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建築設計者から事業者へ - 35歳で突き進む、挑戦の日々

峰岸 渉
Senior Manager of Planing Dept.
大学院修了後、大林組に入社。意匠設計者として、複数の大型ショッピングセンターや都心の複合ビルなどのプロジェクトに約8年間従事。その後、スタートアップ2社を経たのち、2022年SANUにジョイン。東京都出身、鹿島アントラーズとサウナが好きな一児の父。一級建築士。


「どのように建築と向かい合い、どのような建築を創りたいのだろう…」

今から3年前の私は、苦しい迷いを胸に抱きつつ、終わりの見えない実施設計の最中にいました。設計という行為は楽しいし、素晴らしい仕事だと思う。でも、自分がお爺さんになっても設計者のままでいる姿が想像できない…

毎朝7時半頃に出社し、日をまたぐ頃に退社する。メチャクチャに忙しい日々の中で、そろそろ大きな決断をしなければいけない焦りを抱えた毎日は、とっても辛く、大変な日々でした。


建築との出会い

私が設計者を志すことを決めたのは大学3年生になってから。元々まちづくりに興味があった私は、カリキュラムで選択せざるを得なかった建築設計の授業を受講していました。設計演習に取り組むにあたり、建築も少しは勉強しようと入った大学の図書館で一冊の本に出会います。

その本は藤本壮介さんの『原初的な未来の建築』です。

藤本さんの発想の自由さから受けた衝撃は今でも忘れられません。「建築ってこんなにも自由でいいのか!」と感じると同時に、以降の設計作品がほぼ藤本さんの模倣になってしまうほどでした(笑)。その後、様々な建築に触れる中で、あらゆる方が利用できるような大型建築の設計をしたい、そして現場の近くでモノづくりとしての建築を学びたい。そう考えた私は、大林組に就職しました。


忘れられない「お疲れさん」

大林組では主に郊外型ショッピングセンターや、都心の複合施設の設計に従事しました。他社の設計事務所がまとめた基本設計を引継ぎ、その見直しから実施設計、そして現場監理までを担う案件が多く、現場監理のフェーズではほとんどの案件で現場に常駐しました。

たくさんの優秀な方々に囲まれた刺激的な毎日。その中でも、現場常駐していた日々の中で現場監督の方々から叱られ続けた日々を忘れることはできません。

特に社会人4年目、27歳の私が現場常駐を一人で任された現場は想像を絶する環境でした。同じ規模の建物では、3~4人程度の設計チームで常駐をするのが通例でしたが、当時所属していた支店の繁忙もあり、設計担当の常駐者は私一人。毎週現場と行う社内定例も、二回り近く年上の現場監督をはじめとして10人近く並んでいるのに対し、私一人で施主との確認事項や検討方針を報告するような状況でした。

「そんな納まりでどうやって施工しろっていうんだ!」
「構造との取り合いちゃんと考えて設計してんだろうな!」
「今週中に方針決めてこい!じゃないと施工しないからな!」

ようやくの思いでまとまった検討にも容赦なく出るダメ出し。時に徹夜しながら図面と睨めっこをする日々からは、逃げ出したくなることも一度や二度ではありませんでした。ただ振り返ると、こうした厳しい指導のおかげで、建築を関係者全員で創り上げるプロセスを学ぶことができたのだと思います。

そして、そんな厳しい監督から、建物が竣工する際に「ミーネー(私)のおかげでここまでこれたよ、お疲れさん」と声をかけてもらったときの感動と感謝は忘れることができません。


設計者から事業者へ、大きな方向転換

辛かった現場常駐の日々を乗り越えた私は、30歳を過ぎた頃には「一人では無理だろう」と他チームの上長に言われるような業務範囲をこなせるようになりました。そこまで仕事に没頭していたからかもしれません、冒頭の悩みが少しずつ出始めたのもこの頃です。

設計自体は楽しい、できることも増えた。ただ、自分は何かに挑戦することができているのだろうか…何かに挑戦する以上に、こなしていくことが増えていく日々の中、ある建物との出会いがありました。目黒に建っていたHotel CLASKAです。

2003年にリノベーションして誕生したCLASKAは、住宅街の中にたたずむホテルでした(2020年、惜しまれながら閉館)。年月の積み重ねを感じさせる古き良き面影の中に、洗練された家具の数々、大きな開口から植栽を通してこぼれてくる光の表情など、安心感とともに非日常性を感じることができる素敵な建物でした。

