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ミイダス HRサイエンス研究所は2020年4月に、転職・採用を科学する研究組織として立ち上がりました。新しい仕事を得たいと思う求職者のユーザーと、仕事に適した人材を求める企業にとって、よりよいキャリア・働き方・仕事を提供するべく、研究を進めています。
研究所には元エンジニアの谷田と国立研究所で研究員をしていた横川が在籍しています。今回は、異なるバックグラウンドを持つ二人に、転職した理由や仕事の面白さについて話してもらいました。
ーーまずはお二人の経歴を教えてください。
谷田:僕は大学院を出てから、人材系のベンチャー企業に就職しました。約3年間バックエンドのアプリケーション開発からインフラの構築まで、幅広く開発に携わってきました。ミイダスに知り合いのエンジニアがいて、機械学習を取り入れていくタイミングだと話を聞いて2018年4月に機械学習エンジニアとして転職しました。
横川:大学院の頃から国立研究所で学生研究員として、心理学と脳科学の研究をしてきました。そこでは、うつ病や統合失調症といった精神疾患に関わる認知バイアス(認知の歪み)の脳内機構を解明する研究に取り組んでいました。博士号を取得後、さらに1年間同じ研究所に勤めてから、ミイダスに入社しました。民間企業は、ミイダスが初めてです。
自らがぶつかった職業選択の壁。世の中の悩みにアセスメントで切り込んでいく
ーー横川さんは医学関係の研究をしていて、なぜミイダスの研究所に入社したのですか?
横川:研究所にいたころの僕のゴールは、精神疾患に関連した新しい脳の働きを見つけて、その成果を発表することでした。しかし、それだと自分の研究成果がどう世の中の役に立つのかというのが目に見えなかったんですね。
そのときにミイダスから「心理学的、あるいは認知科学的なアセスメントを用いて、人の性格・特技・スキルといったものを測り、それをジョブマッチングに生かす」という話を聞いて、実用的ですごく面白いなと感じました。
僕自身があまり深く考えずに研究者の道を選んでしまったので、「自分は本当は何がやりたいのか、何ができるのか」という悩みを抱えていました。僕と同じような人は、おそらく他にもいると思ったんです。その悩みにアセスメントを使って切り込んでいくことが興味深かったです。
ミイダスのHRサイエンス研究所には僕と同じように、元々基礎研究をしていたけどもっと世の中に自分の研究を生かしたいという思いから転職している人が多い気がします。谷田さんはエンジニア出身ですが、どうですか?
谷田:僕がミイダスへ転職したきっかけは、機械学習に興味を持ったからです。自分のエンジニアとしてのスキルを生かして、機械学習を使ったサービス開発の経験をしてみたいと思ったのが大きな理由です。前職では機械学習を使ったサービス開発は行っておらず、また導入に対しても大きなハードルがあったため、転職を考え始めました。
ミイダスに声をかけてもらったとき、まだチームには人も研究も何もない状態だったのですが、それがまた面白いと思いました。当時は僕ともう一人のエンジニアで立ち上げを行い、その半年後から研究所としてアカデミア出身の方を採用し始めました。そしてエンジニアとして入社した僕も、現在では半分は研究を、もう半分はエンジニアとして開発をしています。
ーー現在の業務内容を教えてください。
谷田:現在は、ミイダスのコンピテンシー診断を使った企業文化分析をメインで行なっています。ユーザーや求人掲載側の企業の社員の方々に性格診断を受けてもらい、その結果から活躍できる企業を見つけ出すためのものです。
その他には、異職種への転職の可能性を見つける研究を進めています。研究所のミッションとしては「あらいだす(仕事に必要なスキルの定義をする)」「みいだす(企業と求職者のマッチングを実現する)」「ふみだす(転職という新たな一歩を踏み出すための支援)」という3つのコンセプトに紐づけて研究を行っているのですが、その中の「ふみだす」の部分ですね。
需要と供給の関係性、年収やその他条件面、業界など、様々な条件を複合的に分析して、今の職種ではない違う職種で活躍できる可能性や想定する年収を提示する研究をしています。
横川:僕は「あらいだす」の部分を担当しています。新しいアセスメントを作ること、そして作ったアセスメントや新しいシステムを検証するための実験・調査を行っています。
直近では「共感スキル」というものを測るアセスメントを開発しています。
共感=人の気持ちがわかるといった概念がありますが、働く上では、ただ相手のことがわかり感情移入できることだけが重要とは限りません。ときには共感した上で、職場として適切な行動をとる必要があります。
その場面に応じて自分の感情をコントロールしつつ、職場にとって最善の選択肢を取れるスキル=共感スキルという新しい概念を作って、それに関するテスト第一弾を作ったところなんです。
このアセスメントは、既に試験運用を始めており、ミイダスのユーザーや求人掲載企業にご協力いただいています。そして、共感スキルが役立つ職種はなにか、会社の中で高評価の人は、共感スキルがどのような特徴を持っているのかなどを分析しています。
ーー実際に働いてみて、前職との違いやギャップはありますか?
