「日本を代表する製菓企業をつくる」をミッションに、『BAKE CHEESE TART』や『PICTCAKE』、『CROQUANTCHOU ZAKUZAKU』といったイマドキの製菓を販売している、株式会社BAKE。同社の店舗はどこも連日大賑わいを見せ、オフィスがある自由が丘では、紙袋を持った人が歩いている姿をあちこちで見かけます。最近では、日本を飛び出しタイのバンコクにも出店しています。
そんな急成長中のBAKEで、ひょんなきっかけから、Wantedly経由で転職したカスタマーサポートの田谷あず咲さんにお話を伺い、これまでの話から、現在の仕事内容、これからやっていきたいことなど、26歳の彼女のリアルについて聞いてきました。
エレベーターで3階まで上がると、いきなりコンクリート打ちっ放しのオフィスが現れます。入り口を入ると、チョークで描ける壁があり、そこにはお祝いのメッセージやたくさんのサインが書き込まれていました。移転パーティーの際に、さまざまな企業の方に書いてもらったのだそうです。
ちょうど取材時に、BAKEの自社メディアのひとつである『cake.tokyo』の次回特集で取りあげるためのお菓子を決める試食会をやっていました。みなさん、すごく楽しそうにお菓子を頬張っていたのが印象的でした。新しいお菓子へのアンテナ感度が高く、自分で実際につくってみる人も多いようです。
一通り社内を見せていただいた後、会議室にて、田谷(たや)さんにお話を伺いました。
お客さまと近いところで、喜びや、時には悲しみと向き合っている
まずは、カスタマーサポートとしてどのようなことをやっているのか、聞いてみました。
「4人のメンバーと一緒に、お客様からの電話や『PICTCAKE』の注文問合せに対応しています。それにプラスして、実際にケーキを作っている北海道の製造工場と連携をとって、よりよい発注方法や発送方法を考えながら、お客さまが喜んでくれるサービスをつくるお手伝いをしています」
「『PICTCAKE』の場合、北海道から空輸でケーキをお届けするので、台風や豪雨など悪天候の場合、お誕生日に届かないことがあるんです。そのようなことが起こらないように、早めに製造してもらうようにお願いしたり、お客さまにアラートを出して早く受け取ってくださいって伝えたりしています。これまで、『PICTCAKE』の遅延を伝える手段が少なかったこともあり、エンジニアやデザイナーと相談して、到着日付の選択画面に台風マークを出せるよう実装してもらいました。お客さまの近くで声を聞いているからこそ、困っているところを改善して、満足してもらえるようにがんばっています 」
普段の業務では、どんなことを意識していますか?
「電話で話すときに、あまりかしこまりすぎないよう心がけています。中高生から年配の方まで、様々な年代の方にお買い求めいただくのですが、困ったことがあって連絡してくることは同じなので、その困りごとに対して解決策をお答えできるよう、相談しやすいような雰囲気で話すことは意識しています」
仕事をやっていて、うれしいとかつらいと感じるときは、どんなときですか?
「うれしいとき…。パッと思いついたことは、『PICTCAKE』をInstagramにアップしてくれているのを見たとき。商品購入後にはアンケートをとっているんですけど、いただく意見は、プラスかマイナスのどちらか両極端なんです。でも、その中間にいる人も喜んでくれていることがInstagram越しに伝わってくるのを見ると、すごくうれしいですね」
逆に、カスタマーサポートをやっていてしんどかったときって何でしょうか?
「そうですね、やっぱり、荷物が希望日時に届かないときです。天候によっては、どうしても起こっちゃうので。この日にあげたいと思って頼んでくださったのに、2、3日飛行機が止まってしまうと、もう間に合わないんです。そして、それをメールや電話で伝えることは、すごく申し訳なく感じます。もうちょっと早く何とかできないのかと思いますし、お客さまの気持ちが痛いほど分かるからこそ悲しいし、つらいです」
接客→営業→事務→カスタマーサポート
そんな田谷さんが、これまでどんなキャリアを歩んできたのか気になり、学生のころから振り返っていただきました。
「アルバイトとかも含めて一番最初に働いたのは、スターバックスのアルバイトでした。そこでは、食を極めた主婦がたくさんいて、和菓子とコーヒーを合わせてみるとか、面白い食べ合わせ方を研究している人が多かったです。そこから、カフェ文化やお菓子に興味を持つようになり、大学卒業後もそのまま接客系の仕事に就こうか迷ったんですけど、新卒では、BtoBの会社に入りました」
BtoB。何か理由があったんですか?
