ビジネスにおいて、デジタル化はもはや企業規模を問わず必須のもの。しかし、大企業が先行してDXを推進するなか、最も支援を必要とする中小企業のDXが進んでいない現状がある。
総務省が2021年に実施した調査でも、DXを「実施していない、今後も予定なし」と回答した割合は、大企業の39.5%に対し、中小企業では68.6%に跳ね上がる。
原因の1つが、DX支援領域を得意とする大手コンサルティングファームのフィーが高額であることだ。これでは、資金力に乏しい中小企業は置き去りにされてしまう。
そんな中、大企業はもとより、中小企業の課題にも手厚く寄り添うコンサルティングファームがある。Coumだ。
Coumの特徴は、中小企業でも手が届くコストでありながら、幅広い経験を持つメンバーが、顧客視点で一気通貫のコンサルティングを提供できること。
Coumではなぜそれが可能なのか。同社のコンサルティングチームを率いるシニアマネジャーの金子賢太と、DXチームを率いるシニアマネジャーの遠藤惣太の証言から探っていく。
「攻め」のコンサルへの転換、価値創造への思い
Coumの事業構成は、デジタル領域に特化した総合コンサルティングとDX支援の2つに大きく分かれている。
前者を率いるのが、取締役も兼任するシニアマネジャーの金子賢太だ。
「総合コンサルティングチームは、新規事業や既存事業の拡大、マーケティングなどの企画推進支援、事業立ち上げ後のグロースやシステム開発など、クライアントのご要望に応じてあらゆるコンサルティングに対応できる体制を整えています」(金子)
Coum立ち上げメンバーの1人である金子の前職は、日系コンサルティングファームだ。
入社当初は、コストカットや業務効率化といった「守り」の領域である、システム開発のプロジェクトマネジメントを多く担当していた。しかし、時代の潮流で仕事内容が、徐々にデジタル領域でのマーケティングや事業創出といった「攻め」のコンサルへと変化していく。
こうした流れを受け、金子は前職の社内で立ち上がったデジタルビジネスグループに参加。そこでリーダーを務めていたのが、後にCoumを共同創業する廣瀬真彦だった。
「システム開発では、予算や人数、期間などの制限下で最適解を探すことが求められます。しかし、マーケや新規事業では基本的にそうした正解はなく、もっと顧客に寄り添うことが求められます。
守りから攻めへの転換を経験したことで、顧客視点で新しい価値を提供するという姿勢の強化につながりました。そこをもっと突き詰めたいという思いが、Coumの創業へとつながっていったのです」(金子)
一方のDX支援チームで陣頭指揮を執るのが、シニアマネジャーの遠藤惣太だ。
「DXチームは、ウェブサイトやアプリ、広告といった顧客接点のデジタル化と、営業、顧客管理の効率化、データ活用といった業務プロセスのデジタル化を担当しています」(遠藤)
遠藤はキャリアを営業職としてスタートさせたが、もともと起業志向が強かったため、若くして独立。カフェの経営やフリーペーパーを活用した広告事業の展開を経験している。
「広告事業は、最初は上手くいきました。しかし、広告やマーケティングがデジタルに移行してくると、紙だけでは先行きが見通せない状態に陥りました。そこで、ゼロからウェブを学ぶため、事業を譲渡してウェブの制作会社に入社したんです」(遠藤)
そんな遠藤がCoumへの入社を決めたのは、ウェブ制作やマーケティングの経験を積むなかで、もっと上流フェーズでの価値創造に関わりたいという思いに駆られたからだ。当時は、顧客接点がウェブ以外への拡大を続けている時期で、自ら手掛けられる顧客接点、そしてスキルの幅を広げたいという目論見もあった。
「仕事を通してCoumを創業した廣瀬と知り合う機会があり、それなら一緒にやらないかと、声を掛けられたんです」(遠藤)
2人の経歴を追うと、顧客視点や価値創造といったキーワードが見えてくる。これらがCoumの強みとしてどう結実しているのか、見ていこう。
取締役 シニアマネジャー 金子賢太
高品質と適正なフィー、チーム連携で際立つ強み
Coumの強みについて、総合コンサルティングチームを率いる金子、DXチームを率いる遠藤、それぞれの立場から聞いてみた。
「コンサルチームの強みは、コストパフォーマンスの高さです。コスト面では、最初からチーム編成が決まっている大手ファームと違い、顧客視点で必要なメンバーだけをアサインするので、中小企業でも手が届くようなフィーを実現できます。
また、パフォーマンス面では、経験豊富な中心メンバーに加え、独自の育成メソッドにより人材力を底上げしています」(金子)
