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【CEOのテツガク①】第三創業期の展望ー「知の図書館」を創るー

私、古澤暢央がFaber Companyを創業してから約16年、当社は「第三創業期」を迎えました。

第二創業期は、コンサルや受託中心の経営からシフトし、ミエルカという自社プロダクトを生み出した瞬間です。リリースから5年で1700社超にご導入いただきました。

そして今、当社は新たな展望(ビジョン)を見据え、次のフェーズに一歩を踏み出しています。今回は「私達がどこから来て、今後どこへ向かうのか」を記しました。

●「あの橋を作ったのはお父さんなんだよ」

小学生の頃、ドライブ中に父から言われたこの言葉を今でも覚えています。

土木建築の仕事をしていた父が、小さな河に架かった橋を指さして言ったのです。

レインボーブリッジのような立派な橋ではないけれど、地域住民が車で往来し大事な生活インフラになっている。そして地図に残る仕事。きっと父の誇りだったのでしょう。

「日々の仕事を形として後世に残し、それを『誇り』あるいは『生きた証』としたい

この記事を読んでくださっている皆さんも、そう思いませんか?

●謎解き、宝探し、知恵比べ

僕がSEOに出会った2004年、「こんな面白い仕事があるのか!?」と感動しました。

小学生の頃はラジオを自作したり、ラジコンを分解して遊んでいました。その趣味が高じてアマチュア無線技士という国家資格を取得して大人たちと夜な夜な会話したり、ゲーム「信長の野望」では最も弱い武将で天下統一を目指したりと特異性を発揮していました。

中学生の頃は、定期テストの国・社・数・理・英で500点満点が取れないか?というアソビに興じ、結果としては498点が最高点でした。決して勉強が好きなわけではなくゲームをしていた感覚です。

僕は元来、謎解きや宝探し、知恵比べが大好きなんですね。

SEOに出会って、その感覚が蘇ったのでしょう(笑)。

当社で活躍する人材には、面白いほど「謎解き、宝探し、知恵比べが好き」という共通点があります。

(写真:幼少期に没頭したラジオ工作。ドラクエはラスボスを素手で倒せるレベルまで攻略していました。笑)

●人智(知)の貸し借り

この仕事を16年続けていて思うのが、優秀な職人(当社ではマーケターを職人と呼称します)が紡ぎ出す「技」には、いつも惚れ惚れするという事です。

一例を紹介しましょう。

職人の1人である白砂ゆき子が日々の実践から、「情報収集型クエリは【①とは②HOW TO③比較検討④感情】に4分類でき、SERPS(検索結果ページ)の特徴から分類判定できる。それによって検索意図を特定をしやすくなり、作るべきコンテンツの指針が立つ」という考えを示しました。※詳しくはこちら

多くのSEOプレイヤーが似たような事を頭の中で行っているのですが、白砂はこれを形式知化し、さらにエンジニアとデザイナーが機能化したわけです。

(画像:MIERUCA「クエリタイプ分析」の結果サンプル)

開発に6か月ほど掛かったこの機能は、今や毎月1000人位のユーザーが使ってくれています。

暗黙知(経験や勘に基づくが明文化はされていない知識)のままでは、コンサルティングを通じてせいぜい数十人程度しか触れる事ができませんし、書籍化したとしても読者が自力で活用できるかわかりません。しかし、ツール化・機能化することで広くあまねく職人の技をお届けできる

そう、僕たちはMIERUCA事業を通じて、人知(人智)を貸し借りできる場を創っているのです。ここに私の「誇り」があります。

(写真:2014年1月頃、ミエルカ開発の初期で基礎研究時の様子。コールセンターの受電内容や本を裁断してスキャンし、OCRにて語の共起関係を測定、膨大なWebページを読み込んで研究。毎週土日はすべてこれに費やしていましたが、生きる糧を得ていました。)

●検索の未来と「知の図書館」

僕はときどき検索の未来を考える事があります。

「特定の検索エンジンを使わなくなくなるのではないか」

「テキスト文字を検索窓に入力するスタイルは無くなるのでは」

これらの考えには概ね同意しています。しかし人間には、分からないものに対して、その理由や意味を知りたいと考える”好奇心”が根源にあるので情報探索活動そのものは無くならないと考えています。

