アソビューが2020年に導入した「日時指定チケット」を開発リーダーとして推進したエンジニア・竹内大介。彼はアソビューに入る前、会社の事業内容にはこだわりがなかったと言います。そんな彼がなぜアソビューに入社し、コロナ禍の混乱の中急ピッチで開発を進められたのか。その背景にある価値観や想いをご紹介します。
中学の授業でプログラミングに惹かれ、仕事にしたいと思った
「『プログラミングを仕事にしたい』。それだけだったので、業界や事業内容にあまりこだわりはありませんでした」
エンジニアチームでマネージャーを務める竹内大介は、仕事選びの軸をこのように考えたと言います。エンジニアを志すきっかけとなったのは、中学時代の技術の授業でした。
「技術の授業で、プログラムに触れる機会があって。モーターで動くミニカーがハーネスでパソコンにつながっていて、プログラムを書いて車を動かすという授業でした。プログラムといってもほとんどコピペすればつくれる簡単なものだったのですが、数字を少し変えたら動くスピードが変わったり、タイヤの角度が変わったりして遊べるようになっていて。面白いなと感じました。それがきっかけとなってプログラミングを勉強したいと思い、受験生の冬、急遽、進路変更をして高専に入りました」
竹内は高専を卒業後、新卒でSI企業に入社。製造業や流通業の大規模な受託案件を中心に、自社サービスのプロジェクトリーダーや開発チームのマネージャーなどを歴任しながら17年間勤務しました。
30代後半となり、今後の自分のキャリアを考えていた折、登録だけしていた転職サイトからのスカウトメールで、転職への思いを強めました。
転職活動でも、大切にしていたのは自分のスキルを生かせるかどうか。事業内容にはこだわらず、幅広い業界の企業や転職エージェントと話す機会を設けたといいます。
「転職に対してアクティブには動いていませんでしたが、スカウトメールをきっかけにちょっと話を聞いてみようかなと思いました。どういうことをやりたいかはあまり考えておらず、『Webサービスを展開している会社がいいかな』というくらい。あとは、自分の技術的なバックグラウンドが生かせそうなところですね。Javaのバックエンドエンジニアをずっと続けてきたので、それが生かせるといいなとは考えていました」
転職活動に気持ちが向いた竹内に、少し後のタイミングでメッセージが送られてきました。それがアソビューからのスカウトでした。
17年間1社で過ごした後の転職。「自分は通用するのか」という不安を覚えた
アソビューに話を聞きに来た竹内は、当初思い描いていたイメージとは少し違うことを感じていました。
「前職ではBtoBの案件を担ってきたのですが、アソビューはBtoCのイメージが強くありました。でも聞いてみたらBtoCだけでなくBtoBもやっているという話で。割と安心感を覚えたことが最初の印象です」
技術面ではJavaをメインで使っているという点も、竹内にとってプラスの要素でした。さらに彼の気持ちを高めたのが、趣味のスキューバダイビングと仕事が紐づけられるかもしれないということでした。
「簡単に言うと、当時のビジョンに共感しました。僕は沖縄の海が好きなのですが、アソビューの事業であれば、沖縄の海の魅力を世界にアピールできるんじゃないか。そこに仕事としてかかわってみたい、目標にしてやってみたいと思えたことが大きいですね。
裁量が大きいベンチャーに行きたかったというわけではないのですが、ビジョンや自分が目標としたい世界に向かってやれそうだなと感じたことが入社の決め手になりました。魅力の発信といっても、直接的に自分が前線に立って発信するというよりは、『あくまでエンジニアとして事業にかかわる』」ということが僕にとっては大事でした」
ビジョンへの共感と、技術面でマッチしたことへの安心感をベースに2017年5月に入社。ベンチャーへの転職でも会社への不安はあまりなかったようで、「僕自身が通用するかどうかの方が心配でした」と謙虚に語ります。
「前職で17年間働いていたのですが、同じ会社にしかいないと、他でもやっていけるかどうかわからなくて、自信がなかったのです。入社して1~2か月たった頃、上長の江部さんとの評価面談で、『僕、大丈夫ですか?期待に応えられていますか?』と直接聞いたくらいです(笑)。『大丈夫です』と言ってもらえたので、ものすごく安心しました」
「会社の状況は気にならなかった」緊急事態宣言中の「日時指定チケット」開発の背景
