THE FIRST TAKE / 企画、クリエイティブディレクター、アートディレクター、映像監督
「ACC 日本のクリエイティビティ2021」清水恵介コメント寄稿
THE FIRST TAKEほか、日本最大のクリエイティブアワードの入賞作品を収録。 クリエイティブディレター清水恵介の背景やクリエイティブで注力した部分などを綴った寄稿文「制作者に聞く」を掲載。 THE FIRST TAKEチームを代表して 僭越ながらACC 日本のクリエイティビティ2021 年艦にコメントさせていただきました。 このような機会をいただき有難うございました。🙏 - THE FIRST TAKEを始めたのは、 国内でコロナが確認される2ヶ月前の 2019年11月5日。 企画段階から大事にしたのは、“新しさ”のある 音楽コンテンツということだった。 新しさといっても、最先端テクノロジーを 用いるような類のものではない。 みんなの経験や心のどこかに既に存在するが、 まだ認識できていない感覚。 それを新しさと考えた。 僕たちの暮らしには適度な新しさや、 初々しさが必要だ。 日々、つまらないと感じた時、 新しさという栄誉摂取を怠っているからだと 気づくことがある。 自分の未開拓な部分に出会い、 ハッとして人生が広がるような実感が欲しい。 そういう欲求を誰しもが持っているのではないか。それが企画の起点となった。 真っ白なスタジオ。定点カメラが置かれ、 アーティスト以外、 誰もいない状態での一発撮り。 これはそんな“新しさ”を 生み出すための装置である。 音楽を評する言葉で言い換えると、 初期衝動が溢れる音楽を生み出すための場所だ。 自分のすべてを使って一発撮りに挑む アーティストの姿は、たとえミスをしても 勇ましくカッコいい。 その姿を見ていると、覚悟を持って挑戦すれば、 いつだって新しい自分へと変わることができるのだと勇気をもらえる。 そして、アーティストが何回も歌ってきたはずの1曲が、その瞬間に新しい1曲としてアップデートされていく。 撮影中、アーティストのすばらしいパフォーマンスを目の当たりにして、鳥肌が立ち、涙が出ることがしばしばある。 そこで起きた事実を、ドキュメンタリーとして記録し伝えていくことが、僕たちの使命だと思っている。 アーティスト、視聴者、音楽業界の方々、 運営・制作スタッフ、関わるすべての人の、 たくさんの音楽愛でTHE FIRST TAKEはできている。 誰かの “新しさ”に出会うきっかけをつくることで、社会を、誰かの人生を、少しでも前進させるきっかけになっていけたらと想像し、 これからも“アーティストの今”を文化として、 保存・アーカイブし続けていけたら、 こんなに嬉しいことはない。 クリエイティブディレクター/ アートディレクター/ムービーディレクター 清水 恵介