「接客だけではなく、企業間、大人同士のビジネスを勉強したいなと思ったからです。ただ、BtoBで働こうとは決めたものの、特別こういう仕事がやりたいとか、ピンとくるところがなかったので、いろんな業界にも関わることができる『包装資材』の商社に入社を決めました。『包装資材は百貨店だ』っていう言葉を聞いて(笑)」
入社後は、どんなことをやっていましたか?
「会社としては『野菜の包装資材』が一番の売り商品だったので、その包装資材の販売営業をしていました。今は生産地にこだわりを持つ方が多いので、生産地ごとの包装資材(ラベルやシールなど)が必要になるためです。他にも、お菓子屋さんを周りながら、賞味期限のラベルを売りに行きました。そのときに、いろんなお菓子屋さんを回っていたのが自分のお菓子好きを加速させたかもしれません」
「いろんな業界に関われる」という観点から、包装資材の商社を選んだ田谷さん。最初は営業として配属されて、多種多様な業界とやり取りしていたものの、途中、自分の希望で事務に異動したのだそう。どうして「事務」を選んだのか聞いてみたところ、「営業に向いてなかったから」だと言います。
「営業が男性社会に近くて。私、そこがネックで、なかなか活躍の場を見いだせなかったんです。それれなら、発注書を送ったり委託倉庫の方と発送のやり取りをしたりと、細かい仕事の方が得意だったので、事務の方が向いているんじゃないかと思って」
どちらかというと、コツコツとやっていく方が自分に合っていたんですね。
「そうですね。その経験はBAKEのカスタマーサポートにも活きています。私は今デリバリーを担当しているのですが、繁忙期にどうやったら最短で届けられるのか、どういうルートを通ると早いのかなどの前職時代の知見があったので、BAKEではそこを強みだと感じてもらったんじゃないかと思っています」
タイミングと興味がバチッと重なった、BAKEの求人募集
前職ではどのくらいの期間、仕事をしていたんですか?
「3年間ですね。新卒で入社してから、3年が終わるときにBAKEに入社しました」
もともとBAKEは知っていたんですか?
「いえ、知らなくて。このまま働いていていいのかと悩んでいたときから、ずっとネットで物を売りたいと思っていたんです。なので、転職活動のときには、マーケティングやネットショップの運営を学べる会社に入ろうって思っていて。さらに言うと、前職のころからお菓子とかコーヒーが好きだったので、それを販売しているような会社に入れたらなと思っていて。そんなことを考えながらWantedlyを眺めていたら、偶然BAKEの募集を見つけたのがきっかけでした。『これ、ピッタリじゃないか!』と思ってすぐに応募しました(笑)」
「転職活動の最初のころは転職エージェントを使ってたんですけど、紹介されたところはあまりピンとこなくて、面接ではうまく話ができなかったんです。でも、Wantedlyを使うようになってからは、自分の興味や雰囲気が合いそうなところしか行かないので、次に呼んでもらえる率がすごく上がりましたね。特にBAKEでの面談では、これまでの転職活動の中で、一番素直に話せたのを覚えています」
やっぱり私は、人とお菓子が好きなんだと思います
カフェのアルバイトで接客をやり、新卒で入社してBtoBの営業を経験し、もう一度カスタマーサポートで接客に関わる仕事に戻られました。
これは、根っこに「人とお菓子が好き」ということがあるのでしょうか?
「そうかもしれないです。これまで強く意識はしてこなかったのですが、BtoBよりもBtoCの方が自分には合っているなと感じます。初めてしゃべるようなお客さんと仲良くなって、BAKEの魅力を伝える。そっちの方が、自分の良さを発揮できているのかなと思います」
今後、BAKEでやっていきたいことも聞いてみました。
「このままカスタマーサポートだけじゃなくて、どうしたら売れるのか、どういう商品だったら売れるのかという、大きく言うとマーケティングの仕事まで関わっていきたいです。お客さまとの距離が近いからこそ、お客さまの気持ちがわかります。その視点から、注文しやすい仕組みとかデザインまで提案できて、BAKEに貢献していけたらなと思っています」
最後に、お菓子好きな田谷さんが勧める「お菓子No.1」を教えていただきました。
「もちろん、BAKEのチーズタルトが一番おいしいんですけど(笑)、 この間『cake.tokyo』の試食で食べた、代官山にある「ピカソル(picassol)」のスコーンがおいしかったです。自由が丘にも店舗があるんですけど、そこにはスコーンはないんです(笑)。カジュアルで買いやすい値段なのに、すごくおいしい。どこかチーズタルトに通じるものがあるなと感じました。高級すぎないので、おみやげにピッタリかもしれません」