1
/
5

All posts

日本の食が世界で売れている。八峰町の椎茸にもその先はあるか。

日本の農産物の輸出が、過去最高を更新し続けている海外の街を歩いていて、日本の抹茶ラテやおにぎりの店を見かけることが増えた、という話をよく聞きます。この記事を書いている自分自身もよく海外へ行ったり住んだりするのですが、10年15年でだいぶ日本産品の品揃えが変わってきた印象です。こんなの売ってるの?というものまであります。一時的なブームかと思っていましたが、数字を見ると、どうもそうではないようです。日本の食べ物は、今、世界で確実に売れ始めている。13年連続で過去最高農林水産省が2026年2月に発表した数字では、2025年の農林水産物・食品の輸出額は1兆7,005億円。前の年から12.8%増え...

食べ物がこの先足りなくなる?!

2050年、世界の食べ物は今の1.7倍必要になる日本にいると、人口が減っていく話ばかり耳に入ってきます。秋田は特にそうで、町を歩いていても、それを肌で感じることがあります。でも、少し視点を世界に広げると、まったく逆の景色が見えてきました。 世界の人口は、まだ増え続ける国連の推計では、2024年の世界の人口はおよそ82億人。これが増え続けて、2080年代の半ばに103億人ほどでピークを迎える見込みだそうです。日本の人口が減っている間も、世界全体ではまだ20億人以上増えるということになります。食べ物は1.7倍必要になる人が増えれば、当然、食べ物も必要になります。農林水産省が2019年に出した...

農政の「憲法」が変わったからこそチャンスがある

国が25年ぶりに、農業のルールを書き換えたこんなこと言いたくはないですが、農業のニュースというのは、だいたい暗い話から始まります。担い手が減っている、農家の平均年齢が上がっている、儲からない。そんな中で、2024年に国が農業の一番大もとの法律を書き換えました。地味なニュースでしたが、採用の仕事をしている身としては、けっこう大きな出来事だと思っています。農政の「憲法」が変わったその法律が、食料・農業・農村基本法です。国が農業をどういう方向に進めるのかを決める、いわば農政の土台になる法律で、1999年に作られました。それが2024年5月に改正されて、6月から施行されています。25年ぶりの大き...

令和の米騒動で何を学んだのか

お米が足りなくなって、初めて気づいたこと2024年の夏、スーパーの米の棚が空っぽになっていたのを覚えている人は多いと思います。「お一人様一点まで」の貼り紙と、がらんとした棚。お金を出せば買えるのが当たり前だったものが、急に手に入らなくなった。あの光景は、農業に関わる仕事をしている私にとっても、かなり印象に残っています。当たり前に買えたものが、買えなくなったその後、お米の値段は大きく上がりました。農林水産省がまとめている全国のスーパーの販売データでは、5kgの平均価格は2025年の年末から年明けの週に4,416円でピークをつけています。政府は2025年に、合わせて59万トン規模の備蓄米を売...

アメリカでは今ブルーカラーが激アツ。農業もこれからゴールドラッシュが来るか?!

アメリカで、ブルーカラーの人気が戻ってきている大学を出たのに、溶接工や電気工を目指す。最近、アメリカの若い世代のそんな話がバズってるのをみました。少し前なら「せっかく大学に行ったのに」と言われていた選択です。それが今、わりと前向きな理由で選ばれているらしい。常識が変わってきているのか…?大卒の4割近くが、手を動かす仕事へアメリカの調査会社Resume Builderが2025年5月に18〜28歳の約1,400人に聞いたところ、大学を出たZ世代の37%が、ブルーカラーや技能職で働いているか、これから目指していると答えました。理由で多かったのは「長い目で見て将来性がある」が30%、「AIに置...

農業に興味はある。でも、独立は怖い。そんな人へ。

農業法人に「就職」する人は増えているのか農業をやる、と聞くと、多くの人は「農家になる」ことを思い浮かべると思います。自分の畑を持って、自分で育てて、自分で売る。でも今は、会社員として農業に関わる人が少しずつ増えています。農業法人に「就職」するという道です。 農家は減り、法人は増えている今年まとまった2025年の農林業センサスを見ると、全国の農業経営体は82万8千。5年前から23%減っています。一方で、法人として農業をやっている経営体は3万3千で、5年前より7.9%増えました。個人の農家が大きく減る中で、法人だけが数を伸ばしている。 個人の農家で中心になって働いている人は、102万1千人。...

現実は甘くない。だからレンチナスを踏み台にすればいい。

新しく農業を始めた人は、何年で辞めていくのか「新しく農業を始めた人の3割は、5年以内に辞める」こんな話を、どこかで聞いたことがありました。採用の記事に使えるかもしれないと思って、出どころを調べてみたんです。すると、思っていたのとは少し違う数字が出てきました。辞める人は、思ったより少ない国の調査を見ると、新しく農業を始めた人が数年のうちに辞める割合は、2.5%から5%ほど。3割という数字の裏付けは、少なくとも私が調べた範囲では見つかりませんでした。辞める人は、そこまで多くない。ここだけ読むと、いい話に聞こえます。でも、食べていけている人は4割ただ、別の数字を見ると、印象がかなり変わります。...

移住相談が年々増えていて、7万件を超えた

地方移住の相談は、今どれくらい増えているのかカジュアル面談で「地方に住むのって、実際どうですか」と聞かれることが増えました。移住を決めたわけじゃない。でも、考え始めている。そういう温度感の人と話す機会が、こうしてストーリー記事を出していくことで少しずつ多くなった気がします。ふと、気になって数字を調べてみました。過去最多の7万3千件東京にある移住相談の窓口、ふるさと回帰支援センターが今年2月に発表した数字では、2025年の移住相談件数は73,003件。前の年の61,720件から、18%以上増えて過去最多になっています。地方に移りたい、少なくとも話を聞いてみたいという人は、確実に増えている。...