谷田:エンジニアだと、仕様や作るものは決まっていることが多く、その後のどのように実装するかに多くの時間を使っていました。研究では作るものが決まっているわけではなく、仮説検証を行い、新しい発見を積み重ねていきます。その発見を用いてアルゴリズムや機能を考えます。なので、やっていることは大きく異なっていますね。
現在では研究と実装の両方を行っており、自分たちが考えたアイディアやアルゴリズムを、サービスに実装できるというのは楽しいです。
横川:前にいた研究所との大きな違いは、実際に働いている社会人のデータが取れることですね。研究所や大学にいたころは、実験は実験室の中で完結する形になっていました。
また国立の研究所だったので実験を行なうのは平日になるんですね。そうなると、社会人は実験に参加しづらいので、学生が中心になります。
実験室で見つけたデータが現実にどこまで適用できるのかわからないままだったのに対して、現在は実際に働く人のデータを取って自分の理論を検証できることにすごく魅力を感じます。
特にミイダスでは、本音を反映したリアルなデータかどうかを重要視しています。
例えば、ミイダスに実装する前に同じテストをWeb調査で行なって、そのデータと実際にミイダス上で取ったデータとの間に、どのように乖離があるかを調べています。そこには、単に実験として受けるときのフラットな気持ちと、転職希望者が転職媒体上で質問を受ける気持ちの差が、数値として出てきます。その差を踏まえて補正をかけたりして、よりリアルなデータで研究を進めていて、そこは非常に面白いですね。
データによる、まったく新しい“職業選択の指標づくり”と“自分探しツール”を実現したい
ーー今後の目標はありますか?
谷田:僕は「ふみだす」の支援として、転職者にとって自分の可能性を見つけられるシステム、企業側にとっては転職者を獲得できる軸を広げられるシステムを作りたいと考えています。現状多くの転職媒体では、過去の職種経歴から自社とのマッチングをみていますが、性格検査や他のさまざまな情報からも本当に会社に合う人を探すことができるようにしたいです。
研究の段階では正直、夢物語と言われるようなことが多いんですが、今やっている延長線上にそういったレコメンドシステムが見えていると確信しています。
まだまだ探索すべき部分は多くあり、様々な研究の可能性があります。一歩一歩進めていき、研究成果をミイダスのシステムに組み込んでいく予定です。
横川:ミイダスを使ってより良い転職先を見つけるだけでなく「自分はこういう人間だったんだ」というような、自分探しができるようにしたいと思っています。
アセスメントの良いところは、自分の性格やスキルが数字になり、さらに他の人と相対的に比べることができるところです。
自分の基準で「あの人より僕が上だ」と判断するのではなく、データに基づいた平均値から自分がどの位置にいるのかを客観的に見ることによって、得意分野や苦手分野がわかったり、自分がどんな人間であるかを自覚できるようになります。
多くの人が、理想の自分と現実の自分の間にギャップを感じて、苦しんだことがあると思います。自分自身がどんな人間なのかを正しく把握することは、実はとても難しいことなんです。
ミイダスを使って自分を知ることができれば、何を伸ばせばいいのか、何をすれば楽しく仕事できるか、そんな気づきのきっかけを提供できると思っていて、それが目標です。
ーーHRサイエンス研究所にはどんな人が多いのですか?