当時、結婚式の会場を探していた私は、唯一無二の空間性と、洗練された家具や什器、そして何よりそこで働く方々のホスピタリティとポジティブな空気に触れ、「結婚式はここしかない!」と即決するほどでした。(結婚式は新型コロナの影響で、開催1か月前に無念の中止になってしまいましたが…)

CLASKAのような建物、そしてそこで働く人々の活気に触れ、「こうした建物を企画段階から携わり、新しい文化を創出したい」「建築ができた時だけでなく、未来まで長く愛されるサービス作りに携わりたい」という想いを強く感じ、背中を押されるようにして、32歳の私は事業者への道に転身する決心をしました。


ふと目が留まったInstagramの投稿

そうして大林組を退職し、スタートアップに転職した私が初めてSANUと出会ったのはInstagramの投稿でした。「こんなサービスができたんだね、面白そう!」と、妻から紹介してもらった投稿には、月額5.5万円のサブスクリプション型別荘サービスという情報とともに、SANU CABINの写真が。森の中に力強く佇む建築の姿にぐっと惹きこまれ、転職したばかりだった私にとっても、頭の片隅に残り続ける存在となりました。

その後、縁もあり現在の事業開発本部長であるyusukeさん、代表のgenさん・hiloさんと話をする機会をいただきました。建築を核としたサービスであること、今後も様々な建築プロダクトを計画していくこと、これから建築・計画チームを立ち上げていくこと。そして何より、聞く耳を持ちつつも高い熱量をもって話をする姿勢に感銘し、この人たちの作る会社であれば新たな挑戦ができると確信した私は、SANUにジョインすることを決めました。


そして今 - 刺激的な共創の毎日

SANUには一人目のアーキテクトマネージャーとして入社しました。業務内容は大きく分けると、「新規候補地の建築モデルや配棟等の計画検討」「建築プロダクト開発の企画立案・計画推進」「土地購入後から開業に至るまでのプロジェクト推進」が挙げられます。SANU 2nd Homeのサービスの中で、どのような拠点を創り上げていくか、どのような建築プロダクトを展開していくかを企画段階から担っていく大切な役割と考えています。

コストやスケジュールといったビジネスとして守るべきことを意識しつつ、SANUメンバーの皆さんの滞在体験の創出や建築・ランドスケープ全体の空間価値の向上、リジェネラティブに配慮した環境配慮の実現‥など、多様な観点に配慮した計画の推進が求められるとてもやりがいのある仕事です。

何よりも自分自身が設計者の時にはチャンスが限られていた、様々な建築家と刺激的な共創をすることができています。入社して約1年半の間にも、SANU CABINではADXさんと、SANU APARTMENTではPuddleさんと、Selection SeriesではDIGさんと、SANU CONDOMINIUMでは芦沢啓治設計事務所さんと、そしてその他多くの方々と建築に向き合う日々を過ごしてきました。これから会社の発展とともに、さらに多様な方々と共創し、新たな建築・サービス作りに挑戦する日々を想像するとワクワクして仕方ありません。


家族とともに

そんな私にとって会社以上に大切な存在、それは家族です。とりわけ、間もなく1歳になる娘が可愛くて仕方ありません(笑)。

とっても忙しい毎日ではありますが、目まぐるしく成長する娘と少しでも一緒に過ごせたらと、(ほぼ)毎日お風呂に一緒に入り、寝かしつけをしています。そんな娘と、自然とともに生きる豊かな毎日を想像し、それを実現する手立てを考える。SANUの中で自然ビギナーな私ではありますが、娘の成長に合わせて私自身も自然に入り込む時間を増やしていきたいと考えています。

娘はすでにSANUでの滞在も経験していて、八ヶ岳や那須、軽井沢、一宮、下田といった場所に一緒に行きました。今はまだ落ち葉に触れてみる(そして舐める…)程度の自然との付き合いの彼女ですが、自然に触れ、自然を感じ、自然の中で遊ぶことを通じて感性を育んでほしい。私にとっては、そうした触れ合いをSANUが提供するサービスを通じて体験してもらうことが、一つの大きな目標です。そしてサウナが大好きな私にとって、計画に携わったサウナに娘と一緒に入ることも、叶えたい夢の一つです。


挑戦の日々を、一緒に

SANUはまだまだ発展途上のスタートアップです。日々考え体験し、それをアウトプットしながら次に生かしていく。一人一人の裁量がとても大きく、逞しく成長できる環境がこの会社にはあります。

建築と向き合い、人と向き合い、そして自然と向き合う。
Live with nature. という壮大なミッションのもと、挑戦の日々を私たちと一緒に過ごしませんか?

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