よって生活者の利用するプラットフォームがGoogle・Facebook・Twitter・YouTube・ Instagram、はたまたまだ見ぬ新たなシステムと移り変わっても、人はそのプラットフォームを活用して情報探索活動を行うはずです。

そして同時に、"Webの作り手たち"は、生活者に価値を届けるために有用な「知」を常に編み出し続けることでしょう。

僕たちは、Webの作り手たちが編み出した「知」を、まるで図書館のように誰もが簡単にアクセスし活用できるようにしたい。生活者はどんなプラットフォームを使っても、自分が求めている情報に出会える世界観を創っていきたい。

僕らは今、SEOという枠組みを飛び出し、終わりのない「知の図書館」という新たな展望を掲げているのです。

●職人の名を残す

もう一つ大事な思想があります。職人の名を残すということです。

職人の発案した技がツール機能として多くのユーザーに活用される。発案者であるその職人の名前は映画のクレジットタイトルのようにそこに表示され後世に残る。ユーザーに使われ続ける限り権利収入も得られる。

なんだかワクワクしませんか?

Webの業界では、橋やビルのように地図に残る仕事をする機会はなかなかありません。だからこそ、「あの橋を作ったのはお父さんなんだよ」と言える機会を創ることに、僕はある種の使命感を感じています。そして、この使命を全うするためにも、Faber Companyでは職人が技磨きを追求できる機会づくりを重視しています。

例えば、当社取締役の鈴木謙一は、今やSEO業界で名が知れた職人の1人です。僕が初めて出会った13年前、彼は無名のSEOオタクでしたが、探求心と情報発信力は目を見張るものがありました。彼の特異性を如何なく発揮してもらうために、当時日本人はほぼ参加していなかった海外のカンファレンスに共に何度も足を運び、ブログや講演等で情報発信することを生業としてもらったのです。

鈴木は類まれな努力とFaber Companyというフィールドを融合し、自らの名で運営する海外SEO情報ブログを日本で最も読まれるSEOメディアへと成長させ、世界でも大きなSEOカンファレンスbrightonSEOやPubconで登壇することもできた。かつて無名だった彼が発する最先端で独自性のある情報、講演の一言一言に、世界中のマーケターが耳を傾けるのです。戦友として彼の挑戦を10年以上見てきましたが、人の名が残る仕事を成す過程に、僕は浪漫を感じずにはいられません。

(写真:2010年にPubcon Las Vegasに参加したときの様子。)

(写真:2019年、英国で開催された欧州最大のSEOカンファレンス「brightonSEO」にて、鈴木謙一が登壇しました。)

僕たちは創業当時から職人個々の属人性や自由演技を排除しない姿勢を貫いてきました。必要な知識は身に着けてもらわなければなりませんが、独り立ちできたら「あれするな、これするな、こうしろ」を一切言いません。例えば、ある職人が新たな機能を発案し、他の職人に「僕はこの機能は使いませんね」と言われたとしても、一部の人達に熱狂的に受け入れられるのなら、丸めたりせずに原型を尊重してリリースします。

機能を創るということは、”己のオリジナリティを世に問う”行為です。

その発案者の尖がり/特異性を大事にするからこそ、その本人は「こんな機能を創ったよ、使ってみてよ!」と誇りを持って普及活動を行い、責任を以って機能を進化させるのです。

職人の名を残す、素晴らしい事だと思いませんか?

●ご縁(よすが)と仲間

以前のコラムで、ご縁について書きました。

リモートワークやDX化、雇用の多様化が進み、ますますデジタルな社会へ変化する中、「なぜ我々は共に働くのか?」という問いを僕らは突きつけられています。

僕なりに考え抜いた答えは、「ご縁(よすが)」です。

その会社の理念や文化、人、サービスや仕事が好き。その人の人格や人生観、夢が素敵。だから一緒に働きたいという「好き」や「共感」を礎にした深い関係こそ、これからの時代に求められることなのではないでしょうか。

僕らの展望、文化、そして仕事への哲学にご縁(よすが)を感じてくださる方は、ぜひ仲間になっていただきたいと思っています。

共に、誇りを持って名を残す仕事をしませんか?

※古澤の写真は、本社が入居するWeWork神谷町トラストタワーにて撮影

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