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永遠の第三者から新規事業の開発責任者に - 王道で業界改革を目指す

弁護士ドットコムでは2005年の創業以来、専門家と困っている人を繋ぐ法律相談ポータルサイト「弁護士ドットコム」を主軸にサービス展開してきました。「弁護士ドットコム」は、悩みをお持ちの方が弁護士に相談できるサービスであると同時に、弁護士のマーケティング活動を支援するサービスでもあります。弁護士が「弁護士ドットコム」にプロフィールを掲載することで、多くのユーザーに接点を持っていただけるように支援しています。そして今まさに、新規事業として推進しているのが、弁護士の業務を支援するサービスの開発です。

今回話を聞いたのは、弁護士に向けた業務支援サービスの開発責任者である田村 誠士です。アスリートのドクターを目指し、紆余曲折を経て「企業のお医者さん」と言われるコンサルタントを経験し、田村が辿り着いたのは法曹界のIT推進という変革の道。なぜ弁護士ドットコムに入社し、どんなビジョンで新規サービス開発に取り組んでいるのか、話を聞きました。

語り手:田村 誠士
大学卒業後、IBM ビジネスコンサルティング サービス(IBCS)に入社。コンサルタントとして、大手エレクトロニクスやWebサービス業界を中心としたプロジェクトに従事。2010年IBMとの企業統合を経て、戦略コンサルティンググループに所属し、先進技術を活用したサービス開発や大規模業務改革プロジェクトを得意領域としたテクノロジー戦略チームの一員として活動。2017年弁護士ドットコムに入社。専門家に向けた業務支援サービスの新規開発責任者に着任。趣味はトライアスロンと野球。
聞き手:石原(人事)

アスリートのドクターを目指したアメリカ留学

— 田村さんの学生時代について教えてください。

父親が転勤族だったので、小さい頃は、茨城に行って、長野に行って、横浜に行って…と転々としていました。高校は神奈川の学校に通っていたのですが、皆、早慶上智を目指すような進学校で、勉強していなかったのは自分くらいでした。いざ大学への進学を考え始めた時には、周りはすでに受験勉強を始めていて、焦りました。今から勉強してもな…と思い、ならばと一発逆転を狙って決めたのが、アメリカの大学への進学です。

— 海外に興味があったのでしょうか。

いやいや、本当に突然「アメリカだ!」っていう発想でした(笑)。これから勉強しても日本ではそれなりの大学にも行けないだろうし、それなら一生の中でアツい経験がしたいと思ってアメリカの大学に決めました。

英語が得意だったわけでもないので、高校卒業後は日本で語学研修を受けてから、ペンシルベニア州フィラデルフィアの大学に留学しました。

— 大学ではどんな勉強をしたのでしょうか。

スポーツが大好きだったので、スポーツトレーナーの学科を専攻しました。単位取得のためのプログラムだけでなく、アメフトやバスケのチームで学生トレーナーとして、プレイヤーたちがトレーニングを始める朝6時までに、ママチャリを飛ばしてジムに一番乗りをする日々でした。毎日が忙しくてめちゃくちゃ楽しかった。トレーナーとしては未熟で何もできませんでしたが、試合に同行し、チームメンバーの一員として一緒に胸に手を当ててアメリカ国歌を斉唱していたのは良い思い出です。

— では、卒業後はトレーナーの道を考えていたのでしょうか。

はい。大好きなNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)のトレーナーを目指していました。トレーナーというと、日本ではマッサージ師や鍼師を指しますが、アメリカだと「プレドクター」と呼ばれたりして、ほぼ医師なんです。トレーナーになるためには、きちんと単位を取得していないといけませんし、かつ何百時間という実務を経験していないといけません。だから、様々なスポーツチームの練習に参加していました。

大学を卒業しても日本に戻るつもりはなく、そのままアメリカでトレーナーとしてやっていくことしか考えていなかったのですが、最後の最後で単位が一つ、取れなかったんですよ。

— えっ、それってトレーナーの学科で卒業できないということですよね。

そうなんです。トレーナーにこだわるか、それとも卒業することを優先させるのか、今後の進路を家族や友人に相談しました。悩みに悩んだ結果出した答えは、トレーナーの道を諦め、そこからでも予定通りの卒業ができるように、これまでとは全く異なる学科でプログラムを取得して卒業することでした。むちゃくちゃ悔しかった。

大学の卒業式で撮影した写真

「企業のお医者さん」になった20代

— 卒業後はどうしたのでしょうか。

IBM ビジネスコンサルティング サービス(IBCS)にコンサルタントとして就職しました。アメリカにいると当時の一般的な就職活動はできなかったので、そもそもの選択肢があまりありませんでした。IBCSは当時、グローバル人材の獲得を強化していたため、ボストンで就職説明会を開催していて、そこで接点を持つことができたんです。

— コンサルの仕事に興味はあったのでしょうか。

トレーナーの夢が消え、その時は特にやりたいこともありませんでした。ただ、当時コンサルは「企業のお医者さん」と呼ばれたりしていて、それが自分の中で印象的でしたね。そこに親近感を覚えて、自分はビジネスの勉強をしていないからこそ、色々な業種のプロジェクトに関われるのはビジネスを始める取っ掛かりとしてはいいんじゃないかと思い、コンサルとして働くことに決めました。

