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現場担当者とつかんだ課題解決の糸口。コミュニケーションを軸に技術で貢献する2人の想い

テクノプロ・デザイン社がソリューション事業を進める際に、クライアント課題解決の入口として「クリック報告」を重視しています。クリック報告とは、ソリューションの事業化を進める上で、現場にいるエンジニアの声を会社に共有する、テクノプロ・デザイン社独自の仕組みのこと。現場にいるエンジニアが、クライアントの課題をキャッチして会社に報告し、営業活動につなげています。今回は、「電子ベンチ開発プロジェクト」にオンサイトエンジニアとして参画した、安宅 雄と大林 茂雄が、業務内容やクリック報告の活用例、それぞれが大切にしている想いについて語ります。

オンサイト業務で見えてきた現場課題。「クリック報告」が営業活動を後押し

──まずは、安宅さん、大林さんが所属する車載組込開発センターと、群馬支店が連携して進めた「電子ベンチ開発プロジェクト」について、おふたりがどのような形でプロジェクトに関わったのか、教えてください。

安宅 :ある自動車メーカーの開発プロジェクトに、群馬支店のエンジニアが常駐していました。そのなかで、機能が複雑化していく自動車開発において、仮想モデルを作って検証を行う「電子ベンチ開発」を行いたいというクライアントのニーズがあったんです。
そこで、テクノプロ・デザイン社として応えるために、群馬支店メンバーに加え、車載組込開発センターのメンバー3人が入り、一緒に提案内容の検討・開発に取り組むことになったんです。そのメンバーが、私と大林さんと、もう1人でした。

──おふたりは当時、車載組込開発センターがある神戸に住んでいましたよね?

安宅 :当時は神戸に住んでいたのですが、オンサイトが開始されるということで、週の初めに神戸から、自動車メーカーの開発拠点がある群馬県に向かい、金曜日にはまた神戸に帰るというスケジュールでした。

大林 :プロジェクトに参画した当時は、テクノプロ・デザイン社に入社後、半年も経っていないころでした。最初は神戸から出張ベースで群馬に通っていましたが、想定以上に現場にはりつかなければならない部分もあり、移動にも時間がかかるので、私は群馬に引っ越したんです。

──どのくらいの期間、プロジェクトに参画したのですか?

安宅 :私が関わった期間は1年ほどでした。途中、神戸からもう1人開発メンバーを呼び寄せたこともありました。ですが、最終的にはすべての業務を群馬支店メンバーに引き継ぐつもりで計画していたんです。
ただ、今でも自分の統括するチームが同じ自動車メーカーのオンサイト業務を担うなど、つながりは持ち続けていて、プロジェクトの様子は引き続き注視しています。

大林 :私は2017年にプロジェクトがはじまってから、2年半ほど携わっていました。コロナ禍の影響で2020年にプロジェクトは一時ストップしました。それ以降は別の案件に取り組みつつも、断続的にオフサイトでプロジェクトに関わっています。

──プロジェクトに長く関わると、壁に直面することや課題が出てくるケースもあるかと思います。そんなとき、現場から社内にどのように共有しているのでしょうか?

安宅 :クライアントと一番近い距離にいるのは営業ではなくエンジニアです。現場にいるエンジニアからクライアントの課題を報告する仕組みをシステム上で構築しています。
当社では、それを「クリック報告」と呼んでいて、クライアントが抱えている課題を社内に共有し、営業担当やコンサル部門が確認し、課題解決のためにスピーディーにクライアントに提案できるような体制を整えています。

──会社全体では、クリック報告の数は昨年比で1.5倍以上になっているそうですね。現場にいるエンジニアや他の拠点とも連携しながら、クライアントのニーズを汲み取り、社内に共有し、ビジネスチャンスにつなげられるのは、双方にとっても良い取り組みですね。

安宅 :「ここにビジネスチャンスがありそうだ」と、現場から本部に伝えるクリック報告以外にも、逆パターンがあってもいいかもしれないですね。
たとえば、本部から「こんな仕事ができますよ」、「こんな実績がありますよ」と現場にプッシュしていくとか。現場にいると、他の拠点にいるメンバーがどんな取り組みをしているか見えにくいこともありますからね。

相手に目線を合わせたコミュニケーションこそ、技術者が実績を挙げる鍵

──このプロジェクトを機に、クライアント先である自動車メーカーの量産プロセスの中でも、電子ベンチ開発が取り入れられたと聞いています。おふたりはこれまでも単体のシミュレーション環境などを構築した経験もありますし、電子ベンチ開発のプロジェクトを大いに前進させる原動力になってきたのではないかと感じます。実績を積んできたおふたりですが、エンジニアとして業務に取り組む際、どのような信念を大切にしているのでしょうか?

安宅 :一人でできる業務ではありませんから、コミュニケーションは非常に重視しています。チーム統括を経験して実感したのは、「結局はコミュニケーションをとって進めないと業務を推進できない」ということです。

──コミュニケーションと一口に言っても、話したり聞いたり、場をつくるケースもあるなど広い意味があると思いますが、とくに重視しているのはどのようなことでしょうか?