谷田:2021年1月現在は7名いて、僕らは30代前半ですが、他は30代後半から40代ですね。研究をメインにしている人が4人いて、その他はエンジニアと研究半々の人、エンジニア、秘書の方が1人ずつといった内訳です。
横川:7名のうち4名が博士号を持っているのですが、全員博士の種類がバラバラなのが面白いところです。異なるバックグラウンドや特性を生かして、研究活動をしています。
ーーチームの雰囲気はいかがですか?
谷田:どちらかというと個人にそれぞれのプロジェクトがあって、各々で進めていく体制になっています。みんなで一緒に何かをするという体制ではないです。僕含めて、他の人もその進め方が好きなんじゃないですかね。横川さんどうですか?
横川:そうですね。僕自身もそういう進め方の方が好きというか、意思決定がはやく研究を進めていける部分で合っているような気がします。
ただ、業務以外での交流は適度にあってテレワークが始まる前は、一緒にランチに行ったりもよくしていました。
「ないものはつくればいい」大事なのは、思いつきやひらめき。
ーー志向性としてはどういった方が多いでしょうか?
谷田:「一般的にこうだからこうしましょう」ではなく、ミイダスとしての方向性に沿って0から考えて、ないものはつくる。今まで一般的には考えられなかったようなことをアイディアとして出して、それを実現に向けて進めていこうという人が多いと感じています。
横川:既存の研究で、ビジネス応用や実社会での適用までを前提に作られたアセスメントはそれほど多くないです。だから、それをそのまま実装してもうまくいかなかったり、そもそも古い研究だったりする場合があります。
そんな中で新しいものを作ろうと思うと、大事なのはひらめきだと思うんですね。
そのひらめきを現実社会に落とすために、関連する研究やあるいは別分野の研究、すべての知識を総動員して、自分のひらめきに肉をつけていけるエネルギーを持った志向の人が多いなと思っています。
ーーお二人とも、ひらめきが大事と感じていらっしゃるということですね。
谷田:ミイダスの代表がアイディアとかひらめきをとても大事にしていて、そこから意識がきているのかもしれないですね。会社として、本当に大事にしている部分です。
横川:僕の場合は、ひらめきやアイディアというものが自分自身に足りてない部分だなと思っていて、自分への戒めとしてもそれが重要だと意識しています。
ひらめきに肉付けするための知識量もまだまだ足りないので、これから増やしていきたいです。
ーーミイダスのHRサイエンス研究所で働くことを考えている方にメッセージをお願いします
谷田:アカデミア出身の方だけではなく、僕のようなエンジニアの方にもぜひジョインしていただきたいと思っています。
何をやってきたかというよりも、今後何をしていきたいのかが重要です。
自分のアイディアからアルゴリズムを生み出して実装したい人、世の中の働き方をよくしていきたいと思う人にとっては最高の環境だと思います。
横川:もし僕と同じような経歴の人であれば、自分が今まで積んできた経験や知識は、大学や研究所の外にも生かせる場所があると伝えたいです。
そういうお手本や見本がなく、周りの人の背中を追っていると、どうしても狭い視野になってしまいがちです。そこから一歩踏み出す先として、ミイダスのHRサイエンス研究所を見てもらいたいです。
ここでは「決められたことをやる」ということがありません。その分失敗することもあるし、むしろ失敗の方が多いと思いますが、それを楽しめる人であれば大歓迎です。ぜひ話を聞きにきてください!