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Wantedly Journal | 仕事でココロオドルってなんだろう?

Company

「売れるECサイト接客ツール」への大転換と大躍進を裏付ける、変化してきたことで見えてきたニーズ

照明ECサイトから、おもてなし販促プラットフォーム『Flipdesk』へ。たえず変化を続ける働き方とは?

株式会社Socket

2015/12/17

今回特集するのはスマホ向けウェブ接客ツール『Flipdesk(フリップデスク)』を運営している株式会社Socket。スマホサイト上で実店舗のような接客体験を提供し、訪問者の意欲を高め、購買や資料請求、会員登録などのアクション率を上昇させるウェブ接客ツール『Flipdesk』をメインに事業展開しています。ゼロからの立ち上げながら、サービス開始から 1年半で3ケタを超える企業が採用するなど急成長中のITベンチャーですが、もともと起業した際の事業は全く別のものだったとのこと。

そして3人の社員の鼎談を聞いていると、意外な人物像が見えてきました。

今年11月に転居したばかりという青山のオフィス。2階は他の企業と共用のスペースとなっていて、この場で雑談しながら色々なアイデア交換をしているのだそうです。

Socketの話をしてくれたのは(左から)セールスマネージャーの中村仁さん、執行役員・プロダクトマネージャーの安達隆さん、運用コンサルタントの永田龍史さんです。

まずはSocketという会社の成り立ち、入社の経緯を教えてもらえますか?

安達「Socketを作ったのは3年前で、僕も創業メンバーの一人でした。現在CEOを務める安藤と、CTOの生内(いくない)の3人だけで始めた会社だったんです。もともと僕と安藤は遊び仲間で、安藤と生内は仕事で知り合った仲で。たまたま 3 人のタイミングが合って立ち上げた企業なんですよね」

そこから『Flipdesk』という事業のイメージを作り上げていったんですか?

安達「いや、それが全然なくて、とりあえず 3 人の男がいただけだったんです(笑)。『とりあえず、新しい事業、一緒に何かやろうぜ』っていう感じでした」

永田「ちなみに僕と中村は今年の6月に入社したので、もう『Flipdesk』自体はありました(笑)。私は前職では広告代理店でウェブ広告の運用を担当していたのですが、CVRはもちろんLTV改善のためにもっと色々できることがあるのではないかとモヤモヤしていました。そんな折に出会ったのが『Flipdesk』で、今感じている課題感をクリティカルに解決できるツールだ!と思いました。ウェブ接客ツールというものもまだ市場に浸透していなかったし、Socketにも運用コンサルタントという職種がなかった。これからサービス力を高めていって、市場に浸透させていくフェーズなので、情熱をもって仕事をできると思って入社を決めました。

中村「僕は2年前から安藤と個人的な付き合いがありました。前職は決済会社に在籍していたんですが、事業の特性上、意思決定が慎重で、かつ長期スパンで物事をとらえる文化でした。『30代までにスピードがものを言う文化の企業も経験してみたいな』と思っていたところ、安藤から声をかけられて、事業としても伸びそうだなと思って参画しました」

安達さんいわく「サークルみたいなノリで作った会社」ながら、今では20人を超える従業員がいるSocket。この会社名、実は創立後、最初に取り組んだ事業から由来しています。

それが、照明器具を売るECサイト。

代表の安藤さんがECサイトを立ち上げてきたという経歴もあり、インテリアを販売するウェブサイトを作ろうと計画したそうですが、「色々検討した結果、あまり事業として成長しなさそうだ」(安達さん)というシンプルな理由で、わずか1カ月でその事業から撤退。

その後いくつかの事業を経た中で、スマホの普及という時代背景とともに、“ ECサイトに訪れるお客様に対して、買いたくなる「接客」を支援する” サービスの必要性に気づき、『Flipdesk』というサービスを開発することになりました。

そもそも、『Flipdesk』のコンセプトって、どのようなものですか?

安達「ユーザーがサイトに来訪して見る情報って、ほんの一部でしかないんです。本当は、探せば欲しいものがあったかもしれないのに、その情報が足りなくて離脱してしまう人が多い。数字で説明すると、ECサイトの一般的な離脱率は90%を超えている、つまり店舗に来た9割以上の人は何もせずに帰ってしまう。それってもったいないですよね」

永田「その問題に対して、『Flipdesk』は一人ひとりに対して適切な接客をしようとしているんですよね。ある条件を満たしているユーザー群に対してはこういう接客をする、というルールを決めていけば、あとは自動で接客が行われます」

