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新米CTOの競歩的思考~はじめの3ヵ月間の思考~

初めまして。株式会社ONE COMPATH新米CTOの柴田です。

2022年4月からCTOに就任し、早4か月が立ち、タイトルにしたように「走るよりは遅いけれど歩くより速い、且つ着実な“競歩的な思考”」で、日々悩みながら奮闘しております。まずは最初の3ヵ月の思考を発信し、社内外のエンジニアの方々やこれからエンジニアを目指す人、はたまた私と同じようにCTOとして悩んでいる人に、ONE COMPATHのCTOってこんな感じでやっていると感じてもらえばと思います。

(どうでもいいですが、実は高校の時、競歩少しやっていました)

【目次】

1. CTOって何するの?
2. 私の今までのキャリア
3. 私がエンジニアとして大切にしていること
4. 私がCTOとして目指していくこと
5. さいごに

1.CTOって何するの?

3月にCTOの内示を受けた時、頭の中の整理がなかなかできませんでした。

・CTOって何するの?
・どんな役割?
・どう進めていけばいいの?
などなど、考えてもよくわからない!そうだ。諸先輩方にアドバイスをもらおう!

当社CEO早川からは、

CTOの役割は「技術力向上/サービス構築・実現責任です」と言われました。

ナルホド・・・。ソウデスカ・・・。

(決してディスっているわけではありません)

次に前任CTO中村(現・CRAO/CISO)からは、

「柴田のやってみたいことをやってみれば!」と明るくアドバイスをいただきました。

わかりました。なるほど、自分で考えろってことですね!

(決してディスっているわけではありません)
頑張ってやってみます!

2.私の今までのキャリア

まずは自分の今までのキャリアを振り返ってみることから始めました。

2001年にONE COMPATHの親会社である凸版印刷へ新卒入社し、エンジニアとしてキャリアを開始。
コンテンツ配信サービス、商品データベースなど凸版印刷のICT商材をJava/Perl/PHPなどを用いてプログラム開発に勤しむ。それを5年間ほど。

そこからプロジェクトマネージャーとして、各種ソリューション受託案件の上流工程を中心に、数多く対応。新規事業を担当し、技術シーズから生まれたプロダクト企画/開発/営業と幅広く対応してきた。

その後、電子チラシサービス「Shufoo!」のアライアンスサービス開発担当を経て、株式会社ONE COMPATHに参画。マピオンやaruku&など自社サービスの開発責任者を経て、現職というキャリアです。

おっと。キャリアとしてそんなにエンジニア・エンジニアしてないぞ。。CTOって最高技術責任者だ。大丈夫かしら?と改めて不安に思ってきました。

しかしながら私の20数年の社会人キャリアは、エンジニア中心にしていることは間違いないので、自分が仕事をするうえで大切にしていることを言語化し、私が目指したい、そしてONE COMPATHのエンジニアってこうあってほしいという方向性を指し示すことができればと思い、まとめてみました。

3.私がエンジニアとして大切にしていること

当たり前すぎるかもしれませんが、私が大切にしていることは、次の3つになります。

①顧客は誰か?

②自分事化する

③1人2芸以上身につける


① 顧客は誰か?

1つ目は「顧客は誰か?」という問いです。エンジニアにとっても、事業を運営する一員である以上、顧客が誰なのかを意識することが重要だと考えています。

私が考える問いの回答は、次のようになります。

「エンジニアにとっての顧客は社内の営業/企画ではありません。サービス・プロダクトを利用していただく利用者(クライアント/消費者)が顧客です。」

本来の顧客は、サービス/プロダクト毎にもっと詳細に定義されますが、ここで言いたいのは、単に社内の営業/企画から来る依頼や要望がすべてではないということです。顧客が見えず、ただ仕様書に書かれていることを創り出すことに、私は楽しさを感じません。

過去に実際起きた事例について紹介します。

「このような仕様にしたほうが、顧客は価値を感じるのではないですか?」と私が社内のその案件の担当者に提案した時のことです。言われたのは、「そういうのはいいから、仕様書通りスケジュール・品質を守ってちゃんと作ってください」という言葉でした。スケジュールが厳しい案件だったのでそのような発言になったのかもしれません。もちろんスケジュール/品質も重要ではありますが、本来モノづくりは顧客へ提供する価値を高めることが一番大事な点で、エンジニア視点でしか出てこない価値の高め方が多くあります。なので、あの時の提案は間違っていなかったと今でも自信をもって言えます。

