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いちご市場のトレンド ― 輸入依存と国産シェアのリアル

なぜイチゴか廃菌床でいちごを作ります、と最初に聞いたとき、頭に浮かんだのはケーキの上に乗ってる小さな赤い粒でした。それと同時になんでイチゴ?という困惑も。椎茸のハウスと、それがどうしても結びつかなかった。採用担当としてこの事業を人に説明する前に、まず自分で市場を調べてみることにしました。椎茸ハウスの隣にいちごのハウスを建てて、廃菌床を土台にして育てる。話を聞いた時はシンプルな計画に見えましたが、調べていくと、思っていたより複雑な構造が見えてきました。調べていくうちにわかった、そして驚いたのが、日本のいちごはほとんど輸入されていないという事実。生のいちごの輸入量は年間およそ2,300トン、...

資源循環型農業(サーキュラーエコノミー)の市場・政策動向から見る戦略

資源循環事業のチャンスやれ椎茸だ、やれイチゴだと言っている私たちですが、廃菌床を使った新しい道筋に対して国目線で見るとどうなのか。国の会議で使われそうな言葉と、うちの廃菌床の話がどう繋がるのか、今日はそんな話をしたいと思います。調べてみると、この言葉の裏には具体的な数字がありました。経済産業省の試算では、サーキュラーエコノミー、つまり資源を循環させる経済活動の国内市場規模は、2020年時点でおよそ50兆円。これが2030年には80兆円、2050年には120兆円まで拡大すると見込まれています。世界全体で見れば、2030年に4.5兆ドル、日本円で数百兆円規模になるという試算もあるそうです。ゼ...

なぜ八峰町で椎茸なのか。土地の歴史から

八峰町は…八峰町の面積の八割近くが、森林。町のデータを見て、まずこの数字に目が止まりました。総面積は約234平方キロメートル。そのうち農地はおよそ一割で、しかもその多くが峰浜地区に集まっている。つまり、平地が少ない。農業をやる土地としては、条件が良いとは言えません。田んぼを広く取ることも、畑を大きく展開することも難しい。平地が少ないというのは、それだけで選べる作物が絞られるということでもあります。ではなぜ、この町で椎茸なのか。土地の側から考えてみたくなりました。森まず森です。八峰町の森林は白神山地の一部にあたります。白神山地といえば、東アジア最大級と言われる原生的なブナ林。1993年に世...

堆肥にする、燃料にする。それでも余る廃菌床

「廃菌床って、堆肥にすればいいんじゃないの」過去の記事でも少し話したかもしれませんが、最初、私もそう思っていました。実際、その通りではあるんです。ただ、それだけで全部が片づくなら、全国で年間何十万トンも処分され続けているはずがない。調べていくと、既にある再利用の方法それぞれに、ちゃんと壁がありました。まず堆肥。これは相性がいい方法です。菌床の材料は、おが粉、米ぬか、ふすまなど、堆肥にするには揃いすぎているくらいの構成になっています。宮城県の実績報告書によると、水分を調整して二週間に一回ほど切り返せば、九十日程度で腐葉土状の堆肥になるとされています。ただ、この九十日という時間が壁になります...

実は、「椎茸の町」になる前はハタハタの町だった

八峰町→椎茸ではなかった八峰町のことを調べていて、一番驚いたのは椎茸の話じゃありませんでした。この町、もともと魚の町だったんです。椎茸の会社にいる人間が言うのもなんですが、八峰町の歴史を追っていくと、椎茸より先にハタハタが出てきます。しかもその歴史が、想像していたよりずっと重い。八峰町の八森・岩館の海岸には、毎年11月の下旬から12月にかけて、ハタハタが産卵のために押し寄せてきます。町ではこれを季節ハタハタと呼んでいて、この時期になると漁船が一斉に出て、港が一気に活気づく。町の公式サイトには、ハタハタなしでは正月を迎えられないと言われるほどの魚だと書かれていました。塩焼き、煮付け、しょっ...

