目次
- 自己紹介
- 30年近く勤めた会社を退職し、キャリアコンサルタントの道へ
- 目の前の人を勇気づけられる仕事がしたい
- 身体も目線もこちらに向いているのに、「聞いてもらえていない」と感じた経験
- じっくり話を聴いてくれた、薬局の「より子さん」
- 安心して気持ちを預けていただけるように、自分のメンテナンスもしっかりと
- 何を話せばいいのかわからないという状態でも大丈夫
清水 智子(しみず ともこ)
国家資格キャリアコンサルタント、(一財)生涯学習開発財団認定マスターコーチ
1. 自己紹介
はじめまして。Smart相談室 カウンセラーの清水智子です。
キャリアコンサルタント、プロコーチとして2022年11月からSmart相談室に参画しました。
2. 30年近く勤めた会社を退職し、キャリアコンサルタントの道へ
2021年秋までは国内電機メーカーの産業用機械を扱う会社に勤めていました。
途中、会社の吸収合併などはありましたが、ずっと同じ会社で30年近く。とても長い時間、企業に属する社会人として過ごしてきたことになります。
それだけ長い時間を会社で過ごしていると、部署異動、上司や同僚との軋轢、生まれ育った北海道から東京本社への転勤、管理職昇格など、サラリーマンとしての壁にはもれなくぶつかってきました。自分なりに頑張ったと実感できたので、次のキャリアに向かおうと考えて退職することを決めました。
退職後すぐに国家資格キャリアコンサルタントの養成講座を受講し、同時に管理職をやっていた時に少し触れたコーチングも体系的にしっかり学ぶためスクールに入学。並行して二つの学びをスタートしました。
2022年の夏にキャリアコンサルタントの資格を取得してすぐSmart相談室に加えていただいたのですが、人事での経験もなく資格も取りたて、まっさらの初心者マークで、実績として誇れるものが何もない状態でよく採用していただいたものだと思います。
3. 目の前の人を勇気づけられる仕事がしたい
今までの仕事ではBtoBで建築設備などの大きく重い製品を扱っていました。製品が目の前でお客様の役に立つ場面を見る機会が少なかったため、自分の仕事がズバリこの人に役立っている!という実感を持ちにくいと感じていました。次の仕事を選ぶなら「目の前の人の役に立てる仕事」がしたい。自分の持っているもので何が役に立つだろうかと模索していた時にふと『しっかり人の話を聴くことができるのはあなたの大きな強み』と人から言われたことを思い出しました。
人の話を聴いて支援する……。過去の自分が、欲していたのにやってもらえなかったこと。道が決まったことを感じました。
私は技術系の仕事をしていたのですが、若い頃は業界的に女性がまだ少なく、地方だったこともあって仕事上で接する人のほとんどが男性でした。女性であるというだけで信頼してもらうまでに時間がかかったり、同じ内容の提案でも男性が提出すると評価されるという理不尽なことが普通に行われていました。私自身も自信を持って毅然と立っていたかったのですが、そのような扱いが続くと自分はダメなんだと感じてしまうことも多くありました。誰かに相談しようにも、女性がいない環境ではわかってもらうことも難しく、いつも飲み込んでモヤモヤ、イライラしてしまうことも多かったと思います。
同じようにちょっと弱気になっている人を少しだけでも勇気づけられたら。そんな気持ちが、働く人を支援する今の仕事を目指すきっかけになりました。
4. 身体も目線もこちらに向いているのに、「聞いてもらえていない」と感じた経験
管理職としてマネジメントに当たっているとき、自分自身がメンバーとの間に透明な壁みたいなものを設置して意識的に引き気味だったことがありました。
「若いメンバーは上司から色々話しかけられたらイヤだろうな」と遠慮していたのですが、本来もっと能力を発揮できるはずのメンバーがいまひとつ伸び伸びできていないように感じていました。何かを変えなければと、週ごとに誰かひとりとランチに行く1on1ランチを計画。食事しながら仕事に関わらず色々な話をすることで透明の壁を取り払うことができ、メンバーが活発に意見を言うようになってくれたことも、対話の重要さを実感する経験になりました。
一生懸命話しているのに聴いてもらえなかった経験もあります。
キャリコンには実技試験があり、受講生同士がロールプレイで練習することがあります。管理職に上がってすぐの頃の経験を話しているとき、相手の方が自分の話を全く聞いていないことが伝わってきました。一生懸命相づちを打ち、身体も目線もこちらに向いているのにちっともわかろうとしていないと感じるのです。なぜ聞いてくれないの?という疑問、ないがしろにされている寂しい気持ちや憤りが湧き上がってきました。