また別の時には、仕様書通り作ったにもかかわらず、顧客からすぐに改善要望が出ました。そうした時に自分のチームの担当エンジニアから「開発しているときに、改善要望のようにした方がよいと思っていたんですよ」と言われ、なぜその時に提案しなかったのか?という指摘をしたことが有りました。

このような事例は、皆さんの周りでも起きていることでは無いでしょうか?エンジニア一人ひとりが顧客を誰かをしっかり見据え、営業/企画の要望した仕様であっても、本当にその仕様が最適なのか?どうしたらよりよいモノになるかを考え、発信することで、顧客への価値を高めることができ、エンジニア自身の達成感も得られるはずです。

② 自分事化

これは1つ目の「顧客は誰か?」と関連していますが、自分も事業に携わる一員として、事業視点を持つことが大事だ、ということです。事業視点とは、事業の売上/利益状況、ビジネスモデルの構造、サービス/プロダクトの市場での立ち位置、強み/弱みなどマーケティングの基本となる情報を理解し、これから事業がどの方向に進み、それがなぜなのかを把握しておくことです。

コードを書くことや仕様書を作ることだけがエンジニアの業務ではありません。それらも大切な業務の一つですが、どうすれば顧客が我々の創り出すサービス/プロダクトに対し価値を感じてくれるかを、営業/企画とテクノロジーを使って一緒に創り上げる。そして、それらの開発コストがどれだけかかるのか、売上/利益にどうインパクトを与えられるのかを考えることが、エンジニアの業務であり、事業を自分事化するということだと思っています。

事業を自分事化して、腹落ちした状態(納得感のある状態)がもっともパフォーマンスが出せる状態であると考えており、大切にしている点になります。

余談ですが、事業を創り出す手段の一つが開発という工程です。エンジニアの中には「あの言語は使いたくない」「この開発手法以外はやりたくないと考えている人がいるかもしれません。これは自分のやりたいことや成長にベクトルが強く向いている状態で、もちろんこれ自体は悪いことではなく、ポジティブな面もあります。ただ、事業会社のエンジニアとして事業視点に立ち自分事化できていると、言語や開発手法などは創り出すための手段であり、最適な手段を選択することが本質だとわかるはずです。

③ 1人2芸以上

最後の3つ目ですが、これは私の凸版時代の上司から常々言われてきたことで、私も心掛けている大好きな言葉です。

エンジニアとして、1つのことでスペシャリストになることは大事なことです。しかし、いまは予測不可能なVUCAの時代。今後世の中がどのような状況になるのか誰にもわかりません。新しい技術やトレンドはどんどん生まれてきますし、それらを使って新たな価値を生み出し続けなければいけません。

プログラム/DB、SRE、開発プロセス/環境、プロジェクト管理などエンジニアスキルはもちろん、幅広い業界の知識、マーケティング、アカウンティング/ファイナンス、マネージメントスキルなどエンジニアに必要なスキルは山のようにあります。エンジニアそれぞれのキャリアプランに応じて、学ぶべき領域を選択し学び続けてほしいですし、自分自身も学び続けたいと思っています。

自分の市場価値を上げるためにも、1つのスペシャリストよりも、2つ、3つできることを増やす。それが自身にとっても会社にとっても成長につながると思っています。

これらの私が大切にしていること3つをもとに、CEOの早川から受けた「技術力向上/サービス構築・実現責任」というCTOの役割/責任を次のように再定義しました。


◆CTOの役割/責任

エンジニア全員がこの3つの考えを理解し、行動に移すことで

“顧客への価値あるサービス/プロダクトを

高い技術力と効率的な生産力で

早期立ち上げ・安定運用/拡大をさせ続ける役割/責任” ※1

これがゴールだとは思っていませんが、私の根底にある想いを込めたメッセージとして、CTOに就任した2020年4月、全社員向けに「CTOは何をするのか」を説明する際に、このように説明させていただきました。
※1 2022年4月全社で発表したときより、若干修正しています

4. 私がCTOとして目指していくこと

役割/責任を定義した後に、次に考えたのがどういった施策を行っていけばよいのか?という点です。それがなければ、想いをこめた役割/責任のメッセージも成果を上げることはできません。

