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こんにちは!キャディインターン生の山口です。インターン生が聞く!キャディ社員インタビュー第6弾となる今回は、キャディ初の外国人社員、Praid Valerii(プライドさん)にお話をお伺いしました!
プライドさんは、ロシアの大学でコンピューターサイエンスを専攻し、卒業後日本にある半導体製造工程装置など扱う株式会社トーセ―システムズにソフト開発エンジニアとして入社。2008年にロシアに帰国後、Acronis.INCに転職しデータバックアップのソフト開発エンジニアを担当。2012年からはセキュリティソフトを扱うKaspersky.INCに転職し、1人でひとつのプロダクトの開発・リリースを経験。
その後、さらにエンジニアとしてのフェーズを高めるために3Dスキャナーを開発・販売しているArtec 3D.INCにソフトの開発エンジニアとして転職。2017年からはドイツにあるUniversity of Potsdamにて、機械学習とディープラーニングの研究をし、日本の国立情報学研究所での人工知能に関するインターンシップに参加するため2019年に来日。
そして2019年の7月に、バックエンドエンジニアとしてキャディにジョインされました。今回のインタビューでは、そんなプライドさんのキャリア変遷から、キャディへ参画した理由を伺いました!
日本・ロシア それぞれで、多くの開発手法やプロダクトに触れキャリアを積んだ
ーー本日はよろしくお願いします。新卒で入社された会社が日本の会社だったんですよね。
はい。大学ではコンピューターサイエンスを専攻しており、将来はプログラミングの学びを活かせるエンジニアとして働きたいと考えていました。新卒で入社したのは、株式会社トーセ―システムズという、半導体製造工程装置のソフトを作っている会社です。私の故郷であるロシアのハバロフスクという都市からみると、モスクワと日本で比べたら日本の方が近い、という場所に位置しています。当時エンジニアとしての仕事はロシアではモスクワに集中していて、日本と比べると技術的に劣る部分もありました。私はより先進的な環境で働きたいと考え、日本の会社への就職を決めました。
日本語は入社が決まってから、入社までの3か月間研修の一環で週に5日、ランゲージスクールに通い勉強しました。しかし当然ですが3か月間ではマスター仕切ることはできず、言語や仕事などに多少の不安を感じたまま来日。しかし実際日本に暮らし始めてみると、とても安全で人も温かく、住みやすい国だと感じました。1社目には1年ちょっといましたが、その間で日本が本当に好きになりましたね。
ーーその後ロシアに戻られたんですよね。
はい。当時日本には外国人エンジニアが就職できる会社が多くなかったため、一旦ロシアに戻り、転職したのがモスクワにあるAcronis.INCという会社です。Acronisはデータ保存システムを開発している会社で、冗長データと呼ばれるパソコン内の重複データを除去し、データ量を減らしていくシステムの開発に携わりました。担当した開発の範囲が広かったため、要件を分解し開発を順序立てて行うスキルを身に付けることができました。
その後知人の紹介で、同じモスクワにある大手のセキュリティソフト会社Kaspersky Labへ転職し、Windowsにインストールされているプログラムの不具合などから生じる、安全上の欠陥の有無を確認する、脆弱性スキャナーの開発を行いました。この開発では要件定義をするところから、実装、メンテナンスに至るまで一貫して担当し、他の部との打ち合わせやタイムマネジメントなど、プロジェクトマネージャーのような仕事を行ったため、作業だけに留まらず広い視点で開発を見る経験ができました。
3年間勤めた後、エンジニアとしてのフェーズをさらに上げるため、Artec 3D.INCという社員数120人の会社に転職しました。私の前職までの3社と比べると、1/5~1/10ほどの社員数で、スタートアップのような雰囲気の会社でした。じっくり要件を検討してから開発に移行するというよりは、リリースして市場からのフィードバックをまた次の開発につなげるというカルチャーだったので、大手の約半分のスピードで開発を行っていましたね。チャレンジングでしたが、個々のエンジニアの提案を丁寧に聞き入れてくれる会社であったため、前職の経験からコードの国際化(※)や、画像データの処理 (レンダリング) の最適化など、コード改善に様々な提案をすることができ、規模が小さい会社ならではの働きやすさを感じました。
(※)コードなどを開発した環境以外の、外国や異文化環境に適合させること
約9年の間で4社にお世話になりましたが、私は常に新しい知識や技術をインプットすることがエンジニアとってとても大切だと考えています。多くの会社で違った開発手法やプロダクトに携わることができ、エンジニアとしての成長を止めることなく、学び続けられたと思います。
20代の頃からの夢。機械学習で社会に貢献したい
ーー常に新しいことに挑戦しご自身の成長へとつなげられたということですね。その後日本にいらっしゃったのもそのためですか?
