※この記事は2023年8月に公開した以下noteの引用です。
こんにちは!
株式会社LOCKER ROOMの縦読みマンガプロデューサーの久保田大地です。
今回は<もの創り>について僕が考えること・思っていることをアウトプットします。
物語を創るということに対し夢を抱いている僕は、「絵本」「小説」「舞台企画」「自主制作映画」「テレビ番組」「縦読みマンガ」と、過去から現在にわたって様々な表現手法を用いながら<創る>ということに向き合ってきました。
「ものを創る」と一言に言っても大きく2つの体系があります。
上述したものだと、「絵本」「小説」は1人で創れるものであり、「舞台企画」「自主制作映画」「テレビ番組」「縦読みマンガ」は集団でないと創れないものになります。(縦読みマンガには個人制作型もありますが、現状日本においてのメインストリームは集団制作です)
この記事ではタイトルにもあるとおり、<集団でのもの創り>について経験や考えを綴っていきたいと思います。
個人と集団の違い
個人制作と集団制作の主な違いは「作業効率」「人間関係」「コスト」にあると思っています。
集団制作のデメリット
集団でものを創る場合は、多くの人の意思が介在し、役割分担が発生します。1人だとサクサク進められることも集団では誰かの承認が必要だったり、意見が割れたり、全員のスケジュールを管理しなければならなかったりと、往々にして時間がかかります。
組織を形成するため、上下関係も発生します。重要な意思決定をする者がいる一方で、下働きのような作業を担当する者もいるでしょう。
また、コスト面では1人でものを創る時コストはかからないのに対し、集団で行う場合は人件費や設備費など、投下コストもかかります。
こうしてみるとデメリットばかりのように思えますね。一言で言えば「1人でものを創る方が楽」です。これは間違いないでしょう。
しかし結論から言うと僕は集団制作の方がやりがいを感じられると思っています。
集団制作のメリット
まず前提として、集団でしか創れないものがあります。映画や我々が制作している縦読みマンガ、いわゆるwebtoonもそうです。集団を形成することで、1人では絶対に創ることができなかったエンターテイメントを創出できる可能性が広がります。
そしてチーム内でコミュニケーションを取ることで、自分だけの引き出しでは思いつかなかったようなアイデアを手に入れたりすることもできます。作品に厚みができたり、より多角的な要素を持つことができるのです。
更にチーム一丸となって何かを創り出した時に達成感を共有できる感覚は、何事にも替え難い喜びです。
集団でのもの創りは大変なことも多いですが、その分得られるものも多いのです。
経験から思うもの創りに大切なもの
僕の経験で特に思い出深い集団でのもの創りは、高校生の時文化祭で行ったステージ企画と、大学生の時サークルで自主制作映画です。思い出話をしますが、そう嫌そうな顔をせず、ちょっとだけ付き合ってくださいね。
ステージ企画
我が母校は男子校で、学校行事で一番盛り上がるのは満場一致で文化祭でした。特にメインステージ上で行われるステージ企画は、伝統的なイベントから気鋭の新企画まで、担当委員のメンバーが各自企画書を作成し自ら司会を務める力の入れよう。僕は入学前から先輩のその姿に憧れていました。
僕が最初に企画したのは学年中の度胸ある人間を集めてステージ上で罰ゲームを執行しまくるという、ほぼデスゲームみたいな企画。
これには2つ最もらしい理由がありました。
①ごちゃごちゃとトークなどをして内輪の笑いにしたくなかった
②外のステージで遠くから見ても楽しめるノンバーバルなバラエティにしたかった
…のですが、まぁ実際はステージ上でのたうち回る演者の姿がみたかったからです。
こんなデスゲーム企画が教員会議の網を通り抜けられるわけがなく、当然のように差し戻しに。しかし1人の先生が「俺は面白いと思うからどうにか形を変えて似たようなことをできないか」と背中を押してくださったのです。
その期待に応えるべく、「罰ゲームを一方的に執行される」受動フォーマットから、罰ゲームをポイント制にして「ポイントを稼ぎたい演者が能動的に罰ゲームを受ける」という能動フォーマットに軌道修正。演者本人がやりたくて仕方がないというのなら教員サイドも止める理由がなくなってしまったわけです。かくしてステージ企画は大盛況のうちに幕を閉じました。(この企画は危険すぎるという理由で次年度以降二度と行われることはない幻の企画になりました)
結果的には能動フォーマットの方が面白い展開が作れましたし、これは組織で企画を作成したからこそ生まれた棚ぼたアイデアでした。また自分が面白いと思ったものを柔軟に突き詰めることの大切さに気づいた瞬間でもありました。
自主制作映画
僕は大学のサークルで小説を書きたいと思っていたのですが、小説サークルはありませんでした。代わりに物語作りに携われそうだったのが「映画サークル」か「演劇サークル」。ここで映画を選択したことは一つの転機となりました。
映画制作の右も左もわからなかった僕が、突如脚本監督を務め映画を撮ることになったのです。担務はスムーズに決まりました。役者をやりたくて入部した者、理系で動画編集の知見があった者、高校時代から映画部で映画を作っていて一通りの流れを知っている者、絵が上手く絵コンテを描ける者がたまたま我々の代に一堂に介しており、ONE PIECEでいうところの麦藁の海賊団が一瞬で集まってしまったような感じです。
とは言え映画制作は大変な作業でした。全員のスケジュールの合間を縫って撮影する必要があり、例えば雨のシーンがあるのに雨が降っている日に集まれないわけです。そこで農学部にある消防車のホースくらい長い散水ホースをパクってきて、校舎の上から人工雨を降らせたりもしました。
またある日は家を提供してくれたメンバーの絨毯に血糊をぶちまけて、特にいわくのない事故物件にしてしまったりもしました。
そうして苦労して作った作品は、都内で行われた学生映画コンクールにて佳作という栄誉を得ることができました。誰一人欠けても完成させることはできなかったですし、出来上がった作品をみんなで食い入るように見つめたあの瞬間はいまだに忘れることができません。
集団でものを創るということ
「創りたい作品へ造る人たちが、可能な限りの到達点へとにじりよっていく、その全過程が作品を創るということなのだ。」
これは宮﨑駿監督の言葉です。
毎度肝心なところは自分の言葉でなく引用で申し訳ないですが、集団でものを創るということに関して、この言葉が全てを物語ってくれています。
一つの理想目標に向かって、作品に携わる人々が手を取り合い死力を尽くす。これがエンタメが持つ力であり、見たものの心を震わせるのだと信じています。
縦読みマンガも同じです。僕たちプロデューサーが物語の原案を作り、その原案を作家さんのチームがプロデューサーと手を取り合いマンガにしていく。この経験はとても魅力的です。
このnoteを最後まで読んでくれたあなた、LOCKER ROOMで一緒に作品を創ってみませんか?
ビシッと勧誘が決まったので満足です。
ではまた!
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