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KINTOテクノロジーズで広がる新たな挑戦〜データサイエンティストがAIチャットのフルスタック開発に取り組むまで
2022年11年にリリースされ、世界を驚かせたChatGPT。KINTOテクノロジーズでは、ChatGPTを用いた社内AIチャットをリリースし、業務に取り入れたり、ハンズオンイベントのテーマとして取り上げたりしています。そこで今回は、社内向けAIチャット「しぇるぱ」の開発を担当した、データサイエンティストの和田さんにインタビューを実施しました。和田さんの入社までの経緯やしぇるぱのフルスタック開発、ハンズオンイベントの開催などについてお伺いします。
ものづくりへの想いを胸に名古屋でデータサイエンティストとして転職
―最初に、和田さんのこれまでのキャリアを教えてください。
大学時代は社会情報学を学び、個人的にPythonでもの作りをしていました。その後、Pythonを活用しつつエンジニアとして経験を積みたいと思い、前職の会社に入社しました。その会社は大きなメーカーだったこともあり、手を動かしてコードを書く仕事というより、進捗管理などプロジェクトを前に進めることが主な仕事でした。大規模な仕事が多くやりがいもありましたが、自ら手を動かしてシステム開発に携わりたいという思いから、プライベートではPythonを勉強しつつ、データサイエンティストを目指し始めました。データサイエンスに興味を持った理由は、学生時代にPythonを学んだ経験を活かせて、かつ今一番役に立ちそうな分野だったからです。そして、ただ勉強するだけではなく形に残したいと思い、E資格を受験しました。合格後は、社内でもデータサイエンス寄りの、需要予測の仕事を経験させていただけるようになりました。需要予測とは、例えば「どの製品が何個売れそうか、来月はそれぞれ何個ずつ生産すべきか」「そのために必要な仕入れの量はどれだけか」といった内容を予測するものです。こうした経験を積んだうえで、私はKINTOテクノロジーズへと転職しました。
―KINTOテクノロジーズへの入社理由と、当時感じた魅力を教えてください。
「自分で手を動かせそうな会社」で母体が大きく、内製化を目指す企業だったからです。まず、自分で手を動かしながらデータサイエンティストとして働ける点が、魅力に映りました。KINTOテクノロジーズを選んだ決め手は、兄弟会社であるKINTOが、名古屋に大きなビジネス拠点を持っていたことです。東京だけではなく、名古屋にもしっかりビジネス拠点がある点が魅力的だと思い、KINTOテクノロジーズに入社しました。
ChatGPTを用いたAIチャット開発主担当としての挑戦
―KINTOテクノロジーズではどのような業務を行っていますか?
社内向けAIチャット「しぇるぱ」の開発を主担当は一人で、関係各所の助けをもらいながら行い、2023年5~6月頃から社内に展開しています。2022年11月にChatGPTがリリースされたことを受け、社内でもセキュアな環境で業務に活用するべく、開発の依頼を受けました。やりがいでもあり難しくもあった点は、インフラからロジックの実装まで、サービスの全ての主担当となり、開発を行ったことです。データサイエンティストはその役割上、一人で一つのサービスの全てを作ることは、ほとんどありません。私自身もそういった経験はなく、開発はかなり大変でしたが、さまざまな方にアドバイスをもらいに行きました。そこで役立ったのが、「Prism Japan」の開発チームにいた経験です。当時はレコメンドアルゴリズムの開発担当をしていました。Prism Japanでは、フロントエンドからバックエンドまで全て内製化していて、ソースコードも見ていたので、そこで得た知見をしぇるぱの開発に活かすことができたと思います。
―リリース後、しぇるぱはどのように活用されていますか?