椎茸農家が出す「訳あり品」の欠点は見た目だけ

規格外の椎茸は、どこへ行くのか収穫したばかりの椎茸を選別していると、はじかれるものが必ず出てきます。傘が少し割れている。形がいびつ。大きすぎる、小さすぎる。並べてみると、味は正規品と何も変わらない。それでも、パックには入れられない椎茸があります。選別台の横には、はじかれた椎茸が入ったカゴが並んでいくのですが、忙しい日はそのカゴがあっという間にいっぱいになる。これをどうするか、というのは椎茸農家にとって毎日の小さな宿題みたいなものです。規格は、味の基準ではないスーパーに並ぶ椎茸は、大きさや形、傘の開き具合で細かく分けられています。パックに詰めたときに見栄えがそろうこと。店頭で選ばれやすいこ...

だからレンチナスは完全国産の原料で椎茸を作る

菌床をどこで作るかで、何が変わるのか前回、椎茸の産地は「菌を植えた場所」で決まるようになった、という話を書きました。今回はその続きです。そもそも、なぜ海外で作った菌床を使う農家が増えていたのか。そこを調べていくと、椎茸農家が抱えている構造が見えてきました。 菌床づくりは、一番しんどい工程しいたけ栽培の仕事は、大きく二つに分かれます。菌床を作る仕事と、菌床から椎茸を育てて収穫する仕事です。このうち、菌床を作るほうがとにかく手間がかかる。おがくずに栄養を混ぜて、袋に詰めて、殺菌して、菌を植える。そこから菌が全体に回るまで、温度を管理しながら何か月も待つ。設備もいるし、人手もいるし、途中で雑菌...

その国産椎茸って本当に国産だったのか…?

椎茸の「産地」は、どこで決まるのかスーパーで椎茸のパックを裏返すと、「国産」や「秋田県産」などと書いてある。それを見て、秋田の山の中で育った椎茸なんだろうな、と思う。同時に、国産だから安心だとも思う人もいるでしょう。この仕事に関わるまでは自分自身もそう思っていました。でも数年前まで、その表示には少し事情がありました。収穫した場所が、産地だった2022年の3月まで、生の椎茸の原産地は「収穫した場所」で表示するルールでした。一見、何の問題もなさそうに聞こえます。ところが椎茸の場合、ここに抜け道がありました。 菌床栽培は、おがくずなどを固めたブロックに菌を植えて育てます。この菌床を作って、菌を...

AI面接を導入して4か月、実際どうだったか

以前、AI面接を導入したという記事を書きました。あれから4か月ほど経ったので、運用してみてどうだったかを正直に書いておきます。まず、率直な感想から。AIが相手だと、やっぱり違和感はあります。話しづらいという声も多かった。当たり前ですが、相槌もなければ表情もない。画面に向かって一人で喋っている状態に近い。人によっては、かなりやりにくいと思います。ここは擁護のしようがない。そもそも対面のほうが話しやすいに決まってますし。それでも続けているのは、いくつか利点があるからです。ひとつは、客観的に数値が出ること。人間が面接をすると、どうしても印象に引っ張られます。感じがいい人だと評価が甘くなるし、そ...

秋は転職を考える人が増える季節らしい

転職時期到来9月から11月は、転職市場が動く時期だそうです。理由はいくつかあって、夏のボーナスを受け取ってから辞める人が多いこと。多くの会社が下半期に入り、採用を再開すること。新卒で入って半年経ち、思っていたのと違うと気づく人が出てくること。もうひとつ、こういう指摘もありました。お盆に帰省して、家族や友人に会う。そこで気持ちが動く人がいる、と。この話、うちの募集とはかなり相性がいい気がしています。八峰町への移住を伴う仕事ですから、応募する人にとっては転職であると同時に、引っ越しであり、生活の作り直しでもある。ひとりで決められる話ではありません。夏に地元へ帰った人が、そこで何を考えるか。親...

椎茸の需要が上がる季節に、農家が考えていること

椎茸と市場椎茸の値段が一年でどう動くか、ご存知でしょうか。東京の市場のデータを見ると、はっきりした波があります。一番安いのが7月。一番高いのが12月。その差は3割ほど。同じ椎茸が、季節によって1.3倍になったり戻ったりしている。年末年始なんかはもっと価格に差が出ます。理由は単純で、鍋の季節だから。11月から翌1月にかけて、正月需要も重なって値が上がる。夏は逆に、誰も椎茸のことを考えない。この波の中で、椎茸農家は何を考えているか。まず、いつ出荷するかという話ではありません。椎茸は保存の効く作物ではないので、採れたら出す。米のように、値上がりを待って倉庫に寝かせるという選択肢がない。だから考...

想像より短い秋田の秋

移住を考えている人と話していると、季節の話になることがあります。冬の雪はどうか。夏は涼しいのか。そういう質問はよく来る。でも、秋について聞かれたことは、ほとんどない。無理もないと思います。秋は移住の障害にならないし困る要素が見当たらないですから。ただ、実際に住むとなると、この季節の短さは知っておいたほうがいい。秋田の10月は、平均最高気温が18度くらい。朝晩は9度まで下がるので、日中と夜で10度近い差が出ます。東京の10月より一段冷えるくらいの感覚でしょうか。過ごしやすい時期です。紅葉も見頃を迎える。問題は11月平均最高気温が12度、最低気温は4度まで落ちる。1か月で6度も低下。10月に...