1
/
5

All posts

やる気を見せることが、空気を乱すことではなかった。

最近、ふと思う。「やる気って見せるものじゃなくなったよな」と。もちろん、やる気がないわけじゃない。でも、前に出して行くのも違う。目立たないくらいがちょうどいい。そんな空気がある気がする。自分が社会人になった頃は、少し違った。「我先に。」そんな空気がまだ残っていた。仕事を任されたい。誰よりも成果を出したい。早く一人前になりたい。そんな闘志を隠さない人が多かった。もちろん、全員がそうだったわけじゃない。淡々と仕事をする人もいたし、誰かを支えることが得意な人もいた。でも、「頑張っていること」を隠す時代ではなかった。それが、社会に出て五年くらい経った頃から、少しずつ変わっていった気がする。長時間...

BEAMSとギャルソン。

オシャレさには、種類があると思う。例えば、DJ的なオシャレさというのがある。これは、組み合わせのオシャレさで、既にある曲を選び、並べ、つなぎ、沸かせる。評価されるのは、「何を組み合わせたか」。つまり、編集力のセンスである。アパレルで言うと、BEAMSみたいな世界だろうか。高いものと安いもの。新しいものと古いもの。Tシャツにロレックス。スーツにスニーカー。過去には交わってこなかったものを組み合わせて、「いい感じ」をつくる。もうひとつのオシャレさは、川久保玲や山本耀司のような世界だ。全身ギャルソン。全身ヨウジ。そこには「抜け感」も「外し」も必要ない。それだけで成立してしまう。前者は、組み合わ...

サンドイッチくらい話させてほしい。

切り抜きで、「質問に答えられない男」という動画が流れてきた。質問者が、「朝ごはん食べました?」と聞く。すると男性は、「朝はサンドイッチを食べました。」と答えた。「はい、ダメです。」食べたかどうかを聞いているので、答えは「はい」か「いいえ」。あなたが何を食べたかは聞いていないんです、と一蹴されていた。コメント欄には、「たった10秒で一生モノのコミュニケーションスキルが学べる」「こいつめっちゃ仕事できなさそう」と書かれていた。分かる。という気持ちと同時に、生きづらい世の中になったな、とも思った。自分にもどちらの経験もある。「結論から話して」と上司に言われたこともあるし、こちらの質問をうまく汲...

工房ごと持ち帰ってほしい。

最近読んだインタビューで、すごく好きな一節があった。「人はなぜバーカウンターに座りたがるのか。」お酒がおいしいからだけじゃない。目の前でグラスを磨く人がいて、氷を入れる音がして、少しだけ言葉を交わす。その場の空気ごと味わいたいからなんじゃないか、という話だった。オープンキッチンが人気なのも、きっと同じ理由なんだと思う。「今ここで誰かがちゃんと作っている。」その気配に、人は安心する。MM Caneléの一号店をつくるときも、どこかでそんなことを考えていた。ショーケースだけが並ぶ、きれいなお菓子屋さんにはしたくなかった。だから清澄白河店は、お店に入ると目の前でスタッフが作っている姿が見えるよ...

個人主義の時代に、職場から消えたもの。

若い頃は、一人の人から圧倒的な影響を受けた方がいいかもしれない。最近、そんなことをよく考える。今は、SNSを開けば、いろんな人の考え方が流れてくる。たくさんの人から学べるそれは、とても便利なことだと思う。でも、自分はやっぱり、たくさんの人から少しづつ影響を受けるより、ひとりの人から大きく影響を受ける経験には敵わない気がしている。もちろん、自分の上司も完璧だったわけではない。理不尽もあったし、何を言ってるのか良く分からないこともあった。それでも、その人の判断基準や仕事の癖、物事の見方は、気づけば自分の中に残っていて、困った時には、「あの人ならどうするだろうな」と、今でも思うことがある。人は...