いえ、実はArtec 3D.INCを辞めドイツの大学へ入学し、機械学習の研究の一環で来日したんです。機械学習を学びたいと思ったきっかけは、20代の時に読んだ人工知能についての本でした。その本には特に技術的特異点(シンギュラリティ)について書かれており、人工知能がいずれ人工知能自身のフィードバックをもとに自己改良していくなど自律的に作動し、いずれ人間の想像を超えた優秀な知性が生まれるという仮説について書かれていたんです。それを読んで、近い将来人工知能が社会に与えるインパクトの大きさを想像し、いつか学びたいと考えていました。一つの夢だったといっても良いかもしれません。
それから15年以上経った2016年にGoogle傘下のディープマインド社が開発した人工知能囲碁ソフトが、世界のトップ囲碁棋士に勝つという大きなニュースがありました。そのニュースを見て、ビジネスをしながら学ぶのではなく一回本腰を入れて学びたいと思い、ドイツの大学へ入学しました。その研究の関係で、日本の国立情報学研究所で行われたプログラミングと人工知能の掛け合わせの研究を行うインターンシップに参加したんです。それが今年(2019年)で。
ーー久しぶりの来日だったと思いますが、以前と比べ何か変化を感じたところはありますか?
一番最初に来日した時とは違いIT関連の会社がかなり増加していると感じました。大学で研究を進めていく中で、学んだことを実践したい、より現場でコードを書きたいという思いが募っていたこともあり、日本でもう一度就職したいと考えたんです。LinkedInなどで会社を探し始め、その中でキャディのCTO小橋と話す機会がありました。
小橋からはキャディの事業や開発環境、将来の展望についてお話を聞きました。まず一番驚いたのがC++よりも最新の言語であるRustが、プロダクト開発に使用されていることです。IT関連の会社は増えているものの、Rustを扱えるエンジニアがまだまだ少ないこともあり、開発に用いる会社は世界的に見ても少ないんです。私は新しい言語を勉強し、それを使うことが好きなので、「開発言語にRustを採用している」というのはとても魅力的でした。
またもう一つ私の背中を押した理由は、キャディの将来性です。そもそも私は機械学習の研究を仕事に活かしたいという理由から転職先を探していたため、それが今できる、もしくは将来的にできることが大切な転職の軸でした。
そして小橋から、キャディは「モノづくり産業のポテンシャルを解放する」というミッション達成のために、近い将来機械学習を使用したプロダクトを開発したいというビジョンがあることを聞きました。キャディなら機械学習を用いたプロダクト開発ができるだけでなく、それが大きな社会課題の解決につながるんだと、ワクワクしたんです。自分の知識・技術を活かしてそのビジョンを実現化させたいと思い、キャディへの転職を決意しました。
優秀なエンジニアチームとともに、【製造業 × 機械学習】に臨みたい
ーープライドさんは入社から4か月以上経ちますが、キャディに対しどのような印象を持っていらっしゃいますか?
開発の自由さを感じています。キャディのエンジニアチームは、やりたいと言ったアイデアに対しとても寛容なんです。開発の仕方もそのプロダクトにとって一番最適な方法を取ることが優先され、決まった型がありません。
現在携わっている、カスタマーからいただいた図面を見積もるための原価計算のプロダクトでも、時にC++を、時にRustを用いて開発を行っています。会社によっては開発言語などに制限がある場合も少なくありませんが、キャディではそういった制限がなくどの言語を使用するかはエンジニアが考え、エンジニアチームで最適な方法を選択します。今私が行っている開発ではRustをメインに使用していますし、今後も新たな言語が登場したらその言語を用いて開発できる可能性があるんです。エンジニアにとって開発言語が楽しいと仕事も楽しいため、今Rustを使って開発できることが本当に嬉しく、楽しいですね。
ーーなるほど。自由な開発環境なんですね!ちなみにプライドさんはキャディ初めての外国人社員ですが、働く環境としてのキャディはいかがですか?
そうですね、私はN2(日本語検定2級)を持っているのですが、コミュニケーション面で問題はありません。特にエンジニアチームは開発言語に英語を使用する場面も多いので、少し英語が混じってしまったとしても皆さん理解してくださいます。
また技術面では、バックグラウンドが多様で優秀なエンジニアの方が多く、学びが多いですね。例えば、数学的知識を用いたプログラミングの実装や、関数型プログラミングなど複雑な開発手法をマスターされている方や、経験のないウェブ開発のプログラミングに知見が豊富な方など、エンジニアそれぞれに多様な強みがあります。話すだけでも学びがありますし、開発を一緒にすることで様々な開発手法を実際に見ることができるので、エンジニアとして成長できる環境です。
ーー最後にプライドさんの将来の展望を教えてください。
先ほどお話しさせていただいた通り、将来的に機械学習の研究知識を使ったプロダクトを開発したいと考えています。すでに構想段階ではプロジェクトが立ち上がっており、図面の見積もりを機械学習を用いてより効率的にしたり、カスタマーと町工場のマッチングに機械学習を用いることができないかなど、様々な用途が検討されています。
始動する時期や、具体的な開発スケジュールなどはまだ何も決まっていません。【製造業 × 機械学習】のプロダクトに前例はなく、いつ完成するかもわかりません。長期戦になると思いますが、少しでも早く私自身のもつ知識・技術をキャディプロダクトの開発に還元したいですし、その日が来るのがとても楽しみです。
Photo by Yu Ueki