廃菌床は普通、どう処分されているのか

椎茸を収穫し終わったあとの菌床が、どこへ行くのか。この仕事に関わるまでは当然考えたことはなく、畑の肥料として再利用してました。菌床というのは、おが粉に米ぬかやふすまを混ぜて固めた、椎茸を育てるための土台のことです。ここから椎茸が生えてくる。何度か収穫すると力を使い切って、役目を終えます。その後に残るのが、廃菌床と呼ばれるものです。この廃菌床、実は業界全体で相当な量が出ています。ある研究者の試算では、菌床椎茸だけで全国から年間およそ24万トンの廃菌床が排出されているそうです。皆さんがよく食べるであろう、えのきやしめじなどのきのこ全体で見れば、もっと多い。では、それがどう処理されているのか。...

世界的に見て、日本の椎茸ってどのポジションなのか

世界ランキング世界のきのこ生産量ランキングを見て、ちょっと驚きました。1位は中国、ダントツで強い。でも2位に入っていたのは、まさかの日本でした。椎茸だけの話じゃありません。きのこ全体で見ても、日本は世界で上位に入る生産国だったんです。国土の広さで考えたら、中国やアメリカに勝てるはずがないと思っていたので、意外でした。そもそも椎茸という食材自体、原産地は日本と中国のふたつの国だと言われています。西洋のマッシュルーム、東南アジアや中国のフクロタケと並んで、椎茸は世界三大栽培きのこのひとつに数えられているそうです。つまり椎茸は、日本発祥と言ってもいい食材のひとつだったということになります。ただ...

干し椎茸は、なぜ生より旨いと言われるのか

生椎茸と乾燥椎茸スーパーの生椎茸と、乾物売り場の干し椎茸。同じ椎茸なのに、出汁を取ると味の深さが全然違う。ずっと「乾かしただけでしょ」と思っていました。実は、そこには理由がありました。椎茸を天日干しにするのは、長持ちさせるためだと思っていました。でも本当の目的は、旨みを増やすことだったんです。生の椎茸には、旨み成分がほとんど含まれていません。ところが乾燥させると、細胞が壊れます。中にあった核酸が、酵素の働きで分解されて、グアニル酸という物質に変わる。これが、干し椎茸だけが持つ強烈な旨みの正体です。昆布のグルタミン酸、かつお節のイノシン酸、そして干し椎茸のグアニル酸。三大旨み成分と呼ばれる...

きのこ農家から出る"ゴミ"は、収穫量の2〜3倍出る

収穫量<廃菌床きのこを収穫したあとに残る「廃菌床」は、収穫できたきのこの2〜3倍の重さで発生すると言われています。椎茸を育てれば育てるほど、その裏側で同じくらいの量のゴミが増えていくということです。ある県の推計では、きのこ生産が盛んな地域だけで、年間11万トン近い廃菌床が発生しているというデータもあります。想像以上に大きな量が、日々どこかで行き場を探しているということです。多くのきのこ農家にとって、この廃菌床は正直厄介な存在です。放っておけば産業廃棄物として処分費用がかかりますし、焼却すれば二酸化炭素が発生します。埋め立てるための土地を確保するのも簡単ではありません。再利用せずにそのまま...

「いつか地元で働きたい」と答えたZ世代が、4割を超えてきた

Z世代は都会志向だと、なんとなく思われがちです。地元を出て、便利で刺激のある場所を求めていく。そういうイメージを持っている人も多いと思います。でも実際のデータを見ると、そう単純な話でもなかったんですよね。Z世代を対象にした意識調査では、「いつか地元で働きたい」と答えた人が41.4%にのぼりました。ミレニアル世代の35.2%より高い数字。地元を離れて都会に出た人でも、心のどこかで地元に戻る選択肢を持ち続けているということだと思います。一方で、Z世代の転職市場そのものも大きく動いています。26歳以下の若手の転職は、5年前と比べて約2倍に増えています。終身雇用を前提にしたキャリア観はもう当たり...