独自の育成メソッドとは、充実した評価制度だ。項目には価値観や構想・企画、コミュニケーションなどがあり、その数は各職種で120項目にも上るという。他にも、MBA取得費用の補助など、メンバーが自己研鑽をできる仕組みが整備されている。
「DXチームの強みは、クリエイティブやツールも含めてワンストップで高品質のサービスを提供できること。当社の場合はコンサルチームとの連携もできるので、顧客視点での提案ができます」(遠藤)
総合コンサルティングチームとDXチームが連携した代表的な事例として挙げられるのが、大手メディア企業の新規事業として、配信イベントと連動するメタバース空間を支援した案件だ。
「実在するエリアのバーチャル空間やECサイトの企画から、マーケティング施策の検討・実行までを支援しました。具体的には、サービスを広く周知するためのウェブ制作も担い、BIツールでウェブサイトを訪れたユーザーの分析も行なっています」(金子)
全体設計を総合コンサルティングチームが、ウェブ制作やツール導入をDXチームが担当。実行部隊のDXチームが社内にいるため、総合コンサルティングチームが描くプランが、机上の空論にはならないという。
一方のDXチームでも、連携のメリットは大きいと語る。
「コンサルチームがお客様の要望や課題感を前もって共有してくれるので、精度の高い提案ができました。コンサルチームが顧客との間に信頼関係を築いたうえでの提案なので、ゼロベースの場合と反応が全然違うんです。連携案件が増えていけば、当社の強みをもっと生かせるようになると思います」(遠藤)
シニアマネジャー 遠藤惣太
コンサルタントとして、「生きがい」を見つけられる 環境がある
チームの連携が強みになる背景には、Coumの社風がある。
Coumの立ち上げメンバーでもある金子が、創業時のエピソードを明かしてくれた。
「企業としてのミッションを考える際、最初に出てきたのが『プロフェッショナルにとって最高の場所となる』でした。社員が生き生きと働いていなければ、顧客に対する提供価値も上がりません。
コンサルの仕事はクライアントと向き合うので、往々にして社内の関係が希薄になりがちです。連携を重視するなら居心地のいい会社にすべきですし、会社の規模が大きくなっても仲間意識を持って取り組む姿勢は、Coumの風土として育んでいきたいですね」(金子)
創業メンバーではない遠藤も、入社時から仲間意識の強さを感じていたという。
「個人戦ではなく、チームで人間関係を育む会社だなと。私はCoumに入社してDX事業の立ち上げに参画しましたが、上流の戦略から制作、採用の権限に至るまで現場の裁量権が大きく、チームとしてチャレンジしやすい環境だと感じています」(遠藤)
コンサルティングを生業にすることの意義を問うと、金子からこんな答えが返ってきた。
「コンサルティングは専門的な面白さもあるし、報酬も悪くない。でも、それだけでは十分ではなく、例えば使命感や情熱が加わることで、生きがいが生まれると思っています。
Coumは評価制度や風土、仕事の仕方などを通して、その生きがいを見つけやすい環境だと自負しています」(金子)
自らも紙媒体の広告事業経営を経験している遠藤は、現場に寄り添うことがやりがいだと語る。
「アナログでやってきたお客様の場合、DXといってもどこから手を付ければいいか分からないケースも多い。そこで必要になるのが、顧客視点です。納得感のある提案をしたり、担当者と一緒に社内上申をクリアしたり、相手の状況に合わせて伴走できたときに、お客様にしっかりと価値を提供できたという喜びがあります」(遠藤)
最後にCoumの今後を尋ねると、いずれも次のステップへの挑戦を口にした。
「事業拡大は目指しますが、無理な形での拡大は望んでいません。Coumの独自性を考えれば、中小企業にとって価値のある支援はもっとできると思いますし、Coumでこそ輝ける人材もいると思います。
手前味噌ですが、Coumは現時点でも良い部分がたくさんあるので、もっと人気が上がってもいい会社だと思っています(笑)」(金子)
「私はゼロイチが好きなので、今とは違う領域の事業にも挑戦してみたいですね。できることが増えれば、Coumの守備範囲も広がり、他社との差別化にもつながると思います」(遠藤)
先進性に注目が集まりがちなDX。しかし中小企業にも目配りし、顧客視点で価値を提供しようとするCoumが目指す延長上にこそ、地に足のついた真のコンサルティング、真のDXがあるのかもしれない。
Forbes CAREER 2022年6月3日 配信記事より転載
制作:Forbes CAREER 編集部
文・山口学 写真・小田駿一