しぇるぱはSlackで利用可能なチャットbotとして実装されています。長くなったスレッドの要約や、アイデアの壁打ち、コーディングの相談など様々な活用をしてくれています。
私も想定していなかった活用も生まれています。MTGの司会者やライトニングトークのテーマをしぇるぱに決めさせているんです(笑)AIに指名させると不満も出にくいので、面白い使い方だと思います。こうして活用を続けた結果、「しぇるぱ=和田」というイメージが社内に浸透していったようで、リリース後はしぇるぱの活用に関する相談から生成AI活用の相談まで、指名で頂けるようになりました。社内に向けても、社外に向けてもより生成AIの活用を進めたいなと思い、LLM(Large Language Models)初心者の方でも気軽に技術を体験できる会としてハンズオンイベントを開催しました。
インタラクティブなハンズオン会を通して、「できた」実感を提供
―今回、ChatGPTに関するハンズオンイベントを実施した背景や概要、当日の様子を教えてください。
今回のイベントはもともと、私が運営メンバーとして関わっている「Liven up Nagoya」という外部コミュニティで企画したものです。Liven up Nagoyaは、名古屋のエンジニア同士でつながりたい人達に向けて、気軽に集まれるような場を提供しよう、というコンセプトのコミュニティです。2か月に1回のLT大会やパネルディスカッションなど、気軽に参加できるエンジニア向けのイベントを主催しています。2023年10月の回では、ChatGPTを活用したい方の背中を押せるようなイベントを開きたいと思い、このハンズオン会を企画しました。
当日は3部構成で、「ChatGPT APIとLangChainの概要」「ChatGPT APIハンズオン」「LangChainハンズオン」を行いました。こだわったポイントは、難易度をできるだけ下げ、初心者の方にも取り組みやすい内容にしたことです。具体的には、サンプルコードを事前に作り込んでお渡しし、開発環境もローカルで作らないようにしました。GoogleColaboratory やGoogleアカウントがあれば、誰でもコードを動かして、技術に触れられるようにしていましたね。
―今回のイベントを通して、変化はありましたか?
アンケートを見ると、今回は「できた」という確かな手応えを感じられるイベントになっていたようで、参加者の皆さんが技術を活用していくきっかけ作りができたのではと思います。アンケート結果も非常に良かったです。当日はハンズオンということで、10~15分おきに私が参加者の間をまわって声をかけたり、参加者同士でも「できました?」と聞き合っていたりしました。こういうコミュニケーションが盛んで、これまでのLT会と比べてもインタラクティブ性が高かった印象です。そして、作業の時間は皆さんしっかり集中されていました。また、資料や説明が分かりやすいという声も非常に多く、嬉しかったです。
ー社員をイベントTAに。ChatGPTをマスターする機会に
今回、参加者の方のフォローをするTA(ティーチングアシスタント)をいろんな方にお願いしました。TAの皆さんには、イベント前にハンズオンの内容を念入りにお伝えして、ChatGPTに詳しくなっていただきました。彼らがKINTOテクノロジーズのさまざまな部署に戻るため、今後新しいAI技術を社内に広めたいときは、キーパーソンになってくれるのではと期待しています。1月に東京でも同様のイベントをやるので、さらにChatGPTを解説できるエンジニアが増える予定です。
目指すは「生成AIの代表格」。KINTOテクノロジーズで成し遂げたい「生成AIで事業に価値を生む」チャレンジとは
―和田さんから見た、KINTOテクノロジーズの魅力を教えてください。
正直、たくさんありすぎて困るくらいです。その中でも選ぶとすれば、内製開発の会社であるため、動き出しやリリースまでのスピード感が早いことです。KINTOテクノロジーズはベンダーを挟まず内製開発しているため、システム開発に関するノウハウが社内に多く蓄積しています。既存システムの改善であっても、新規システムの立ち上げであっても、社内のノウハウを活かしてスピーディーに物事を進められる点は、弊社の魅力だと思います。また、内製化を可能にしているだけあり、人材がとても充実していますね。フロントエンドでもバックエンドでも、各領域に必ず第一人者が在籍していることは、大きな強みだと感じています。
あとは、「まずやってみる」という精神があることも魅力的ですね。「やりたい」と声を上げると、挑戦を阻むことなく、むしろ応援してもらえるところが良いと思います。もちろん、うまくいかない時には誰かに相談しながら進めることもできます。チャレンジしようとする人を応援する文化が、社内に根付いているのだと思います。
―最後に、和田さんが今後KINTOテクノロジーズで成し遂げたいことは何ですか?
生成AIを活用して事業価値を創出する企業の代表格として、KINTOテクノロジーズの名前が挙がるようにしたいです。今、ChatGPTの名前を知らない方はほぼいないと思いますが、まだ実際に事業で役立てている企業は少ないようです。「利用から活用へ」生成AIを用いて事業へ価値を生み出すチャレンジは、まだ定石の存在しない、とても面白い仕事です。KINTOテクノロジーズが生成AI活用の代表格となれるよう、目標を共有して一緒に働いてくれる仲間が増えたらうれしいですね。