4.5兆ドル、日本円で数百兆円規模になるという試算もあるそうです。ゼ...

なぜ八峰町で椎茸なのか。土地の歴史から

八峰町は…八峰町の面積の八割近くが、森林。町のデータを見て、まずこの数字に目が止まりました。総面積は約234平方キロメートル。そのうち農地はおよそ一割で、しかもその多くが峰浜地区に集まっている。つまり、平地が少ない。農業をやる土地としては、条件が良いとは言えません。田んぼを広く取ることも、畑を大きく展開することも難しい。平地が少ないというのは、それだけで選べる作物が絞られるということでもあります。ではなぜ、この町で椎茸なのか。土地の側から考えてみたくなりました。森まず森です。八峰町の森林は白神山地の一部にあたります。白神山地といえば、東アジア最大級と言われる原生的なブナ林。1993年に世...

堆肥にする、燃料にする。それでも余る廃菌床

「廃菌床って、堆肥にすればいいんじゃないの」過去の記事でも少し話したかもしれませんが、最初、私もそう思っていました。実際、その通りではあるんです。ただ、それだけで全部が片づくなら、全国で年間何十万トンも処分され続けているはずがない。調べていくと、既にある再利用の方法それぞれに、ちゃんと壁がありました。まず堆肥。これは相性がいい方法です。菌床の材料は、おが粉、米ぬか、ふすまなど、堆肥にするには揃いすぎているくらいの構成になっています。宮城県の実績報告書によると、水分を調整して二週間に一回ほど切り返せば、九十日程度で腐葉土状の堆肥になるとされています。ただ、この九十日という時間が壁になります...

実は、「椎茸の町」になる前はハタハタの町だった

八峰町→椎茸ではなかった八峰町のことを調べていて、一番驚いたのは椎茸の話じゃありませんでした。この町、もともと魚の町だったんです。椎茸の会社にいる人間が言うのもなんですが、八峰町の歴史を追っていくと、椎茸より先にハタハタが出てきます。しかもその歴史が、想像していたよりずっと重い。八峰町の八森・岩館の海岸には、毎年11月の下旬から12月にかけて、ハタハタが産卵のために押し寄せてきます。町ではこれを季節ハタハタと呼んでいて、この時期になると漁船が一斉に出て、港が一気に活気づく。町の公式サイトには、ハタハタなしでは正月を迎えられないと言われるほどの魚だと書かれていました。塩焼き、煮付け、しょっ...