ズバリ、「親元就農」は、良かったのか悪かったのか。

実家の家業を継ぐこと、農業では「親元就農」と呼びます。周りにそういう友人も居るかもしれませんが、親元就農とは?を伊勢社長に聞いてみると、答えは思っていたよりずっと複雑でした。伊勢社長は20年前、飲食店勤めから実家に戻り、結果として椎茸農家を継ぎました。もし近所で新規就農した人がいたとして、字の如く「新規就農」ですから、近くに先生のような人や師匠のような人が常に居るわけではないですよね。居たとしても先生や師匠が顔を出せるのは、多くてもせいぜい週に一度くらいだと思います。でも親元就農なら、先生・師匠である父や両親が毎日そばにいる。設備もすでに揃っている。ゼロから何かを立ち上げる人と比べたら、...

このままでは農家が消える。「後継者を確保していない」農家が、全国で7割を超えている

椎茸の生産現場を守っていくということがかなり難しい話になってきています。全国のデータを見ると、その厳しさがはっきり数字に出ています。何十年もかけて積み上げてきた技術が、次の世代に渡らないまま途切れてしまう。そういう現場が、今この瞬間も全国で増え続けているということです。日本の農業の中心を担ってきた人たちの数は、この20年余りで半分近くまで減りました。2000年に240万人いた基幹的農業従事者は、2023年には116万4千人になっています。平均年齢はすでに68.7歳。49歳以下の若手はわずか1割程度で、65歳以上が全体の7割を占めています。もっと深刻なのは、後継者の確保状況。全国の農業経営...

個人経営が減っていく時代に、あえて法人になった理由。

日本の個人経営の農家は、この10年で驚くほど減っています。それなのに、法人という形を選んだ農業経営体だけは、逆に増え続けています。レンチナスも、この流れの中にいる一社。1979年に個人で始まった椎茸農家が、2023年に法人になりました。何十年も個人でやってきた会社が、なぜあえてこのタイミングで法人にしたのか。法人化を選ぶ理由は、会社によってさまざまだと思いますが、共通しているのは、たぶん「一人でできることの限界」に気づく瞬間があるということです。個人でやっている間は、良くも悪くも全部自分で決められます。誰かに説明する必要もないし、責任を分け合う必要もない。でもそれは裏を返せば、自分がいな...

潰れる農家に共通する3つの理由

なぜ潰れていく農家があるのか。逆になぜレンチナスは伸び続けているのか。伊勢社長がその答えを、ホワイトボード一枚で説明してくれたことがあります。生産計画一つ目は、生産計画を立てないことです。「今日は椎茸ができたけど、明日椎茸ができないってなったら、多くの人との約束を破っちゃうことになる」一次産業は作物に依存する仕事です。だからこそ、菌床一つからどれだけ収穫できるか、あらかじめ数字で読んでおく必要があります。黑椎茸として出すのか、量販店向けのパック商品にするのか、それとも別の規格にするのか。同じ菌床からでも、商品ごとにどれくらいの比率で振り分けるかまで、細かく計画しておかないと、取引先との約...

秋田県は、出生率が30年連続で全国最下位。それでも、ここで椎茸をやっている理由。

これ、知っていましたか。秋田県の出生率は、30年連続で全国最下位。2024年の人口動態統計で改めて確認された数字で、出生数の10年間の減少率も全国で最も大きい。出生数だけでなく、婚姻率も死亡率もワーストという状況で、数字だけ見ると、正直しんどい現実です。私たちはその秋田県の、さらに人口の少ない八峰町で椎茸を作っています。なぜここで、なぜ今、椎茸なのか。伊勢社長に聞いてみました。人口が減る、ということ。人口減少は、じわじわと効いてきます。働き手が減る。消費が減る。地域のお店が閉まる。学校が統廃合される。一つひとつは小さな変化でも、積み重なると町の姿が変わっていく。八峰町も、例外ではありませ...

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