中村「営業として話を聞いていると、ECサイトの場合はCVR(※サイトを訪れたユーザーの中で、購買や申し込みに至ったユーザーの割合)が課題であることが多いです。『広告からの流入自体は結構あるんだけど、もっと買ってほしいんです』という事業者さんが多い。特にスマホの場合は“ながら見”が多いので、ポケットの中にしまってしまうと、“買いたかったもの”を忘れてしまうことがあるんです。あとは夜寝る前に見てても寝てしまって……ということが起きてしまう。これはスマホ特有の課題で、どの事業者さんも課題として認識されています」

安達「そこで、“導線を改善すれば、もっと多くの人がアクションを起こしてくれるはず” というところで、その人向けの情報を送ってあげる。それを補うためのツールというのが、大枠でのコンセプトとしてあります」

永田「そうですね。例えば、初めてサイトを訪れるユーザーに向けたもので説明しましょう。ECサイトを例にすると、初めてそのサイトに訪れたお客様にはサイトのコンセプトとか、独自の使い方・強みを説明していくことで、期待感を醸成してあげる。あとはスマホ普及に従って『ながら見』が増えているので電車の中でスマホを見る5 分とかで、良い商品を見せてあげなければいけません。“このユーザーであれば、この商品がいいだろう” というのを事前に準備しておいて、興味がありそうな商品を見せて、時間内で欲しいものに巡り合える流れを作っているんです」

中村「導入を検討している企業は、『どれだけ費用対効果が出るの?』っていう数字で考えられることが多いです。そこで、営業的には『このツールを使うことで CVR が上がりますよ』と具体的な事例を含めてイメージがしやすいように伝えるようにしていますね」

安達「ちなみに『Flipdesk』は、元々はチャットツールだったんです。電話やメールで行われているお客様サポートを、チャットでもできるようにするためのシステムでした。ニーズは高かったのですが、チャットオペレーターの人件費がネックになって、なかなか導入数が伸びませんでした。そこで、 自動で “接客っぽいこと” をしてくれるツールがあったら使いやすいのではないか? と考えたんです」

訪問者の状況に応じて、ポップアップするキャンペーンやクーポンを変化させる。複数ブランドを扱うECサイトであれば、その人が気に入っているブランドの新着商品を表示する。また、求人サイトであれば、初めてきた人に対してはサイトの使い方の説明をしたり、過去に応募をした求人からオススメの求人を表示する。

訪れるユーザーのツボを『Flipdesk』は押さえていきます。

そんな『Flipdesk』、リリースから 1 年半にもかかわらず300近い企業の利用実績があります。そして売り上げは「月ベースにすると前月比20~60%伸びています」(中村さん)とのこと。

照明を販売するECサイトがスタートラインだったはずが、“売れる EC サイト” を支援する接客ツールの開発へ、そしてECサイト以外のさまざまなサイトでも「ウェブ接客」ができるように。

いい意味で、成長の見込めない事業を “あっさり” 諦める。そして新たな事業に踏み出す。そんな決断力は、3人の働く意識からも垣間見えます。

前職と比べて、企業風土に違いを感じる点はありますか?

永田「ベンチャーなのでいい意味でも悪い意味でも決まってない部分は多い。その辺も自分が手を挙げれば、前提に信頼があるので『一番やりたいやつがやればいい』と積極的に任せてくれる社風があります。自主的にやっていく環境ですね」

中村「それは社内の話し合いでも感じることだよね。お客様からの要望を大事に考えているので会議室にこもって『ああしようか、こうしようか』という話、つまり “ミーティングのためのミーティング” はない。僕ら営業側、永田のいるコンサル側からも、ドンドンお客様の要望を伝える。『その要望は技術的に対応可能か?』、『もしできるなら、いつごろまでに開発できるのか?』。そういうのをみんなで話し合っていこう、という感じです」

安達「あまり “企業とはこうでなくちゃいけない” とか “絶対この事業をやるんだ!” みたいなのはないんです。人に喜ばれるものを作って、事業を成長させていきたい。このモチベーションでやっています。だからこそ、照明やチャットにこだわりすぎることはなかったんですよね(笑)。逆に変化することで、新たなニーズが見つかったのだと思います」

ベンチャーというと、理念が先行することが往々にしてありますが、話を聞いているとSocketさんは逆のアプローチをしているように感じます。

永田「確かにそれはあるかもしれません。ベンチャーなんだけど働いていて安心感がある、というのが入社後の半年間で得た印象なんです。勢いだけで事業を進めず『これなら勝てる』という勝算を作って、そのためのステップも明確にして、それを真面目にたんたんと実行していくイメージです」

安達「“この事業で世界を変える!” “日本一の企業になる!” みたいな壮大なビジョンはなくて、みんなそれぞれが自分の納得するものを大事にして仕事をしていますよね。でも営業は毎月、ホントに厳しい目標を立てているんですよ。まるで自らを追い込むように(苦笑)」

