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KINTOテクノロジーズが手掛けているサービスは、「KINTO」のみではありません。社内では、さまざまなプロダクトの開発が進んでいます。その中で、少しずつ社内で広がりを見せているのが、アクセシビリティ化に対する取り組みです。今回は、フロントエンドエンジニアとしてKINTO FACTORYなどに携わる橋村さん、三上さんにお話を伺いました。サービスのバリアフリー化を先導してきた2人は、どのようにアクセシビリティ化に向き合ってきたのでしょうか。
■ 橋村 グローバルプロダクト開発G フロントエンドエンジニア
受託開発をメインに行う制作会社でエンジニアとして勤務したのち、自社プロダクトに携われる環境を求め、KINTOテクノロジーズへと入社。グローバルな環境を志望していたことから、グローバル開発部に配属となる。前職の業務内容がきっかけでアクセシビリティについて知り、以後、自発的に知見を深めてきた。KINTOテクノロジーズでは、フロントエンドエンジニアとして活躍中。
■ 三上 プロジェクト推進G KINTO FACTORY開発チーム
教育系のSaaSを提供するスタートアップで、SESを通じて、未経験からフロントエンドでの開発、チームのマネジメントなどを経験。その後、1つのサービスに長く関われる環境を求め、KINTOテクノロジーズへと入社する。入社の決め手になったのは、技術スタックの高さ。橋村との出会いが、アクセシビリティについて知るきっかけとなった。
携わるプロダクトへの責任感がアクセシビリティ化へ取り組むきっかけに
――橋村さん、三上さんがアクセシビリティ化に対する取り組みに興味を持ったきっかけについて教えてください。
橋村:前職のとき、クライアントから依頼された開発作業の意図を自発的に調べたことがきっかけでした。当時の私は業務上「アクセシビリティ」という言葉は知っていましたが、そうした取り組みがどのような意味を持つのかまでは、きちんと理解していませんでした。興味を持って深掘りしていくうち、少しの工夫で一部のエンドユーザーの体験が大きく変わることを知りました。「一人のエンジニアとして自分が携わるプロダクトに責任を持ちたい」そのような想いから少しずつ知見を広げ、現在へと至っています。
三上:私はKINTOテクノロジーズに入社し、橋村さんに出会ったことがアクセシビリティ化に興味を持つきっかけになりました。KINTO FACTORYの開発を行っていたとき、コードの書き方について橋村さんにアドバイスを受けたのです。それまでは言葉を耳にしたことがある程度で、業務の際に特別に意識したことはありませんでした。
私は世にあるさまざまなプロダクトについて、ユーザーの状況にかかわらず、サービスを利用できる状態が理想的だと考えています。橋村さんと出会い、アクセシビリティ化に取り組む意味を知ったことで、そのような考えにたどり着くことができました。
――KINTO FACTORYを開発していた当時から、KINTOテクノロジーズ社内にはアクセシビリティ化に取り組む土壌があったのですか?
橋村:いえ、プロジェクトの中に工数が用意されているわけではありませんでしたね。より良いプロダクトを開発するために、一部のエンジニアが自発的に取り組んでいる状況でした。もしかすると私や三上さんが関わっていないところで、同じような動きはあったかもしれませんが、表立って「アクセシビリティを考慮していこう」という段階ではなかったと記憶しています。
――当時のKINTOテクノロジーズが開発していたプロダクトは、どの程度アクセシビリティが考慮されていたのでしょうか?
橋村:「健常者が不都合なく使える」というのが率直な感想でしょうか。ハンディキャップのある方にとって親切と言えるものは生み出せていませんでした。たとえば、世の中にはマウスの操作が満足にできず、キーボードでしかWebサイトを閲覧できない方もいます。そのような方に対し、配慮できるだけの土壌は形成されていませんでしたね。当時はまだ経験やノウハウが不足していたのだと思います。
エンドユーザーの体験をポジティブにする組織風土に支えられた2人の自発的な挑戦
――現在のKINTOテクノロジーズにおける、アクセシビリティ化の現状を教えてください。
三上:「取り組むべきもの」という共通認識が浸透し始めているのを感じています。現状はまだ個別の工数が割り当てられている状況ではないですが、少しずつ前に進んでいる実感はありますね。
――土壌が形成されていないなかで、0から取り組むことには苦労もあったかと想像します。
橋村:開発と並行して取り組まなければならないことが最も大変でした。アクセシビリティ化は本来、保守・運用に分類されるタスクです。だからこそ、開発が日進月歩で進んでいるタイミングに組み込もうとすると、業務が煩雑化してしまいます。
三上:実際に過去のケースでは、アクセシビリティ化に取り組んだ結果、その他の開発部分に影響が出てしまい、回り道となったこともありました。そのような教訓から現在は開発が少し落ち着いたタイミングで臨むようにしています。
――取り組むうえで、KINTOテクノロジーズの環境がプラスに作用した点はありましたか?
三上:事業会社であること、そして開発における技術レベルが高いことは、取り組みやすさにつながったと実感しています。事業会社であり、かつ技術レベルが高かったからこそ、本来は保守・運用に分類されるアクセシビリティ化のタスクにも労力を割く余裕があったのだと思います。
橋村:KINTOテクノロジーズの開発メンバーの多くは、新たなプログラミング言語の学習、トレンドのキャッチアップなどを自発的に行っています。そのようなマインドを持ち合わせた人たちで形成される開発環境だったからこそ、アクセシビリティ化にも柔軟に取り組むことができたのだと思います。
三上:KINTOテクノロジーズには、プロダクトの品質やエンドユーザーの体験をより良くする提案に否定的なスタンスをとる人がいないですよね。気づきを共有しやすい組織風土が挑戦につながったと思います。
アクセシビリティへの取り組みは、不可欠
――お二人はアクセシビリティ化の重要性をどのように認識していますか?
三上:駅を想像するとわかりやすいかと思います。階段に併設されたエレベーターやスロープ、床の凹凸タイル、券売機の点字などは、健常者にとっては重要度の低いものでしょう。けれども、今では誰もがその必要性を認識し、なくてはならない設備として普及しています。「困っている誰かのために準備しておくべき」というのは、おそらくほぼすべての方の共通の認識ですよね。本来であれば、Webサービスにおけるアクセシビリティ化への取り組みも同様でなければならないと思います。
橋村:最近では、バリアフリーカーや障害者雇用の話題を耳にする機会も増えました。ハンディキャップを抱える方が不自由なく社会生活を送るためには、アクセシビリティ化への取り組みが不可欠となってきています。誰もが当たり前にWebサービスに触れる時代だからこそ、KINTOテクノロジーズのプロダクトも、ユーザーの属性にかかわらず、一定の価値を提供できる設計となっている必要があるのだと思います。その点を考慮しないことは、もはや時代遅れとも言えるのではないでしょうか。
――アクセシビリティ化に関して、今後の目標はありますか?
三上:さらに理解を広めていきたいですね。取り組みが社内に浸透すれば、やがては工数がスケジュールに組み込まれ、よりスピーディーに開発が行えるようになるはずです。現在より負担が軽減されれば、さらに質の高いアクセシビリティ化に取り組めるかもしれません。
橋村:KINTOテクノロジーズでは、キャリア採用と並行して、障害を持つ方の採用もスタートしています。今後、開発に近いポジションに私たちにない新たな視点が加わることになれば、より本質的なアプローチにもつながってくるはずです。アクセシビリティ化への取り組みはまだ道の途中です。私たちの考えに共感してくれるメンバーが少しでも増えてくれるとうれしいですね。