椎茸の生産現場を守っていくということがかなり難しい話になってきています。
全国のデータを見ると、その厳しさがはっきり数字に出ています。
何十年もかけて積み上げてきた技術が、次の世代に渡らないまま途切れてしまう。
そういう現場が、今この瞬間も全国で増え続けているということです。
日本の農業の中心を担ってきた人たちの数は、この20年余りで半分近くまで減りました。
2000年に240万人いた基幹的農業従事者は、2023年には116万4千人になっています。平均年齢はすでに68.7歳。
49歳以下の若手はわずか1割程度で、65歳以上が全体の7割を占めています。
もっと深刻なのは、後継者の確保状況。
全国の農業経営体のうち、7割を超える経営体が「後継者を確保していない」と答えています。
法人のような団体経営体に限っても、後継者を確保できているのは4割程度にとどまっています。
つまり、法人化した会社であっても、人を確保できていなければ、いずれ同じ壁にぶつかるということです。
法人という形を選んだだけで安心できるわけではなく、その中身をどう維持していくかが、結局は問われることになります。
これは椎茸農家にとっても他人事ではなく、むしろ施設栽培という特性上、収穫・選別・出荷という毎日の作業を止めるわけにはいかない現場だからこそ、人が足りなくなった瞬間の影響は大きいと思っています。
天候に左右される露地栽培とは違い、毎日決まった量が育つ分、毎日決まった数の手が必要になる仕事だからです。
秋田県は全国で見ても子供の出生率が低い地域も相まって、基幹産業である椎茸栽培が壊滅すれば需要と供給のバランスが崩れ、市場価格も大きく変動することもなくはない話です。
皆さんが当たり前のように食べる椎茸が、高級になってしまう未来も否定できないんです。
新規就農者
新しく農業を始めた人たちの定着も、簡単ではないようで、国の支援事業を通じて新規就農した人のうち、3年以内に離れてしまった人の割合は、全体の35%にのぼるというデータもあります。
技術を教える人がいても、それだけで人が根づくわけではない。
働き方や環境そのものを含めて整えていく必要があるということだと思います。
レンチナスも、この構造の中にいる会社の一つです。
今、私たちが人を採用しているのは、単に人手が足りないからではありません。
何十年もかけて培われてきた栽培技術やノウハウを、次の世代にちゃんと引き継いでいくためです。
誰か一人がいなくなった瞬間に止まってしまう仕事ではなく、複数の人が理解し、動かせる仕事にしていく必要があります。
正直、今の体制がすべて完璧に引き継がれているとは言えません。
技術やノウハウの中には、まだ言語化しきれていない部分、特定の人の勘や経験に頼っている部分も残っています。
それを一つひとつ、仕組みとして残していく作業は、地味で時間もかかります。
マニュアルを作っても、実際の菌床の状態を見る感覚までは、簡単には言葉にできません。
写真や数値で残せる部分と、実際にスタッフの隣について何度も見せるしかない部分と、両方が混ざり合っているのが現場のリアル。
でも、だからこそ今このタイミングで椎茸の現場に関わる意味があると思っています。
全国で担い手がいなくなっていく中、技術を絶やさずに次につなげていく。
それは地味な仕事に見えるかもしれませんが、一つの産業を存続させるかどうかの分かれ目にいるということでもあります。
その一員に加わってくれる人を、私たちは探しています。