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【研修③】業務一覧の効用・分析機能による、経理業務の3要素の網羅的把握、工数可視化によるナローパスの把握、難易度分析による困難プロセス識別

経理業務の標準化として、業務一覧による業務管理をご提案している本項の3回目で、いよいよ業務一覧が完成します。前回までで、各プロセスについて、情報収集した上で、各経理プロセスの理解の要ともいえる経理の3要素:Input、処理内容、結果の評価(Output)が、CPA-Consultingの公認会計士等や経験豊富なBPOマネージャーにより識別されました。

分析フェーズの業務一覧

実際にどの程度の時間を要するかは、実は相当客観的、経理業務の3要素を把握しているからこその、工数設定

経理パーソンにとって、どのくらいの稼働を評価されるかという点で、工数はともて重要な指標で、アウトソーシングの場合には、会社の設定工数と工数実態の乖離が常に問題となります。しかし、このような状況は、前提条件のすり合わせ漏れや経理業務の3要素の抽出ミスから生じることがほとんどで、CPA-Consultingでの受託業務の現場では、工数の設定漏れはほとんど発生しません。

これは、経理業務の可視化と経理業務の3要素の抽出が適切に実施されていることに加え、多数の経理業務プロジェクトを成功させたノウハウにより、紙伝票の押印プロセスなどの生じる経理プロセスが、最低でも30分以下に設定できないことを合理的に説明可能であるからです。

例えば、経理グループで5人で実施されている業務の外注依頼で、クライアント側の設定工数が120時間だったことがあります。5名の経理課員の方は700時間以上勤務されており、稼働率が20%以下だということになりますが、このような根拠のない議論ではなく、業務一覧における分析により、正確な業務の実施時間を把握することで、お客様へも本当に必要な時間や員数をご案内できるのです。

さて、管理された経理部における業務管理の観点で、工数の分析はどのように実施すべきでしょうか?これは実際に作業している時間について、段取りから記帳完了後のドキュメンテーションまでを淡々と記録することが必要となります。極力、客観的な記録によって、各経理プロセスの重みが明らかになるのです。

工数の可視化は、実施日や納期情報と組み合わされることにより、ナローパスの識別に繋がります。
稼働日2日、3日は11時間の標準工数業務が発生するため、残業前提となる・管理職のフォローが必要になるなどのナローパスへの対策も、計画段階で可能となるため、担当者と上司との信頼関係が醸成されます。だれがどのくらい忙しいか、それがCPA-Consultingのメソッドで可視化されるのです。

業務の難易度評価の枠組み

ナローパスの識別は工数を基軸に実施されることに対して、業務の難易度評価は、前回抽出された各経理プロセスの3要素を評価することで実施されます。これにより、各経理プロセスについて、客観的な難易度の可視化が可能となります。

Input評価に基づく、経理プロセスの難易度

Inputを評価して、それが明確に定義できるかが、経理プロセスの難易度の根本的な前提になります。多くの経理プロセスはInputを評価してそれを明確に定義可能です。定義する努力や網羅的な把握に課題があり、Inputそれ自体は明確であることがほとんどで、この状態を構築することが、難易度の評価の段階の役割とも言えます。

Input情報が不明瞭で広範にわたる経理プロセスは、例えば、適時開示や後発事象の注記などが考えられます。このような業務は、経理プロセスでも難易度が非常に高い業務で、専門の担当者がチェックリスト等のツールの補助を受け、四苦八苦しながら対応します。Inputは明瞭であるかとが通常で、これに課題がある業務は、一律に非常に難しい業務とも言えます。もし、経理部内で、Input情報が不明瞭な業務をジュニアな担当者へアサインしていた場合、これは部門の責任で課題ともいえる状況です。

処理ルールの明確性や処理の複雑さに基づく、経理プロセスの難易度

処理について、ルールの明確性や処理の複雑さを軸に業務を、平易で明確なルールが存在するものとそうではない経理プロセスへ分類します。
転記や合計など平易な処理はよいのですが、複雑な計算等と伴う処理については、処理手順の文書化や確認方法の設定を実施します。処理に専門的な判断を伴う場合には、アサイン担当や査閲者に専門家を起用することの検討が必要となります。また、分析等やエラーチェック業務で処理が体系化しずらい業務の類型も、識別把握されて、対応策として熟練者の配置やエラー事例の集積が必要となります。

ルールの明確性や処理の複雑さについて、課題がない業務は簡単で、課題がある業務はやや難しい業務に分類されます

  •  ① 複雑な計算等と伴う処理については、処理手順の文書化や確認方法の設定を実施
  •  ② 処理に専門的な判断を伴う場合には、アサイン担当や査閲者に専門家を起用することの検討が必要
  •  ③ 分析等やエラーチェック業務については、熟練者の配置やエラー事例の集積が必要

結果の評価(Output)に基づく業務分類、難易度は別として影響甚大な業務が多い

経理部として、把握することに意味有りなのが、結果の評価が難しいプロセスとも言えます。財務諸表や開示項目で、作業的には平易な集計や転記等であっても、ミスが発見しづらく、部門内で確認が完了しない業務の類型がこれにあたり、結果的に、発見場所が外部になることにより、経理部へミスによる大ダメージが想定されることになります。

この様な業務はBPOベンダーとしては、
・作業者に加えて確認者を設定し、成果物の複数人確認を実施
・成果物をエスカレーションで会社様の確認を依頼する
などの方法により対応していますが、課題がない経理プロセスと比較して工数等の割り振りが必要となります。しかし、これについて、意義がある経理部長はいないと思われます。

参考に40業務程度を受託した経理アウトソーシングプロジェクトについて、業務の難易度を分析した結果を以下に表示します。このような難易度把握と対応策の立案まで、業務一覧の作成により経理業務の標準化が推進されます

ソリューションとして手順書・操作マニュアル・チェックリストなどを設定する

最後に、業務一覧の項目として、ヒアリング結果、経理の3要素の抽出、それに基づく工数や難易度分析に則り、当該経理プロセスを実施する支援ツールを設定します。これには、手順書・操作マニュアル・チェックリストなどがあります。

  • 手順書は実施目的な作業フローなどの定型マニュアルともいえ、基本的には全プロセスで作成します。
  • 操作マニュアルは複雑なサブシステム操作などを意図して作成することを設定します。
  • チェックリストは子会社PKGなどの分析評価で、標準的な品質確保のための、支援ツールとして設定します。これには監査法人や印刷会社の配付物活用も考えられます。

このように完成された業務一覧により、経理部門の業務が網羅的認識され、テーブルに挙げて共有すべきマスキングのない各経理プロセスごとの3要素が抽出されます。さらに、工数分析により結果的にナローパスが識別され、課題のある難易度がある経理プロセスが識別されます。これは、経理部門の業務が管理されている状態であると言えるのです。

今回までの研修で、業務一覧の効用により、経理部門で業務が管理されることを紹介しました。業務一覧には副産物として、工程表やマニュアルが存在します。それらを業務一覧と共に活用することにより。経理部門の業務の標準化の度合いはさらに高まることとなります。工程表による納期管理・工数管理や文書化の推進について、次回以降で触れていきます。

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