中村「……確かに月末は、目の前が真っ暗になりますね(一同・笑)」

安達「先ほども言いましたが、事業としてはかなりのスピードで成長しているので、他のチームからすると『このくらいでいいんじゃない?』と思うんですけど、営業サイドが自主的に『いや、来月はもっとできます!!』という感じで目標を上方修正しちゃうんです」

永田「会社の枠の中に人がいるっていうよりも、人が集まって会社になっていると考えてもらえると、分かりやすいかもしれません。一人ひとりが大事にしたいもの、やりたいモチベーションを持っていて、それが有機的に組み合わさることで、会社という機能になっていると思います」

中村「その通りだと思う。会社が成長していくためには “頑張ってギリギリ届くかどうか” というものにチャレンジすることが大事だと思うので、営業部門は目標達成に厳しく営業活動をしています。自発的にやっているから、モチベーションが維持できているんです」

永田「世間一般で言う会社は、事業や仕事があって『じゃあ、君はこの仕事をやってください』と言われて “やらされる” 感じだけど、Socketで働く人は、一人ひとりがプロフェッショナルなんじゃないかなと思います。だからお互いの仕事をリスペクトしているし、それぞれやるべきタスクも明確になっています」

安達「僕自身、会社は “ただの箱” だと思っていて、個人がその箱を使って好きなことをやればいいじゃん、という考え方でやっています。『この会社に入ったからには、絶対にFlipdeskというサービスを好きになれ』という感じではなく、営業だったら “何でもいいから売りたい” 、エンジニアだったら “とにかく高度なシステムを作りたい” というモチベーションでもいいと思っています。そういった色々な個人の方向性をうまく束ねて事業を前に進めるのが、経営陣の仕事だと思っています」

個人個人を尊重しながらも、『Flipdesk』を日々向上させているSocket 。成長期にある企業が求める人材はどういった人間でしょうか?

安達「素直で頑張り屋さんな人に来てほしいですね。今いるメンバーもみんなそう。素直さというのは、人の意見を聞いて柔軟に変わっていける能力です。これだけスピード感のある事業展開をしている会社なので、必須の条件です。頑張り屋さんというのは、働くこと自体が好きで、モチベーション高く仕事に臨める人のことです。」

永田「この2つは最低条件ですよね。僕は運用コンサルタントの採用も見ていますが、社内にないスキルを持っている人を優遇したいと思っています。『Flipdesk』自体、まだ 100%の完成品というわけではない。得意の分野での強みをお互いに生かして、チームとしてミッションを達成していきたいなと思います」

中村「営業でいうと、キャリアを積めば積むほど“マネージメント”したい人が多くなってくると思います。でも『Flipdesk』自体、まだまだ知られていない、広げていかなきゃいけないサービスです。サービスの可能性に共感して、これを伝えていきたいという想いで自ら開拓できる人が必要です」


最後に余談。『Flipdesk』の公式ホームページをのぞくと、このような文言があります。

「アクションを待つより、アクションを喚起しよう」

このことばは、サイトパフォーマンス向上を果たす『Flipdesk』だけでなく、Socketという企業自体にも共有されている、共通言語になっているなと感じました。

Interviewee Profiles

Takashi Adachi
CPO, 株式会社SmartHR
SmartHRでプロダクトマネージャーをやっております。 チームラボにて受託開発を4年ほど経験後、株式会社Socketを共同創業。 EC向けのマーケティングツール「Flipdesk」を開発し、サービス開始から1年でKDDIグループへ売却。 フリーランス期間を経てメルカリに入社し、顧客対応や違反検知などの業務システム開発を担当。 2019年4月にSmartHR入社、2020年7月にVP of Product Management就任、2023年1月から現職。 主にBtoBのプロダクトマネジメントが専門です。
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Ryushi Nagata
マーケティング, 株式会社ハックルベリー
新卒から6年間ネット広告代理店にてアフィリエイト広告運用、ディスプレイ広告運用に従事。 原稿改善、LP改善、サイト改善提案を進め、月間3,000万円程度だったクライアントの広告出稿額を最大月間1.5億円まで成長させた実績あり。 2015年6月、これまでやってきた「集客」ではなく「接客」に強い興味を惹かれてSocketにジョイン。 SocketではFlipdeskの運用チームのプレイングマネージャーとして、お客様の費用対効果を最大化させるコンサルティングをしつつ、各社の運用成果のレバレッジをかけるべく運用チームをマネジメントすることに従事。 2017年2月に株式会社SocketがSupership株式会社に吸収合併。 Flipdeskの営業/運用、同じ接客領域である検索サービスのS4の企画/営業をするチームをマネジメントすることに従事。 2018年4月より株式会社フクロウラボに事業開発として転職。 趣味はアウトドア全般、特にキャンプ。
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Jin Nakamura
代表取締役社長, 株式会社スマカリ
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