Engineerforceではマインドバディ株式会社様とデザイン領域における取り組みをさせていただいております。
今回はマインドバディ株式会社様より代表・小島様のお時間を頂戴し、弊社代表飯田がこの取り組みに参画しているデザイナー平野を含めた2名にこれまでの取り組みや成果、これから取り組んでいきたいことについてインタビューをさせていただきました。
飯田:
本日はインタビューのお時間いただきありがとうございます。
早速ですが、小島さんの今の会社について簡単にお伺いしてもよろしいでしょうか。
小島:
弊社はマインドバディというサービスを運営しておりまして、こちらは認知行動療法のオンラインカウンセリングとアプリがセットになったサービスになります。認知行動療法のカウンセリングを一般的に受けようとすると、7,000〜10,000円くらいかかってしまいますが、私たちはカウンセリングを安く提供するにはどうしたらいいかを工夫しながら活動していて、基本的には相場の半額以下でサービスを提供することを心がけております。
マインドバディ
飯田:
いつからされているのでしょうか?
小島:
2023年の10月に創業しているのでちょうど1年くらいですね。
飯田:
ありがとうございます。先ほど価格抑えているというお話が出ましたがそれはオンラインサービスにすることによって実現できているイメージなのでしょうか。
小島:
一般的なカウンセリングは45〜50分のものが多いのですが、弊社のカウンセリングは基本30分になっています。カウンセリング時間が短くなると効果が薄れてしまうのではないかという懸念が出そうですが、そこは事前にユーザーさんに心理教育と言われるコンテンツのワークをしていただき、それに基づいてカウンセリングを行うとカウンセリング時間を短縮していけることが学術的にも立証されています。
飯田:
今まではヒアリングも含めたカウンセリング時間だったのが、事前にワークをしているから短縮できると。
小島:
はい、おっしゃる通りです。
飯田:
なるほど、ありがとうございます。
ここは平野さんにお伺いしたいのですが、かなり専門的な領域かと思います。デザインしていく上で大変だった部分はありますか?
平野:
もともとそれまでのデザインがあったのでつくりにくさはなかったのですが、知らない領域ではあったので、わからないところは素直にお伺いしたりユーザーの声を聞きながら制作するようにしました。
飯田:
たしかに専門用語なので小島さんからすると聞き慣れている単語が私たちからするとそうではない部分がかなりあったかと思うので、その点今回は私たちにご依頼いただく時点でサービスとしては成り立っていたことによってやりやすかった部分ありましたね笑
平野:
そうですね、はい。
飯田:
ありがとうございます。ちなみに現在、サービスのユーザーとカウンセラーはそれぞれどのくらいいらっしゃるのでしょうか?
小島:
ユーザー数としては1,000人くらいでカウンセラーは6名になっています。
みなさまのおかげでユーザー数は増えているのですが、カウンセリングというのがサービスの主な提供価値になっている以上、カウンセラーの方の数も大事になってくるので現在は積極的に採用をしていて、来月からカウンセラーの数は10人に増える予定です。
マインドバディ株式会社代表・小島様
飯田:
素晴らしいですね。カウンセラーの方がSNSなどで探すことが多いのでしょうか?
小島:
いえ、多くはリファラルや求人サイト経由での採用になります。
飯田:
カウンセラーの方に関して言えば、人数は増やしたいけれども質が悪くなってはいけないという意味で難しい部分ありますよね。
小島:
そうなんです。今のところは10名面接して1名採用するくらいの割合ですね。
飯田:
ただ、カウンセラーの方がいないとユーザーさんも増えないですよね。
小島:
そうですね、せっかく登録していただいてもカウンセリングの枠が空いていないということになってしまいます。
飯田:
悩ましいところだと思いますが、カウンセラーの方にとってもこれまで接点がなかった方と会える意味ではWin-Winの関係性に慣れそうですよね。
ありがとうございます。少し話を戻して、先ほど弊社がお手伝いさせていただく前にもともとサービスとしてスタートしていたというお話があったと思うのですが、順調にユーザーも増えている中で今回、デザインを改善しようと思った背景のようなものはございますか?
小島:
これまでは私がつくったものをローンチしていたのですが、やはり素人がやっているのであまり見栄えがよくなく、一部外注でデザイナーさんにお願いしていた部分もあったのですがそこもリソースが足りなくなってきたので、サービスに対してコミットしてくれて、かつスピードが速い委託先を探していた中で御社にお声がけさせていただきました。
飯田:
大枠の構成はあっても細かい部分まで考えていくと外部リソースを使わざるを得なかったというようなイメージですかね。
小島:
そうですね。
飯田:
なるほど。ちなみに先ほどのキーワードで「スピード感」という単語が出たと思うのですが、私たちとしてもその部分をとても大事にしております。その点、今回のプロジェクトのスピード感はいかがでしたか?