入社後最初の仕事となったのは、「アソビュー!」の電子チケットシステムの開発。その後、アライアンス事業の新規開発、社内向けのシステム開発などに携わってきました。現在は中長期を見据えたシステム刷新プロジェクトの要件定義を進めています。
中でも印象深かったと話すのは、2020年、コロナ禍における日時指定チケットの開発です。
「コロナで売り上げが急降下している状況でした。営業サイドからは三密回避のため人数制限をする必要があるという話が来て、日時指定チケットを開発しようというプロジェクトがスタートしました。1回目の緊急事態宣言中で、レジャー施設も多くがクローズしている状況だったのですが、宣言明けにはリリースしたいという話になって。開発期間がものすごく短かったですね」
どの施設でも使えるような日時指定の電子チケットというのは、通常ならば半年~1年かけてじっくり開発していくようなシステムです。ですが、その開発プロジェクトが決まったのは5月頭。リリース希望時期までには1ヶ月ほどしか時間がありませんでした。
会社としては在籍出向を実施しているなど割けるリソースが限られている中、開発リーダーである竹内は毎週、営業サイドとのすり合わせミーティングを行い、急ピッチで進めていきました。
「短納期だったので、細かい要件についてはとにかく営業と話をしました。施設側も今まで日時指定チケットを導入したことがないので、どんな要素が必要なのかは見えていません。そこで営業にヒアリングしてもらい、それをもとに仕様を組んでいきました。もちろん細かい変更は後から出てきてしまうのですが、とにかくすぐに必要なものはこれで、こっちは後からでもいい、といったことも密に話をして徐々に固めていきました」
会社自体が揺らぎそうな状態、かつ初めてのシステムを短納期で開発しなければならない。ものすごい業務負荷の中でも、竹内はとにかく目の前の業務に集中していました。第三者から見れば、他社に移るという選択もできなくはない状況。それでも、彼の頭の中には、「転職」という文字は浮かびませんでした。
「やれそうなイメージはあったんだと思います。短納期でしたが、道筋はなんとなくついていました。それに、会社の状況は正直気にしていませんでした。意識する暇がなかったのかもしれませんが……。ビジョンや事業への共感は僕にとって大前提になっているので、普段の業務でそれをわざわざ思い返すことはありません。だからとにかく今やるべきことだけにフォーカスできたという感じです」
理想のエンジニア像に向けて、まだまだここでやれることがある
▲ダイビングを通して出会った、沖縄の美しい海の魅力を伝えて行きたいと言う
竹内に仕事のやりがいを感じる瞬間を問うと、「開発したものをリリースして、ちゃんと動いているとき」と返答。自分がサービスに問題なくかかわれているという「安心感」こそ、彼の静かなモチベーションになっているのです。
今後、アソビューで挑戦したいことには「これまで扱っていない週末の遊びをアソビューで取り扱えるようにすること」を挙げます。
「個人的に最近、舞台観劇をするようになったので、そういったものも取り扱えると良いなと思います。それには、日時指定に加えて席指定が必要になると思いますが、社内でそういった話も上がってきているので、今後進めていければ面白いなと。直近で言うと、刷新プロジェクトの要件定義をしている段階なので、その開発を軌道に乗せるところに注力していきたいです」
目標設定においては、あまり具体的で細かな道筋を描くよりは、大きくて抽象的な像で考えるという竹内。エンジニアとしての今後の目標をこのように語ります。
「ざっくりイメージしているのは、『ある人が何かをやりたいと言ったときに、それを技術で実現できるエンジニアになりたい』ということです。そのために目の前の仕事を機会にしていくというイメージです。まだまだそこには到達していないですし、やれることがあると思っています。
アソビューに入社した理由のひとつである『沖縄の海の魅力を発信したい』というのも、まだ実現できているとは思っていません。そういう意味では、まだまだ道の途中だな、という感覚ですね」
自分が好きなもの、好きなこととかかわっている実感を持つことを大事にしながら、エンジニアとしてやるべきことを粛々とこなす竹内。そのタフで安定した姿勢で、これからもアソビューのシステムを下支えする存在となっていくでしょう。