顧客へ価値のあるサービス/プロダクトを提供するのは、事業会社として収益を上げるためです。その手段として、”サービス/プロダクトを技術力と効率的な生産力で早期に立ち上げ・安定運用すること”が必要になります。

その手段を最大化させること、言い換えればサービス・プロダクトのOutput(開発成果物)を最大化させることがやるべき施策となるはずです。

Outputを最大化させるための式で表すとこのような感じになると考えています。


Output最大化=①生産性×②エンジニア力×③エンゲージメント


① 生産性の向上 開発の稼働率、output量、技術負債解消
② エンジニア力の向上 エンジニア数×質・時間 主に採用・育成施策
③ エンゲージメント向上 エンジニアのやる気・社内開発カルチャー/制度

すべて重要な施策ですが、中でも1番注力したいことは、③エンゲージメント向上、つまりは社内の開発文化の醸成です。(生産性やエンジニア力に関しては、またの機会に・・・)

理由としては、簡単にいうと一番難易度が高く、現状の達成度がまだまだだからです。

開発文化って何?そもそもまだ私の中でもONE COMPATHの開発文化は、しっかりと言語化できていませんし、社内の共通ワードにもなっていません。

いち早く私の目指すONE COMPATHの開発文化を言語化していきたいと思っていますが、文化の醸成には時間がかかりますし、一度決めたら簡単には変えられないものなので、慎重にまとめていく必要があります。

ただこういう開発文化にしていきたいことはいっぱいあります。例を挙げると、

・事業にコミットするエンジニア集団であり続ける
・事業の課題を自分事化して考え、最適な手段を選択し解決する
・技術視点から新機能/新プロダクトを生む出す
・新技術/トレンドのアンテナを高く持つ
・成長に向けたチャレンジをする
・互いを情報共有し、評価し合う(良い面も悪い面も)

などです。

どれも私が大事にしていることに関連していますが、これらをキャッチーでわかりやすい内容にまとめていく作業を、今後進めていきます。

これが決まっていないからといって何もしていないわけではなく、既にいろんなことを過去から実施しています。

技術戦略マップによるコア技術の深化

注力する技術領域を年度毎に決定し、各技術部門で実践し、成果/課題を共有する。本年も策定しましたが、もともと注力しているSRE関連・地図関連・広告関連の技術領域だけでなく、メタバースなど最近のバズワードとなっている領域にもチャレンジしています。

社内技術交流会「テックデイ」の開催

定期的にエンジニアから新しい取り組みなどを発表/共有する。今年6月には、各事業毎のエンジニアが、あるテーマに対してパネルディスカッション方式で情報共有や議論をするイベントを開催しました。Zoomによるオンラインパネルディスカッションは、メンバーが試行錯誤して実現し、非常に盛り上がりを見せました!

アイディアソン/ハッカソンの開催

ONE COMPATHでは、新規事業の開発も積極的に行っています。その一環として、技術視点からプロダクト開発を検討する「アイディアソン」を、さらにそのプロトタイプを開発する「ハッカソン」を不定期に実施し、新規事業を生み出す一連の考え方や動きを体験します。場合によっては、そのままプロジェクト化することもあります。

他にも、行動指針である「ワンマイル行動7ルール」の浸透を目的に、行動指針を実行している社員を表彰する制度「ワンマイル賞」があります。全社員による推薦・投票で選ばれる制度ですが、こちらもお互いを評価しあう開発文化の醸成につながるものだと思っています。

このように既に様々な施策や制度を実施していますが、それらすべてが文化になっていくと思いますし、それを続けることがCTO協会でも言われているDX(Developer Experience)の向上につながり、エンゲージメント向上になると信じています。

あとはONE COMPATHの開発文化の言語化をいち早く行い、社内への浸透を進めて行きます!

5.さいごに

今回は新米CTOが3か月間競歩のスピードで、でも一歩一歩着実にこんなことを考えてきたという話を書いてみました。まだまだ足りないと思っていますし、やりたいこともいろいろ見つかってきています。自分もどんどん新しいことにチャレンジしていくので、メンバーも一緒にチャレンジしてもらいたいと思っています。

今日書いた我々の思いに少しでも共感できるエンジニアの方、学生の方、いらっしゃいましたら、ぜひ一緒に働いてみませんか?

ご連絡お待ちしております!

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