IBCSは途中でIBMに企業統合することになったんですが、その後もずっとコンサルとして働き、約9年半勤めました。

— コンサルの仕事はどうでしたか。

若い頃から、企業の取締役や部門長クラスの方と、企業の意思決定に携わっていくことに責任とやりがいを感じました。大きなプロジェクトになると何千億という金額規模になります。名だたるグローバル企業と新聞に載るような仕事をして、自分が世の中の大きなビジネスに関わるということにワクワクしました。

ただ、コンサルは「永遠の第三者」。どれだけその企業のために熱量を持って働いても、意思決定の最後はクライアント。時にはクライアントよりも自分の方が熱量高いんじゃないかと感じることもありましたが、その契約期間が終わると関与できなくなり、「あれ、その後どうなったんだろう?」と、わからなくなります。そうしているうちに、自分の高い熱量を、事業をドライブさせる当事者としてぶつけたいという気持ちが強くなっていきました。それが事業会社へ興味を持ち始めたきっかけです。

— 事業会社も様々ですが、どうしてベンチャー企業に。

自分は、クライアントの成功を第一に、チームのメンバーで侃侃諤諤しながらとことん突き詰めて考えていくことがいいモノをつくることだと思っています。そのスタイルに共感してくれるような方々と、自分の信じるモノを自分の熱量で取り組める環境で働けるのはベンチャー企業なのではないかと思い、志望しました。

— ベンチャーの中でも弁護士ドットコムを選んだ理由はなんでしょうか。

企業によっては、市場を破壊して収益だけあげられればいいと考える企業もありますが、弁護士ドットコムは「専門家をもっと身近に」という誠実なビジョンを持って、慎重に事業展開しています。面接で社長の内田さんが「正しいことをしていると結果はちゃんとついてくるよね」という話をしていて、トップの人がそんなピュアな考えを持っている弁護士ドットコムが一番自分に合った環境だと感じ、2017年9月に弁護士ドットコムにジョインしました。

弁護士業界を変革する30代

— 弁護士ドットコムでのミッションを教えてください。

新規事業の責任者として弁護士の業務支援サービスを開発することです。「弁護士の業務を支援する」って、めちゃくちゃ範囲が広い話じゃないですか。それを自分がドライブしてつくりあげていくのって、すごくワクワクします。

— 弁護士の業務を改善すると言っても、なかなかイメージがわかないのではないかと思いますが、どうやって情報収集しているのでしょうか。

ある法律事務所に半常駐させてもらいました。その事務所は弁護士が2人、事務員が1人という環境で、世の中ではごく一般的な規模の法律事務所です。そこで、どのように業務が回っているのかをひたすら観察し、現在の弁護士業務をどのように改善できるのか、肌で感じながら考えていました。

法律事務所での経験をもとに、業務課題の仮説をたて、弁護士へのインタビューや、プロトタイプを用いた仮説の検証を繰り返しています。

— 今後のサービスの目指す方向性について教えてください。

この業務支援システムによって、弁護士などの専門家と、専門家に相談をする方々の双方が幸せになる世界を実現したいと考えています。まず弁護士に対して、圧倒的な業務効率化を提供したいです。また現在、政府主導で検討が進んでいますが、システム経由で裁判の申立てをできるようにしたり、紙の書面をデジタル化していくこと動きとも同調したいと考えています。弁護士の業務はまだまだ手帳やバインダーで書類をまとめていることが多く、これだけ世の中のIT化が進んでいる中で、従来の管理方法が根強く残る世界です。業界をIT化し、文化を変えていくということを、我々がやらないで誰がやるんだと思っています。

また、弁護士が案件をデジタルで管理できるようになれば、依頼者と弁護士の架け橋もつくれるんじゃないかと思っています。たとえば、今だと依頼者が弁護士に依頼してから案件が終了するまで、ほとんど会わないケースもあり、依頼者は自分の案件がどれくらい進捗しているのかわからず不安になることもあります。それをデジタル上で双方が可視化できる環境があれば、依頼者の安心にもつながると思います。案件って1件1件が人生じゃないですか。案件が40件あれば、40人分の人生があるということ。だから、弁護士が万が一案件を見落としたり、対応漏れがあったりしたら、それは依頼者にとっては人生レベルのインパクトになってしまうのです。このシステムはそういう事態を防げるようなものにしていきたいです。

— 最後に、弁護士ドットコムで働くやりがいは何でしょうか。

業界の文化を変えていくことができる企業は限られていると思います。スタートアップが参入しようと思っても、先進的な技術を用いたり、あえて不確実性の高い領域を攻めないとなし得ないでしょう。でも、弁護士ドットコムはこれまでの業界との関係性から、王道で変革を目指せる企業です。

政府の活動が進めば、遅かれ早かれ法曹界もIT化を加速させるはずです。その業界の転換期に今まさに立ち会えるのは、またとないチャンスだと思っています。

伝統文化が重んじられるこの業界が変わっていくには、弁護士の働き方や習慣を変えていくことが必要です。働き方や習慣を変えていくには、時間をかけ変革に寄り添いながら成長していくプロダクトが必要です。そのプロダクトの開発には、強い信念を持って活動するチームが必要です。

「大きなビジョンを持ちつつも、謙虚にユーザーと向き合い小さく始め、スマートな失敗は早くしよう」というチーム方針のもと、成長し続けるチームを目指しています。「think BIG」「start SMALL」「fail FAST」。サービスやチームのビジョンに共感を持っていただいた方と、長い長い旅になりますが、ぜひ一緒に新しい歴史をつくっていきたいです。

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