小島:
スピード感に関しては非常によかったなと感じていて、お願いしたことに対して常に平野さんにクイックレスポンスをいただけたので、こちらとしてはスムーズに進んだかなと思っています。
飯田:
ありがとうございます。平野さん的にもその辺は意識しましたか?
平野:
そこは常に意識していました。ただ、意識しすぎるがゆえ、タスク抜けてしまうところがあったのでそこは改善ポイントかなと思います。
小島:
頑張ってください笑
飯田:
1箇所修正するとそれに関わる全てのページを修正する必要が出てくるのでその部分はスピード感求めつつも抜け漏れがないようにできるとなおさらよかった部分ですね。
ありがとうございます。ちなみに今回のチーム体制はどのようになっていたのでしょうか。
小島:
デザインのディレクターが1名で、実際にデザインをしていただくのが平野さん。エンジニアが2名でトータルのディレクションとして私がいるようなチームです。
飯田:
今回、実装のツールは何を使用していますか?
小島:
実は今回ノーコードツールのBubbleを使用しています。
飯田:
そうですよね、今回ご依頼いただいた際も、平野がもともとBubbleを使用できることに起因した部分があったかと思います。デザインを実装していく上で感じたことはありましたか?
小島:
Bubbleの特性を踏まえてエンジニアに確認した方が良いところは平野さんからコメントをいただいていたのでそこは連携がしやすかったなと思います。
飯田:
そういう意味では平野さん、Bubbleやってて良かったですね!
平野:
しっかりとBubbleを触っていたわけではなかったのですが、ある程度理解していたことが良かったなと思います。
UI/UXデザイナー・平野
飯田:
実際に自分でもBubbleを触って確認しながら進めていったイメージですかね?
平野:
そうですね。
飯田:
ちなみにBubbleを実装に使用してみていかがでしたか?
小島:
画面をスクロールするなど、スマホに特化した操作性はBubbleにはないのですが、その他に関しては基本的に実装できたと思っていてその点は良かったと思います。また、私はエンジニア出身ではないのでディレクションやレビューをするときにノーコードだとやりやすかったという点も良かったです。
飯田:
Bubbleってスクロールないんですね!
小島:
やろうと思えばできるのですがCSSをいじる必要があるのでそれならコードを書いてしまった方がいいなという印象です。
飯田:
そこは工数の見合いで取捨選択していく形ですかね、ありがとうございます。そんなBubbleの特性を踏まえてデザインを進めていったかなと思うのですが、これまでのデザインと比べて小島さんが「この辺が変わったな」と感じる部分ありますか?
小島:
基本的には全部劇的に良くなったと思っています。
私たちはユーザーインタビューをよくするのですが、私がつくっていた頃はサービスの内容も相まってユーザーに対して怪しさを抱かせてしまう部分が正直ありました。しかし平野さんに作成していただいたデザインでローンチしたあとにユーザーインタビューすると「怪しさは全く感じませんでした」といった言葉をいただくようになり、その部分は一番良かったなと感じました。
飯田:
たしかにそこはおっしゃる通りサービスの特性上、とても大切かもしれないですね。その辺り平野さん意識した部分はありますか?
平野:
あまりその部分を強く意識したわけではないのですが、どちらかというとユーザーが使いやすいデザインというのを意識した結果かなと思います。
飯田:
なるほど、使いやすさを意識した結果、ユーザー満足度が高まって怪しさも無くなっていったようなイメージでしょうか。
その点でいくと私も先日旅行で沖縄に行く予定があってその際にコテージを探していたのですが、サイトが怪しいものもあって「大丈夫か?」と感じた記憶があります笑
つくる側はなかなか気づかないのですがそのような視点が欠けていてユーザーが離脱していることは多そうだなと改めて感じました。
小島:
そうですね、UIとして一定のレベルがないとサービスとしての「怪しさ」というところは感じられてしまうということが今回のユーザーインタビューから見えてきたのでそこが大幅に改善されたことは非常に良かったと思っています。
飯田:
ありがとうございます。ユーザーインタビューはFigmaのプロトタイプなどを見せながら行っているのでしょうか?
小島:
いえ、Bubbleで実装した実際の開発環境を示しながら行っています。
飯田:
実際に触っていただきながらということですかね、ありがとうございます。
今回のリニューアル期間というのはトータルどのくらいになりますか?
小島:
デザインが2ヶ月半、システム開発も2ヶ月半ですね。
飯田:
そのスピード感でできるのはいいですね。
小島:
そうですね、そこはBubbleの良さだと思います。それに加えてエンジニアチームも非常に優秀でした。
飯田:
そうなんですね!ちなみにその優秀なエンジニアさんはどのような経緯でジョインしたのでしょうか。
小島:
以前から相談ベースでお付き合いいただいていて、今回のタイミングで手が空くという旨の連絡をもらったのでそのタイミングでジョインいただきました。
飯田:
ありがとうございます。
御社のこれからについてもお伺いしたいのですが、まずはマインドバディを伸ばしていくのか、あるいは次のプロダクトをローンチしていくのか、方向性のようなものはありますか?
