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ML組織のジェネラリストについての思考

※本記事は2024年3月28日に開催された「ML Career Night #1 生成AI時代の機械学習エンジニアのキャリア戦略」イベントに登壇した際の内容を要約して書き起こしたものです

私は2015年からHR領域のデータサイエンティストとしてキャリアをスタートし、その後はデータアナリストやMLエンジニアの職種を経験して、2020年にバンダイナムコネクサスへ入社しました。
そこでML組織の立ち上げを行い、現在は組織長としてバンダイナムコグループ全体のML活用の推進を担っています。

バンダイナムコネクサスは展開する多彩な事業やIPとお客様を有機的につなぐエンターテインメントハブ企業です。
その中にバンダイナムコに向けたDX組織としてデータ戦略部があり、機械学習ソリューションの提供を行うのが、私の所属するMachine Learning Platformセクションとなっています。

まず初めに、私が問いとして投げかけたいのは「ML職種が活躍できる状況とは何か?」ということです。


図のように、現状においてML職種が活躍できる領域はかなり限定的だと言えます。

概して、多くの企業では少人数からML組織が始まるため、いわば恵まれた状況にたどり着くまでに次のようなスタックが生じやすくなっています。

①データエンジニア組織と距離が遠い
②プロダクト開発組織と距離が遠い
③ビジネス課題の理解および伝達が不足している

それぞれの解決策を挙げると、まず①に関してはデータエンジニア組織とML組織が仮想的にでもひとつになり、SLI/SLOを同期し、インシデント時はポストモーテムを双方がいる場で書くことが理想だと考えています。

また、ML組織とプロダクト開発組織の距離が遠ければ、適度な粒度感のグランドスケジュールを敷き、双方の合意のもとでスタートしていくことが大切です。
MLモデルの継続的な改善をあらかじめ見据え、プロダクト開発側のプロダクトバックログに入れていくのが望ましい形だと言えるでしょう。

そして、答えの大半はデータに無く、ドメインに転がっているため、ビジネス課題における理解不足を解消するためには、案件初期からMLエンジニアをアサインし、その課題をML PdMと共に紐解いていくことです。

要はML組織単体ではワークせず、周辺領域に目配せしていくことが重要になります。弊社ではそうした「周辺領域への目配せ」を念頭に入れた採用活動を実施しています。

例えば、ML PdM志望のKaggle Masterが中途入社した事例だと、ML PdM業務とMLエンジニアの二足の草鞋を担うジェネラリストとして活躍しています。

また、MLOps経験者かつデータエンジニア歴の長い中途採用者は、ML基盤の半分以上はデータエンジニアリング領域のため活躍シーンが多く、結果的にEMも兼務いただいています。
つまり、各ML職種は周辺領域にスペシャリティがあると、ジェネラリストとして活躍できる機会が増えるということです。

そうは言っても、スペシャリティの習熟は容易なことではありません。それであればチーム内でそれぞれを補えば良いわけです。
なのでチーム内の共通認識を育て、それぞれの強みを補完していく取り組みが大切になります。

弊社では、MLメンバー全員でひとつの技術書を読んで議論する「もくもく会」や、漠然とした課題感を共有してディスカッションする「未来会」を定期的に開催しています。
また、ML Opsエンジニアは朝会を開いているのですが、そこにはML PdMやMLエンジニアも参加して、ML案件のなかで隠れがちなビルドトラップをレビューし合っています。

このように自己組織化のための基盤作りを実行することで、ML組織に属する各メンバーのスペシャリティをOJTし合う機会が増え、結果的に次のキャリアを拓くきっかけにもなるでしょう。


※「ML Career Night #1|生成AI時代の機械学習エンジニアのキャリア戦略」 全体のイベントレポートはこちらからご覧いただけます


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