終わった後に相手の方から「管理職の経験が無いので何を言えばいいんだろうと焦って全く集中できなかった」と聞きました。
わかりたい気持ちを持たずに聞かれるとこんなに辛いんだ、こんなに伝わっているものなんだ。こんな気持ちを自分のクライアントにさせてはいけない。この先どんな相談も絶対ちゃんと聴こうと強く心に誓いました。
5. じっくり話を聴いてくれた、薬局の「より子さん」
もちろん、聴いてもらって救われた原体験もあります。
小学5年生の頃、クラスの女子の間で誰かをシカトするいじめが突然始まりました。順番にターゲットが移り変わり、ある日学校に行くと誰も話しかけてくれません。クラス皆と仲がいいと思っていた私にはその状況がとても辛いものでした。
親には話せない、心配するだろうし…。兄妹にも話せない、かっこ悪いし…。
誰も話しかけてくれない休み時間はものすごく長く感じました。
学校の近くに文房具なども売っている小さな薬局があり、「より子さん」というお姉さんがいて、立ち寄る小学生の話をいつも穏やかに聞いてくれました。
ひとりでお店に行った私により子さんは「あれ、いつもお友達と一緒なのに一人は珍しいね」と声をかけてくれました。そこで話し始めたら涙が止まらなくなって、自分でもびっくりしながらより子さんに気持ちを打ち明けました。より子さんはただ頷きながら聞いてくれただけでしたが、そのことですぅっと気持ちが楽になったことを今でも覚えています。
利害関係のない他人でも、ただ話を聞いてもらうことでこんなにも気持ちが楽になる。自分が傾聴してもらった初めての経験だったと思います。
6. 安心して気持ちを預けていただけるように、自分のメンテナンスもしっかりと
Smart相談室に入ってまだ1年経っていないのですが、たくさんの方のお話を聴かせてもらっています。相談内容は本当に様々で、当然ですが一つとして同じセッションはありません。相談者の方は「周りの人には話しにくい」と言う方がほとんど。選択肢としてSmart相談室で話すことがもっと普通になってほしいと思います。
スーパーバイザーの鵜飼さんが以前話してくださった『水深30mにいる相談者さんのところまで一緒に潜って隣にいる』カウンセラーであることを目指して、みなさんに絶対的安心感を提供したい!といつも思っています。
そこで感じていることは、自分のメンテナンスの重要性です。
安心して気持ちを預けていただけるように相談の時には揺るがず、どっしりした状態でいたい。健康の維持はもちろんですが、知識の研鑽、スキルアップの必要性は自分のためにも相談者さんのためにも高まるばかりです。
Smart相談室では毎月テーマを変えて研修会やグループスーパービジョンを開催してくれます。工夫を凝らした鵜飼さんの講義内容に加えて、様々な立場の方たちから多様な見解を聞かせていただける大変貴重な学びの場です。リアルで参加できない時も録画を漏らさず視聴してメモを取りまくっています。
みんなが『相談者さんのために』で結びつき、貪欲に学び合い、それぞれの立場からの発言を認め合える温かな雰囲気を感じると「ここに所属できてよかったな…」とじんわり嬉しくなりますし、自分ももっと力を尽くしたいと意欲が上書きされて増えていきます。
7. 何を話せばいいのかわからないという状態でも大丈夫
相談者の方には、本当に気軽に相談に来てほしいと思います。
『何でも相談してイイよ!』というのは掲げているだけではなくて、カウンセラーみんなが真剣にそう思っています。心に溜まっているものを外に出すと身軽になれたり、新しいものが入るスペースができたりします。そこまで行かなくても、ちょっとだけ息が深く吐き出せるようになるかもしれません。
何を話せばいいのかわからないという状態でもかまいませんので、ぜひ気軽にお話に来てください。
ごきげんで仕事する人をもっと増やすために全力で力になりたい!本気でそう思っています。
いつでも、お待ちしています。
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次回の【カウンセラーの想い】
▶︎働く人のウェルビーイングが大切にされる社会を目指して|須藤 拓さん
▶︎Smart相談室カウンセラーがSmart相談室で相談してみた Vol.1|鈴木 直子さん
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