ストーリー第二弾は、当社創業者の鈴木健太に会社設立のきっかけについてインタビューしてまいります。
【略歴】
1989年:東京都国立市出身。
2009年:筑波大学医学部へ入学。在学中にKinesiology, Arizona State Universityへ留学し、医学・経済学・人文学等を学ぶ。卒後は国立国際医療研究センターで勤務医として働く。
予防医療の重要性に気づき、帝京大学公衆衛生大学院で健康経営を研究しつつ、産業医として多くの企業を担当する。
2018年:同年1月に(一社) 健康経営推進産業医会を創業。産業医のコミュニティや教育体制を形成、セミナー等企業への発信活動を行う。
2019年:同年2月、株式会社Dr. 健康経営を創業。全国の多くの企業に産業医サービスを提供開始。
ドクターの立場での起業はまだ珍しいと思います。なぜ起業したのでしょうか?
鈴木健太(以下鈴木):私自身が産業医として働いていた際、サービス提供者である産業医側の仕事に対する意識と、スキルレベルの低さを感じたことがきっかけです。
先日皆さんから受けたインタビューでもお話しましたが、私のフィールド調査では約5%の産業医しか十分な機能を果たしていません。
編集部(以下編集):ビジネスとしての問題も発生していたんですか?
鈴木:はい。起業当時、産業医と企業のマッチングサービスに需要があることを見つけた人材紹介会社が、すでに産業医と企業のマッチングサービスを始めていました。
しかし、産業医としての意欲やスキルが高くない医師をマッチングすることにより、企業が受けるサービスレベルも低いという事態が新たに発生していました。
その結果、企業は法令遵守のためだけに産業医へ顧問料を支払い、従業員にも企業側にもほとんどメンタルケアの効果が還元されることがない、という問題も発生してしまいました。
編集:産業医側には何か問題が発生していたんですか?
鈴木:産業医に興味を持つ医師が増えてきてはいるのですが、産業医としてのキャリアを重ねていくモデルや、教育体制が業界として整備されていません。
結果として、産業医が企業と働く人を十分にサポートできないだけでなく、それを支援する医師側も伸び悩む構造という問題が発生しました。
編集:場当たり的な問題解決が、新しい問題を発生させてしまった感じがしますね。
鈴木:まさにそうですね。こうした課題を目の当たりにして、「企業が支払う顧問料が働く人や企業に還元される形を作り、みなさんを元気にしたい。」と思ったんです。
そして、「一定以上のレベルを担保した産業医にのみ職場のケアを行ってもらうサービスを提供しよう」と決め、株式会社Dr. 健康経営を創業しました。
鈴木さんがそもそもドクターを目指したきっかけは何だったのですか?
鈴木:戦術という概念と医術という概念に興味を持ったのがきっかけですね。
私は高校生まではバスケットボールに熱中する生活を送っていました。
現代のスポーツは、勝つために試合中さまざまな戦術を実行しますよね。行き当たりばったりではなく、選手や監督がきちんと試合状況を把握し、適切な戦術を実行して試合に勝ちます。
編集:そういえばNBAの監督やアメフトの監督って元選手っていうよりも、ビジネスパーソンって感じがしますね。
鈴木:スポーツは肉体をフルに活用するものなので、自然と身体の構造に興味をもつようになりました。興味はもったものの、どんな道に進めばいいんだろうと考えた結果、医者を目指すことにしました。そして部活を引退した後がむしゃらに勉強して、志望大学に合格することができました。
でもめちゃくちゃ苦労して入学してみたら、医療業界の価値観の均一性や、答えの決まっている仕事をすることが性格に合わなくて……。
その後の海外留学経験をする中で、新しい価値観や世界、人のつながりを広げていく仕事をしようと、漠然とですが決めました。
編集:多様性が大事だってよく言いますもんね。
鈴木:あと健康が大事だ!って言ってるんですけど、研修医時代働きすぎて入院してしまった経験があるんですよ。産業医に興味をもったきっかけは自分自身の入院経験と、その時の縁がもとにもなっていますね。
編集:アポイントの連絡とか一生懸命やってますよね!今でも頑張りすぎの時がありますね!
鈴木:質は当然大事です。でも量はもっと大事です!でも無意味な行動はネガティブなストレスを生みますので、戦術も当然大事です。
起業から2年経ちました。鈴木さんにどんな変化がありましたか?
鈴木:もともと感じていた業界の問題を、構造化して核心を捉えることができるようになりました。とにかく量をこなす。そしてお客様のニーズを探り、解決策を提案していく中でわかってきたんです。
会社員の経験がないので今でも苦労の連続です。
でも、そんな私にも共感してくれるパートナーに恵まれるような環境に変わりました。
まだまだ目指す世界観には程遠いですが、ゆくゆくは働く人と企業の健康経営を産業医のマッチング以外のアプローチでも実現していけるサービスもつくり、私の人生におけるミッションを実現したいと考えています。
編集:今日は鈴木さんの学生時代の話もきけてよかったです。本日はありがとうございました!
鈴木:ありがとうございました!