PMBOK🄬を取り巻く誤解
はじめまして。豆蔵の渡会です(2018年秋からです)。 私自身、アジャイルに関わって10年以上経つのですが、それ以前は PMI🄬(プロジェクトマネジメント協会)のPMP🄬(プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル)の資格を2005年に取得しそれを活かした活動をしていました。そして2014年から PMI日本支部 ...
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はじめまして。豆蔵の渡会です(2018年秋からです)。
私自身、アジャイルに関わって10年以上経つのですが、それ以前はPMI🄬(プロジェクトマネジメント協会)のPMP🄬(プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル)の資格を2005年に取得しそれを活かした活動をしていました。そして2014年からPMI日本支部アジャイルプロジェクトマネジメント研究会に所属し、現在はその代表を務めさせていただいています。そういった背景を持っていることから、今回このようなテーマで何回か連載をさせていただきます。
PMBOK🄬(Project Management Body of Knowledge)とはプロジェクトマネジメント知識体系のことです。そしてここで言う「プロジェクト」とは、ITプロジェクトにのみ特化しているわけではありません。
以下のようなものが例として挙げられます。
このように、ITか否かや規模に関わらず、PMBOK🄬はこれらをプロジェクトと定義しています。
PMBOK🄬の冒頭に以下のような記述があります。
「PMBOK🄬は方法論とは異なる。(中略)PMBOK🄬は組織がプロジェクトマネジメントを実践するために必要な方法論、方針、手続き、ルール、ツールや技法、ライフサイクルフェーズ(等)の構築を可能にする基盤である」
はっきりと方法論では無いと明言しています。
方法論そのものではなく、それを構築するための基盤となるもの。すなわちそれらの基盤となりうる考え方やツール・技法などを知恵袋(知識体系)としてまとめたものであり、決してすべてを漏れなく実施しなければならないというようなものではありません。困ったときに参考にしたりきっかけにできるような知識の集まりなのです。
上記のように、PMBOK🄬は方法論ではありません。ましてやITプロジェクトに限定したり、ウォーターフォールに特化したものともなっていません。ウォーターフォールにも使えそうな知識体系も含まれているに過ぎないのです。
上記2つはこれらの誤解のもとに成り立っていますが、そのようなことはないということをまずはご理解いただけたらと思います。
さて、PMBOK🄬は、下記のように5つのプロセス群と10の知識エリアで基本的に構成されています。ですが、どのプロセス群も知識エリアもアジャイルを実践する際には必要不可欠のものばかりです。
アジャイルでも「立上げ」「計画」「実行」「監視・コントロール」「終結」といったプロセスをイテレーションごとに繰り返しますし、実際にそれらのプロセスを回すためには10の知識エリアに挙げられているような「統合(全体を考える)」「スコープ」「スケージュール」「コスト」「品質」「資源(リソース)」「コミュニケーション」「リスク」「調達」「ステークホルダー」の要素は常に考慮しながら進めていく必要があります。
ということは、PMBOK🄬を基盤にしてアジャイルも構築できるということにつながらないでしょうか?
PMI🄬発祥の地である北米では、プロジェクトマネジメントの現場において、アジャイル的な考え方ややり方が当たり前となって適用されています。
それらを踏まえて、PMI🄬としてもアジャイルに適用した追記や補足するガイドに対応する必要がでてきました。
そこで、2017年9月に発行された最新版PMBOK🄬ガイド第6版で大幅にアジャイルの記述を追加しました。そして同時にアジャイルに特化した「アジャイル実務ガイド」も発刊してアジャイルへの軸足を強く高めています。
日本でも昨今話題となっている宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「はやぶさ2」のプロジェクトにおいて、IT分野のみならず全体としてアジャイル・アプローチを採用することで、イテレーションをハイペースで繰り返しながら技術開発を推し進めたそうです。(出典:PMI🄬が定期発行している会員向け機関紙 PM Network® (2019年2月号)「はやぶさ2」プロジェクトの挑戦)
アジャイルはグローバル的にはもはや当たり前となっています。適用が遅れているといわれている日本においても今着実に広まりつつあります。
すべてをアジャイルにすれば万事解決というわけにはいかないのは当然の事ですが、アジャイルという選択肢を当たり前のように考える時代がもう来ていることは間違いないのではないでしょうか。
PMI🄬が目指しているのは「プロジェクト」の成功です。「プロジェクト」の成功のためにPMI🄬はアジャイルに軸足を確実に移しています。
これからPMI🄬がどのようにアジャイルに対して発信しているかを数回に分けてご紹介していきたいと思います。
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