安宅 :一言でいうなら「傾聴力」です。話し方も大切だとは思いますが、私自身は相手が発する言葉の「受け取り方」を重視していますね。相手の話す内容の中から自分の知りたいことを聴き出しやすくするよう、尋ね方も工夫しています。

──傾聴力はどうやって身につけてきたのですか?

安宅 :まだまだしっかり身についているとは思ってはいないですけれども(笑)。相手がどこまで理解しているのか、相手目線で考えることが重要だと思っています。答えに詰まるような難しいことをいきなり聞いても、こちらの欲しい回答は得られないですからね。

──大林さんはどんなことを大切にしていますか?

大林 :安宅さんが言った“コミュニケーション”に近いかもしれませんが、「視座」と「視点」を意識しています。自分の話が相手の立場から「どう捉えられるか」をしっかり考慮した上で、話し方や内容を合わせるように心掛けています」

──視座や視点の重要性には、いつ気づいたのでしょうか。

大林 :今では、「ソリューション思考」とか「ロジカルシンキング」と呼ばれる考え方を書籍や研修で学べる機会も多いですよね。しかし、やはり鍵となるのは、仕事の場数を踏んだことですね。ときには修羅場もくぐり抜けながらいろいろと経験することで、ようやく見えてきたな、という感じです。トライアンドエラーといいますか、相手の立場に立って「相手がどう思うか」を肌感で蓄積していくことが重要だと考えています。

開発現場で苦戦した際に乗り切るメンタル力とは

──修羅場という言葉も出てきましが、開発の現場ではいろいろな人とやり取りしますし、鍛えられることも多いのではないかと思います。コミュニケーションを重視して業務に取り組んでも、不意に困難な場面が訪れることもありますよね。そのような時はどのように対処しているのですか?

安宅 :実力以上のものは出てこないと思っているので、基本的「なるようにしかならない」と割り切る、あるいは「人に助けてもらう」という選択肢もありだな、と。
現場でのやり取りの中で困難を乗り切ることができれば、自信にもつながります。次の現場で大変な場面に直面しても「以前を超える修羅場はもうないだろう。大丈夫だ」と考えるようにしていますね。

大林 :私も「なんとかなることしかない」と思っています。逆に、「なんともならない」とは考えないですね。自分ではどうにもならないことはあると思いますが、それに対して「悩み続けてもしかたない」というマインドでいます。
ですから、自分でどうにかできることは体系立てて取り組みますけど、そうではないことは「自分が悩んでもしかたがない」と割り切っている面があるかもしれません。だからこそ、「なんとかなる」と思えるのかもしれないですね。

──おふたりとも精神的に強いですね。仕事で大変な場面が訪れると押しつぶされそうになったり、抱えきれなくなったりする人もいると思いますが、おふたりは軸を持っている印象です。どのようにして培われてきたのでしょうか?

大林 :どうなんでしょうか (笑)。私は根がポジティブなわけでもありませんし、社会人になった当初は、自分の実力以上のことを求められたらどうししよう、と日々悩んでいました。経験を積むにつれて、なんとかなると思えるようになりましたね。

コンサルティングや上流工程も──テクノプロで目指したい未来

──テクノプロ・デザイン社は、高度で先進的な技術を持つエンジニアの方が多数在籍している点が強みですが、その中で活躍を続けているおふたりの将来の目標はどこにあるのでしょうか?

安宅 :今手掛けている業務で得られた知見を活かし、いずれはコンサルタントのジャンルに踏み込んだ仕事をしたい、と考えています。今でも業務の中でコンサルのような進め方をすることはあるのですが、本格的にコンサルタントとして取り組んでいくためにはまだまだスキルが足りないと感じているので、これからの目標です。

大林 :年齢的なことを考えると、今後30年近く現役で仕事をすると思うのですが、「付加価値の高い業務に携わりたい」という、漠然としたキャリアプランがありまして。業務の中にもこれからAIに置き換わっていく領域がある中、人間じゃないとできない仕事に取り組んでいきたいです。

──たとえば、どのような領域になるのでしょうか?

大林 :工程でいうと、やはり最初の段階で「どのようなものをエンドユーザーに届けたいか、届けるべきか」「どのような需要があるか」という部分です。要件定義など、いわば上流工程にあたる領域ですね。
人間だからこそ、エンドユーザーが欲していることや届けるべきものを考えることが可能だと思っているので、最終的にはそういった領域にシフトしていくのが自分のキャリアとして良いのでは、と考えています。

──ありがとうございます。安宅さんは現在も自動車メーカーでの電子ベンチ開発業務の技術支援、大林さんは車載ブレーキシステムのモデル検証業務を手掛けていますね。

これまでの経験を活かしたコンサルタントに特化した展開や、将来の業界の状況を見据えた付加価値の高い働き方と、現在の業務内容を越えた広い視点や抱負を聞くと、ますますの活躍が期待されますね。

安宅 :ありがとうございます。何から取り掛かれば良いかまだわかっていない部分はありますが、目標に近づいていきたいですね。

大林 :人間だからこそ、自分たちだからこそできる可能性をどんどん追求し、広げていきたいです。


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