小島:
まずは一般のユーザー向けにつくっているこのサービスをきちんとスケールさせていくことがファーストステップだと思っています。そしてネクストステップとして飯田さんがおっしゃっていたようなマルチプロダクトの方向性も見据えていて、例えばカウンセリングのデータがたまってきたのでそれを活用して何かできないかといった部分や法人向けのサービス、クリニックとの連携などが考えられるかなと思っています。
飯田:
なるほど、例えばクリニックのところで、実際にカウンセリングする際に御社のアプリを使用していくようなイメージでしょうか。
小島:
はい、街の精神科クリニックによっては心理士を雇う余裕がなくて薬の処方だけになってしまっていることがあります。創業した理由にも紐づいてくるのですが、薬の効果と認知行動療法のうつ病や不安症に対する効果って同じくらいだったりします。ただ日本はどうしても認知行動療法が普及していない状態なので薬だけになってしまいがちです。しかし患者さんによっては薬が効かない方もいらっしゃるので、その方に対して他の選択肢がある状態をつくっていきたいという思いがあります。
飯田:
精神的な面と肉体的な面へのアプローチがあるなかでどうしても肉体的な薬でのアプローチに頼りがちなんだけども精神的なアプローチももっと必要だということですかね。
小島:
そうですね。
飯田:
僕はあまり心の病の経験がないと思っているのですが、心の病って相当センシティブなものだと考えていて、そういう部分で御社のように精神的なアプローチができることは魅力ですね!
身近な人にも相談しづらいことを聞いてくれる、ナナメの関係性というかその関係の必要性って絶対あると思います。
小島:
はい、そこも大きいと思います。
飯田:
平野さん的には今回マインドバディさんをサポートしていてやりがいを感じた部分はありますか?
平野:
今回すべての画面をお任せいただけたのでそこが楽しかったですね!
飯田:
なるほど、UXの部分も含めて1から考えられるからということですかね。
私たちは結構、新規事業のデザインなどサービスのすべてのデザインをご依頼いただくことが多いのですがたまに「この画面だけ…」のようなお話もあって「いやでもそもそも…」となってしまうことが多いので今回すべての画面をご依頼いただいたことはデザイナー視点でもやりがいを感じる部分だったかと思います。
小島:
なるほど、そういう視点もあるんですね。
飯田:
そうですね「せっかくやるなら…」といった感じです。
デザイナーからすると自分の作品になるので、それが世の中に出ていくことはやりがいを感じる部分だと思いますね。
ちなみに少し話を戻して先ほどマルチプロダクトの話があったかと思いますが、現段階で考えている領域などはあったりしますか?
小島:
認知行動療法って再発予防効果が高いことがわかっていて、投薬治療だけだと再発の可能性が少し高かったりします。それゆえ、長い期間クリニックに通っている方が割と多いのですが認知行動療法では再発率が20%程度に抑えられます。その知見を踏まえて復職された方に再発予防プログラムに特化するような形で法人向けサービスを検討しています。
単純にメンタルヘルスの相談窓口などを置くと「企業に連絡いくんじゃないか」など穿った視点になってしまって使いにくい部分はあると思います。しかし一度休職して復職された方であれば会社の中でも状況を知っている方はいるはずなので相性が良くなるのではないかと考えています。
また、クリニックとの連携でいくとBPO的な座組みになると思っていて、例えば心理士を雇う余裕がないクリニックと連携すると、電子カルテとどう連携していくかなど連携用のシステムが必要になると考えています。その場合のシステムは現在のプロダクトと切り離したサービスになるかと思います。
そして、マインドバディによってカウンセリングのデータが蓄積されてきたのでAIを組み合わせてプロダクトつくれないかと想像していたりします。
飯田:
いいですよね、例えばIT業界は炎上プロダクトなどで結構精神的に大変になることが多いなと感じることありますし、産業医との連携も合いそうだと思ったりします。
小島:
そうですね、再発予防などの観点でいくと産業医の先生方とどう組むかはポイントになってくると思います。
飯田:
ありがとうございます。私たちもどんどんメンバーが増えてきて、そもそも精神的な病を抱えないような仕組みを会社としても考えていく必要があるなと感じました。
小島:
ぜひその時はお力添えさせていただきます。
飯田:
では法人プランは私たちが最初で!
その際には私たちがインタビューを受ける形ですね笑
小島:
そうですね、よろしくお願いします笑
飯田:
それでは、本日のインタビューは以上となります。
ありがとうございました!
一同:
ありがとうございました!
終始楽しい撮影でした!
Engineerforceデザインチームでは、新規サービスのデザインシステム作成や既存サービスのリデザインはもちろんのこと「これから社内にデザイン組織を構築していきたい」や「デザインに関する知見を蓄積していきたい」といった企業様に向けたサポートも実施しております。
デザイン周りでお困りの方お気軽にお問い合わせください